喫茶鉄血   作:いろいろ

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二話連続コラボ回なんて初めてじゃなかろうか。

今回は『焔薙』様のとこのユノちゃん・・・ではなくノアちゃんです!


追記:コラボしといて思いっきり名前間違えてたぁ!?訂正しましたが本当に申し訳ございません!!!


第九十一話:妹、襲来

突然だが、この店では不可解なことがしょっちゅう起こる。ここがそういう場所に建っているからなのか、それともこの店が引き寄せているのか。

それとも、ここの店主である代理人が呼び寄せているのかもしれない。

 

 

「・・・・・ん?」

 

 

その日も平和に過ごしていた代理人だが、妙に入り口が騒がしいようだ。Dの元気な声が聞こえてきたのだからトラブルではなさそうだが、一応様子を見ようとカウンターの方に出てみれば・・・・・そこにいたのは彼女の大切な友人。

 

 

「もしかして、ユノちゃん、ですか?」

 

「あ?」

 

 

とりあえず確認の意味で呼んでみたが、返ってきたのはやや威圧的な返答・・・・・ちょっと見ない間にグレてしまったんだろうか?パアッと輝く笑顔も今日はまだ見せておらず、何か大きな問題を抱えているのかもしれないと思い、Dにカウンターに案内するよう指示する。

ここまで違うとなると、この世界でもあっちの世界でもない、第三の世界から来たユノということだろうか。

 

 

「もしや、貴女は別の世界のユノちゃん、でしょうか?」

 

「あ~、アイツを知ってるってことはマジでアイツが言ってた別世界の喫茶店ってことか……その様子だと深くは聞いてねぇか、それともアイツもまだ知らない頃か」

 

 

・・・・・ん?今『アイツ』と言ったか?

しかもその『アイツ』というのからこの店のことを聞いたようで、しかもその人は別世界の人間。つまり『アイツ』とは、あっちの世界のユノちゃんということだろう。

そしてその推測は、目の前の彼女が出した端末の写真で当たりだと知る。

 

 

「まぁ、アタシとアイツは同じ世界から来てる……ちょっと事情があってな。んでこれが今のアイツ」

 

「そ、育ちましたね」

 

 

写っているのは確かに目の前の少女と、彼の地で指揮官として頑張っているというあのユノちゃんだった。が、全体的に大きくなっている上に一部は成長期という言葉では説明がつかないほど育っている。

これはアレだろうか、こっちでは数日であっちでは数年とかいう浦◯太郎的なものだろうか?

 

 

「本当に何も聞いてねぇって感じか。言っちまえばアタシらはクローンだよ、多分この世界にいる【ユノ】から生み出されたな」

 

「!?」

 

 

周りの気遣ってか小声で話す内容は、代理人とって衝撃的なものだった。が、少女(ノアちゃんというらしい)もそれ以上暗い話はしないつもりのようで、今度はユノちゃんの近況と彼女自身のことを話す。長く体を蝕んでいた症状はすでに治っていること、娘ができたこと、命を狙われたこと・・・・・自身の出自と、他のクローンと、ノアとの出会い、そして彼女を迎え入れるというあの娘(ユノ)らしい決断をしたことなどなど、結婚式以来情報のなかった代理人にとって、ノアの話すこと全てが新鮮で、一つ一つが思い出となっていった。

そんなこんなで数十分、気がつけばもうすぐ短い針が一周しそうなくらいまで話し込んだ二人の時間も、いよいよ終わりを迎える。

 

 

「わりぃ、忙しいのにあれこれ語っちまって」

 

「いえ、ユノちゃんの今が分かってとても有意義でしたよ、幸せそうで何よりです」

 

「まぁ、あの能天気バカ(ユノ)が真面目な時はだいたいヤバいって時らしいけどな……んあ?」

 

 

突然ノアが顔を上げ、怪訝な表情で周りを渡す。もちろん何かが起きた様子もないし、他の客も特に何もリアクションはない。

だが、代理人はその反応に見覚えがあった。

 

 

「もしかして、鈴の音が聞こえましたか?」

 

「アンタもか?」

 

