問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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2週間家に戻らないから、事前に投稿してたはずなのにできてなかった……乙


運命に定められた親友

 人前でおいそれと転移魔法陣を使えないので十五分かけていつもの道を戻る。

 流れる木々や車などの街並みは平和そのものである。

 この街が実は悪魔が支配していると知っている人間がどれだけ居るだろうか。しかし、それも一誠にとっては考えるべき事でない。

 今考えるべき事は

 

「確か賞味期限の近い肉があったな・・・キノコ類もそろそろか」

 

 今晩の献立である。

 昔とは違い常に大家族並みの料理をしなければいけない。特に大食い幼女がいるおかげで十人分相当を一気に作るので、かなりの苦労がある。

 テレビで取り上げれば「兵藤一誠の大家族」と一つの番組でもできてしまう。

 

 大変だと思いながらも苦痛だと思っておらず、他人と生活するのも悪くないと冷蔵庫の中身を思い出しながら献立を組み立てる。

 そうこうしてれば家の玄関まで一直線の歩道に出て考える時間が残り少ないのを告げる。

 

「ん?誰だアイツ」

 

 一直線という事もあり視界が良好で、向かってくる人離れていく人達を簡単に確認出来る。

 その中で一誠が首を傾げたのは一人の男が自宅の前に立っていた事だ。

 

 横顔なので顔だけで性別は判断できないが、黒の短髪に白のTシャツの上に紺色のジャケット、青白いジーパンと男らしいファッションから男だと判断する。

 ただ、手に持つ白く包に覆われた大きい箱は用途が一切不明だ。

 近所でも見たことの無い男で、余計にそこが怪しい。

 悪魔や堕天使と出会ってきた事を考えればそろそろ天使と出会ってもおかしくはない。もしかしたら、天使か?と内心テンションを上げて近づく。

 

「なぁアンタ、俺の家の前で何してんだ」

「あ、もしかしてここの住人かな?良かった・・・インターホンを押しても出てこないから無駄足かと思ったよ」

 

 少し殺気込めて声をかけてみるが相手の男は無反応だった。

 天使なのだとしたらこれに察知できないようではレイナーレ以下の楽しめそうにないレベルになってしまう。

 上がっていたテンションは途端に落ち、警戒を僅かに解く。それでも、敵の可能性があるので完全には油断しない。

 

「申し遅れた。隣の家に引っ越してきた、曹阿瞞(そうあまん)と言う者です。名の通り生まれは中国でして、日本の文化に興味がありましてこちらに参りました」

「へぇ中国人か・・・にしては日本語が上手いな?どこかで習ってたのか?」

「えぇ、仕事先に日本語を話す人が居ますので喋れないと支障がありますから」

 

 問答に対して特に何か不審点もなくただの普通の隣人のようだ。

 引っ越してきたと言うのであれば身近で見た事が無かったのにも納得が行く。

 ただ引っかかるのは【曹操】とある意味では同姓同名であると言う事だろうか。しかしそれも、中国にしてみれば故意に被らさせ恩恵を得ようとするので疑う事でもない。

 

「なるほどな。俺はここに住んでる兵藤一誠、自他共に認める問題児だがよろしく頼むぜ」

「よろしくお願いします」

 

 箱を脇で挟むようにして持ち替えて一誠の差し出した手を握る。

 手には僅かなマメが付いていて握った時の感触に違和感があるが、何らかの仕事柄付いてしまったのだろうと握り合う。

 

(このマメ棒状の何かか?中国と言ってたし棍棒とか大道芸の何らかだろうな)

 

 職業病のように曹の職業を軽く推測し数秒の後に離す。

 

「あっそうでした、そうでした」

 

 握り終わった直後に曹は何かを思い出したように脇に抱えていた箱を、両手で持ち直して一誠に差し出す。

 

「日本には確か引っ越しした際に隣人に蕎麦を渡すと聞きました。ですのでこちら引っ越し蕎麦です、どうぞお受け取りください」

「今の日本じゃこんな事やってる奴殆どいないぜ、確かにこう言った習慣はあるがな・・・その口だと忍や侍が居なくてショックを受けたろ」

「あははは、お恥ずかしい話ですがその通りです。忍者を見たかったのですが残念でした」

 

 箱のサイズからしてかなりの大容量の蕎麦の詰め合わせで、持った瞬間かなり重いのが分かった。

 これで今晩の決めかねていた献立が決まったなと隣人に感謝する。

 

「忍者村とか行ってみるといいぜ、本物は居ないがそこそこのもんが見れるからな」

 

 忍者より忍者の動きができる一誠では”演じている忍者”程度では本来驚くべき事ではなく、昔遊びに行った時も落胆した。

 一誠がダメでも外国人き勧めるには充分過ぎるので適当にお世辞を加えながらオススメしておく。

 

「ほほう・・・今度行ってみる事にしま──」

 

 

 ガシャガシャン!!

