問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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色々設定が公開される重要な回を投稿し忘れるなんて……



兵藤一誠を狙うもの

 

 冥界のグレモリー家の屋敷。

 

 時刻は人間界と流れる速度が違うので正確ではないが、一誠達が堕天使を倒してから数時間後である。

 

 

 

 そんなとある一室。部屋全体に防音と盗聴阻止の結界が張り巡らされていて、薄暗いランプの明かりに照らされている二人の男女が居た。

 

 

 

 

 

「と、これが今回の事の全容です」

 

「ありがとうグレイフィア助かったよ」

 

 

 

 メイドの格好をした女性から受け渡された資料に目を通し、細部の情報を伝えられた優男は感謝の言葉をかけた。

 

 優男はリアスと同じの真紅の髪を持ち冥界では四大魔王の一人にして、リアスの兄──サーゼクス・ルシファー旧姓サーゼクス・グレモリーが椅子に座っている。

 

 その前で資料と詳細な情報を伝えたのはサーゼクスの眷属にして妻であるグレイフィア・ルキフグス。七二柱にはいない、番外の悪魔(エキストラ・デーモン)の出でありその実力は冥界屈指。

 

 

 

 そんな二人が密会のようにこそこそしているのにも理由があった。

 

 

 

 今回の人間界でのリアス達の戦闘だ。

 

 確かに侵入して暴れたのは堕天使である。だが、その全員を殺した上に「殺りました」との事後報告。いくら魔王の妹と言えどお咎めなしとはいかない。

 

 それにこんな事を上層部の古い思想の悪魔達の耳に先に入れば何を言われるかわかったものでは無い。

 

 だから、穏便にそして的確な処置を早急にしなければいけなかったのだ。

 

 

 

 就寝の寸前に入ったこの情報に眠気も吹き飛び目元を抑えながら手元の紙に今回の罰を記入していく。

 

 

 

 

 

「ふ・・・こんな物かな」

 

「それではそれをリアス様達に?」

 

「まぁそうなるね。謹慎一月とリアスの管理者としての権力を半分にして、残りをソーナ君に・・・ただ、ソーナ君が使えるのは非常時のみの制約付き。これで問題は無いと思うけどどうかな?」

 

「問題はないと思いますよ」

 

 

 

 見るまでもないと人目も確認せずに肯定した。

 

 それは適当なのではなく自分の愛する夫の事を信じているからこそ確認をしないのだ。

 

 

 

 

 

「ならリアスはそれでいいとして、問題は人間の彼だね」

 

 

 

 そう今回の事件には悪魔と堕天使──人間が混ざっていたのだ。

 

 

 

 神器(セイクリッド・ギア)所持者であるかは定かではないがその力の異常性は聞いただけでも唖然とした。

 

 

 

 人間の拳で堕天使の剣を砕いた。

 

 悪魔の目ですら追えない速度で、人間なら動いただけで死ぬ速度で動いた。

 

 人間の身体能力では明らかにおかしい動きをした。

 

 

 

 聞いただけでは人間なのかと疑いたくなる事ばかり、見間違いだと見直してもそれは覆らなかった。あまつさえ

 

 

 

 

 

「祖先、先祖かなり遡って調べましたが純粋な人間です。どこかで人外が混じった形成はありませんでした」

 

「正真正銘の人間・・・そんな彼がなんで・・・他におかしい点は?特に彼に関すること」

 

「これと言って・・・強いて言うならば幼少期に両親が亡くなり、その後に引き取った先で悪事を暴いて多額の金銭を得ていた事ぐらいかと」

 

「え?今なんて」

 

「ですから──」

 

 

 

 兵藤一誠が歳にして六歳の頃。彼は外国に出かけた先でテロに巻き込まれ両親を失っていた。

 

 血縁者は皆引き取りを拒否して児童養護施設に行くことになるのだが、里親となった六家族に七つの施設。その全ての悪事を一人で暴き多額の金銭を手に入れていたのだ。

 

 

 

 悪魔などの人外の観点から見ればおかしいとすら思わない出来事。

 

 しかし、それを人間に置き換えれば異常の二文字がつく。

 

 

 

 六歳となればまだまだ親離れできていない時期。それこそ両親が死んだとなればショックで塞ぎ込んでいてもおかしくない。

 

 だと言うのに彼は逆に伸び伸びとその異端性を顕にしていた。それこそ両親の事など忘れている(・・・・・)かのように。

 

 

 

 

 

「一誠くんの運動神経や身体能力が異常になったのは」

 

「同時期です。このデータも曖昧ではありますが、帰国してから数日も経たずに上がった物かと」

 

「なるほど・・・ありがとう。まだ情報が少ないな、兵藤一誠くんについて情報をより集める事、後リアス達にこの事は伝えておいてくれ」

 

「かしこまりました。それではこれで」

 

 

 

 グレイフィアの姿は霧のように一瞬で消え残滓だけが僅かに存在していた事の証明をする。

 

 

 

 一人自室に残されたサーゼクスは兵藤一誠の資料を片手に今一度情報を整理しその力について考える。

 

 

 

 

 

(情報によると魔力や仙術ましてや神器ですらないと・・・それでいてこの異様なまでの身体能力・・・・・・)

 

 

 

 バラバラのピースを一つずつはめていく。

 

 状況証拠や主観的意見など確実性が乏しい情報なども混じっているが、それ全てを含めて整理していく。

 

 

 

 五分間その事を考え続け一つの答えにたどり着いた。

 

