トリニティのイベント行ったりなかなか充実してました。
聖剣を扱える者は稀であり、三種族での戦争において大きな戦力だが貴重な戦力であった。
戦争に勝つにはやはりと言うべきかその数がネックであり、どれだけ強かろうと一瞬の判断ミスで死んでしまう。なので、前線に安心して出せず結局殆ど戦闘をさせずに終戦を迎えて行った。
本来ならば終戦と共に結ばれた不可侵条約により互いに無関係を貫かねばならないのだが、はぐれ悪魔と呼ばれる存在の脅威が終戦後に発生し聖剣使いの必要性が増した。
とは言え戦争時もその数のネックによって押し勝てなかったのに、ポンポン作れる訳がなくその改善は常に難航し続ける。
すると一人の男がある発見をした。
『私の研究によりますと聖剣を扱うには”因子”が一定値必要です。近代に生まれる聖剣使い候補達は皆、その特殊な因子を持っていますが残念ながらその一定値に至っておらず、聖剣を扱えていない物だと
ですので私はここに進言致します。バラバラの小さな因子を一つにまとめる事ができれば、聖剣使いは量産可能だと』
バルパー・ガリレイ。
教会にいながら悪魔的なまでの残虐性を内面に秘めた狂人。
この当時はまだ教会のため、はては天使や聖書の神のために純粋に研究をしていた。
『良くやったバルパーよ。これで民の安全を守る事ができる』
『この計画このまま進めてもよろしいですかな?』
『もちろんだとも。この計画は以降【聖剣計画】と呼称しバルパー、お主に全権を委ねる。結果を着実に示せ』
『御意』
これから約二年後。
バルパーは気が狂ったのか因子を奪った子供達を虐殺し、暴走してしまった。
教会上層部もなぜこうなったのか理解出来ず、バルパーが記していた日記に何か原因があるのではないか?と解析するとある一文字が頻繁に出て来ているのが分かる。
【
これが一体何を示しているのかは一切不明ではあるが、このような愚行を犯したのはこれが原因だろうと決定づけられ、教会から禁書と指定される事になった。
だが、この時バルパーによって人生を全て狂わされた少年が居たのを教会は感知できていない。
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「先輩が何故そちら側にいるのかどうか聞くのは野暮だろう。だから聞かないが・・・これは決闘を売ってるって事で良いのか?」
興奮し息を荒らげながら自身の首元に振られている剣に触れながら確認を取る。
「決闘・・・僕は見た目通り西洋の生まれだ。決闘する気なら手袋を投げているさ」
「じゃあ決闘ではないんだな?」
「もちろん。これは僕のわがままさ・・・何せ僕は悪魔。僕の欲通りに生きて悪くはないだろ?」
思っていた事の斜め上の返答に笑いが込上げる。
リアス眷属を見回した時に一番楽しめそうだと思えたのは木場祐斗一人だけだ。
その理由は佇まいとでも言おうか。
リアス、朱乃、小猫、この三名は何かあった際の心構えをあまりしていない。多少はしているだろうが、音を超えて切りかかれば簡単に首を取れる。
しかし、一人の男は違う。
自然体が構えに近く、剣を持っていないのに首を掻き切られるような錯覚を一目見て受けてしまった。
これはライザーとのレーティング・ゲームで得た経験の一つ。カーラマインの自然体が構えを独自に習得した成果である。
他人の真似はすでに師匠でやっている。
その師匠以下のカーラマインならば出来ない通りがないと修練を重ね会得した。
一流の戦士として歴戦の修羅場を潜り抜けてきたゼノヴィアに死を錯覚させるのだから、もはやカーラマイン以上の完成度と言ってもおかしくはない。
だが、見た目からして騎士道に重んじるタイプで個人の感情では動かない人間だろうと残念に思っていたのだが、悪魔だと言う事を忘れていた。
欲に忠実に欲のままに動くのが悪魔。彼ももちろん例外なく欲のままに動き、決闘ではなく喧嘩を仕掛けたのだ。
