喫茶鉄血   作:いろいろ

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ドルフロの数だけ指揮官や人形はいるのにカリーナだけはどうしようもないよねって思ったけどジョーイさんやジュンサーさんみたいにめちゃくちゃよく似た親族ってことならありなのではと考え続けて気がついたら窓の外が明るくなってました笑


第八十八話:シスコン会にFALが呼ばれるのは当然のこと(無慈悲)

「さて、始まりました第一回『お姉ちゃん大好きな妹の会』、いぇーい!!!」

 

「「「い、いぇーい。」」」

 

「・・・・・・・。」

 

「みんなノリ悪くない!?」

 

 

そんな唐突にアホなことを言い出したのは元気溢れる妹キャラでおなじみのUMP9。それにとりあえず乗っかっておくのはM1ガーランドとM4A1、そしてG36Cの三人。最後に無言で頭を抱えるのが苦労人でおなじみのFALだ。

喫茶 鉄血のテーブルを囲んで始まった新手のシスコン会、メンツからして9が声をかけて集めたのだろうが、なぜそこに自分も呼ばれたのか、FALは不思議でならない。

 

 

「ねぇ9、他の三人は分かるけどなんで私も呼ばれたの?」

 

「え? だって45姉たちの集まりの時って絶対いるよね? だから呼んだの!」

 

 

要するに、姉の集まりを真似たかっただけらしい。もっとも9は姉がどんな話し合いをしているのかなんて詳しく知らないため、それが知りたくて呼んだのもあるようだが。

だが呼ばれた方はたまったものじゃない。何が楽しくてあの悪夢のような集会の真似事に付き合わされねばならないのか、FALがいくら優秀な人形だとはいえ、精神的なダメージ(主に胃にくる)に耐えられるほど頑丈でもない。45の変態的ストーカーを止めてM16のからみ酒を躱してMG34の妹絡みトリガーハッピーを押さえつけて・・・・・・

泣いていいかな。

 

 

「・・・で、具体的には何をするのかしら? 呼ばれた以上はある程度協力してあげるけど。」

 

 

至極面倒だがかといって切り捨てることなどできない、それがFALなのだ。おかげで密かに想いを寄せる指揮官からも『頼りになる部下』として信頼してもらえている。

まぁ、そのせいで恋愛感情には気づいてもらえないのだが。

 

 

「お姉ちゃんって、妹の方が好きでしょ?」

 

「まぁそうね。 ていうかそういうこともはっきり言うのね。」

 

「えへへ〜。 でね、じゃあどれくらい好きか確かめようって思って。」

 

 

なんだろう、嫌な予感がする。それも面倒極まりないほどの、直接の被害はないが胃にくるタイプの、そんなやつが。

 

 

「というわけで!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大変! 大事な妹が◯◯されちゃったドッキリ』をやりたいとも思います!」

 

「お願いやめて!?」

 

 

とっさに止めたFALはきっと正しいのだろう。そんなことをすれば暴動どころか一歩間違えれば、いや間違えなくとも死人が出る。というかいい笑顔でなんてことを言い出すんだこの人形は!?◯◯の中身が何かは知らないが絶対ロクなもんじゃない!

他の三人も唖然としてて、互いに顔を見合わせながらなんとか止めようとしてくれる。

 

 

「ね、ねぇ9。 それは流石にちょっと・・・・・」

 

「あ、M16の場合は『一日禁酒しないとM4の配属を変える』っていうクルーガーさんの命令。」

 

「・・・・・ありかも。」

 

「M4っ!?」

 

 

だって姉さん、飲んでない日なんてないんですよ!?とうんざりした顔で愚痴るM4。なるほど酒か妹か、彼女にとって究極の選択とも言えるだろう・・・・・もし酒に負けるようなら本気で配置転換だなと思うM4だった。M16にしてみればAR-15とSOPがそれぞれ彼女持ちとなりM4まで離れたらそれこそ酒に溺れる日々だろう、そしてROにも呆れられて一人ぼっちに・・・・・・。

 

AR小隊の闇を見た気がするFALだった。

 

 

「そういう9は? というよりもしかして全部考えてきたんですか?」

 

「もちろん! 私は『部隊再編に伴って416と別れることになってしまったのを45姉に相談する』ってヤツ。」

 

「地味にエグいのぶっ込んできたわね!?」

 

 

妹といられることに変わりはないがそうなると妹と最愛の人が離れ離れ、二人をくっつけるとなると妹と離れ離れ・・・9は本当に姉が好きなのだろうかと疑いたくなるくらいひどいものだ。相談された45は堪ったものじゃないだろう、上の命令は絶対だが妹の悲しむ顔は見たくない、そんな板挟みだ。

 

 

「もう少しマイルドにしてあげたら? 『妹が本当に好きならサルミアッキ一箱分食べる』とか。」

 

「それもそれでひどいと思いますが・・・・・。」

 