 

 

 

 

「もうそれしか考えられないか・・・”原典

保持者”といことか」

 

 

 

 ”原典保持者”その名を知るのはこの世に数少ない。

 

 この世の創造主たる聖書の神は知っているだろうが、その手下の天使や堕天使はまず知らない上にそれは悪魔にも言える。

 

 サーゼクス以外知らないだろ。例え知っていたとしてもその意味の本質を理解できている者はいない。

 

 

 

 それは各時代に存在していた。

 

 

 

 世界が滅び消滅を決められた時。近年で言えばノストラダムスの大予言だろうか。

 

 世界を改革する”英雄”と呼ばれる存在達。その”英雄”に選ばれたものはその存在(自我)すら変えゆる強大な”原典”と呼ばれる力を手にする。

 

 

 

 ある者は一国の王として”原典(聖剣)”を掲げた。

 

 ある者は市民の力となるため”原典”を元に神の啓示を聞いた。

 

 ある者は”原典”を使い最悪の邪龍を討伐した。

 

 

 

 全てが歴史の転換期。もし彼らがいなければ地球はまた別の運命を辿っていたであろうとすら言える。

 

 人間の身でありながら地球の全人類の未来を決定する力を持った者達こそが”原典候補者”だ。

 

 

 

 

 

「だからこそ一時代に一人・・・多くて二人のはず。なのに今回は三人・・・・・・これはかなりの災厄が近い事を暗示している?だとしたら二人の”英雄”ですら不可能という事、これ以上増えるようならばこの世の存亡にすら関わるっか」

 

 

 

 現状、サーゼクスが把握している”原典保持者”は二名だった。

 

 そこへ異端(イレギュラー)な三人目が出現。これは由々しき事態であり、大きな厄災を暗示しているようにすら思えてしまう。

 

 

 

 

 

「これは急がないといけないみたいだね。三種族だけじゃない、この世の全種族が結集しなければ解決できない厄災がすぐそこに・・・」

 

 

 

 

 

 夜空を彩る星を眺めながら願望にもにた夢を零した。

 

 

 

 他の悪魔が知れば笑うだろ「そんな絵空事」と、だが笑われたとしてもこれはなさなければならない。

 

 すでに事前準備は出来ている。まずは三種族が結束し団結力を見せることで他の種族を招き入れる。

 

 しかし、それをするにはまだ時間が足りない。根回しが足りない、交渉の材料がない。まだ、時期早々なのだ・・・だから今はまだ待つ。いずれ来るその時のために待ち続けるしか”英雄”になれなかった彼はする事が無かった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 とある悪魔の豪邸。

 

 広大な庭には噴水や植木が見事なハーモニー生み出していて、見る者の心を奪う作品ばかり。そこに焦点を当てればグレモリー家よりも美しい。

 

 もちろん本殿も凄まじく豪華だ。

 

 大きな大理石の柱や壁、幾重に防御魔法が施され滅多な事があっても破壊できない壁画など、歴史的価値の高いものばかりが並べられている。

 

 その一角、一際大きな白亜色のドアの中、歴史的古文書や莫大な知識が詰まった魔導書。そんな代物が所狭しと詰められている本棚の中央に男がいた。

 

 

 

 今回の事件の一部始終を見ていた金髪の男。

 

 前髪をかきあげてその様子を眺めながらワインを一口飲む。

 

 

 

 

 

「兵藤一誠か・・・人間にしては楽しめそうだな」

 

 

 

 視線の先にあるのは一人の人間。

 

 悪魔であれば一瞬の時しか生きぬ人間。

 

 それでも注目に値すると男は見続け名前を何度も呟く。それこそ恋する乙女のような表情だ。

 

 

 

 だが、その浮かべる笑みの意味を知れば驚愕する事になる。

 

 

 

 

 

「あぁぁ・・・お前なら俺を楽しませられるのか?」

 

 

 

 男は暇潰しだと指を一本一本をナイフで弾き飛ばす。

 

 断面から鮮血が舞踊り、飛ぶ指は回転しながら机の上でブリッジをしている。

 

 

 

 正気の沙汰とすら思えない行動。それはライザーにとっては日常的な事だった。

 

 

 

 天気がいいから切り落とす。

 

 朝食が美味かったから切り落とす。

 

 服が上手く切れたから切り落とす。

 

 いい珈琲を手に入れたから切り落とす。

 

 新たな本を入手したから切り落とす。

 

 

 

 なぜならどうせ回復してしまうから。

 

 

 

 

 

 ──切られた指は即座に灰へ、液体を垂らす断面には炎が灯り肉を再生させる。

 

 それこそが男の特権。死ねない不死の呪い。悪魔の中でもトップクラスで危険で恐ろしいとされているフェニックス家の能力だ。

 

 

 

 そんな男は面白みのある男、兵藤一誠を見つけた事で戦いたい欲求が高まる。されど戦うことは許されないだろう。もし、そんなワガママが通るならば暇など起きないはずなのだから。

 

 

 

 

 

「そうだ確かリアスと関わりがあったな・・・それならば、ククハハハハハ!!そうだアイツを使おうそうすれば殺り合える!」

 

 

 

 どうか自分を殺してくれる存在であるようにと希望的観測を込めてを動くことを決意した。

 

 男は止まらない笑いをそのままに自身の眷属を呼んで動き出した。

 

 

 

 兵藤一誠と殺り合うために──不死の悪魔は動いてしまうのだった。

 

 

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