喫茶鉄血   作:いろいろ

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コラボ依頼にリクエストに感想に・・・私はなんて幸せ者なのだろう!
だが! なぜ!! そういう時に限ってバイトが忙しいんだっ!?

というわけで今回は以下のラインナップ
・買い物デート
・続・彼女の好みは
・常識外の人形たち
・ノインの旅路


番外編23

番外23-1:買い物デート

 

 

「・・・ねぇ9。」

 

「ん? どうしたの416?」

 

「この服のチョイスはなんなのかしら?」

 

 

416ちゃん騒動から数日、416が改めて立場をわからせてから大人しくしていた9だが、喉元過ぎればなんとやらで再び調子に乗りだしたのだ。具体的には、あの時の416の子供服が忘れられないらしい。

 

 

「こういうの似合うと思うよ、416!」

 

「はぁ・・・9、切り替えの早いところはあなたのいいところだけど悪いところでもあるわよ。」

 

「で、こっちが私の! うふふ、お揃いだね!」

 

「だから話を・・・・・はぁ、まぁいいわ。 でも私はこっちの方がいいと思うのだけど。」

 

 

もう一度お仕置き(意味深)してやろうかとも思ったが、9が楽しそうなので苦笑しつつ見逃してやる416。なんだかんだで416も9に甘々なのだ。

さてそんな9が選んでいるのは黒いワンピース。流石にあの子供服とかは着られないので、色やデザインが似ているもので選んだのがこれである。一方の416は彼女にしては珍しい白と黒のボーダー柄・・・9の私服(バレンタインスキン)によく似た色合のものだ。

 

 

「よ、416・・・///」

 

「あら? 恋人とはお揃いにしたくなるものでしょ?」

 

「も、もぅ・・・!」

 

 

自分から言うのはいいが言われる側だとすぐに照れる9に、416はニンマリと笑ってまたからかう。

そんなイチャラブムード全開の二人を、45と40は物陰から見つめるのだった。

 

 

「うわぁ、見てるこっちが恥ずかしくなるよ・・・」

 

「ほんと、もはやテロよねあの二人の空気・・・・・おのれ416私の9とこんな白昼堂々とイチャつきやがって・・・!」

 

「でも見守ってあげてるんだね45。」

 

「9の笑顔のためよ。 決して! 断じて!! 416のためなんかじゃないわ!!!」

 

 

妹を取られた妬みと妹の幸せを願う心で板挟みになりながら、45は今日も二人を見守る。

今日も一日、平和であった。

 

 

end

 

 

 

番外23-2:続・彼女の好みは

 

 

その日、代理人は一人悩んでいた。つい先日のダネルたちの会話で、聞けばどうも自分の好みについて話していたらしい。Dがいらんことまで話し始めようとしていたので軽く『おはなし』したが、しかし言われてみれば自分のことにはまるで頓着なかったことに気がつく。

 

 

(容姿・・・性格・・・経歴・・・・・ダメですね、どれもピンときません。)

 

 

代理人自身、まさか自分のことでこれほど悩む日が来るとは思わなかった。別に結婚願望があるわけでもないし、彼氏が欲しいわけでもない。だが自己分析の結果、彼女の中のハードルがやたらと低いために絞り込めないでいるのだ。

案外、ストレートに告白したらお付き合いしてくれそうな気がしなくもない(異性に限る)

 

 

「Oちゃん! どしたの難しい顔して?」

 

「いえ、なんでも・・・そういえばD、あなたには理想像とかはありますか?」

 

 

ふと思いついた疑問をぶつけてみる。製造当初は『素直な代理人』だったDだが、強い自我のせいかメインフレームとは違う独自の趣味嗜好を持つに至る。それでもダミーに変わりわないので、Dの好みは代理人の好みに近いものになるはずだ。

 

 

「私? う〜ん・・・・・優しい人、かな?」

 

「またざっくりな・・・」

 

「えへへ、でも理想ってそれくらいかな。 あとは人形としてじゃなくて一個人としてみてくれるなら、ってとこだね。」

 

 

ニヘッと笑うDに、代理人もつられて笑う。生まれた時は恋愛なんて全く無関係だった話なのに、自分たちも随分と人間じみたことを考えるようになったものだ。

それが良いことなのか悪いことなのか、今はまだわからない。ただ人形でも変わっていける、そう実感する代理人だった。

 

 

 

 

 

「・・・でもOちゃんもそういうの気にするようになったんだね。」

 

