喫茶鉄血   作:いろいろ

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待たせたな!(俺の)嫁回だ!

バレンタインデー当日まで待とうと思いましたが我慢の限界に達しました。
バレンタイン当日までに9のスキンが出ますように!


第十話:待った?

2月某日のS09地区。

なぜか極東の島国の影響を受けているこの地域では、正月に続き一大イベントが待ち受けていた。

女は本命に対する熱烈なアピールやライバルに差をつけるべく手作りのものを作るなどし、男は男で今年はいくつもらえるのだろうかとかどうせ今年もゼロだとかで盛り上がるイベント。

 

バレンタインデーである。

 

初めは街に来た日本人だけで行われていたこの行事は学生を中心に拡散、さらには近隣の菓子メーカーが煽ったことでもはやこの地域のカレンダーにも載るようになってしまった。

で、そんな街中がバレンタインデー一色の時に戦術人形たちが何もしないはずがなく・・・

 

 

「「「作り方を教えてください!!!」」」

 

 

とまあ、こうしてそこそこの人形たちがこの喫茶 鉄血に押しかけていた。

例を挙げれば、いつものシスコン会のメンツに指揮官ラブ勢(M・ナガンとかKar98k)などなど、任務ですら見れない覇気をまとった連中である。

基本的にバレンタインの前々日くらいまでは来るので、代理人は渋々閉店後に料理教室を開いている。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「し、失礼しま〜す。」

 

 

13日の閉店後の店を訪れる一人の人形。栗色のツインテールに黒の髪留め、右目に傷のある彼女は、404小隊のUMP9である。

 

 

「おや、どうされたのですか? 今日はもう閉店ですが。」

 

「いや〜、ちょっとお願いがあって・・・」

 

 

そう言うと9は両手をパンっと合わせ、

 

 

「お願い! 私にもチョコの作り方を教えて!」

 

 

とある意味予想通りの頼みごとをしてきた。実は去年にもこういうヤツはいたのだが、基本的に代理人は期限や時間を遵守するので追い返している。

が、それは普段からややルーズなものに限ればの話だ。

 

 

「珍しいですね、あなたがこんなギリギリに来るなんて。」

 

「え、あ、うん。 それよりその・・・ダメかな?」

 

「・・・今回だけですよ。」

 

「やったぁ! ありがと代理人。」

 

 

そう言って店の奥のキッチンに向かう二人。

料理教室をやっていただけあって用意はすぐにできたため、代理人は9の要望を聞きつつ教えていく。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「なんであんな嘘をついたんですか?」

 

「うぅ、ごめんなさい。」

 

 

作業開始からものの数分で、代理人は9がお菓子作りに何も困っていないことに気がついた。作業を進める手は迷いがなく、隠し味にブランデーまで入れるという手馴れたもの。

あっという間に出来上がり冷蔵庫にチョコを入れた後、代理人による尋問が執行された。

 

 

「だ、だって今日の司令部の食堂は絶対人が多いから。」

 

「・・・まあ皆さんが使うとなると、そうなりますね。 で、それがあなたにとって何か問題でも?」

 

「そ、それは・・・」

 

「なになに? 好きな相手でもいるのか?」

 

 

イェーガーが茶化すようにいうと、9は頬を赤く染めながら視線を逸らす。 それを肯定と捉えたイェーガーはさらに追求しようとするも、代理人の無言の圧力に屈し身を引く。

 

 

「たしかに、そうなればあなたのお姉さん(UMP45)が黙っていませんね。 ですが、友チョコとでも言えばよかったのでは?」

 

「・・・好きな人に見られたくなかったというか・・・サプライズにしたくて。」

 

 

おお〜職場恋愛か〜、と再び首を突っ込むイェーガーを黙らせる代理人。

 

 

「それでしたら時間をずらすなりして気づかれないようにすればいいでしょう。 四六時中一緒にいるわけではないでしょうし。」

 

「だ、だめ! 45姉やG11にも気づかれちゃダメだし、いっつもみんなを誘うのに今回だけ誘わないのは不自然だから。」

 

「・・・・・。」

 

 

