問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

33 / 39
なんかうまく書けないなぁもっとうまくかける才能が欲しい


問題児のいない日

 

 

 兵藤一誠が瀕死の重傷を負ってから二時間後。

 

 町の異変に気づいたソーナ達により救助され一誠の家にて集合している。

 

 

 

「リアス何があったの」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 あの泣き崩れた場所から強引に引きづって連れてきたが一向に喋ろうとしない。

 

 教会の戦士二人は応急手当程度の怪我で済んでいたが、四肢の骨が砕け血を大量に流した一誠は人間の医者に見せれば死亡と片付けられる重症だ。

 

 幸いな事に堕天使侵入以来、両家に【フェニックスの涙】が支給されていたのでその二つを使い傷を癒した。

 

 今では落ち着いた呼吸を取り戻し自室のベットに横になっているが、重症だった事もあってか意識が目覚めない。

 

 なのであの場で何があってどうしてあんなことになったのか聞きたいのだが、リアスは黙り続けた。

 

 

 

「リアス・・・・・・ふざけないで!なんで、なんでこんな事になったのよ!!」

 

 

 

 反応のない彼女に痺れを切らして激怒し怒鳴り声を上げ、胸ぐらを掴んで立ち上がる。

 

 いつもの彼女らしからぬ行動にソーナの眷属達は困惑の表情を浮かべる。

 

 このような展開になっても副生徒会長の真羅椿姫が仲裁に入るのだが、兵士(ポーン)の匙を連れ街に起きた異変について調べている。

 

 

 

「こんな事にならないために・・・もう二度と一誠が、傷つかないようにしたかったのに、なんで・・・答えなさいリアス!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「このッッ!!」

 

 

 

 パチ────ン!!

 

 

 

 手を開いて頬を強打する。殴られたリアスの頬には赤い椛が浮かび上がる。

 

 丁度と言えばいいのかこのタイミングで椿と匙が帰還する。

 

 

 

「何をやっているのソーナ!!」

 

「放しなさい椿!私はまだ」

 

「匙くん取り押さえるのを手伝って」

 

「え、ですが」

 

「早く!!」

 

 

 

 もう一発殴りそうなソーナを早急に取り押さえるがじゃじゃ馬のように暴れてくれるので、椿は弾かれそうになり近くにいた匙に救援を求める。話の流れについていけない匙はとりあえずは椿の指示に従い取り押さえるのに協力する。

 

 それから数十分は落ち着かずこの問答が続く事になる。

 

 

 

 ようやく冷静さを取り戻しソーナはソファーに腰を下ろして頭を抱える。

 

 

 

「ごめんさいどうかしてたわ」

 

「あの勢いだとリアス様を殺すところでしたよ。確かにソーナが怒る理由も分かりますが、その分彼女も傷ついているのです」

 

「そうよね・・・今こそ落ち着かないと」

 

 

 

 深い深呼吸をして気持ちを切り替える。

 

 手を離されたリアスはまたソファーに自然落下し俯いたまま呼吸だけを行う。

 

 

 

「それで結界の詳細ですが、堕天使がよく使う人払いの物に近いようです。しかし、仕組みは別物でした」

 

「別物?確かにここまで巨大な結界はそうそう見れないどころか、維持するのすら無理に近いと思うのだけれど」

 

「えぇ、アレを体験するまではそうでした。結界から外に出ようと通ってみても、使い魔を通らせようとしても、紙だけを通そうとしてみても・・・出来うる限りの通信手段を試しましたがどれも反応なし。完全に駒王町に隔離され出られません」

 

 

 

 商店街の出来事から数分も経たずに駒王町をぐるりと囲む結界が出現した。

 

 町の管理者の補佐として生徒会を運営し町の安全の維持に関わるソーナはそれに気づくとリアスに連絡をとった。何度通信を行っても反応がないので一大事と判断し、限定的に管理者代理として事の収集に当たる。

 

