この話で輩シリーズは終わりです。
八幡side
……よし、包丁よし、エプロンよし、後は……無いよな。さて、じゃあ会場に向かいますか。
シルヴィア『八幡、準備出来た?お迎え来てるよ〜。』
八幡「あぁ、丁度出来たから今行く。」
八幡「って、お前等も行くのか?」
オーフェリア「当然よ八幡。私達のシェフをバカにしたのだから、あのデブのアホ顔を見ないと気が済まないわ。」
冬香「八幡様の華麗な技であの贅肉を溜めに溜めたプライドだけのジジ様に一泡でも二泡でも吹かせてください。」
パーシヴァル「私はその場に居なかったので分かりませんが、聞くからに不愉快な方なのは分かりました。比企谷様、下賎なプライド豚の調理をお願いします。」
柚陽「私もどんな方なのか分かりませんが、比企谷先輩のベストを尽くして、ブタみたいな人を倒してください!」
プリシラ「私達のお店をバカにしたあの………名前忘れましたけど、その人を後悔させてやってください!」
うおぉ………コイツ等容赦ねぇな。まさかここまで言うとはな。まぁ、それも当然っちゃ当然か。
シルヴィア「八幡、頑張ってね。今言うのもおかしいけどさ。」
八幡「そうだな、お前等も会場行くから此処に居るんだもんな。着いてから言っても大丈夫だから。」
今更だが俺も大概酷い奴みたいだ。
ーーー会場ーーー
会場っていっても、相手の店なんだよな。割と豪華な外装だな。でも商業エリアにあるから客足は鈍そうだな。店構える場所間違えたろ。絶対六花が1番売上低いだろ。
ガルボ「ふんっ!逃げずに来たみたいだな、比企谷八幡っ!紹介しよう、我が店が誇る屈指の料理人だ!君ごときでは到底及ばない高みに立っている!」
いきなりうるせぇな……ていうかあの料理人、あぁ……そういう事か。貴方も嫌なんでしょうね。
「……どうも、今日はよろしくお願いします。」
八幡「こちらこそ………苦労されていらっしゃるんですね。」
「分かってくださいますか?」
分かるよ……ああいう奴って無茶振り何回もしてそうだから。
審査員「ではこれより、○○店のオーナー、ガルボ・モレンティーロ氏と【喫茶 ランベリ】のオーナー、比企谷八幡氏の料理対決を行います。ジャンルは自由です。私達がより美味な方に評価しますので、そのつもりで。」
ガルボ「お嬢様方はこちらの椅子にお座り下さい。」
シルヴィア「そちらの椅子ってそちら側の椅子ですよね?」
ガルボ「はい、そうですが?」
シルヴィア「でしたらお断りさせていただきます。私達は店主の勝利を信じておりますので。」
ガルボ「立ったままではお辛いでしょうに。遠慮なさらず「いいって言ってる筈よ。貴方は人の言った言葉も理解出来ないのかしら?」……ふん、貴様のような無礼な奴には言っていない!」
オーフェリア(………腹立たしいわ。)
審査員「それでは調理……開始!!」
そして俺と相手の料理人は一斉に調理を開始した。
八幡sideout
ーーーーーー
ガルボ「ご覧下さい、彼の手際の良さっ!あれぞまさしく本物の料理人と呼べるでしょう!」
シルヴィア(確かに手際は良い。センスも凄く良いものを持ってる。長年の技術だね。でも……それなら八幡だって負けてない。)
ガルボ「それに比べて、三流料理人の彼の調理は見るに堪えないもの「静かにしてもらえませんか?」……はい?」
シルヴィア「気が散ります。実況する必要はありませんので、静かにして下さい。調理している方達の迷惑です。」
ガルボ「ふむ……貴女の言う通りですな。これは失礼。」
ーーー1時間後ーーー
審査員「そこまでっ!では○○店のシェフから皿を出してください。」
「はい、ビーフシチューです。」
八幡(………やっぱりただのビーフシチューじゃないな。ただのビーフシチューじゃ、こんなに匂いが掻き立つわけが無い。)
審査員2「ほほう……このシチュー、
「はい、シチューのスパイスにはクローブと黒胡椒を混ぜています。マティニョンも加えて、メインの牛肉のテール肉にはセージ、ナツメグ、ローリエをまぶして、隠し味に黒糖を混ぜています。そしてガルニチュールにはマッシュルームと小玉ねぎのグラッセ、そして燻製ベーコンには熟成塩漬けに5日間、丸一日風に当たらせて乾燥させた後に5時間の間燻し続けました。」
審査員3「ほほぉ〜それだけの手間をかけたのならば、この香りも納得だ。では、一口………」
審査員がスプーンで掬い、一口食べた。
審査員1「おぉ……シチューには白味噌も使っている。それに、テール肉のとろみともよく混ざり合っている。」
審査員3「それだけじゃない。燻製ベーコンによって味も引き立っている。流石の腕といったところだろう。」
「ありがとうございます。」
八幡(……俺も食ってみたいな。)
「あっ、まだ残っていますので、よろしければ比企谷さんも後でどうぞ。」
八幡(………この人、めっちゃ良い人だ。)
審査員1「では次に【喫茶 ランベリ】の比企谷八幡、お願いします。」
