比企谷八幡のあり得ない六花生活   作:生焼け肉

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家族に

 

 

小苑side

 

 

皆さんこんにちは、小苑と申します。突然ですが、今私と八幡さんは比企谷家の前に居ます。何故この場所に居るのかというと、八幡さんを正式にもらう為です。今の八幡さんはまだ高校生、親の管理下にあります。残り1年ではありますが、その権限を私が貰おうというわけです。元々八幡さんの事をぞんざいに扱っていたのです、すぐに手放してくれるでしょう。

 

 

小苑「準備はよろしいですか?」

 

八幡「いつでも。ちゃっちゃと済ませて早く行きましょう。もう此処には戻ってきたくもないので。」

 

小苑「……分かりました、では押します。」

 

 

私はインターホンを鳴らした。その瞬間、八幡さんは後ろに並んでるコンクリートの後ろへと隠れた。

 

 

比企谷母「はい……どちら様でしょうか?」

 

小苑「比企谷様のお宅ですか?」

 

比企谷母「はい、そうですが……」

 

小苑「私は汪小苑と申します。今現在、八幡さんと共に衣食住を共にしている者です。」

 

比企谷母「っ!?八幡と!?息子は?息子は無事なのですか!?」

 

 

……この人は今更何を言っているのでしょう?散々八幡さんの事を放っておきながら、今になって心配だなんて。ですが、此処で気を昂ぶらせてはいけません。我慢です。

 

 

小苑「えぇ、元気に過ごしております。八幡さん、出てきても結構ですよ。」

 

八幡「はい。」

 

 

私の呼びかけに素直に応じる八幡さんは、コンクリートの壁から出てきた。

 

 

比企谷母「あぁ……八幡………」

 

 

八幡さんのお母様は八幡さんに近寄り、抱き締めようと動きました。ですが八幡さんがそれを制止しました。

 

 

八幡「悪いがそういうの止めてくれ。」

 

比企谷母「……え?」

 

八幡「無事を知らせるっていう目的もあるが、それが本題で来たわけじゃねぇんだ。」

 

小苑「んんっ。今回はお願い……というよりも今後の相談をしに参りました。」

 

 

そう言うとお母様は、安堵の顔から不安な顔になりました。それもその筈です。突然自分の子供からこんな事を言われて不安に感じない親などいる筈がありませんからね。

 

 

ーーー比企谷家・居間ーーー

 

 

場所は変わって居間、此方には私と八幡さん、対面には比企谷一家全員が並んでいます。皆さんは八幡さんの方を不安そうに見ていますが、八幡さんは興味無さそうな顔をしています。

 

 

小苑「……私としては早速お話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

比企谷母「その前に少しだけ息子とお話をさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

小苑「構いませんよ。親子の会話を邪魔する程無粋ではありませんので。」

 

 

比企谷母「………八幡、大丈夫だった?」

 

八幡「………あぁ、まぁな。」

 

比企谷母「小苑さんと暮らしていたってさっき聞いたけど、問題無く過ごせていた?」

 

八幡「………あぁ。」

 

小町「ちょっとお兄ちゃん、さっきから何その態度?お母さんに向かって「いいのよ、小町。」っ!お母さん!」

 

比企谷母「いいの……」

 

小町「お母さん……」

 

比企谷父「……八幡、小苑さんに迷惑は掛けていないか?負担になるような事はしていないか?」

 

八幡「……俺はなんとも。そういうのは小苑さんに聞いてくれ、本人の方が説得力あるだろ。」

 

比企谷父「………」

 

 

八幡さんはもう見限っているのでしょうか、会話自体が物凄く素っ気ないですね。私と話している時とは大違いです。別人のようです。

 

 

八幡「もういいか?なら「ちょっと待って!」……なんだ小町?」

 

小町「今まで何で連絡しなかったの?皆心配してたんだよっ!?雪乃さんも結衣さんも戸塚さんも沙希さんも中ニさんも!皆心配してたのに、何で誰にも連絡しなかったのさ!!?」

 

八幡「別に。携帯捨てたからだ。しなかったんじゃなくて出来なかったんだよ。これが答えだ。まぁあってもしなかったとは思うがな……小苑さん、話を進めて下さい。」

 

小苑「八幡さん、よろしいのですか?」

 

八幡「さっきも言ったでしょう?幾ら話したとしても、俺の気持ちはもう変わりませんよ。」

 

小苑「……分かりました。では本題へと進ませて頂きます。比企谷家長男である比企谷八幡さん、その子を私にくれませんか?」

 

比企谷一家「っ!!?」

 

 

やはり驚いていますね……

 