「えぇ〜、でも味覚切られたら終わりだよ?」

 

 

ごもっともだ。だがこのままでは本当にエグい精神攻撃系ドッキリを実行してしまいかねない。そうなればどうなるか、十中八九後始末にFALが駆り出されることになる。断ればそれで終わりなのだがそうするとまた別の厄介ごとが増える気がするため、実質選択肢などない。

なんとか、せめてまだまともと言えるようなものは・・・・・

 

 

「バーンッ! なかなか面白そうな話をしてるじゃないか!」

 

「その話、私たちも一枚噛ませてもらおうか?」

 

「お願いですからじっとしていてください二人とも。」

 

 

自分で効果音まで言って無駄に派手な演出で現れたのはトラブルメーカー筆頭とその燃焼材、アーキテクトとマヌスクリプトのコンビだった。代理人も流石にこの二人を絡ませるのは危険だと判断したのか、青筋を浮かべながら止めに入る。

が、何度も怒られるうちに彼女らは学習したのだ。勝手にやるから怒られるなら、許可さえ取ればいいのだと。

 

 

「というわけでこれが私たちの企画だ!」

 

「名付けて! 『捕まった妹たち! 満足な装備もない中、押し寄せる機械兵相手に彼女たちを救うことができるのか!?』作戦だよ!」

 

「「「「「うわぁ・・・」」」」」

 

 

FALや代理人、ガーランドにG36CにM4までドン引く内容のフリップとタイトルだった。シナリオは至極単純で、とある人権団体過激派によって人形(妹達)が攫われたという情報が()()()()姉達の耳に入る。彼女達は激怒し、ろくに調べもせずに敵陣に突っ込む。しかし待ち受けているのは人形を弱体化させる謎電波と、いつぞやの虫型機械兵(ネストや土蜘蛛)。捕まったが最後、機械とはいえ虫に群がられてしまうのだ・・・・・。

 

最後まで聞くと流石に9も青い顔をする。なにせこの場で唯一、あの昆虫ロボットの餌食になったのだから。

 

 

「あ、あれって全部廃棄したんじゃないの?」

 

「あの時現存してたやつはね。 まぁ設計図があるからすぐ作れるよ!」

 

「生産性が売りだからね!」

 

「ちなみに人権団体役の人も手配してるよ! はい、どうぞ!」

 

「どうも、会長です。」

 

「お帰りください。」

 

 

人権団体(ガチ)じゃねーか。友好的とはいえそんなのを連れてくるとは、というかなぜかこんな茶番に協力してくれるのか。

 

 

「こう見えて鉄血工造にも出資していましてね、株主優待(喫茶 鉄血のクーポン)に色をつけてくれるというので。」

 

「もちろん合法だよ!」

 

「・・・・・・・。」

 

 

今すぐ追い出したいが残念ながらここまで用意周到ではどうしようもない。さらに彼女らは使う廃墟の許可やら使用後の処分など諸々の手続きを済ませる用意があり、参加する当人ら以外には一切迷惑をかけないつもりらしい。

気がつけばFALと代理人を除いて何故か賛成の方向で進んでいる。まぁ多かれ少なかれ、姉の暴走には手を焼いているのだろう。ちなみにガーランドは春田の指揮官絡み暴走癖に、G36Cは姉の酒癖の悪さにである。

 

 

「じゃあ決まりだね! 準備ができたら連絡するからよろしく!」

 

「これでまた新たな資料が・・・・・クククッ。」

 

「・・・・・代理人、胃薬もらえる?」

 

「はい、どうぞ。 それと今日の分はサービスしておきます。」

 

「・・・ありがと。」

 

 

FALの受難は続くのだった。

 

 

 

end




ちゃうねん、別にFALが嫌いなわけやないねん、ただ常識人なだけやねん。
ちなみに一番最初に思いついたドッキリは、姉のポケットに仕込んだ妹の下着を見つけて『お姉ちゃんなんて大っ嫌い!』というシンプルなやつでした。


ではではキャラ紹介とか。

9
元凶。姉のことは好きだがややおかしな方向に進んでいる。似たようなドッキリを416にやると上手いこと返されて逆にはめられるのでそのせいかも。

M4
普段はあまり言わないがふつふつと溜め込むタイプ。最近黒っぽい面が出てくることが増えた気がする。

M1ガーランド
春田の相談役兼ストッパー。微妙にヘタレなところ、妹が大勢いるのに姉としての威厳が失われつつあることを嘆き、このドッキリで逆に姉としての自覚を取り戻してもらおうと考えている。
この作品の中ではかなり珍しい普通のいい娘。

G36C
隠れ苦労人。ヘリアン化しつつある姉に嘆くも、なんだかんだで放っとけない。あんなんでもきっとまだマトモだと信じたい一心で、今回のドッキリに賛成した。
酒にめっぽう強く、ロシア勢とタメを張れるレベル。

いつもの二人
説明不要。

会長
支援要員。



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