この短いやり取りで代理人は思い至る。

当初は9の思い人は指揮官もしくは司令部所属の男性職員だと思っていた。が、その場合は指揮官以外にはまず気づかれないだろうし、指揮官も気を使って食堂には近づきそうもない。にも関わらず『バレる可能性がある』、『一緒にいる時間が多い』、そして話に出てきたのは『UMP45』と『Gr G11』の二人。

同じ小隊で唯一、()()の名前だけあがらなかった。

 

 

「・・・HK416。」

 

「っ!?」

 

 

名前を出された途端に9は血相を変え、懐から取り出した拳銃を突きつける。

イェーガーとリッパーも拳銃を取り出し臨戦態勢に入る。

対して代理人は特に表情を変えることもなく、後片付けを始める。

 

 

「・・・どうして?」

 

「それは、どう言った意味ででしょうか。」

 

 

明らかに困惑の表情を浮かべた9がそう尋ねると、代理人も予想していたかのように返答する。

 

 

「なんでわかったの?」

 

「話を聞いていれば、自ずと答えは出ますよ。 それよりも気になるのは、なぜそれほどまでに臆病になるのですか?」

 

 

よろしければ話を聞きますよ、と言って片付けの片手間に淹れていたお茶を出す代理人。9は戸惑いながら椅子に座り、お茶を一口飲む。

ちなみに残りの二人は代理人がお茶を淹れ始めたあたりでキッチンから出ている。

 

 

「まあ、気持ちはわかります。 基地の中というだけでも気を使うのに、同じ隊でとなると。」

 

「・・・うん。」

 

「それに45はあなたを溺愛しています。 場合によっては416に何をするかわかりません。」

 

「・・・うん。」

 

「そうなると一番辛いのは、隊で唯一無関係のG11。 ギクシャクした隊では、良い結果を出すことは難しそうですからね。」

 

「・・・代理人って、もしかしてk」

 

「心は読めませんし、読めたとしてもこんな使い方はしませんよ。」

 

 

そう言ってお茶を飲む代理人。納得がいかない顔をする9だが、やがてポツポツと話し始める。

 

 

「・・・付き合い始めたのは、二ヶ月前くらいかな。 私の方から告白したの。」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

いつから気になってたかははっきり覚えてないんだけど、ちょっと前の作戦で、私が怪我しちゃってね。

その時は隊を二つに分けてて、私は416と一緒にいたの。足をやられて動けな私を416が運んでくれたんだけど、そのせいで敵の弾が416の銃に当たっちゃって壊れたんだ。

私も運ばれるときに銃を手放しちゃってたから、手元には拳銃が二丁だけ。敵が近づいてきた時はもうダメだと思って、泣きながら震えてた。おかしな話でしょ?()()()()なのに。

でもその時、416が私の手を握りしめて『簡単に諦めないで。 私たちはまだ生きてるわ。』って言ってくれたんだ。

その後すぐに45姉たちが駆けつけてくれて、こうして無事でいられたの。

 

 

あの時416がいなかったら、私の拳銃は私自身に向いてたかもしれなかった。それ以来416のことが好きになって、告白して、受け入れてもらえた。

だからこのチョコは、あの時のお礼も添えて渡すつもり。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「・・・結局全部話しちゃった。 なんかごめんね。」

 

「話していいと言ったのは私です。 謝る必要はありませんよ。」

 

 

それから、チョコはもう少しすれば固まりますから、それまではいてもいいですよと言ってカップを片付ける代理人。

しっかり話を聞いて、片付けもきっちりして。そんな代理人を見て9はクスッと笑う。

 

 

「? どうしました?」

 

「ううん、なんでも。 けど、代理人に話を聞いてもらってよかったよ。 みんなの評判通りだったしね。」

 

「え? 評判?」

 

「そうだよ。 98kとかM4とかから聞いたの。」

 

 

聞いてもらうだけでも気が楽だって言ってたよ、と言って立ち上がると、冷蔵庫を開けてチョコを取り出す。

いい感じに冷えて固まったそれを丁寧に箱に入れ、綺麗にラッピングして持ってきていた袋に入れる。

 

 

「ありがとね代理人! まあ多分明日は45姉もいるから渡せないだろうけど。 あと、銃を向けちゃってごめんね!」

 

 

そう言って去っていく9を見ながら、代理人は静かに手を振った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

翌日 2月14日

 

「なんでバレンタインの日に警備任務なんかが入るのよ。」

 