 その一つが結界の詳細。これは椿と匙の二人に任せる。

 

 

 

 二つ目がどれ程の被害があったのか。

 

 これは結界内に誰がどれだけ居るのか怪我人の有無はなど町の維持をするために必要な事だ。これには眷属で当たるより使い魔による空からの情報を元にすることで解決するため、今現在も駒王町の上空を飛び交っている。

 

 あと三十分もすれば被害が判明するだろう。

 

 焦って行動して無駄な二次災害を出すのは得策でない。そのため使い魔からの情報が来るまでは待機する他ない。

 

 

 

 三つ目が原因。

 

 これは堕天使の幹部コカビエルとその一味が関わっているのは判明しているのだが、結界が張られた直後に駒王学園にて謎の術式が起動し始め何かが行われている。こちらは──

 

 

 

「すまない確認に手間を取った」

 

「構いません。怪我人の貴方に無理やり調べさせたのですから」

 

「そう言ってくれると助かる」

 

 

 

 まともな医療器具や治療術がないので全身のかすり傷に包帯を巻きながら二階から一階へと下ってくる。

 

 左目の近くの前髪を全て上へ包帯で巻き上げ顔の横を何周かさせつつゼノヴィアは判明した詳細を説明する。

 

 

 

「あの術式だが根幹は錬金術だ。それも至って簡単な結合のな」

 

「それなら私にも分かるはずですが、アレはそんな簡単な物では無いと感じましたが?」

 

「だろうね。下手に知識があればあの複雑と言うより適当な術式が意味不明な物に見えてしまうさ。錬金術に魔法、魔術、ルーン、陰陽術、上げればキリがない。はっきり言ってデタラメのチグハグで起動してる理由はさっぱり。それでも効果までなら分かる。

 

 聖剣の結合だな。フリードがあの場にて私達の命でなく聖剣の回収を優先した。それにより聖剣は六本手元にある事になる。最後の一本は生憎と行方不明で所在は掴めないとなれば、六本で完成へ漕ぎ着ける方が優先だろ」

 

 

 

 ゼノヴィアが告げたのは想定する上で最悪な情報だった。

 

 聖剣が完成すれば悪魔であるソーナやリアス達は簡単に屠られる。それを防ぐための戦力も最大戦力の一誠はダウンな上に、リアス達超火力も動けそうにない。

 

 ソーナが自分達だけで現状を変えられるほど楽観しするはずもない。

 

 

 

「ふぅ・・・・・・完成までの時間はどれぐらい?」

 

「今日の日付が変わる時と同じだ」

 

「あと四時間程度」

 

 

 

 残された時間はあと僅かでありながら準備は不完全ときた。今すぐ投げ出したいそんな気持ちになる。

 

 

 

「この後は」

 

「もちろんイリナと私は戦う。あいつに事の真意を聞かねばならないからね」

 

「そう、なら二時間後またここに来てくれる?作戦を立てる事になるから」

 

「了解した。流石に休ませてもらうよ」

 

 

 

 ボロボロの肉体を無理やり動かしまた二階へ戻っていく。

 

 この場では最も脆弱で短い寿命の人間が無理をする姿はどこか可哀想にも見えた。

 

 

 

 

 

 それから数刻後使い魔から回ってきた駒王町の惨状について考えを纏めている。

 

 約二万四○○○人程が集合し町と化した駒王町は、その三分の一程度が人外でさらもう三分の一がそのような裏事情に精通している人物達。そこから残った約七○○○人程がなんら関係ない一般人。

 

 血なまぐさい裏の事情を知らず、安全に安心して暮らしている人達だ。

 

 そのため日常的に魔法や魔術などで不安を煽るような行為をしないよう禁止事項とし、悪魔などの人外が関わる事自体隠匿されるべき物となっている。

 

 現に壊れた公園などはガス管の爆発と発表し早急に修理している。

 

 

 

 だが、攻めてくる言わば侵略者はそんな事お構い無しである。

 