「いえ、ですが前にユノちゃんが来た時もそれが聞こえて帰られましたので」

 

 

ふふっと笑うと、ノアもどこか納得したような様子でフッと笑う。もう帰る時間なのだ。

だがポケットに手を突っ込んで何やら難しい顔をしているノア。どうやら代金を心配しているようだが、彼女がこちらの通貨を持っていにことはわかっているので、

 

 

「代金は今の会話で十分です、ああ、ですがユノちゃんに伝えてください、今度はご家族皆で来てくださいと」

 

 

有意義な会話が、代金の代わり。それが異世界から来た客へのルールだ。

 

 

「……ああ、しっかり伝えといてやるよ、じゃあっと!?」

 

 

いよいよ帰ろうと振り返るノアだったが、そのタイミングで入ってきた一組の客に目を見開く。それは現れた客・・・こっちの世界のユノと母親のレイラも同じで、特にレイラの方は完全に固まるほどだった。

 

 

「ユノ、なの?」

 

 

なんとか絞り出したような声で、そう呟く。だがノアはそれには答えず微笑み返し、その隣にいるユノ(オリジナル)に近寄ると膝を折って目線を合わせる。

 

 

「なぁ、母さんや、皆のこと、好きか?」

 

「え、うん、大好きだよ!」

 

 

一瞬戸惑いながらも満面の笑顔でそう答えるユノ。その頭を撫でるノアの顔は嬉しいような悲しいような羨ましいような、そんな感情が綯い交ぜになったような表情だったが、最後は優しく微笑みかけると、

 

 

「その気持ち、ずっと持ち続けるんだぞ……アタシや、アイツみたいにならねぇようにな。何時までも幸せにな【オリジナル】」

 

「オリ……ジナル?え、そ、それって!」

 

「アンタもだ、この娘から目を離すなよ、後悔したくねぇなら絶対に一人にすんなよ!!」

 

 

ノアの言葉に困惑するレイラの言葉は聞かずに、二人の間をすり抜けて店を出る・・・・・前に何かを手のひらに作り出し、それを代理人に向かって放り投げた。

代理人が慌てて受け止めると、それは青く輝く、拳くらいもある綺麗な『サファイア』だった。

 

 

「代金だ、やっぱり受け取っとけ!」

 

 

そういった彼女は今度こそ振り向かず店を出て、すれ違ったナガンにも言葉をかけずに跳躍、飛行ユニットを生成して飛び立つ。

 

 

「マスター、ケーキ最高に美味かった……じゃあな!!!」

 

 

そんな言葉とともに彼女は大空へと消えていった。大きく手を振るユノの横でレイラとナガンがポカンとする中、代理人はテーブルの上に残された端末を拾い上げる。

 

 

「あら、これ」

 

「さっきの娘の端末、ですよね?」

 

 

後ろからひょこっと現れたDが画面を覗き込み、そして思わず笑ってしまう。画面の中ではちょっと大きくなったユノとさっきの少女(ノア)が並んでおり、笑顔のユノとやや仏頂面のノアが同じピースサインをとっていた。

 

 

「ふふふ、奥に置いとこっかOちゃん?」

 

「えぇ、きっと取りに来るでしょうから。」

 

「あ、スペシャルケーキ一つ!」

 

「なんだったのかしら、今のは・・・・・ってユノ!?」

 

「む? ならわしもそれにしようかの。」

 

「ナガン!?」

 

 

急に騒がしくなるのもいつも通り。代理人はクスッと笑いながら端末とサファイアを奥へと持って行き、鍵のかかった戸棚にしまう。

隣に並べられたコインが少し輝いて見えるのは、案外見間違いでもないのかもしれない。

 

 

end




端末取りに来る名目でまた来れるよ、やったねノアちゃん!

さて冗談はさておきようやくリアルで落ち着く時間が取れました。バイトしながら考えていた内容をガンガン書いていこうと思います!


ではいつものキャラ紹介

ノア
『それいけポンコツ指揮官と〜』のところの娘。詳しくはそちらで。
何気にコーラップスのないこの世界で初めてのコーラップス持ち。無害。
その場で宝石が作れるとかチートだと思うの。


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