喫茶鉄血   作:いろいろ

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416のスキンが出ないのでロリスキン書きます(錯乱)

いいもん、カードの力で春田とWAちゃんとBARちゃんのスキン出たもん!


第八十九話:わがままレディ

「〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜♪」

 

 

その日、グリフィンS09地区所属の人形・UMP45は大変ご機嫌だった。先日行われた『姉は本当に妹が大切なのか確かめよう作戦(命名:UMP9)』のお詫びということで、9と丸一日過ごすことができるからだ。あの時はとりあえずFALをボコらねばと殺意に沸いていたが、こんなご褒美があるなら何度だって受けてもいい(シスコン脳)

そうこうしているうちに9(と416)の部屋にたどり着く。9が416と付き合いだしてから部屋が別れてしまいG11を起こすのが日課となった45は、ドアに掲げられた『UMP9とHK416の部屋』というカードに軽くイラっとするが、気持ちを切り替えて部屋をノックする。

 

 

「9、おはよう。 今日はどこに行こうかしr・・・・・・・」

 

「あ・・・・・・・」

 

「すー、すー、すー・・・・」

 

 

今すぐ飛びつきたい気持ちを抑えて自然に開いたドアの向こう、そこにいたのは愛しの妹であるUMP9と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・・・・え?

なんか困ったような顔の9の膝の上で眠るソイツは水色の髪に涙のような赤いタトゥー、そして髪の色によく似た十字の髪飾り・・・・・・・・・・・・・・・・・HK416によく似ていた。

 

 

「・・・・・9」

 

「ど、どうしたの45姉?」

 

「おめでただったのね知らなかったわ416似の娘なのはちょっと残念だけど二人の愛の結晶なのねしっかり育てるのよお幸せに」

 

「待って待ってまず話を聞いて!?」

 

 

血のように赤い涙を流しながら笑顔で息継ぎもせずに言い切った45を落ち着かせるのに三十分もかかった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「・・・・・つまり、こいつはあの416ってことなの?」

 

「そうみたい。 見た目も思考も子供っぽくなってるけど間違いないよ。」

 

「・・・・・・・・」ギュッ

 

「ああ、大丈夫だよ416ちゃん! この人は私のお姉ちゃんだから!」

 

 

それでも本能的な危機を感じているのか、一向に袖から手を離さないチビ416。が、これがあの416本人だとしてもいくつか疑問がある。まず第一に416は昨日から新型スキンのテスターとしてIoP本部に行っているはずで、もし終わったのなら9に連絡が来るはずなのだ。さらに、この416は見ての通りこれまでの記憶がほとんどない。9に関係することはほぼ覚えているようだが、それ以外はまるでなかったかのように抜け落ちている。間違いないと言った9だが、正直確証は持てていない。

あとちっこいの、今日は私と9がイチャつくんだから離れなさい。

 

 

「と、とりあえずペルシカに連絡しましょう。 あとはこの娘をどうするか・・・・・」

 

「う〜ん、でもこのままここに置いとくのは・・・あ、そうだ!」

 

「・・・・・・・?」

 

 

9が何か閃いたような顔で45を見る。その晴れやかな表情は45にとって大変微笑ましいものではあるが、同時に突拍子も無いことを考えている顔であることも察していた。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

人形は基本的に無神論者である。まぁ人間と違いその起源がわかっているからというのが大きい。だがこの日、45はその神に感謝の念を抱いていた。

 

 

(あぁ、神さま本当にありがとう!)

 

「? どうしたの45姉?」

 

「んふふ、なんでも無いわよ9♪」

 

 

明らかに浮かれている理由、それは9と約束した一日を過ごしていることと、その9が抱えているチビ416にある。久しぶりに二人で肩を並べて街を歩くだけでも満足なのに、ちびっ子までいるとまるで本当に家族になったような気分だ。娘の顔が416似なのがちょっと残念だが、まぁ家族気分に浸れるなら些細な問題だろう。

そんなわけで45の表情は終始腑抜けっぱなしだった。

 

 

「で、どこに向かってるの9?」

 

「うん、ペルシカに連絡したらすぐには行けないからって代わりにアーキテクトに来てもらうんだって。 だから集合場所は・・・・・ここ!」

 

「あーうん、そんな気はしてたわ。」

 

 

