比企谷八幡のあり得ない六花生活   作:生焼け肉

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優しい説教

 

 

八幡side

 

 

サイとの決闘から1週間が過ぎた。あれから奴との接点は無い。奴が学院でどう過ごしているのかも、何をしているのかも俺は知らない。だって興味も無いし。

 

 

冬香「八幡様、不粋ながら少し意見してもよろしいでしょうか?」

 

八幡「ん?突然どうした?」

 

冬香「決闘後の事です。八幡様と戦いになったサイ・マーフィンくんですが、このままでもよろしいのでしょうか?」

 

虎峰「そうですよ八幡。いくら彼が礼儀知らずで身の程知らずとはいえ、あの後の事はやはり気になります。」

 

八幡「そんな事言われてもな………俺自身は別にあいつの事なんてどうでもいいし。」

 

セシリー「でもさー、あたし偶々彼見かけたんだけどー、1人で鍛錬してたよー。」

 

 

マジで?本当に1人で鍛錬してんの?神経図太いな。俺だったら絶対にすぐ謝ってから一緒に鍛錬するのに。

 

 

セシリー「どうするの八幡ー?」

 

八幡「そう言われても、俺からは何もしないぞ。家族をバカにした奴に俺が優しくすると思うか?そんな奴に優しくするなんて、そんなの俺はゴメンだからな。」

 

冬香「八幡様のお気持ちもよく分かります。ですがここは1度彼と話してみてはいかがでしょう?」

 

虎峰「八幡、1度だけでいいんですから。」

 

八幡「お前らまでそんな事を言うのか……はぁ、分かったよ。1回だけだぞ?それ以降は俺も知らねぇからな?」

 

 

八幡sideout

 

サイside

 

 

ーーー放課後・中庭ーーー

 

 

サイ「………」

 

 

最近、クラスでも居場所が無くなっている……嫌がらせは無いものの、俺と一緒に居ようとする同級生は誰1人として居ない。皆俺を避けて通っている。だから俺は今、逃げるようにこの中庭で鍛錬をしている。けど、どうにも身に入らない。

 

 

サイ「クソッ!!」

 

八幡「休憩か?」

 

サイ「っ!?………比企谷先輩。」

 

八幡「少し話でもしないか?頭に血が昇るような話はしねぇから安心しろ。」

 

サイ「………」

 

 

………何で俺に話し掛けてくるんだよ?俺はお前をバカにしたんだぞ?なのに何でだよっ!?

 

 

八幡「学院生活はどうだ?俺にはあまり充実した生活を送れてはいないように思えるが。」

 

サイ「何ですか?バカにしてるんですか?」

 

八幡「いや、そうじゃない。あんな事が起きた後だ、少しクラスから疎遠になっているんじゃないかと思ってな。」

 

サイ「………」

 

八幡「図星、か……1つ聞いていいか?」

 

サイ「……何です?」

 

八幡「何故俺に勝とうとしたんだ?それが悪いとは言わないが、界龍の生徒やシルヴィをバカにしてまでやり遂げたかったのか?」

 

サイ「………特にコレって理由は無いんですけど、1番になれば誰もが俺を認めてくれるし、見てくれる。そう思ってたんです。簡単に言えば、目立ちたかったんです。比企谷さんもそうでしょう?」

 

八幡「いや、俺の場合は違うな。避けられない理由があったから今の立場にいるって感じだな。実のところ、この序列1位という肩書きは俺にはもう必要の無いものだが、界龍の全生徒が卒業までは序列1位でいろってうるさくてな、だからやっている。」

 

サイ「その理由ってなんなんですか?」

 

八幡「アホらしい理由だとバカにしてもいいが、俺からしてみれば重要だ。《王竜星武祭》で序列1位として戦いたかった。そしてシルヴィとお揃いの状態になりたかった。そんなところだな。」

 

サイ「え………」

 

 

そ、そんな理由で?そんな理由でこの人は最強の称号【万有天羅】を継承したのか?

 

 

八幡「まぁそんな反応だろうとは思っていた。けど俺は理由なんてどうでも良かった。とにかく星武祭が始まるまでに序列1位の立場が欲しかったからってだけだ。ただそれだけだ。」

 

サイ「………」

 

八幡「マーフィン。上を目指す事は悪い事ではない。だが、他人を蔑んでまで上を目指すのは頂けないぞ。もしそれで上に辿り着いたとしても、後ろについてくる奴なんて誰1人として居ない。今のお前が良い例だ。」

 

サイ「………」

 

八幡「お前には武術の才があるが、その技と力に溺れやすい。もっと武術の本質を見て欲しい。中国武術は何も拳だけじゃない。お前も知っている儒教の精神がある。六経の1つの『礼』をもっと大事にしろ。そうすれば必ずって訳でもないが、自ずと人は集まる。」

 

サイ「………」

 

 

………この人が何故、この学院で宗師と呼ばれているのか少し分かった気がする。俺なんかの物差しじゃ測れない。それ程大きな器を持っている。俺はこんな人を敵に回していたのか………

 

 

八幡「じゃあな、鍛錬頑張れよ。あぁそうだ、最後に1つ。お前の使っている武術、白虎拳の事だ。もっと突きや足技を使え。そうでないと勝てるものも勝てないぞ?南派武術は足技が少ないが、無いわけじゃないからな?」

 

 

………最後に先輩は俺のアドバイスを残して中庭を去って行った。

 

 

サイ「………はははっ、はぁ〜あ!最初から負けてたのか。いや、敵う筈の無い相手だったんだな。力でも心でもボロ負けの完敗だ。あんな人には勝てねぇや。」

 

 

比企谷先輩、いや、宗師!俺ももっと強くなってついてきてくれる自然と誰もがついてきてくれるような人になりますっ!!

 

 

 

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