問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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教会との因縁

 

 部活に所属していない生徒が帰路につき始め、校門から外へと出ていく中二人の不審人物が当たり前のように侵入する。

 

 二人共顔はフードを深く被っているので一切見えず、自身と同じサイズの何かを片方は背負っていて明らかな不審者だ。

 

 どう考えても人目を引くはずのそれに、帰宅する生徒達はまるで見えていない(・・・・・・)のか横を素通りして行く。

 

 そんな中、二人に意図的に近づく姿がある。

 

 

 

「天気がいいな。ちなみに明日の天気は知ってるか?」

 

「知ってるさ、雪時々晴天(・・・・・)だろ」

 

「お待ちしてましたよ。俺の名は駒王学園生徒会書記の匙元士郎だ、よろしくか」

 

「私達としてはよろしくしたくないがな。ゼノヴィアだ」

 

 

 

 フードを取りつつ二人は握手を交わした。

 

 蒼に煌めく頭髪の中に数本下へ伸びる翠色の髪が彼女の破天荒な性格を表している。

 

 肉体もかなり洗練されていて全身を布で覆って隠してはいるが、チラ見する足や手の筋肉の付き方は女性とは思えないほどしっかりとしている。

 

 なのにも関わらず顔も美女と呼ばれるレベルの物であり、駒王学園に居ればトップクラス【リアス・グレモリー】や【姫島朱乃】と並ぶ。

 

 

 

 握手を交わした時でさえ男の匙がドキッとするほど可愛い笑顔を浮かべている。

 

 明らかに匙以上の握力で握り返してこなければ惚れていたかもしれない。

 

 

 

「つつっ・・・そっちは」

 

「はーい、よろしくね私は紫藤イリナよ。ゼノヴィアと違って日本人なのよろしくね」

 

 

 

 もう一人の方は全体的に細く、女子と言えばのイメージそっくりのプロポーションだ。

 

 両サイドから伸びている。今どきは珍しいツインテールを完璧に装備している。

 

 

 

 握りつぶされるかと思った右手を振りながら軽く会釈し、先導するために校舎とは別の方向へ進んでいく。

 

 

 

(こいつらが教会の戦士・・・それもソーナ会長が言った通りなら、駒王学園にいる悪魔総出でも勝てない程の実力者か)

 

 

 

 内心この役を任命された事を嬉しいとは思っているが恐怖している部分もある。

 

 教会の戦士は日本の妖や外国の怪異、冥界から逃げ出したまたは主人を殺したはぐれ悪魔の討伐を専門にしている。

 

 それこそ匙が勝てないような相手にも命ある限り攻撃し続け、死ぬまで攻撃の手を辞めない人間よりも人外に近い存在だ。

 

 

 

 彼らからしてみればはぐれ悪魔も眷属悪魔も変わりない人間に取っての悪であり、本当はこうやって馴れ合う事すらしたくないはずだ。

 

 しかし、状況が状況のため渋々彼女らから今回の面談を申し出てきた。

 

 

 

(一体何のようなんだよ。あんまりソーナ会長を無理させたく無いんだけどな・・・けど、何か今日嬉しそうだったような気がしたんだけど、まぁ気のせいだろ)

 

 

 

 慣れた足取りで校舎からそれ、一般人が迷い込まないように張ってある結界を超え目的地へとたどり着く。

 

 

 

「ここがオカルト研究部。アンタらが会う、ここ駒王町の主人がいる」

 

「確かにな、この距離からでも分かる。濃厚な悪魔の気配が」

 

「ゼノヴィアダメよ。今回は戦闘に来たんじゃないから」

 

「分かっているさ・・・私からは喧嘩を売らないよ」

 

「もーう、なんでこんな戦闘バカになっちゃったのかしら・・・・・・あっ、ありがとね匙くん」

 

「いえ、仕事ですから。それじゃあ後は普通に入れば良いだけなんで失礼します」

 

 

 

 何か問題や戦闘が起こる前にさっさと逃げようと足早に駆け出して、生徒会の本部たる生徒会室へと急ぐ。

 

 残された二人はゆっくりと扉を押し、中へと警戒しながら入っていった。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 二人が昔踏み込んだ悪魔のアジトは血臭漂い、至る所に肉片や食い残しはてには遊ばれ捨てられた子供や女性が転がっていた。

 

 それと比べればラベンダー系列の花の馨しい匂いと小さな戸棚に置かれた骨董品の数々。悪魔より貴族の屋敷に足を運んだような感覚だ。

 

 質素な生活を心がけている二人からしてみれば金の無駄使いとしか思えない。

 

 二人が進先を示すように明かりが先導して道を照らしどんどん奥へと進ませる。

 

 

 

(随分入り組んでいるな。戦闘になれば逃がさない腹か、悪魔らしい考え方だな)

 

 

 

 普通なら入ってすぐの場所に招いた客を向かわせるが、悪魔と戦士ではそのような関係に居られずあえて入り組ませそう簡単に逃げられないようにした。

 

 とは言えそれは道がないと言う意味で、その気になれば力技で壁を抜いて出ることも可能なので無駄に足を使うだけの行為であった。

 

 

 

 道を進んで四・五回角を曲がった所で目の前に一つの扉が行方を塞ぐ。

 

 先導していた明かりは周囲を照らしドアに当たると弾け、目的地に着いたと伝え仕事を終える。

 

 

 

「良いわね、確認するわよ。戦闘はしない、強そうな相手に喧嘩を売らない」

 

「私は子供じゃないからそんなかくに──」

 

