比企谷八幡のあり得ない六花生活   作:生焼け肉

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わらしべ長者

八幡side

 

 

シルヴィア「それで?何か言いたいことはありますか?八幡くん?」

 

八幡「本当に申し訳ございませんでした。」(ドゲザ)

 

 

開幕早々俺の彼女の前で正座をして即土下座をしている比企谷八幡だ。何があったのかというと、俺が冷蔵庫の中にあったデザートがあったのだが、それがシルヴィのとっておいた物とは知らずに食べてしまったのだ。

 

今その事実を知らされて、土下座をして謝っている次第だ。これに関しては完全に俺が悪いから弁明も何もない。謝って許してもらうことしか出来ない。

 

 

シルヴィア「……うん、八幡くんだけが悪いわけじゃないからね。言っておかなかった私も悪いから、今回は不問とします。」

 

八幡「ありがとうございます。けど、アレどうしたんだ?六花の中でも有名な洋菓子だろ?手に入るのに苦労するって噂だが………」

 

シルヴィア「うん。この前商業エリアを散歩している時にね、私のファンの人が偶々通りかかってそれをくれたの。」

 

八幡「……凄いことをするな、その人。」

 

シルヴィア「というわけで八幡くん。明日はそのお菓子を買いにデートに行きましょう♪」

 

八幡「俺は断れる立場にないから喜んでお供しよう。それに今回の責任もある。そのお菓子の代金は俺が払ってもいいか?」

 

シルヴィア「……八幡くんがそうしたいのならいいけど、そこまで責任感じなくてもいいんだよ?」

 

八幡「これも性分だからな、分かってくれ。」

 

 

こうして俺とシルヴィアは明日のデートに、その有名洋菓子店のスイーツを買う為に明日のスケジュールを組むのであった。

 

 

ーーー翌日ーーー

 

 

シルヴィア「うわぁ……開店30分前なのに、結構人並んでるね〜!流石は六花でも人気で有名な洋菓子店なだけはあるね。」

 

八幡「あ、あぁ。まさかここまでとはな……」

 

 

見た感じ、10〜15mくらいの長蛇だった。奥様やマダム、子連れの親子やパシリ?にされたお父さんだったりと、色んな人が並んでいた。

 

 

シルヴィア「私たちも並ぼっか。」

 

八幡「あぁ、そうだな。」

 

 

俺たちも列の後ろに並んで開店を待つ。しかしながら俺とシルヴィアは一応星武祭の優勝者、しかもシルヴィアはそれに加えて世界一のアイドルでもある。注目されてしまうのは自然の理だった。

 

だが当の本人のシルヴィはそうとは知らずに、気分良さそうに鼻歌を歌いながら俺の手を握っている。

 

 

ーーー30分後ーーー

 

 

店員「おはようございます〜!ただいまより開店します!当店人気のスイーツはお1人様2つとさせて頂いております!取り過ぎないよう、ご協力お願いします!」

 

シルヴィア「2つだって。大丈夫かなぁ?」

 

八幡「材料があるなら大丈夫だろうが、開店30分で売り切れなんだろ?残ってて欲しいよな。」

 

 

その後、シルヴィアと八幡が店内に入り、お目当のスイーツを探していたところ、まだ残っていたので迷わず購入した。

 

そして店長からはサインを要求されたのだった。

 

 

ーーーベンチーーー

 

 

シルヴィア「えへへぇ〜♪」

 

八幡「良かったな、まだ残ってて。」

 

シルヴィア「うん♪じゃあ八幡くん、デートに……あれ、あの子どうしたんだろう?」

 

八幡「……泣いてるな。しかもさっきの店だ。」

 

 

……なんとなく予想はつく。あの人気スイーツをギリギリ買えなかったとかだろうな。

 

 

シルヴィア「八幡くん………」

 

八幡「お前ならそう言うと思っていたよ。あの子のところに行くか。」

 

シルヴィア「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女の子「うええぇぇぇぇん〜!!」

 

店員「ゴメンねお嬢ちゃん。また今度、ね?」

 

シルヴィア「そこの可愛いお嬢さん?ちょっと良いかな?お姉ちゃんとお話ししない?」

 

女の子「グズッ……ひぐっ……」

 

シルヴィア「こんにちはっ♪」(ニコッ)

 

女の子「グズッ……ごんにぢは。」

 

シルヴィア「うん、ちゃんと挨拶できて偉いね♪ちょっとあのベンチに座ってお話ししよっ?ね?」

 

女の子「……うん。」

 

 

女の子の話を聞くと、長い列を並んなようやく自分の番が来た。けど、お目当ての人気スイーツが既に無くなっていて、女の子の前にいたお客で最後だったらしい。そして今日は母親の誕生日だったらしく、どうしてもこのお菓子が欲しかったようだ。

 

 

シルヴィア「そっかぁ……」

 

女の子「うん……お店の人は『また明日、来てくれたら用意するから。』って言ってくれたんだけど、今日じゃないとダメなんだもん!お母さんの誕生日は今日だもん!明日にズラせないもん!」