そんな三人がやってきたのはお馴染みの喫茶 鉄血。まぁ相談事にも集合場所にも最適だが、いまいち新鮮味のないデートに若干がっかりする45。だが9にしてみれば最愛の彼女がこんな姿になっているのでは落ち着かないだろう。

そういうわけで困った時の駆け込み寺、安心と信頼の喫茶 鉄血である。

 

 

カランカラン

「いらっしゃいませ・・・・・おや、45とナイn・・・ん?」

 

「あはは・・・・いきなりだけど個室は空いてるかしら?」

 

「突然ごめんね代理人。」

 

 

いつも通り出迎えようとした代理人の動きが止まり、目をパチパチさせる。そりゃそうだろう、9の腕の中でキュッと小さくなっている416っぽい子供がいればそうなる。どうやら訳ありらしいので、幸い空いていた個室へと案内して話を聞く。合流することになっているアーキテクトにも伝え、来るまでの間に確認できることだけ確認しておく。

 

 

「なるほど、つまり現れた時にはその姿だったと。」

 

「うん、泣きながらベッドに入ってきたからビックリしちゃって。」

 

「ていうかこんな子供の侵入を許すなんてどんな警備してるのよ。」

 

「9! あーん!」

 

「ん? あーん。」

 

「・・・・えへへ〜!」

 

(((可愛い)))

 

 

つついていたケーキを一口、9の口に持っていく416。

なんというか、以前よりはましだが普段からツンツン気味な416がここまでデレるとなかなかのものだ。世のロリコン大歓喜だろう。しかしスキンのテスターと言ったが一体IoPはどこを目指しているのだろうか・・・・・・あ。

 

 

「IoPに直接聞けばいいのでは?」

 

「「あ・・・・・。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で? つまり成功したはいいけど幼児退行が進みすぎて泣きながら逃げ出したと?」

 

『も、申し訳ございません! ずっと敷地内に隠れていると思っていたのですが、まさかそっちまで行ってしまうとは・・・』

 

「帰り道とか電車の乗り方とかはわかるんだ・・・・。」

 

「縮んでも幼児退行しても中身は変わらない、ということでは?」

 

「とりあえず、そっちに送り返せばいいの?」

 

『ええ、すぐに元の体に戻しますし、記憶も元通りになります。』

 

「やだっ!!!」

 

「・・・・・416ちゃんが嫌がってるのは?」

 

『何もしてませんよ!?』

 

 

かつてないほど冷たい声で問い詰める9にヒヤヒヤしながらも、担当研究員は事情を説明する。今回は以前17labが開発したロリスキンの改良を目指し、ついでに対象を『ツンツンした人形』に絞って調整していたらしい。が、ロリ化の反動かはたまた普段から寂しさを抱えていたのか、スキンを適用した途端に泣き出し研究員たちを振り切って逃げ出してしまったという。人形としての性能に加えて小さくなった体は見つけにくく、また研究員達の運動不足も相まって一向に見つからないまま丸一日が過ぎたらしい。

・・・まさか自力で帰るとは思ってもみなかったらしい。

 

 

『とにかく、一度こちらに来ていただく必要がありまして。』

 

「ヤダヤダヤダっ!!!」

 

「よしよし、大丈夫だよ〜・・・・・はぁ、今すぐは無理だけどそっちに行くよ。」

 

『えぇ、こちらもすぐに戻せるように準備はしておきます。』

 

 

それだけ言うと通話を切り、ぐずる416にケーキを与えて落ち着かせる。9の中でIoPへの不信感が爆発的に大きくなっているが、416が行きたがらない理由はただ9と離れ離れになるのが嫌なだけなので彼らに非はないのだ・・・・・実験中の顔が妖しい笑みなのを除けば。

そんな時、個室の扉が勢いよく開き、何やら怪しげな装置を背負ったアーキテクトが駆けつけてきた。

 

 

「お待たせっ! とりあえず色々持ってきたよ!」

 

「わざわざありがとうアーキテクト。 でももう解決しちゃった。」

 

「この『超・解析くん』にかかればどんな不調の原因だって丸わかr・・・・・え?」

 

「本当にごめんね・・・・・そんな悲しそうな顔しないで!? 本当にごめんって! なんでも奢るから!」

 

「ん? 今『なんでも』って?」

 

「・・・・・45姉が。」

 

「9っ!?」

 

