八幡side
………なんかS.L.Q.Sさんに対抗心を持ってカラオケでの得点争いをしてから1時間、もうこれ以上点数が動かなくなってしまった。いわば、俺の限界である。相手はどうか分からないが、俺はもうこれ以上の点数は取れそうにない。
1位
1位 S.L.Q.S 99.500
3位 マティンニョン 94.255
30分近くやってお互いに点数が伸びなくなってこの状況である。にしても3位に5点差つけるって俺(達)かなり歌いまくってたんだな。けどこのS.L.Q.S、なんか少し会ってみたいな。
まだ歌いたいところだが、喉を潤したとしてももう限界だ。今日はここまでにするか。出来ればこの特典を抜いてから帰りたかったが、流石にもうキツイ。
八幡「帰って飯の支度でもするか。」
ーーー受付前ーーー
八幡「あっ……」
シルヴィア「あっ、貴方はさっきの……」
八幡「どうも。」
シルヴィア「負けられない戦いには勝てました?」
八幡「いえ、それが引き負けみたいな形になってしまいまして……出来れば勝ち越したかったんですが、もう喉が限界で。」
シルヴィア「へぇ〜なんか私と似てます!私も得点争いで1位と戦ってたんですけど、追い抜いては追い越されるの繰り返しだったんですよ。私ももう喉がカラカラのガラガラで歌えません。」
八幡「じゃあお互いに1位を獲る為に戦ってたんですね。しかも相手も粘りながらですか……とことん似てますね。」
シルヴィア「もしかしたら私たちが同じ曲を歌っていたりして?」
八幡「ははっ、まさかですよ。」
シルヴィア「じゃあ試しに得点を言ってみましょうよ。私も覚えているので。」
八幡「分かりました。」
シルヴィア「せ〜ので言いますよ。せぇ〜の!」
2人「99.500点………あっ。」
えっ……マジで?
八幡「も、もしかして……S.L.Q.Sさんですか?」
シルヴィア「ottantamilaさん?」
えぇ〜じゃあ俺ってこんな近くに居る人と戦ってたのか?
シルヴィア「えぇ!?本当にっ!?ottantamilaさんなんですか!?やっと会えたっ!!」
八幡「え、えっと……俺ってそこまで有名ではないと思うんですけど………」
シルヴィア「実は私、貴方の動画を見て衝撃を受けちゃって!本人よりも大胆で表現的で、見ている人の心を惹きつけるような、そんな感じがしたんです!」
八幡「そ、そうですか……」
シルヴィア「あの、この後って時間空いてますか?もしよかったらお話がしたいなぁって思ってるんですが……」
八幡「え、えぇ、構いませんが……」
シルヴィア「やった♪」
これだけの事でこんなに喜ぶなんてな……それだけ嬉しかったのか?その後、俺達は会計を済ませてからカラオケ店を後にした。
ーーー商業エリアーーー
八幡「なんか人目につかない場所に来ましたけど、あまり聞かれたくない話とか?」
シルヴィア「そういうわけじゃないんですけど、ちょっと話しにくいというのもありますね。」
………何の話なんだ?
シルヴィア「はい、到着!すみません、こんな場所まで付き合わせちゃって。」
八幡「いえ、別に。」
シルヴィア「じゃあ自己紹介から行きますね。でもその前に1つだけ約束して下さい。今この場所で見たのは他の人には言わないって事を。」
八幡「俺にはそういう人はいませんから。友人が居ないというわけではありませんけど。」
シルヴィア「ふふっ、じゃあ私から。」
彼女は着けていたヘッドホンに手をあてがうと、髪の色が変わって雰囲気も別人になった。その人物は誰もが知っている有名人だった。
八幡「……シルヴィア・リューネハイム。」
シルヴィア「そっ、これが私の本当の姿。シルヴィア・リューネハイムです。クインヴェール女学園中等部2年の序列1位をやっていまーす!」
……驚いたな、まさか世界の歌姫だったなんてな。こりゃ差をつけられないわけだ。
八幡「じゃあ俺ですね、比企谷八幡です。界龍第七学院中等部2年の序列2位です。」
シルヴィア「あっ!だからottantamilaなんだね!名前を化けさせたって事なんだ!」
八幡「まぁ、そんな感じです。」
シルヴィア「しかも序列2位……星露の1番弟子を倒したとんでもない転入生だって凄く有名だよ!まさかそんな人が歌も上手だなんて驚いたよ!」
八幡「俺もですよ。まさか相手が世界の歌姫だったなんて思いもしませんから。」
シルヴィア「確かにね〜!あぁ、敬語はいいよ。それに同い年だからね。」
八幡「そうさせてもらう。」
その後は色々な話をした。どうやったらそんな歌声が出せるのかとか、表現が出来るのかとか質問攻めにあったが、悪い気はしなかった。純粋な気持ちで聞いて来てるからかもな。
シルヴィア「凄く有意義な話だったよ!君から言われると何だか説得力があるから信じられるよ。」
八幡「世界の歌姫にアドバイスなんて、滅多にない事だな。これは友人に自慢でもするか。」
シルヴィア「もう!さっき約束したでしょ!」
八幡「分かってるよ。誰にも言わない。」
シルヴィア「ふふっ、じゃあ今日はどうもありがとうね。それと、これからもよろしく♪」
するとシルヴィは俺に手を伸ばして来た。まぁ挨拶みたいなものだからな。
八幡「あぁ、よろしく。」
そして俺もその手を握った。
ドクンッ!
っ!何だ?今の?
シルヴィア(え?何?この気持ち?)
2人((手を離したくない?))
俺とシルヴィは手を握ってその手を見つめたまま動かなかった。というよりも動けなかった。今日初対面でほんの数十分しか話していない人との別れがどうも嫌だった。
不思議な感覚だった……だが、いつまでもそうしているわけにもいかないので、俺から手を離して帰るように促した。彼女も少しだけ意外そうな感じの雰囲気を出していたが、俺にもよく分からなかった。
2人((何だったんだ?[ろう?]あの時の気持ち……))