小苑side
八幡が入学して早半年、八幡の周りには多くの友人達が集まるようにもなりました。さらには私の元弟子である暁彗が八幡と決闘をした事はまだ新しい出来事です。その決闘で勝利した八幡は序列2位と2つ名【夢幻月影】を授かりました。親としても誇らしいです。
さらには最近、何やら面白い事をしているようです。何でも八幡が界龍内の道場で教えをしているとか。見ているのは主に序列外の皆さんみたいですね。理由をお聞きした時は、『星露は基本自分の弟子しか見ないから。』だそうです。だから八幡は序列外の面倒を見ているのだと納得致しました。
こんなのはまだ序の口です。1番私が驚いたのは、私が街へ買い物に出かけた時、八幡が女性と一緒に街を歩いていたのですっ!隣に居た女性の特徴は帽子を被っていたので表情や顔などは見られませんでしたが、髪は栗色に近い長く伸ばした茶髪で、スタイルはとても良かったです。アイドルも狙えるでしょう。恐らくですがクインヴェールの生徒だとは思いますが、八幡に他学園との交流があるとは聞いた事がありません……とても気になります。
ま、まさかとは思いますが……か、彼女でも出来たのでしょうか?親の私に内緒で?
……い、いえ、八幡はそんな事をするようないけない子ではありません。きっと何か事情があるのでしょう。それに、息子であれどプライベートですから、あまり関わらないであげましょう。
………ですが気になります。
ーーー夕方ーーー
八幡「ただいま。」
小苑「お帰りなさい、八幡……あら、そちらの女性はどちら様ですか?」
この人は……この前八幡さんの隣を歩いていた女性ですね。
八幡「中で説明する。立ち話をするには多分長くなると思うから。」
小苑「分かりました。さ、どうぞお上りください。」
???「す、すみません、お邪魔します。」
ーーー居間ーーー
八幡「えっとだな、この人は「待って八幡君、私から説明するよ。その方が分かりやすいと思うから。」……そうか?なら任せるが。」
???「んんっ。突然の訪問、申し訳ありません。今回こちらに来たのは私と息子さんの八幡さんとのご関係の事なのですが、まずは自己紹介から始めたいと思います。少し失礼します。」
女性の方は耳に手をあてがうと、髪の色が茶から紫へと変わり、美しかった髪色には妖艶さも増してより美しく見えました。
この方は……八幡、貴方はいつからこのような方とお知り合いになったのですか?まさか世界の歌姫、シルヴィア・リューネハイムさんだったなんて………
シルヴィア「お待たせ致しました。これが私の本来の姿です。クインヴェール女学園高等部2年のシルヴィア・リューネハイムと申します。いつも八幡君とは仲良くさせて頂いています。」
小苑「これはご丁寧な挨拶をありがとうございます。私は汪小苑と申します、八幡の母です。いつも息子がお世話になっております。」
とてもご丁寧な挨拶、良い教育をされているのがよく分かります。ですが、それはそれ、これはこれです。少しだけカマをかけてみましょう。
小苑「それで、先程2人の関係と仰っていましたが、もしかして恋人同士だったりしますか?」
シルヴィア「えっ!?あ、い、いえ!私と八幡君は、そ、その……えっと、
小苑「なるほど……シルヴィアさん、少しお耳を貸してください。」
シルヴィア「え?は、はい。」
念には念を。八幡には聞かれないようにしませんと。女性の会話ですからね。
私は私とシルヴィアさんの周りに障壁を張り、音や声を漏らさないようにした。
小苑「ではシルヴィアさんは息子の八幡と交際出来るのであれば、交際したいと?」
シルヴィア「な、何故そのような質問をっ!?」
小苑「ふふふ、先程『まだお付き合いはしていません。』と仰っていたではありませんか。つまりは交際願望があるという事になりますよ、あの答えは。」
シルヴィア「/////」カアァ…
ふふふ、とても可愛らしい反応をしますね。どうやらこの子の言っている事に嘘偽りは無いみたいですね。
小苑「お待たせしました八幡。」
八幡「あぁ。それでだ、俺とシルヴィの関係なんだが、実は界龍に入学して1週間してから出会ったんだ。偶々街を歩いている時にナンパされていたのを助けてな。それからーーー」
それからは八幡とシルヴィアさんとの関係や出会いから今日に至るまでの経緯を聞きました。聞く限りでは、八幡はまだシルヴィアさんの事を友人としては好意を持っているようですが、女性としてはまだ見ていないようですね。シルヴィアさんは……聞くまでも無いでしょうね。
八幡「……以上が俺達が出会いと今日までの出来事だ。」
小苑「……八幡、1つお聞きしてもいいですか?」
八幡「何だ?」
小苑「八幡はシルヴィアさんと一緒に居てどう感じましたか?誤魔化しはいりません。直感で答えてください。」
八幡「……母さんには劣るが、一緒に居て安心する。気分が落ち着く。もっと一緒に居たいとも思える。」
……なるほど、八幡はまだその域には達していないようですね。ですがシルヴィアさんが交際相手なら、私は構いません。寧ろ賛成ですね。このような心の綺麗な方を彼女にするべきです。八幡は良い女性に出会いましたし、シルヴィアさんはよく私の息子に惚れました。どちらも偉いです。
小苑「なるほど……今日はとりあえず関係の説明なのでしょう?であれば堅苦しいお話はこれで終了です。」
すると2人は力が抜けたかのようにダラリと身体をリラックスさせた。
小苑「そうそう。これから夕食を作りますので、シルヴィアさんもよろしかったら食べていかれませんか?」
シルヴィア「あっ、でしたらお手伝いします!」
小苑「まぁ、よろしいのですか?ではお願いします。八幡さんはゆっくりしていてくださいね?今回は乙女だけがこのキッチンに入れるのです。」
八幡「は、はい……(なんか威圧されてないか?)」
小苑「………八幡さんに振り向いてもらえるように頑張って下さいね。」
シルヴィア「っ!!」
小苑「八幡さんは手強いですよ?」
シルヴィア「……はい!」
挨拶は挨拶でもニュアンスが違うものなんですね。