 

しれっと姉を売る9に非難の目を向けるが、もうすでに決まったことのようでアーキテクトが目をキラキラさせながらメニューを指差す・・・・・スペシャルケーキ(1200円)を。

妹のお願いでなければその目に閃光弾を埋め込んでから起爆してやるところだが、渋々財布から1200円を支払う。代理人もちょっと呆れ顔だったが、あくまで止めるつもりはないらしい。

 

 

「・・・・で、これがあの416? 可愛い〜!」

 

「ちょっとアーキテクト! 416ちゃんが怯えてるんだけど!?」

 

「大丈夫大丈夫、怖くないよ〜アダッ!?」

 

「こっち来ないで!」

 

 

416の平手をまともに受けてよよよっと泣き崩れるアーキテクト。しかし元が416だからかかなり警戒心が強く、9以外には45でさえも懐く気配がない。代理人に関しては無反応だったが、アーキテクトには露骨に警戒心をあらわにしている・・・・・日頃の行いだろう。

なるほどこれでは研究所から逃げ出すわけだ。

 

 

「・・・ねぇ9?」

 

「ん? なぁに416ちゃん?」

 

「ギュ〜ってして。」

 

「こんな感じかな?」

 

「・・・えへへ〜〜、暖か〜い!」

 

「・・・・・これ、本当に416?」

 

「9にはデレッデレよね・・・・・G11に写メ送っときましょ。」

 

 

パシャっと一枚撮り、G11(愉悦部)に送りつける。アレのことだから有効活用してくれることだろう。

だがしかし、本来は9と二人っきりの一日のはずなのに416にとられたのは正直面白くない。ちっこくなってるからといっても416は416、たまには隊長であり姉である自分に譲ってもらわねば・・・・・というわけで、

 

 

「じゃあ私はこっち〜♪」

 

「むっ!」

 

「よ、45姉?」

 

 

9の隣に席を移し、肩にもたれかかるように座る45。幸せ顔から一転、新たな敵と認識した416がキッと睨みつけるが、大人であるならともかく子供のままでは大した威嚇にもならず、45はフンっと鼻を鳴らす。挟まれている9はオロオロするしかないが、助けを求めようにもアーキテクトはスペシャルケーキを頬張るだけで我関せずといった感じだ。

結局最後は416が泣き出し、代理人が仲裁に入る形で解決。後日9の付き添いで研究所に戻り、ちゃんと元の姿と記憶(チビ状態も含む)を取り戻した416であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ねぇ9。」

 

「なぁに416()()()?」

 

「その・・・・『416ちゃん』っていうのはやめないのかしら。」

 

「んふふ〜、いいじゃん可愛いんだし!」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「ほらほら、またギュ〜ってしてあげようk・・・んむっ!?」

 

「・・・・・・プハッ・・・ねぇ9、ここでもう一度どっちが上かはっきりさせようと思うのだけど?」

 

「ふぇっ!? ここで!? せ、せめてホテルとか・・・・・」

 

「ダメよ、お調子者にはお仕置きしないとね・・・・・・・ウフフ。」

 

「ま、待って416! ここじゃ人が来ちゃう・・・・・あっ」

 

 

その日以降、9が416ちゃんと呼ぶことはなくなったとさ。

 

 

end




体だけ小さくすべきか、それとも幼児退行させるべきか・・・・・サイコロ神は後者を選んだようです。
いやぁ416ちゃんは可愛いなぁ!


というわけでキャラ解説

416
ちっこくなっただけでなく幼くなった。
もちろんスキンなので戦えるが、そこらの武器よりも防犯ブザーの方が強力。

45
作戦以外はダメな姉。
任務中は404小隊のトップだが、それ以外では最下層にまで落ちぶれる。こんなんだが妹に手を出すことはない。

9
家族が増えるのはいいけど恋人がいなくなるのは嫌。
ここぞとばかりに攻勢に出て返り討ちにあうのはお約束。

アーキテクト
呼ばれたけどなんの役にも立たなかった。
ケーキ一個で機嫌が直るアホの子。

代理人
不測の事態でも臨機応変に対応してくれる頼れる人形。
困ったことがあればとりあえず連絡すればいい。

IoPの皆さん
二徹三徹する体力はあるが走り回る体力はない。
やましいことは何もないが疑われやすい。



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