「なぁイリナ、私からは喧嘩を売ってないし喧嘩をしないと誓ったさ。だが向こうから売ってきたのなら買ってもいいよな?」
「はぁ・・・言っても聞かないわよね。一応言うけど殺しちゃダメだからね」
まるでゼノヴィアが勝つのが当たり前のような言い方にリアスは苛立ちを覚えたが次の行動により、そんな感情は消え失せた。
「十分、それが私が許せる時間」
「十分・・・充分過ぎる時間だ──」
ゼノヴィアは巨大な大剣を担ぎあげ腰を捻りる。
当たり前だが聖剣とは言え素材は金属。それなりの重さはあり、大剣になると一般人なら持てない。
本来なら魔術なり魔法なりで身体強化をするのだが、ゼノヴィアは魔術や魔法は大の苦手で自前の筋力のみで持ち運んでいる。
さすがに戦闘まで自前とはいかず、渋々簡易式魔術刻印に聖剣の力を宿らせ起動させる。
それにより、ライダースーツのようにピッタリ身体に張り付くタイツが青白い光放ち、身体能力は通常時の三倍──音を置き去りにするには充分な身体能力を得る。
大剣がありながら速度がメインの祐斗の視線から外れ、真横に回り込んで
「なぁっ!!」
「くッッ゛」
剣の大振りではなくまさかの右足蹴りを繰り出す。
視線から消えた時点で剣による攻撃を想定し構えていた祐斗の予想を裏切る行動に、防御が僅かに遅れ速度重視の魔剣を蹴りぬき空いたボディーを抉る。
祐斗は中庭へと続く横スライド式の窓を砕いて中庭へと飛び出る。
「咄嗟に後ろに飛んで威力を消したか。だが、ダメージはゼロと言う訳でもないだろ?」
「がッぁ、蹴りなんて予想外な動きをするなんてね。おかげで防御が遅れたよ」
「戦場では常にそうだ。予想通りに物事が運んだ時は何者かの罠にハマっている。そう考えろと師匠に言われたよ・・・覚えておくといい」
ダメージが入り体制の整っていない祐斗を詰めればいいのに、わざとゆっくり歩いて中庭へと向かうのは剣士としてのプライドを傷つける行為に他ならない。
砕かれたガラスの破片を靴底で踏み砕き、中庭へと飛び降りる。
衝撃を逃がしたがそれでも骨が砕け、口に血が滲むが地面に吐き捨て体制を整える。
「君の聖剣の能力をこっちが知ってるのに、僕の能力を知らないのは不公平だから教えるよ。
「なるほど・・・情報はありがたいが、敵に塩を送るとは随分と余裕だな」
「そうかな?これで不公平は無くなったとおもうけど、まぁ塩を送ったの事実だよ。【トロイ】という名の塩をさ」
地面から急激に成長した剣が喉元を掻き切るように伸びる。
その数十本。
それぞれが干渉しないように四方八方から様々な形で獲物を狙っている。
屈むのも飛んで避けるのも得策ではないと一瞬で判断し、向かってくる十本の内二本を先に身体に突き刺して右に飛ぶ事で、大ダメージではなく軽傷ですませる。
人間は鉄の塊にぶつかっただけで死ぬほど上弱だ。
魔剣と魔剣同士のぶつかり合いなら祐斗の方が負けるが、人間の骨と魔剣なら祐斗が負ける筈がない。
肉を裂き骨を断つ。
腹部に二本の剣が突き刺さり鮮血の花を咲かせる。
太ももを滑り落ちる赤の液体は膝から土へ飛び降り、円を少しずつ広げていく。
痛みに耐えるため唇を強くかみ締め追撃を放つ斬撃を見射る。
(読まれた・・・けど、関係ないこれは初見殺し)
地上と水平に構えられた日本刀が禍々しいオーラを放つ。
剣の腹を斜めに構えていたのを文字通り撃つ瞬間、垂直にし光の反射などから一時的に刀身が消失。この時点で慌てて回避しようとも遅すぎる。
「消え──」
「偽・三段突きッッ!!」
さらにそれは回避不可能の同時三連突き。
向かってくる突きを地面スレスレにあった
同時三連突きの詳細は知らないが回避よりも防ぐ選択を取ったのは良案で、上へ弾くものレイピアとの戦闘経験による所が多い。
それが、ただの三連突きであればこれで完璧に防げている。あまつさえ大きな隙を生み出し追撃のチャンスすら貰える。
(なっ、馬鹿な何故そこにある!!)
