喫茶鉄血   作:いろいろ

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ねんがんの Vectorを てにいれたぞ!

というわけで実は初登場なVector回。
いつぞやのコラボ回でちょっとだけ出ましたが、純粋にこっち側のVectorはこれが初。

ところでヴァルハラコラボですが、大破撤退と資源を大量消費してなんとか『通常難易度』はクリアしました・・・・・え?高難易度?ナンノコトヤラ


第百一話:クールな彼女の裏の顔

Vector、という人形がいる。容姿端麗・・・なのは全人形共通だがSMGタイプの中では珍しい火力型、コンパクトな銃で閉所の戦闘でも参加でき、クールな見た目や言動も相まって人気の高い人形である。

 

 

「そんなVectorが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて意外だったなぁ〜」

 

「くっ・・・殺しなさい・・・!」

 

「ほどほどにしてくださいよアーキテクト」

 

 

そんなVectorは今、喫茶 鉄血三階の従業員用フリースペースで真っ赤になったまま俯いていた。つい先日司令部で発表されたハロウィン企画。そこで募集されていた仮装の依頼に申し込もうと思っていたVectorは、自身の少女趣味を極力知られるわけにはいかないと思い、秘密裏にマヌスクリプトへ依頼しようと思っていたのだ。

だがその結果、待っている間に出されたコーヒーで猫舌と苦いものダメなことがバレ、たまたま遊びにきたアーキテクトがたまたま依頼書を見たことで一番厄介な相手にバレてしまったのだった。代理人も哀れんではいるが、ある意味自業自得なので止めてはくれない。

 

 

「まぁまぁいいじゃないVectorちゃん、なんならアーキテクトも巻き込んで最高の一着を作ろうよ」

 

「ぜ、絶対言いふらさないでよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「何か言いなさいよっ!」

 

 

プルプルと震えるVectorに冷ましたコーヒー(砂糖とミルク増し増し)を差し出しつつ、代理人はそっと頭を撫でる。なんというか、小動物的な可愛さがあるのだ。

 

 

「さて、じゃあ早速本題だけど、Vectorちゃんが着たいっていうフリフリってどんなものかな? ゴスロリとかメイド服とかお姫様みたいなドレスとか」

 

「な・・・なんでもいいの・・・?」

 

「うん、いいよ。 なんだったら先にいくつか見てみる?」

 

 

そう言って自室のクローゼットの前に連れて行き、それを次々に開いていく。余談だがマヌスクリプトの自室には大きなクローゼットが四つもあり、衣装用作業机と作画用作業机もあって生活できるのはもはやベッドの上ぐらいという狭さだ。本人もそろそろ離れ的な感でプレハブ小屋が欲しいらしいが、残念ながら手が届かない。

さてそんな話は置いておき、ずらりと並んだ衣装を前にしたVectorの目はそれはそれは輝いていた。というかもう他の事など、自分を見ている周りの事などまるで見えていないらしい。

 

 

「・・・・予想以上の反応だね。 そんなに着てみたかったのかな?」

 

「本人曰く、気を抜ける場所なんてないそうですよ。 なので自室もシンプルなんだとか」

 

「なるほどねぇ・・・・・・・・あっ!」

 

 

突然顔を上げて大声を出すマヌスクリプト。周りが驚くがそれ以上に嫌な予感しかしなかったりする。こういう時のマヌスクリプトは、何か良からぬことを考えていたりするものなのだ。

 

 

「ねぇねぇVectorちゃん、ちょっといいかな?」

 

「ひぇ!? な、なにかしら?」

 

「どんだけ没頭してたのよ・・・・まぁいいわ。 実は協力して欲しいことがあってね。 協力してくれたら、服を一着タダで譲ってあげるよ」

 

「話を聞きましょう」

 

 

あぁもう止められないな、と思いつつ代理人は店の方へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、買い出しなんかを含めて店を休みにした喫茶 鉄血。カーテンまで締め切っているその一階では、何やらガチな撮影機材を使った撮影会が行われていた。と言っても撮影に参加しているのはマヌスクリプトとD、そして衣装に身を包んだVectorだけだが。

 

 

