八幡side
……大分作業にも慣れてきたな。(普通はやらない作業を)にしても、やっぱり面白いし楽しいな。こんな風に人と接しながら料理を作って提供をする。こう聞くと俺達が損しているように聞こえるが、その対価がお客の美味そうに食ってくれる笑顔や声が嬉しく感じる。六花に来て料理を始めた頃を思い出すな、あの頃は星露が味見……実験役だったな。
懐かしむ時間も惜しい。よし、作業に戻るか。
???「………すみません。」
八幡「はい、ご注文をお伺い……」
オーフェリア「………八幡?」
八幡「………よう、オーフェリア。」
オーフェリア「………どうして此処に?それにその格好はどういう事なの?」
八幡「1日バイトやってんだよ。それよか早く注文してくれ。他の人も待ってる。」
オーフェリア「………分かったわ。じゃあ特製サンドイッチとコーヒーをお願いするわ。それと、食後に八幡のオススメを頂戴。」
八幡「ご注文承りました。すぐ作るから待っててくれ。お待たせ致しました、ご注文お伺いします。」
驚いたな。まさかオーフェリアが来ているとは思わなかった……まぁいい、いつも通り調理しよう。今日は立場が違うんだ。俺は店員、あっちはお客だから対等じゃない。
八幡「1番テーブル、2番テーブル、3番テーブル調理開始します。後、もうすぐケチャップが切れそうなので補充しておきます。」
厨房スタッフ1「あっ、いいよ!私がやっておくから。比企谷君は作業に集中して!」
八幡「分かりました、お願いします。」
厨房スタッフ1(今の君は厨房からもホールからも外せられないっ!ちょっと厳しいと思うけど、勤務時間が終わるまで頑張って!)
ーーー10分後ーーー
八幡「1〜3番テーブル、全メニュー仕上がりました。1と3番テーブルは俺が持って行きます。2番テーブルをお願いします。」
ホールスタッフ「分かったわ。」
さて、オーフェリアの所に行くか。アイツ絶対俺以外の奴から渡されたら、ガン飛ばしそうだし。
八幡「お待たせしました。こちら特製サンドイッチとコーヒーです。食後のオススメは後ほど用意します。ごゆっくりどうぞ。」
オーフェリア「………ありがとう。」
よし、まず1人目だ。次の席は親子連れのテーブルだったな。
八幡「お待たせしました。こちらオムライスとオレンジジュース、ハンバーグとコーラでございます。食後のデザートは後程ご用意します。そして、少々失礼いたします。」
母親「はい?」
八幡「今からちょっとした香りの手品をしますので。と言っても、もう仕込んでありますけど。」
俺がオムライスの卵をナイフで1刺しすると、そこから一気に香りが爆発した。
母親「っ!?これ、カレーの匂い?」
八幡「はい。カレーリゾットオムライスでございます。ライスにリンゴやバナナ、人参をペースにしてリゾットに仕上げました。オムレツにも様々な調味料を使ったソースを使っております。勝手にメニューを変えて申し訳ございません。」
母親「い、いえ!!す、すごく美味しそうです!!頂きます!」
子供「お母さん、僕もそれ食べてみたいっ!」
八幡「ごゆっくりどうぞ。」
3番テーブルの親子連れから放たれる強烈な香りが殆どのお客を魅了し、目が離せなくなっていた。今か今かと食べる瞬間を待っているようた。
パクッ!
八幡sideout
ーーーーーー
食べた母親は顔を殴られたような衝撃を受けていた。今まで体験した事も無いような強い衝撃が口の中を襲っていた。
母親(な、何これっ!?美味し過ぎるっ!!これ以上の評価が出来ないくらい美味しい!!この料理、普通の作り方じゃ絶対に出来ないっ!!)
子供「お母さん、美味しいの?」
母親「……食べてみなさい、すぐに分かるわ。」
そして子供も一口。
子供「っ!!すっごく美味しい!!こんなの僕食べた事無いよ!!良いなぁお母さん、僕もっと食べたいなぁ……」
母親「じゃあ半分こしましょう。」
この親子の反応を見て、オムレツを希望するお客が一気に増えた。当然この作業は八幡にしか出来ない為、厨房スタッフの3人はサポートに徹するしか無かった。
八幡「全テーブルメニュー上がりです。ホールスタッフはお願いします。」
ホールスタッフ「え、えぇ!」
店長「わ、分かったよ!」
最早厨房は八幡の独壇場だった。1人で十数人分の品を作っているのを見て、彼の手伝いをしようと思う人は居なかった。寧ろそれが邪魔になるのでは?とも思っていた。
そして、八幡の1日バイトの定時時間になると……
八幡「別に最後まで残って作業しても大丈夫ですよ?俺だって楽しいですし。」
店長「いやいや、これ以上は逆に申し訳なくなってしまうのと、僕達スタッフの自信にも関わってくるからね。今日は日雇いというわけだけど、来てくれて本当に助かったよ!これ、少ないけどバイト代ね。君が定時まで働いてくれた時給分と売り上げの1割を入れてあるから。じゃあ今日はお疲れ様!」
八幡「はい、お疲れ様でした。」
八幡は無事、1日バイトを終える事が出来た。しかも店先からの評価は最高。お客からの評価も最高だった。そしてこんな事も書かれていたらしい。
『もし彼がこのお店のスタッフ、或いはお店をオープンしたら、私は毎日彼のお店にご飯を食べに行く事をお約束します!!』