 残されたのは約一万人。

 

 一般人、人外、裏に精通している人。この全ての合計である。

 

 結界と言う一般人からしたらフィクションのような自体に阿鼻叫喚となっていた。

 

 泣き叫び天に許しを乞う。家族全員で手を繋いで「大丈夫」と言い合う。結界に体当たりをして壊そうとする。

 

 駒王町の公民館に避難の指示を飛ばし避難させてはいるが、後の状況説明などは正に地獄のような事になるだろう。

 

 

 

「──避難誘導に人員を割いて護衛にも・・・・・・戦力がまるでない」

 

 

 

 リアスが動かないせいで全ての総指揮を取るソーナは頭を悩ませながら今後の事を考える。

 

 敵の堕天使は聖書に名を連ねる幹部コカビエル。並の戦力では足らない。

 

 

 

「コカビエルならば後でくる援軍で余裕だ」

 

「それはホント?」

 

「勿論だとも・・・そうだなイリナと私が束になっても勝てない。直に手合わせをしてないから分からないが、一誠と同程度の戦力だとでも思ってくれ」

 

「それは喜ばしいわね」

 

 

 

 政治の荒波に揉まれていたソーナだから分かるが、相手(ゼノヴィア)が嘘をついていない。

 

 あの戦闘力を直接見てないから言えたのかとも思えたが、教会の戦士として名を轟かせる彼女が強さを見間違えるとは思えなかった。

 

 今はその言葉に納得するとして問題は、

 

 

 

「その援軍は何時来れるの?」

 

「そればっかしはな・・・スマホが苦手らしく持ち歩いていないからこちらから連絡は取れない。決戦が終わった後に来る可能性もある」

 

「・・・だったら私達全員死んでるのよ。となると頭数に入れて計算するのは危険か」

 

 

 

 貴重な強力な戦力ではあるが合流出来ないのであれば無いも同然。

 

 無い戦力を含めて勝とうなどと言えるほど甘い相手ではない。

 

 

 

「椿は町民達の安全を守る事、現場の指揮権を譲渡する」

 

「はいわかりました」

 

「匙はこっちで、ゼノヴィアさんにイリナさん・・・そして」

 

「私ですわね」

 

 

 

 唯一戦力として動けるのは姫島朱乃ただ一人であった。

 

 

 

「言うまでもないけど戦場に行けば守る事なんてできない。彼の事が心配でなんて言い訳は聞かないけどいいのね」

 

「えぇ、私は二人に較べて軽傷ですわ。確かにリアスや小猫ちゃんと同じく好きだと思ってます。けど、大切な大好きな人が死ぬ気持ち(・・・)は既に味わってますので、切り替える事は簡単ですわ」

 

 

 

 ──それは切替ではなく壊れている。

 

 そんな返ししかできそうにないので言葉を飲み込む。

 

 

 

「これでも足りない・・・やはりリアスに来てもらいましょう」

 

「だがあんな状態だぞ?」

 

「うーーんあまり気乗りはしないわね。あそこまで落ち込んでいる人?悪魔?を戦いに駆り出すなんて」

 

「ですが四の五の言えるほど無駄な戦力はありません・・・私達は先に向かいます。できれば連れてきてください」

 

 

 

 リアスの傍に最も居て、最初の眷属の姫島朱乃にあとの事を任せ他のメンバー四人は立ち上がり家から出ていく。

 

 

 

 二人残され朱乃はゆっくりとリアスの前に向かう。

 

 

 

 リアスは相変わらずの無反応だ。

 

 親友のソーナが何をしても目覚めなかったのにただの友人で眷属の私に何が出来るのだろうかと、疑問視しながらリアスを見つめ、

 

 

 

「こんな事で諦めるの?一誠くんに問い詰められた時言いましたわよね、サーゼクス様よりも強くなると・・・あの時の意気込みは嘘だったの?」

 

 

 

 ──・・・・・・

 

 

 

「・・・何か言いなさい!!」

 