 

比企谷母「ど、どういう事ですか!?何故八幡を貴方にっ!!?」

 

小苑「……すみません、突然過ぎましたね。私と八幡さんの理由もございますので、暫くご静聴して下さい。」

 

 

その後は私が八幡さんの親権を譲って欲しい理由と八幡さんの思っている事を説明しました。ですが、私が説明してもあまり納得はしていない様子ですね。特に妹さんは。

 

 

比企谷父「……理由は分かりました。ですが此方としても『はい分かりました。』と言うわけにはいきません。今後、私達も八幡にも気を配りながら接していきたいと思いますので、親権の譲渡はお断りします。」

 

小町「そ、そうですっ!!それにお兄ちゃんがそっちに行ったとしてもメリットなんて1つもないですよ!!ただ面倒なのが増えるだけです!!なら今まで通りウチに居た方が小苑さんの迷惑にならずに済みますっ!!」

 

 

………このお2人は八幡さんの事をまるで理解していませんね。気を配りながら接していく?そんなもの遅過ぎます。したところで八幡さんの心は開きません。面倒なのが増える?私は八幡さんと暮らしたこの4ヶ月で1度たりともそんな風に思った事はありません。寧ろ一緒に居て助かったと思っていた程です。

 

 

小苑「……お母様はどう思われているのですか?」

 

比企谷母「………私は、小苑さんに八幡を任せたいと思っています。」

 

比企谷父/小町「っ!!?」

 

 

これは意外ですね……てっきり断るものかと思っていましたが、賛成が出ましたか……

 

 

小町「な、何でっ!?」

 

比企谷母「八幡、あんたはこの4ヶ月小苑さんと暮らしていた方が幸せだったのよね?」

 

八幡「あぁ、断言する。」

 

比企谷母「そう……なら私はその後の人生を小苑さんに預ける事にするわ。小苑さんなら、八幡を幸せに出来る。」

 

小町「ち、ちょっと待ってよ!お母さんどうしちゃったのさ!?何で今日会ったばかりの人にお兄ちゃんを渡しちゃうのさ!?わけ分からないよ!!考え直してよっ!!」

 

比企谷父「そうだ!八幡の事はこれからまたやり直していけば良いだろう!今は難しいが、いつかは心を開いてくれる!小苑さんのせっかくの申し出だが、断るべきだ!俺達家族の方が八幡の事を分かってる!だから「私だって!!」……っ!?」

 

比企谷母「私だって嫌よっ!八幡とは別れたくないわ!でも、気付いちゃったのよ!八幡が私達に対してもう興味が無いって事に!!さっきの会話だって八幡は私達に1度も目を合わせなかったわ……そんな態度を取られているのに心を開いてもらえるなんて思っているのが酷く滑稽だわ。」

 

比企谷父「お前……」

 

比企谷母「もう遅いのよ……私達がどうしたって八幡にはもう届かないわ。なら八幡が望む事をしてあげるのが、親として最後にしてあげられる事だと私は思うわ。」

 

 

………少々心が痛みますが、これも八幡さんが望み、私が願った事でもあります。

 

 

比企谷母「小苑さん。旦那と娘が反対しても、私がサインをします。どうか八幡をよろしくお願いします。」

 

 

お母様は私に向かって座ったままではあるが、頭を下げてテーブルに額を合わせました。お母様にも八幡さんを思いやるだけの器はあったのですね。

 

それを出していればこのような事にはならなかったというのに……

 

 

小苑「………分かりました。では、手続きを致しましょう。八幡さん、少しの間席を外しますね。」

 

八幡「分かりました。」

 

 

私とお母様は書類にサインをする為に別室へと移る事にしました。あの2人が邪魔をしないとも限らないので、八幡さんに止めてもらっています。

 

 

ーーー10分後ーーー

 

 

小苑「お待たせしました、八幡さん。」

 

八幡「はい。」

 

小苑「これで今日から八幡さんは【比企谷】ではなく、【汪】になりました。名乗る時は【汪八幡】と名乗るのですよ。」

 

八幡「はい。」

 

小苑「では、私達はこれでお暇します。長い間お時間を頂き申し訳ございませんでした。」

 

比企谷母「いえ、とんでもございません。どうか八幡をよろしくお願いします。八幡も元気で。」

 

八幡「……あぁ。その……母ちゃんも元気で。」

 

比企谷母「っ!!!」

 

 

その言葉を最後に八幡さんは玄関の扉を閉め、私達は横浜にある我が家へと帰路に着いたのでした。

 

 

 




ついに八幡と小苑さんが本当の家族に!!

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