「いい、いいよVectorちゃん! 次はスカートの裾をちょっとだけ持ち上げて・・・・・あぁもう最高!」

 

「Vectorさんいい笑顔ですよ!」

 

 

鼻息を荒げながらシャッターを切るマヌスクリプトと、その横で照明を調節しながら同じく盛り上がるD。その先には可愛げなポーズを決めるVectorの服は、ピンク色を基調とした如何にもなフリフリのドレス。ご丁寧にリボン付きの靴まで履いており、ただひたすら『可愛い系』の服だった。

 

 

「じゃあちょっとその場で一回転・・・・OKだよ!」

 

「お疲れ様Vectorさん。 じゃあ次はこれですね」

 

「ええ、ありがとう・・・・・ふふっ、こんなに楽しいのは初めてかもしれないわ」

 

 

そう呟いて受け取ったのは、今女の子に人気の女児向けアニメの主人公が着る衣装。さっきのドレスと色合いとかは似ているが、Vectorが惹かれているのは他にもある。

手早く着替えたVectorは、今まで以上に軽い足取りでカメラの前に立った。

 

 

「じゃあいきなりだけど決めポーズ・・・・おお! いいね完璧だよ!」

 

「当然よ、長年のファンである私を舐めてもらっては困るわ!」

 

 

変身アイテムであるロッドを前に突き出すようなポーズ。手の位置から腰の角度、足の開き具合に至るまで完璧にインプットしてあるVectorにとっては造作もないことだった。今まできっと使う事などないと思っていたこのポーズデータ、それを披露できるとなればテンションも上がるというものだ。

 

 

「そういえば資料の参考に貸してもらったコミックとか資料集って、あれどうやって手に入れてるの?」

 

「あぁ、本は基本的に注文してるけど、イベント限定とかの時は有給使って買いに行ってるわ」

 

「え? わざわざ日本に? それもバレずに?」

 

「もちろんよ、たとえあのG11であっても振り切れるわ」

 

 

自信たっぷりに言うがそんなところに人形の全性能をつぎ込んでどうするのだろうか。ちなみにG11の情報収集能力が高いのも周知の事実で、それにいまだに引っかかっていないのも事実である。

ドヤ顔でポーズを次々と決める彼女の姿は、世間一般の『Vector』をイメージする指揮官らからすればきっと衝撃どころではないのだろう。

さてそんなこんなで楽しい撮影時間も終わりを迎え、実に六時間もの間連続で写真を撮りまくっていた三人にも若干の疲れが見える。その間にVectorが着た衣装は計六着、そして約束通りそのうちの一着をもらうことになり、彼女が選んだのはやはり最後に着たアレだった。

 

 

「あぁ、こんなクオリティの衣装を手に入れられるなんて、まるで夢みたい・・・・・」

 

「こちらこそ、いい資料が手に入ったよ!」

 

 

そう言って熱い拍手を交わす二人。後日、衣装は完全梱包でVectorの元に送られ、彼女の部屋の隠しクローゼットに保管されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Dも着てみる? きっと似合うよ!」

 

「えっ! いいの!?」

 

「うん、もちろん」

(くっくっく・・・・これで無表情っぽくさせて『代理人コスプレ集』として売り出せば一攫千金に!)

 

 

結局未遂に終わった。

 

 

end




おかしいな、マヌスクリプトが出ているのに終始平和だなんて・・・(最後除く)
あのクールな態度が体面を気にしてるだけだったら・・・・と思い始めたら止まらんかった。
ちなみに今回出てきた女児向けアニメは、みなさんお馴染みのニチアサ系がモデルです。

では早速キャラ紹介


Vector
キャラ崩壊著しい人形。可愛いものが好きだがそれを表立って言えないでいる。特にある女児向けアニメの熱烈なファンで、発売されている公式アイテムはあらかた持っている。普段は宿舎にある私物のクローゼットの隠し扉の奥へと隠している。

マヌスクリプト
最近トラブルメーカー感が薄れた気がしなくもない。だが同人作家としての活動は一切手を抜いておらず、今は来たるべき時に備え力を溜めている。
最近、人に何かを教えることにはまりつつある。


リクエスト募集中!
ところで今回のコラボ、難易度は高くないけどめんどくさすぎませんかね?
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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