「うぅ〜仕方ないじゃん45。 この日は毎年はハメを外す人がいるんだしさ。」

 

「なら他の部隊にでも頼めばいいじゃない。 ・・・あぁ、私と9の甘いひとときがぁ。」

 

「ダメだこの人形」

 

 

朝一番に街の警備任務を言い渡された404小隊は、決められた二つのルートを回るためにいつぞやと同じ編成で行動していた。

 

 

「ところで45ってこういう時は9と離れててもいいんだね?」

 

「良くはないわよ。 でもSMGとARの組みわせが臨機応変に対処できるんだからしょうがないわよ。」

 

「・・・本音は?」

 

「9と二人っきりになんてなったら任務どころじゃないわ。 最悪人気のないところに連れ込んでむふふふふ・・・あ、鼻血が。」

 

「・・・・・。」

 

 

シスコンは今日も平常運転だった。

 

一方同じ頃の別の場所。

指定ルート上の停止ポイント(そこにとどまり周囲を警戒する場所)にたどり着いた9と416。そこはほとんど人通りがなく、はっきり言えば警備するような場所でもない。

416はこの警備任務を含め疑問を持っているようだが、9はこれを好機ととらえる。

 

 

「・・・ねぇ416。」

 

「なにかしら。」

 

「今日ってなんの日か知ってる?」

 

「任務中よ。 私語は慎みなさい。」

 

「それはわかってるよ。 でも、多分今日はもう今しかチャンスはないから。」

 

 

そう言ってサイドポーチから小ぶりの箱を取り出す。それをしっかりと両手で持つと416の方に向き直り、差し出す。

 

 

「ハッピーバレンタイン。 受け取ってくれる?」

 

「・・・その顔は卑怯よ9。 それで断れるやつなんていないわ。」

 

 

そう言うと、今回は特別だけど仕事と私事は分けなさいと言って受け取り、それをしまう。

 

 

「・・・まぁその・・・あ、ありがとう・・・」

 

「うん! どういたしまして!」

 

 

そろそろ移動しよっかと言うと、二人は並んで警備に戻っていった。

二人で歩幅を合わせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『本日はありがとうございました。 後日、お礼に参ります。』

 

「いえ、礼には及びません。 結果的に一部の暴走を未然に防ぐことができましたから。 ただ・・・」

 

『? ただ?』

 

「本当にそれが目的だったんですか? 失礼ながら、わざわざあなたが依頼するほどのこととは考えにくい。」

 

『・・・・・鋭いですね。 ですがそれをお答えすることはできません。』

 

「その理由も、ですね?」

 

『ええ。 ですがあえて言うとすれば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人の幸せのためです。』

 




9が他の男とくっつくのを書こうとすると涙が出そうだったので百合にしました(血涙

さあて今年はチョコをいくつもらえるかな。
・・・もらえるといいな。


というわけでキャラ解説

UMP9
本作においてM4と並ぶ良心。かわいい
天真爛漫で誰とでも仲良くなれる。かわいい
胸はちょっとだけ45より大きい。かわいい
ほんとは指揮官ラブ勢にするつもりだったけど上記の通りなので諦めた。
最近の悩みは『ファミパン姉貴』と呼ばれること。


HK416
私は完璧よ、とか言わなくなった人形。この経緯についてはそのうち書く。
公私をはっきり分けてオンオフをしっかり切り替える。
9は彼女のそんなところに惹かれ、416は9の明るさに惹かれた。
まな板気味な404の中でやたらと目立つ胸部装甲の持ち主だが、本人は身軽になれるという理由から邪魔だと思っている。
416が責めで9が受け。



新イベントの低体温症ですが、ジュピターと臨時飛行場が思いのほか鬱陶しいので序盤の方だけで紅包を集めるだけにします泣

個人的にはジュピターっての某小惑星迎撃砲に似てますよね・・・対地対空両用のとことかやたらバカスカ撃ってくるとことか。







ボツ話

「・・・まぁその・・・あ、ありがとう・・・」

「うん! どういたしまして!」


その笑顔にドキッとした416は袖で口元を隠し、


「惚れてまうやろぉぉぉぉぉ!!!!!」
※惚れてます。


なんとなく頭に浮かんだだけ。
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