 

 

 無反応の彼女の頬を叩く。

 

 当たり前だが防御の姿勢など無く簡単に頭は横を向き、頬には椛の形で赤く膨れる。

 

 そこから胸ぐらを掴んで椅子からすくい上げ視線を無理やり合わせる。

 

 

 

「私の知ってるリアスはどんなピンチでも諦めない。皆を助けると息巻いて無茶をする。夢を必死に追いかけて夢中になって死ぬ気でもがく。そんな貴方に私達は救われた。

 

 小猫ちゃんは姉に捨てられ凶悪な力がある。

 

 祐斗くんは教会に実験体と弄られ家族を親友を失った。

 

 ギャスパーくんはハーフと蔑まれ種族から勘当された。

 

 私は母を失い住むべき家を失った。

 

 

 

 皆絶望し生きることさえ諦めた。けどそれを救い上げたのがリアス・・・貴方なのよ。

 

 生きる希望を与え、夢を見せ、抗う力をくれた。そんな貴方がこんな事でどうするの!!」

 

 

 

 心から沸きあがる言葉は全て本心だ。

 

 絶望の縁から救われまともに今を生きる。その道を示したのリアス本人。

 

 もしリアスが居なければ全員が自殺や悪人になる道しか無かっただろう。そんな世の中のはぐれ者を集めたのがリアス眷属。

 

 サーゼクスとその力を比べられ卑下されてきたリアスだからこそ、弱者に寄り添い支え一緒に歩む選択をできた。それがリアスの自己満足であっても救われたのは事実なのだ。

 

 その魂の訴えは儚くも届かない。

 

 

 

「そう・・・なら仕方ないわね。私は行くわよ、これ以上待たせられない」

 

 

 

 ここまでしてダメならもう無理だと諦め手を離した。

 

 ソファーに自然に落下し数度バウンドする。

 

 

 

 少し悲しげな表情を見せてから横を通って背後に周り玄関へ向かう扉へ手を伸ばす。

 

 

 

「なんで行けるの」

 

 

 

 背後から待ち望んだ主の声が聞こえる。

 

 

 

「あの一誠ですら負けた・・・それなのになんで」

 

「昔の貴方ならそんな事考えなかったはずよ。勝ち負けを考えるのでなく、動くか動けないかそれが重要だったわ」

 

「それでもよ!この異変にお兄様が気づかないわけがない!時間が経てば助かる・・・なのに・・・なんで・・・なんで・・・・・・」

 

 

 

 朱乃の問はリアスの止まった心を動かし始めた。

 

 親友でもなく、友人でもなく、知人でもない。救われた眷属だからこそできたことだ。

 

 

 

 動き始めたリアスの方を向き直り首を横に振る。

 

 

 

「本当は気づいてるわ」

 

「・・・話は聞いてた。無実の町民達の多くが残され命の危険があるって・・・分かってる。私は駒王町の支配者として町民を守らなきゃ行けない。そんな事分かってるの」

 

「リアス背負いすぎなのよ・・・私は貴方の眷属──だから重荷を半分私が背負う」

 

 

 

 今にも崩れそうなリアスを抱きしめ優しく耳元で囁く。

 

 支配者としてしっかりせねば、主として見本となるようにしなければ──そんな重荷が度重なるプレッシャーとなってリアスを押し潰そうとしていた。

 

 その重荷の半分を朱乃は受け持つ。

 

 果てしない重圧。弱みを見せれば飲み込まれる暗黒。一度背負えば逃げる事など簡単にできない。それを理解しながら笑って背負った。

 

 

 

 ──もっと頼れば良かったんだ

 

 

 

 初めて軽くなった重荷の事を考えながら眷属の四人の大切さについて気づいた。

 

 自然と目から水が流れる。

 

 感謝なのか解放の嬉しさなのか、はたまた両方なのか。本人でも分からないが一つだけ、前に進むべき足は軽くなった事には気づく。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。