 

 一誠の家から出はなく曹の方の家から何やら食器の割れる音と怒声が響いてくる。

 

『ちょっ、何やってくれてんの!!』

『布切れ一枚に気を使いすぎだ、極論身体を隠せれば問題なかろう。それより酒だ酒、布より酒が大事に決まってろうが!』

『かぁぁーー!これだから単細胞バカは、この服は私のデザインして商品化した物なんですぅ。その酒も食べ物も買ってるのは私のこの稼ぎのお・か・げ。そんな事も分かってないなんてお可愛いこと

『よく言ったなビッチが!表出ろや!!』

『びびビッチ!!??こっちがブチ切れよ!!』

 

 ご近所に聞かれれば恥ずかしい限りの痴話喧嘩が開いた窓から漏れてくる。

 これにはクールに過ごしていた曹も頭を抑えながらため息を吐き出す。

 

「すまない、色々と迷惑をかけるよ」

「こっちも大所帯だしなお互い様だ」

 

 軽い別れの挨拶をしてから曹はかなり急ぎ足で玄関の扉を開け喧嘩の仲裁に向かう。

 どこかのスパイとかも考えていたが、それならこんな露骨なアホな真似はしないだろうと一般人であると確定させ、良き隣人として付き合うことを決める。

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 そんなこんなで新たな出会いがあったおかげで悩みの種が一つ消え、明かりが一つも付いていない家内へ鍵を開けて入っていく。

 入って直後に貰い物をキッチンに起きそこから風呂場へと足を進める。

 この家は設計の都合上手洗い場と浴槽が隣同士に隣接されていて、うがいや手洗いをするにはキッチンからまた玄関へと向かわねばならない。

 別にキッチンで手を洗ってもいいのだが、次いでにシャワーを浴びるのが日課なので分担するよりまとまってる方が選択肢として上位に来る。

 外で曹と会った時に言われたがインターホンを押しても人が現れず、今は誰も同居人は居ないという事だ。それな、誰かとバッティングする事はない。

 

 第二まで開けられたボタン全てを外し、筋肉の形をくっきりと出している上半身を隈無く見えるように脱ぎ、左手で丸めて持ち右手でドアを押し開ける。

 

「「ん?」」

 

 いつもなら木で出来た硬いまな板を押すような感覚があるはずなのに、この時ばかりはゼラチンやプリンなどの柔らかい丸みを帯びた何かが手のひらに収まる。

 手のひらの中央部には何か突起物もあり完璧な楕円とは違う。

 

 その手の感触の正体を確かめるため前を見るとそこには誰か知らない謎の青髪の女がいた。

 髪を雑に吹くタオルを握る手は女性と言うより男性のような肉付きで、足は女性の細さではなく男の格闘家のような力強さがある。

 それでいながら胸部の左側は握られ変形しているが、もう片方の方はリアスと同等に近いほど大きく、重力や物理法則に逆らうように立派な形を維持している。

 

「君はここの家主の兵藤一誠でいいのかな?」

「・・・あっぁ、そうだ。でこの乳の持ち主のアンタは誰だ?」

「ふむ、ゼノヴィア。教会の戦士として働く以上名はこれのみ、苗字もあるにはあるが教える意味もないだろ」

 

 胸を揉むては離れずそのまま揉み続ける。

 それでもゼノヴィアは顔色一つ変えず髪の水滴をタオルで適当に拭き取ろうとしている。

 

「おいおい女がそんな雑に髪を拭くな、ドライヤーはそこにあるだろ。同居人の中に女がいるから最近買ったはずだ」

「ドライヤー?・・・あの丸っこい機械の事か?私は機械にはからっきしでね、最たる理由はめんどくさいもあるのだが」

「ヤハハハハ!それ、よく分かるぜ。髪を乾かすのに一々ドライヤーを使うとか馬鹿らしいよな」

「その通りなんだよ、なのに同僚は分かってくれなくて・・・口うるさく言ってくるんだ」

「マジかよ、ここまで息が合うのは珍しいな。アンタとなら仲良くなれる気がするぜ・・・ゼノヴィア」

「こちらも同じ気持ちだ」

 

 ガシッと一誠は左手をゼノヴィアは右手を前に出し胸の前で固く手を繋ぐ。

 この時ですら胸から手を離しておらず逆に傍目から見たら二人の変人が絡んでいるようにしか見えない。

 男は上半身裸で胸を揉み、女は全裸で揉まれていない方の乳首はタオルで隠す程度で他は堂々と隠す素振りはない。

 言わずもがなだがこの二人はこの時が初対面なので決して顔見知りではない。

 

「ゼノヴィアはなんでここに居るんだ?鍵も閉まってたし不法侵入って訳じゃな無いだろ?」

「もちろん・・・君ほどの男にそんな失礼な真似はしないさ。リアス・グレモリーに話があったのだが、色々あって騎士と戦ってね。その影響で汚れたので一汗流していたんだ」

「騎士──祐斗か。へぇ・・・アイツが戦闘ね、何かわけアリか?」

「確か私の事を後輩と読んでいたよ。となると当てはまるの──」

 

 

 

「って何やってんのよ!この問題児達が!!」

 

 背後から強襲してきたのは二の腕に巻いていた紐をハリセンに変化させ、二人の頭部を強打する金髪ツインテ少女──紫藤イリナであった。

 

 

 

 

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