「ん? どういう意味ですか?」

 

「いやぁ、てっきりこのまま行き遅れコースかなって待って待って腕はそっちには曲がらなああああああああ!!!!!!!」

 

 

end

 

 

 

番外23-3:常識外の人形たち

 

 

あらすじ・規格外の人形たち(クロスオーバーキャラ)たちが一堂に会しました(白目)

 

「・・・・・ほぉ。」

 

「これはまた楽しめそうな連中だ。」

 

「お願いですから自重してくださいよ。」

 

 

喫茶 鉄血・・・・・ではなく鉄血工造の会議室を貸し切って行われた会合、そこに集まったのは諸事情により通常のメンテナンスを受けられないため鉄血工造でメンテを受けている人形たち。この世界の常識を軽く突き抜けた連中である。

ある意味帰る場所のない孤独な彼女らでコミュニティを形成すれば何かと有意義なのではという思いつきは、開始速攻で舌なめずりをするカスールとジャッカル(戦闘狂)のせいであっという間に瓦解した。

 

 

「・・・・・殺る気?」

 

「あ? 相手になんぞ。」

 

「わーわー! 二人とも落ち着いて!」

 

 

まず殺気やら狂気やらにやたらと敏感なヤーナムが目を細めて臨戦態勢に移行し、血の気の多いタイプライターもギャングのような目つきで得物を構える。すかさずチェーンが止めに入るが、今ここでドンパチが始まれば間違いなく部屋どころか建物ごと吹き飛びかねない。この中で唯一()()()()威力しかないサムライエッジなどあっという間にすりつぶされてしまうだろう。

・・・・・だが、意外なことに一番最初に殺気を解いたのはジャッカルとヤーナムだった。

 

 

「・・・・・ふっ、冗談だ。 日和った奴らと馴れ合うつもりはなかったが、貴様とはうまくやれそうだ。」

 

「・・・・・私は、『獣狩りの短銃』・・・獣以外を狩る気はない。」

 

「クックックッ・・・・貴様の言う『獣』、なぜか我々には他人事には聞こえんがな。」

 

 

ジャッカルに続いてカスールも雰囲気を和らげ、それに合わせてタイプライターも銃口を下げる。ドッと疲れたようにため息を吐くサムライエッジとチェーンは互いに顔を見合わせると、何かを通じあったように握手を交わした。

と、誰にも知られぬ鉄血工造の危機が去ったところでタイミングよくノックが鳴り、テンション高めのアーキテクトが入ってくる。

 

 

「やっほー! おまたせ〜って、あれ? どうしたの?」

 

「あぁ、うん・・・・やっぱり一悶着あったんだね。」

 

「だから言っただろう、こいつらだけで一緒にするなと。」

 

 

アーキテクトの後ろから現れたのは頭に手を置き深いため息をつくサクヤとゲーガー。なにせ彼女らのメンテナンスが終わったと聞いて話を聞きに行こうと来てみれば、アーキテクトがすでに全員を同じ部屋に案内した後。

最悪、鉄血工造がなくなるかもしれない事態に大いに慌てたのだ。そんな二人の苦労など知らず、アーキテクトは呑気にメンテナンス結果を伝えていく。

 

 

「まぁみんな健康そのもの、むしろ人形としての性能は頭おかしいレベルで高いよ!」

 

「ふっ、当然だ、そこらの銃と一緒にされてはかなわん。」

 

「もとより人が扱うべきモノではないのだ。」

 

「まぁ、私もカスタム銃ですし。」

 

「・・・・・愚問。」

 

「ん? そうなのか? 私は普通だと思ったんだが。」

 

「ん〜、まぁ相手がモンスターでしたからね。」

 

 

そんな感じでこの破天荒で常識外の人形たちの最初の会合は無事終了する。ちなみに、彼女ら異世界チート銃らは有事の際は軍の指揮下に入るということになっているのだが、当の軍が手綱を握りきれないということで突き返されてしまうのは、また別のお話。

 

 

end

 

 

 

番外23-4:ノインの旅路

 

 

並行世界からきた『人間の』UMP9改めノイン。新たな世界、新たな自分を受け入れて自分探しのために世界を旅する彼女は今・・・・・

 

 

「ま、待ってぇえええええ!!!!!」

 

「にゃ〜お」

 

「くっ、そこでおとなしくしt『バキッ』うわああああああ!!!?」

 

 

