時間が流れるのは早いですね…更新再開してもいいですか?
彼女は言った。一誠に力を託した者だと。
一誠本人が語るには現状の力があっても届くかどうかは掛けである。もし出会ったなら即逃げろ。
戦闘を好む一誠が撤退を進言するほど恐ろしい相手であるらしい。
「勝手にひどい噂を流しているのですね、親心の私としては悲しいばかりです」
心を読んだのか声に出してもいないはずの事に対して返事が返って来る。
警戒心が格段に上がる。
心を読むというのは戦闘において必ず先行を取れるという事と同義であり、攻撃をする側は読まれる事を前提に避けきれない軌道で攻撃をしなければいけない。かなりのアクロバティック差を求められる。
武器を封じられ素手しかない現状では速度で撹乱できても倒しきるのは不可能に近い。
「貴方も貴方です。せっかく数少ないチャンスが巡ってきたのに手放す気ですか?」
「チャンス・・・?」
「えぇそうです、本来であれば適合者は貴方以外にもう一人居たのですが、残念ながら敵の手に落ちているようなのでこの力を渡すわけには行きません。何故ならこれは世界を救うために必要な力なのですから」
【原典】を手に入れた物は軒並みこう呼ばれる【英雄】と。
英雄それには興味が無い。が、ある一つの点に関しては興味が湧く。
ただの人間。神器を使わずに悪魔等の人外を上回る耐久性と身体能力。既に成長が頭打ちの現状で手に入れれば革新的に変化をもたらしてくれる。
チャンスと言ったとこと先程の発言から手に入れる事ができるとなれば余計に喉から手が出るほど欲する。
力が欲しい、他人の生殺与奪権を握れる程の強力な力を。自分で絶対的に運命を決められる力を。
「僕で良いんですか・・・」
「はい、資格はあると思ってください」
「資格はある?くれる訳ではないのですか?」
「これに関しては言質を取らないとダメです。何せ英雄の呪いを課すことになるのです、自分の意思で選択しなければいけませんので。それと──」
少女はベットの手すりを擦りながら回り込み窓の枠に背中を預ける。
「原典とは人間が英雄になるための力です。そう、人間用と言い換えてもいいです。元人間であるとは言え貴方は現在は悪魔。人間に害をなし恐れられる存在。英雄の力を受け止めきれるのかそこが私でも分からない」
英雄とは存在を語れば【聖】に近く教会の聖人と呼ばれる存在の上位互換版だと考えればいい。
聖と魔は絶対に交わることはなく、最悪体内で反発反応で爆裂し死ぬかもしれない。力を手に入れる前段階で死ぬ可能性があると言っていた。
「それに力を得る代償をいただきます」
「代償?」
「・・・・・・貴方の存在の一部、分かりやすくいえば生きる目的ですかね。貴方で言うところの復讐と呼ばれる感情」
「ッッ──」
少女は少し俯きながら言葉をこぼす。
これに関しては彼女は申し訳なく思っていた。
「人間は神が生み出した最前の生命。生命の行き着く際と言っても構いません。数字で例えるなら一○○。これ以上容量は増えず、減りません。
神器を生まれつき手に入れてる者はこの一○○に合うように自然と調整されているのです。ここに、神器に等しい容量の【原典】を入れれば溢れるのは必然。なので容量の大部分を占める目的を抜いて空いた穴に入れます。悪影響として性格が真逆になったり変化する事があるようです」
この時の祐斗は知らなかったがそれこそがイリナが感じた違和感の正体であった。
性格がまるで違う。そんなのは当たり前だ生きる目的を奪われたのだから、前の人格と違う人生を歩むことになるのだから。
当時の一誠が捨てたのは親の記憶。消えても違和感がないように完全に帳尻が合うように修正されていて、両親がいないことを不自然に思っていなかったのはそれ故だ。
そうなると木場祐斗──イザイヤが生きている意味とは教会の負の遺産だ。
皆に背を押され生き延びて復讐を誓い悪魔に転生し力を求め続けた。家族のように接してくれるリアス・グレモリーであっても所詮は似たような物。
家族に売られ物心着いた頃からいたのは教会の皆だ。
彼ら全員が本物の家族と言ってもいい。
力を得る代償に消えてしまうにはあまりにも大きすぎる代償だ。
「ぁ・・・・・・」
頭を押え必死に思考をめぐらせ続けていた。それは今やめれば必ず後悔すると警鐘が鳴っている。
人生において大きなターニングポイント。
過去を捨てるか未来を捨てるか・・・究極の二択である。
「私は待ちます。貴方の返答を」
考えに考え導き出した答えを告げるのはグラウンドにて行われている戦闘が悪化してからだった。
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駒王学園の裏口にて生徒達の影がある。
生徒会長にして悪魔のシトリー家の一人【ソーナ・シトリー】その兵にして、ポテンシャルは最高峰の【匙元士郎】
教会の狂犬こと【ゼノヴィア】と飼い主【紫藤イリナ】
駒王町の支配者【リアス・グレモリー】に信頼が厚い【姫島朱乃】
合計六人からなる現最高戦力である。
「もうここまできたら泣き言は言えない・・・今更引き返すなんてのも無しよリアス」
「問題ないわ。これ以上無様なさまを見せるつもりは無い」
「それでは作業分担を」
目下の敵はコカビエルとフリード。
正直厄介さで言えばコカビエルよりフリードの方が上なのが共通認識である。
この場の六人が協力しても一誠に及ぶかどうかは微妙ではあるのに、軽くあしらったフリードを抑えなければいけないのだから無理難題すぎる。
「私とイリナでフリードを抑えさせてくれ。あの時の意趣返しをさせて欲しい」
「作戦はあるの?」
「ない!!」
「できればサポートを一人欲しいんですけど・・・」
脳筋バカのゼノヴィアに比べ冷静なイリナある程度役割分担を理解し恐る恐る発言していた。
三つの部隊に別れる必要がある。
コカビエル、フリードを抑えるので各二部隊。人手を迎えに行く一部隊。系三部隊編成で挑む事になっている。
人手を迎えに行くのは一人で良いとして、この土壇場で突然あったばかりのそれも敵に背中を預けて戦えと言うのはあまりにも不条理だ。
前線で戦うならばやはり同郷の者の方が安心できる。
しかし、それでは前回と同じで脳筋のバカゼノヴィアが猪突猛進し同じ結果になりかねない。それ故のサポート役が必要だ。
「ふむ・・・」
「消去法ならソーナの所の
作戦立案のソーナが分担について考えていると口を挟んだのはリアスだった。
「ソーナと私が抜けるのは戦力ダウンが大きいから迎えには回れない。朱乃はサポートよりも火力重視のアタッカーの面が大きいのよ。はっきり言って足並みを崩す可能性しかないの・・・だからソーナの所になるんだけどいいかしら?」
リアスの理論はかなり理屈が通っていて匙の能力を知らないのならばそういう結論に至るのは必然だったろう。
ソーナも解説が終わる頃には同じ結論に行き着きそれを承諾する。
これで作業分担は終わり突撃をする事になる。
六人が互いに頷き合い状況開始しようとした途端激しい爆発音と共に天井が割れ、無数の光の槍が降り注ぐ。