「ハァァァァァッッッ!!」
上空へ弾いたはずの剣が何故か目先にある。
上へ弾いた影響で破壊の聖剣はまだ浮遊中、防御を取る事は明らかに不可能。
咄嗟の判断で剣から手を離し防御ではなく回避に専念する。
ふくらはぎの筋肉は隆起し爆発的なまでの加速を生み出し、祐斗に背を向け地面を蹴っただけで地面にヒビを入れる。
だが、その程度の速度木場祐斗にとって見ればもっと早い男を知っていた。
「ひとーーつ!」
とは言え飛ばれ続けても面倒なので最初に狙ったのは足。
骨にぶつかれば当たり前だが剣がかける可能性がある上に筋肉に挟まれ武器を奪われるかもしれない。
ならば、人間が生きる上で最も柔らかく鍛えても決して強度の上がらない弱点、骨と骨の狭間関節に細い刀は突き刺さる。
軟骨を砕き簡単に反対側の空気を割いて土に突き穿つ。
「あ゛っ──」
既に二本突き刺さった状態で関節を狙われた攻撃に声を抑えきれず漏れる。
短く苦痛に歪んだ声にリアスは顔を背け自分が受けたように感じる。
主が敏感に反応したがその騎士は止まらずそのままゼノヴィアの喉仏を狙う。
心臓や脳みそを穿てば死ぬのは確定するが、喉仏程度ならば悪魔流の応急手当で間に合うのでそこの部位を狙う。命までは取らないと言う優しさだ。
刀は何か硬い物に当たりそれを傷つけ外へ跳ねさせる。
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刀が切り裂いたのと同タイミングで外から見ている彼らはそれぞれ別々の反応を取る。
リアスは顔を背け、朱乃は応急措置の用意──
「あちゃーやっちゃったか」
ゼノヴィアの付き人のイリナはどこか他人事のように心配ではなく呆れたように声を出す。
その声を隣で偶然聞いていた小猫はなぜだか異様な感覚を感じ聞く。
「心配じゃないんですか?」
「心配か・・・そうだね確かに心配だよ。この任務は大丈夫なのかとか、老後はどうしようとか・・・けど、貴方が聞いてるのはそれじゃなくて
それを語る時の表情は信頼でも信用でもない。
ヒーローを英雄譚を見る一人の子供のようだった。
「負ける姿なんて想像出来ないわ」
その直後祐斗は突然軽くなった刀に違和感を覚え跳ねさせた刀の方を見る。そこにあったのは中間から先が何かに噛み砕かれたように消失した刀だ。
直ぐに気づく何が原因でこうなったのか。
「ちょうど良かった。失った
まるで舐め終わる前に噛んだキャンディーかの如くモグモグしていたのだ。
悪魔よりも悪魔じみた行動に目が見開き、徐々に近づいてくる彼女の顔の細部にまで目がいく。
「石頭だが許してくれ!!」
激しい頭突きを繰り出す。
短くまとめられた髪ですら乱れ、女性の尊厳よりも戦士としてのプライドを優先したゼノヴィアの強烈な頭を使った攻撃に目を回し沈む。
勝敗が決したタイミングで十分を告げるタイマーがイリナの右手から鳴り響く。
「あぁギリギリだったか、遊びすぎたな」
祐斗よりも大怪我をしているはずのゼノヴィアが何故か笑っている異常な状態で幕が降りる。