一匹の猫に振り回されていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパを出発し、とりあえず大陸をまっすぐ突っ切っていたノインだが、別に自転車の旅でもバックパッカーでもないので割と順調かつハイペースで進んでいった。その結果はやくも大陸の端までやってきて、さぁ次は北米大陸だと思った矢先にまさかの列車の行き先を間違えるというポカをやらかす。戻ればそれで済むがまぁ来ちゃったものは仕方がないとそのまま進んで、今現在は極東の島国・日本にいる。

民宿やらカプセルホテルやら田舎の家やらに泊まりつつとりあえず首都までは向かっているのだが、その過程で受けた依頼がまずかった。

 

 

「え? 猫ですか?」

 

「そ〜なのよ! うちの『おモチ』ったら全然捕まえられなくって・・・一回獣医さんに見せたいから捕まえてくれないかしら?」

 

「わかりました。 私に任せてください!」

 

 

自信たっぷりに引き受けるノイン。前の世界でも彼女は猫に懐かれていたし(姉は懐かれなかった)、たかが猫一匹捕まえるなどあの地獄に比べれば容易い、そう思ったのだ。

そしてその思い込みは、おモチを見つけて数分で崩れ去る。

 

 

「ぜぇ、ぜぇ・・・な、なんで捕まらないの・・・・」

 

「にゃ〜」

 

「くっ・・・卑怯だから使いたくなかったけど、くらえ! ロケットパーンチ!」バシュッ!

 

「にゃっ」

 

「あっ!? はずしたってぎゃあああああ!!!!!」

 

 

おモチという名にふさわしい丸くずんぐりな体型、ふてぶてしい表情、そしてそんな見た目に反してやたらとフットワークが軽い猫に、ノインは終始振り回されっぱなしだった。懐く懐かないの問題ではない、もはや舐められている。

ノインは理解した。彼女に懐いていたのは同じ地獄を生きてきたあの猫だからであり、平和なぬるま湯に浸りきったこいつにそんな優しさは微塵もないのだと。

アームが引き寄せてしまった木の枝で真っ赤になった顔をさすりつつ、『人形』時代の全経験と知識を駆使して本気で捕まえにかかる。塀や壁、木々を戦闘機動で駆け抜け、鬼気迫る表情で追いかける。

 

そして、日も暮れ始め夕日が眩しくなった頃・・・・・

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・つ、捕まえ、ました・・・・・」

 

「に゛ゃ〜〜〜〜」

 

「あらあら、どうもありがとうね。 はい、これお礼よ。 それともう遅いから、今日はうちに泊まっていきなさいな。」

 

「お、お世話になります・・・・・」

 

 

息も絶え絶えにデブ猫を抱えて戻ってきたノインを迎えたのは、明らかに猫探しにしては多いお礼と美味しいご飯、温かいお風呂と柔らかい布団だった。

あぁ、なんかようやく『人間っぽい』なぁ、などと思いつつノインは安らかな気持ちで眠りにつくのだった。

 

 

 

 

翌朝、上に乗っかったおモチの重さに悪夢まで見た上に無駄な疲労感で起こされたのさえ除けば、最高の一日だったという。

 

 

end




はい、というわけで今回はリクエスト消化も兼ねた番外編でした。
これ書いてる途中にコラボ依頼とかコラボ回とかがあっちこっちから来てもうびっくり!
というかみんな世界線超えすぎだろ・・・・・。


では、各話の解説!

番外23-1
八十九話の後日談。
9と416がイチャつく、ただそれだけ。45姉と電信柱がいい組み合わせだと思った。

番外23-2
九十話のすぐ後。
読者諸君、つまりまだチャンスがあるということだ。あとは2次元と3次元の壁を超えるだけだぞ!

番外23-3
リクエストから。
クロスオーバー組を集めた結果混沌としだしたけど絶対HELLSING組のせい。なお、この六人で部隊を組む場合は前衛がカスール・ジャッカル・ヤーナム、中衛がタイプライター・チェーン、後衛(司令塔)がサムライエッジ・・・・・勝てる気がしねぇ。

番外23-4
こちらもリクエストから。
ノインを日本に連れてくる案は前々からあったけど、喫茶 鉄血関係ないじゃんと言われそうだったのでお蔵入りになっていた。
ボツ案んではコミケの波に揉まれるというのがあったが、他ならぬ作者がコミケ未体験なので書きようがなかった。



喫茶 鉄血のリクエスト、まだまだ受け付けてます!
パンクしない程度な頑張るので応援もよろしく!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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