比企谷八幡のあり得ない六花生活   作:生焼け肉

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8年の

 

 

冬香side

 

 

目の前に居る男性、もしかしたら8年前に里の崖から落ちて死んでしまったお兄様かもしれない人……昔と比べて雰囲気は違いますが、面影はあります。ですが、聞くのにかなりの抵抗があります。いきなりお兄様と聞いたら周りの方々やこの人に迷惑がかかります。出来ればこの人をこの教室内から出して聞き出せれば………

 

 

冬香「あ、あのっ!少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

 

???「………」

 

 

目の前のお兄様かもしれない人は私の方へと顔を向けて、ジッと見つめてきました。

 

 

冬香「も、申し遅れました。私、当校の高等部1年の梅小路冬香と申します。よろしければお時間を頂きたく思います。場所を変えさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

八幡「……あぁ、構わない。」

 

冬香「ありがとうございます。では、こちらについて来てください。」

 

 

誘い出しには成功です。場所は……無難に私の部屋にしましょう。あの部屋は学生はおろか、師父からも極力干渉しないようにお願いしておりますから。

 

今安全に2人でお話が出来る場所といえば、この学院の校外か私の部屋くらいですからね。

 

 

ーーー冬香の部屋ーーー

 

 

冬香「どうぞ、お上がり下さい。」

 

八幡「失礼する。」

 

冬香「少し待っていてください、お茶とお茶請けを持ってきます。」

 

 

ーーー3分後ーーー

 

 

冬香「お待たせ致しました、どうぞ。」

 

八幡「あぁ、悪いな。」

 

冬香「いえ、気になさらないでください。」

 

八幡「それで、話とはなんだ?」

 

 

やはり単刀直入で聞きに来ますか……それもそうですよね、この人が別人の可能性だってあるんです。

 

 

冬香「はい、その前にお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?先程聞いていなかったものでして。」

 

八幡「あぁ、そうだったな。俺は比企谷八幡だ。」

 

 

比企谷……聞いた事が無い苗字ですが、名前はお兄様と同じ『八幡』ですか。可能性はありますね。

 

 

冬香「では比企谷さん、お聞きしたい事があります。貴方は8年前まで何処で過ごされていましたか?」

 

八幡「……いつもの自分自身の家だが?まだ小学なんだ、1人暮らしなんて出来んだろ。」

 

冬香「……では、星辰力はどこまで扱えますか?」

 

八幡「自分じゃ分からんな。何処までが上手か下手なのかの基準があるのか?」

 

冬香「難しいですね……細かい練り込みなどは得意なのですか?」

 

八幡「割と得意な方ではある。細かい作業は得意だからな。」

 

冬香「そうですか……では次に移ります。」

 

 

この後も比企谷さんとの質疑応答は続きました。彼も嫌な顔をせずに答えてくれたので、こちらとしてもやりやすかったのですが………どうやらお兄様ではない様子でした。

 

 

冬香「……ありがとうございました。」

 

八幡「なんか取り調べを受けている気分だった。」

 

冬香「申し訳ございません。どうしても確かめたい事がございましたので。」

 

八幡「……そうか。」

 

 

でも、これでハッキリしました。この人はお兄様ではありません。赤の他人でした。

 

 

冬香「貴重なお時間を頂いてしまい、申し訳ございませんでした。お聞きしたい事はもうございませんので、教室に戻って頂いても大丈夫です。」

 

八幡「なら俺からも聞きたい事があるのだが、いいか?」

 

冬香「はい、何でしょうか?」

 

八幡「星辰力の扱う為の初歩だ。不慣れな者が星辰力を出す時はどうすればいい?」

 

冬香「掌に指を置いてそこに意識を集中させる事です。そうすれば自然と星辰力が集まります。」

 

八幡「次だ。札を使って式を出す時にはどうすればいい?」

 

冬香「札に星辰力を流し込み、召喚する式をイメージする事です。」

 

八幡「……どっちも正解だな。」

 

冬香「あの、何故そのような当たり前の事を?」

 

八幡「この基礎をお前に教えたの、誰だと思ってるんだ?」

 

 

………………………………え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………い、今、この人はなんて?この基礎を教えた?で、でもこれはお兄様から教えて………っ!!!

 

 

冬香「え……で、でも……今の質問……全部……」

 

八幡「………」

 

冬香「………お、お兄、様?」オズオズ…

 

八幡「やっとそう呼んでくれたか。ずっと他人行儀だったから呼ばれるまで待ってたんだがな……久しぶりだな、こんなに大きくなったのか……冬香。」

 

 

あぁ……同じです、あの時の優しい笑顔。私が幼い時に見たお兄様の優しい笑顔………

 

その瞬間、私の目から涙が落ちてきました。8年間枯れていた涙がお兄様との再会で再び湧き戻ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬香「お兄様ぁぁぁぁ!!!」ポロポロ

 

 

もう周りなんて構って要られません。目の前に死んだ筈のお兄様が居るのです。そのお兄様が生きていたっ!!その存在を抱き締めずしてどうすれば良いのでしょうかっ!?

 

 

冬香「うううぅぅぅ!!わあああぁぁぁぁ!!!う、うぅっ、うぅ、うぅ……わああぁぁぁぁぁん!!!」ポロポロ

 

八幡「……お前には悲しい思いをさせちまったな、済まない。」ギュッ!

 

 

私の願いが叶った、1度でもいいからもう1度だけお兄様と会いたい。そして思い切り抱き締めてもらいたい………その願いが今、叶いました。

 

 

ーーー30分後ーーー

 

 

八幡「……なぁ冬香、そろそろ離れてくれないか?」

 

冬香「絶対に嫌です。私は8年もの間、ずっと1人だったのです。その8年分のお兄様を今感じているのです。離れたら最初からやり直しです。」

 

八幡「………そうか。」

 

 

お兄様にはご迷惑かもしれませんが、私には必要な事なのです。8年分のお兄様を今感じているのですから。

 

 

八幡「……この状態で聞くが、里は大丈夫か?あれから何ともないか?」

 

冬香「はい、何も起きてはおりません。お兄様が崖から飛び降りた翌日には異様な空気は消え、いつも通りの日常になっていました………人以外は。」

 

八幡「そうか、まぁそうだろうな。」

 

 

お兄様の声……昔とは違いますが、とても安心します。こうして心臓の鼓動を聞いているだけでも安らぎを感じます。お兄様は生きていた。こうして生きている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「なぁ、離してはくれないのか?」

 

冬香「今、お兄様を8年分感じていますので。後7年と30日分です。」

 

八幡「1日分しか満足してねぇのかよ。」

 

 

当然です♪お兄様は至高なのですから♪

 

 

 

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