八幡「どうぞ、鹿肉のローストです。」
審査員2「な、なんだこれは!?」
そこにあったのは鹿肉料理なのだが、鹿肉2切れに別のソースが2種類それぞれにかかっている料理だった。
八幡「右側がソースポワヴラードです。胡椒と鹿のガラなどを元に作ったソースです。左側がソースポラヴラード・ベリーです。材料はブルーベリー、赤スグリ、ブラックベリー、そしてカシスリキュール、赤ワイン、ブルーベリービネガー、ラズベリージャムを加えて作っています。ご存知だと思いますが、ポワヴラードはフランス語でコショウという意味のポワヴルから来ています。なのでピリッとくる舌触りが淡白な鹿肉に重層感を与えてくれます。どうぞ、お召し上がりください。」
審査員1「では……っ!ナイフの重みだけで肉が切れた!?なんて柔らかさだ……!」
そして八幡の料理を一口食べた。
審査員一同「………」
ガルボ「な、何だ?何故固まっている?」
審査員3「香ばしくも、さっぱりとした赤身肉の肉汁が溢れてくるっ!」
審査員2「これが先ほどの火入れの効果というわけか!」
審査員1「だが、それ以上に恐ろしいのが、このソースだ!ポラヴラードは兎も角、ベリーは何種類もの果実とジャム、ヴィネガーを使っているのに、全く味が崩れていない!1つの工程を無駄にしただけでも、その味が全て台無しになるというのに……なんという神業だ。」
ガルボ「バ、バカな……っ!!」
審査員1「では、これにて審査を終了する!これより結果発表に移ります!より美味だと思った方の皿にコインを置いてください。」
チャリッ
チャリッ
チャリッ
審査員1「では、料理人及び、関係者の方々は目をお開きください。」
そして八幡は目の前の皿に注目した。
その皿には3枚のコインが置かれていた。
審査員1「勝者は比企谷八幡!!よってこの料理対決の勝者は、比企谷八幡!!」
ガルボ「な、なにぃ〜!!?」
八幡は無事に料理対決を勝利で収めた。
ーーーーーー
八幡side
俺は皆から祝福を貰っていた。皆俺が勝つのが当たり前みたいな言い方だったが、内心ヒヤヒヤしてたんだぞ?
「比企谷さん。」
八幡「あぁ、○○シェフ。お疲れ様です、よろしければどうぞ。俺の料理です。」
「ありがとうございます。僕の料理もどうぞ食べてください。勿論、皆さんもよければ。」
ガルボ「何を言っているのだ貴様はっ!!無様に負けおって!!審査員から1つもコインをもらえてはいないではないか!!手加減していたのではないかっ!!?」
「いえ、僕の全力を尽くしました。ですが、それよりも遥か上に比企谷さんがいたのです。僕の腕では足元にも及びませんでした。」
ガルボ「何をのうのうと感想を述べているのだ!!この役立たずめっ!!」
………この野郎。
八幡「おい、そこまで言うんだったら、今すぐ料理を出してみろ。」
ガルボ「何だ?勝ったからといって調子に「黙れ。勝負に巻き込んでおいて、なんなんだ役立たずってのは?あ?気楽なもんだな?」ヒ、ヒィッ!!」
八幡「だったらお前はこの○○シェフ以上の皿を出せるんだよな?そこまででかい口叩けんだったらよ、俺よりも良い皿を出してみろよ。今すぐ調理台に立って審査員全員の舌をお前の料理で唸らせてみろよ。そうしたら俺の負けを認めてやるよ。」
そして俺はメタボ男を掴んでいた手を離して、調理場へと押しやった。
八幡「そもそもテメェから仕掛けて来たんだ。お前が料理しないとな?」
ガルボ「い、いや、私は本場を離れて「そんな言い訳が効くのかよ?元は料理人だろ?だったら知ってる筈だぞ?一皿作るのにどれだけ神経を使うのかをな。自分で戦う気なんか最初からねぇのに、他人を巻き込んで勝負なんざ仕掛けるんじゃねぇよ。」………」
そして男は何も言わなくなってしまった。
八幡「じゃあ約束通り、この職場を辞めたい奴を解雇させるのと、この六花のお前の店の所有権、貰うからな。嫌だとは言わせねぇぞ?お前も承諾したんだからな。」
そして俺たちはこの店から去ろうとすると……さっきのシェフが俺に寄って来た。
「あの、ありがとうございました。全力で勝負して頂いて。」
八幡「いいんですよ。貴方は良い料理人だ、俺よりも。」
「あの六花の生きる伝説、比企谷八幡さんにそう言って頂けるなんて光栄です。」
ガルボ「い、生きる伝説?まて、何の事だ?」
「知らないんですか?この人は学生時代にシーズン中の星武祭を全制覇した伝説の人、元界龍第七学院の4代目【万有天羅】とも名高い人物、比企谷八幡さんです。そして副店主の比企谷シルヴィアさん、旧名シルヴィア・リューネハイムさん。スタッフも同時代で星武祭で活躍した有名人ばかりなんですよ。本当に知らないのですか?」
そしてデブ男は開いた口を閉じる事は無く、そのままアホ面になったままだった。
こうして、俺達の料理対決は幕を閉じたのであった。
なんか今日は指が動く日(頭もよく働く日)だったので、随分書いちゃいました!