 

シルヴィア「そうだよね。君はお母さんのことが大好きなんだね。」

 

女の子「うん!大好き!」

 

シルヴィア「………」

 

八幡「フッ……シルヴィ。お前の好きにすればいい。俺のも渡して良いから。」

 

シルヴィア「………いいの?」

 

八幡「あぁ、こんな純粋な気持ちを見せられたらな。ほったらかす方が野暮ってもんだ。」

 

シルヴィア「………ありがとう。」

 

女の子「?お姉ちゃんとお兄ちゃん、なんのお話してるの?」

 

シルヴィア「ふふふっ♪実はね、そんなお母さん想いの君にご褒美をあげたくてさ。私たちもさっきのお店に行って君が買おうと思っていたスイーツ、持ってるんだ。それを君に上げちゃおうと思ってね。」

 

女の子「えっ!!?良いの!!?」

 

シルヴィア「うん♪じゃあコレ、私たちからのプレゼントだよ。」

 

女の子「わぁ………ありがとう!!お姉ちゃん、お兄ちゃん!!」

 

シルヴィア「どういたしまして♪」

 

八幡「落とさないように持って帰るんだぞ。」

 

女の子「うん!!あっ、じゃあお姉ちゃんにコレあげる!商店街でやってるジャラジャラって音がなるくじのチケット!」

 

シルヴィア「ジャラジャラ?」

 

八幡「福引きのことだろう。その引換券だな。」

 

シルヴィア「あぁ〜!」

 

 

ジャラジャラって子供の発想とかであるよな。

 

 

女の子「バイバーイ!!」

 

 

子供達を見送った後、シルヴィアが申し訳なさそうにこっちを見てきた。

 

 

シルヴィア「………ゴメンね八幡くん。折角買ってもらったのに。」

 

八幡「気にすんなよ。あれは俺が見てても放置は出来なかったと思う。それよりも、商業エリアに行って福引きやったらどうだ?せっかく貰ったんだし。」

 

シルヴィア「そうだね。じゃあやってみようか!」

 

 

ーーー商業エリアーーー

 

 

シルヴィア「あっ、此処じゃない?」

 

八幡「そうみたいだな。」

 

シルヴィア「すみませ〜ん!福引き1回お願いしま〜す!」

 

「はいチケット1枚ありがとうございます!ではこちらの福引きを回して下さい!景品内容はこちらとなっております!!」

 

 

5等(白)……ポケットティッシュ

4等(緑)……新鮮野菜詰め合わせ

3等(水)……有名洋菓子店の人気スイーツ10個入り

2等(黄)……コーヒーメーカー

1等(赤)……万能電子レンジ

特等(金)……5等以外全ての商品

 

チャンス(銀)……もう1回!!

 

 

金出しちゃったらヤバイな。大赤字じゃん。

 

 

「それではどうぞ!回してください!」

 

シルヴィア「はい。何が出るかなぁ〜。」

 

 

ジャラジャラジャラジャラ………カランカラン

 

 

「おおっとぉ〜!!銀が出ましたのでもう1度挑戦です!!さて、ではもう1度お願いします!」

 

シルヴィア「も、もう1回かぁ……よしっ!」

 

 

ジャラジャラジャラジャラ………カランカラン

 

 

「お、お、大当たり〜!!!!!」

 

 

カランカランカランカランカラン!!

 

 

「特等、金が出ました!!お客様には新鮮野菜詰め合わせ、有名洋菓子店の人気スイーツ10個入り、コーヒーメーカー、万能電子レンジの全てをプレゼント〜!!」

 

 

2人「………」

 

 

ーーー帰り道ーーー

 

 

シルヴィア「………どうしてこうなったのかな?」

 

八幡「いや、アレだよ。なんか……わらしべ長者的なアレだよ。1つのスイーツから始まってくじのチケットと交換したのが、これになって戻ってきたってわけだ。」

 

シルヴィア「しかも目的のお菓子も倍になって戻ってきちゃったよ?さっき4個だったのに今は10個だよ?しかも新鮮野菜にコーヒーメーカーに電子レンジ付きって………こんなわらしべ長者ってある?」

 

八幡「………聞いたことはないな。」

 

 

こうして、目的だった人気スイーツは手に入れたのだったが、ほかのおまけもついてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ーーーおまけーーー

女の子「お母さん、お誕生日おめでとう〜!!」

母親「あら、ありがとう〜!これっていま人気のスイーツじゃない。よく買って来れたわね。」

女の子「ううん。買えなかったんだけど、綺麗なお姉ちゃんとカッコいいお兄ちゃんがくれたんだ!」

母親「へぇ〜そうなの。お礼がしたいけど、顔が分からないからどうしようもないわね。」

女の子「写真撮って貰ったからわかるよ。」

母親「本当?見せてちょうだい。」

女の子「うん♪」


その後、母親はその写真を見て固まった後にその場に倒れてしまった。



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