「前そう言ってお偉い様を殴ったのは誰かしらね?あの後何故かパートナーも連帯責任で叱られたのよね。あぁ可哀想、可哀想」

 

 

 

 瞳を俯かせ鼻をすすって泣いてるフリをする。

 

 

 

「それは・・・あい・・・つぁ・・・・・・ごめん」

 

「別に怒ってるわけじゃないのよ。ただ、注意として」

 

「分かってる今回はヘマはしない」

 

「ならいいのよ。さっ!入りましょう」

 

 

 

 再度の忠告をしっかり心に留めイリナが先に扉を開ける。

 

 四度ノックをすると中から「どうぞ」と声がかけられ、ドアを開いてお目当ての人物と会合する事になる。

 

 

 

 目と鼻の先には夕日に燃える赤髪をたなびかせるリアス・グレモリーが、空いてるソファーに指をさしながら堂々と座っていた。

 

 中央に座るその女性がメイド服を着ている点を除けば何もおかしくはない。

 

 

 

「これは・・・貴方がリアス・グレモリーであっているのか?いや、別に服のセンスに文句をつけるわけではないが」

 

「はっ──しまった、いつも通りすぎて着替えるの忘れてたわ。懇親のミスね」

 

「ナ、なるほど。これが日本か・・・勉強になった」

 

「一番勉強しちゃいけないタイプよこれ」

 

 

 

 日本の文化を漫画から得る残念美女は、こちらに来るまで侍や忍者が道を歩いてる物だと思っていたらしくいなかった事にショックを受けていた。

 

 もし日本の私服がメイド服なんて勘違いを覚えたら大変だと指摘する。

 

 

 

 恥ずかしそうに一瞬目を背けたがすぐに向き直り空いてるソファーに座るように再度指示を出す。

 

 指示通りソファーに座り、その際イリナは良いがゼノヴィアは大きい荷物を持っているので、それを壁に立て掛けてから座る。

 

 

 

「自己紹介は要らないわよね」

 

「話が早くて助かる、私はゼノヴィアでこっちがイリナだ」

 

 

 

 さっさと任務に戻たいとの事なのか簡潔に自己紹介をして、出された紅茶に一切口を付けず話を進める。

 

 

 

「単刀直入で言えばこの町で私達が行動する事を許してもらうのと、君達側の味方を教えてもらいたい」

 

「随分と適当ね、何があったのかを教えてもらわないとこの町での行動なんてそう簡単にさせないわよ?」

 

 

 

 胸を支えるために組んでいた右腕だけを崩して、顔の横で手を構え消滅の魔力を球体にして浮かばせる。

 

 笑って言葉を返したとは言え表情から笑っていないのは読み取れ、肌がピリつく空気をだしている。

 

 

 

 イリナとの約束もあり戦闘はしないと決めたので残念ながら直接的な答えは返さず、壁に立て掛けた物を取り布を外す。

 

 

 

「君達なら見ただけで分かるだろ、これは破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)。君達が忌み嫌う聖剣だ」

 

 

 

 右手一つで軽々持ち上げるのは剣とはとても呼べそうにない形の剣。

 

 日本刀の鍔の部分には左右に刃が展開してる斧のような形状の武器。刀身は先へと伸びるほど太くなり、剣先の方は三又に別れている。

 

 刀身の中心に教会のシンボル【十字】が刻印されている。

 

 全身が銅色で錆びているように思えるが、元は鮮やかな白だったのを悪魔達の血で染めたと知ることはない。

 

 

 

 破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)

 

 エクスカリバーにはそれぞれ能力が宿っていて、その中でも単純な力では最強の破壊を振りまく聖剣である。

 

 

 

 捨てられた布にはいく重にも重ねられた封印や抑制の魔法陣が内側に刻まれていて、布で覆っているうちは外からの干渉を一切受け付けさせなかった。

 

 布を外した今、悪魔のリアス達は見ただけで全身に悪寒が走る。

 

 魔の力を使う悪魔には天敵の聖の力の集合体──聖剣。

 

 それも名もない無名の剣ならまだしもかの有名なエクスカリバーだと言うのだから驚きだ。

 

 

 

「それが対戦時に折れたエクスカリバーの断片・・・貴方も持ってるのかしら?」

 

「もちろん、じゃっじゃじゃーん!」

 

 

 

 玩具を自慢する子供のように元気よく左腕に巻いていた紐を引っ張り腕から離す。

 

 直後形は変化し紐から柄、鍔、刀身が作られていい、純白の日本刀が彼女の手に握られている。

 

 

 

 擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)

 

 ゼノヴィアの戦闘力に特価した聖剣とは真逆の力よりその特殊能力の形態変化を使った、多彩でトリッキーな動きを得意にしている。

 

 

 

 二人の聖剣を見て木場祐斗が浮かべていた笑みから光が消え、内部から巻き起こる悪感情に手を突き動かされる。

 

 

 

「まさか後輩とこんな所で出会うなんてね」

 

「ん?悪魔側にいるのに先輩なのか?」

 

「まぁそうだよ。僕自身その事に関してはあまりいい思い出がないから、殺したい程憎いけどね」

 

 

 

 宣戦布告とも取れるその発言にゼノヴィアは表情を僅かに乱す。

 

 

 

 リアス以外に語ってこなかった自身の出生の秘密、教会にて受けたまだ人間の頃の人権のない実験の数々への怒りが爆発する。

 

 聖剣使いとはそう簡単に出会えず、よりにもよって実験の目的の代物が出てくるなんて思ってすらいなかった。

 

 

 

 そう──木場祐斗は悪魔で魔剣使いの前に【聖剣使い候補】だったのだ。

 

 

 

 

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