喫茶鉄血   作:いろいろ

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救護者とサクヤの絡みが見たい、そんな声が聞こえました。

話は変わりますが、ヴァルハライベントはドロップ周回も終わったのでデイリー欠片集めだけにしようと思います。
1-3EXやばすぎる
あと、この小説を読んでドルフロを始められた方からフレンド申請が来てチョー嬉しかったです!


第百六話:救護者リターン!

「へぇ、治療専門のハイエンドに会えるなんて、嬉しいことがあるんだね」

 

「こちらこそ、世界が違うとはいえ我々ハイエンドの生みの親に出会えて光栄です」

 

「・・・・・とりあえず、なぜここにいるか聞いてもいいですか『救護者』?」

 

 

ここは鉄血工造本社、定期メンテナンスのために訪れた代理人がメンテナンスを終え、サクヤの研究室にやってくるとそこには見覚えのある人形。

()()()()()()()()()()()はずのハイエンド、救護者だった。そんな彼女はサクヤと向かい合う形でテーブルを囲み、なんとも彼女たちらしい話に華を咲かせている。

 

 

「お久しぶりです代理人。 お元気そうで何より」

 

「特に異常はなかったよ」

 

「ありがとうございます・・・・・それで、なぜここに?」

 

「そうですね、どこから話しましょうか」

 

 

長くなりそうなので追加の椅子と茶菓子を持ってきて、準備ができたところで救護者は語り始める。

 

いつも通り鉄血工造でカオスな日常を過ごしていた救護者だったが、その日はたまたまフラッと外出、一人で街を歩いているときにちょっとだけ近道をと思い路地に入って行ったら、また喫茶 鉄血の前にいたらしい。

ところが今回はそこに入らず、以前来た時から気になっていた()()()の鉄血工造を見てみようと思い、人に道を聞きながらこうしてやってきたという。随分とフットワークの軽い人形だ。

当然入り口で止められたが、代理人経由で彼女のことを知っていたサクヤに見つかり、彼女の研究室に案内されて今に至る。

 

 

「帰られる、という確証もないのにそんな無茶を・・・」

 

「ですが、来てしまったものは仕方ありません。 ならば少しでも有意義な時間にすべきです」

 

「そゆこと。 まぁいざとなったら例の装置があるから」

 

「本当にいざという時ですよ、それ」

 

 

例の装置、というのはあの転送装置(片道切符)である。これでちゃんと帰れるという保証もないが、一応手段として置いている。そして何より『人形を大切にする』というスタンスが合うのか、サクヤと救護者は妙に仲がいいようだ。

 

 

「あ、そうそう。 例の快眠プログラムだっけ? あれのおかげでゲーガーちゃんがよく眠れるようになったって言ってたよ、ありがとう」

 

「いえ、お役に立てていたようで何よりです。 鉄血人形に合わせて作ってはいますが、こちらの人形にも合うのかはまだ不確定でしたから」

 

 

そう、サクヤが救護者を好意的に見ている理由の一つに、彼女の作ったという快眠プログラムがある。幾分かマシになったとはいえストレスを溜め込みやすいゲーガーが使用し、文字通り快眠を手に入れたことによる恋人の体調改善が、サクヤは嬉しくて仕方ないのだ。

そのゲーガーが現在仕事で外に出ているため直接お礼を言えないことが心残りではあるが、救護者もお礼を言われるためにやったわけではないので特に気にしない。

 

 

「さて、では早速」

 

「うん、じゃあ行こうか」

 

「? お二人ともどこへ?」

 

 

話が落ち着いたところで、サクヤと救護者が席を立つ。首をかしげる代理人の疑問に、救護者が答えた。

 

 

「帰ることができるという前提で、では帰るまでの時間を彼女の研究を手伝うということになりまして」

 

「あれだけのプログラムを組めるんだから、きっといい意見がもらえるんじゃないかなって」

 

「お二人とも楽観のしすぎでは?」

 

 

迷い込む理由も帰ることができる理由も不明なのによくもまぁそれだけ余裕でいられるものだ。もっとも、慌てたところでどうしようもないというのもあるだろうが。

それに救護者はこれで二度目、サクヤも無事帰って行った事例を知っているので、楽観するのも無いはない気がする。今のところ、”帰れない=あっちでは死んでいる“ということなのだから。

 

 

「それに、彼女からは興味深い話を聞くことができまししたから、そのお礼でもあります」

 

「興味深い話?」

 

「ええ・・・・・・貴重な『コーラップス感染者の体験談』です」

 

「まぁ『元』だけどね。 それに今は普通の体だから体組織とかも普通のものだしね」

 

 

そう、こっちの世界では起こらなかった、というより存在すらしない『崩壊液』とそれによる『コーラップス汚染』、『E.L.I.D』という存在。救護者を含めここに迷い込んだ彼ら彼女らの世界でもっとも脅威とされるもの。そしてサクヤはその感染者といて命を落とした一人だ、だからこそ貴重な話なのだろう・・・・・・本人にとっても辛いものではあるだろうが。

 

 

「ううん、大丈夫。 むしろ私の話で救われる命があるなら、安いものだよ」

 

「E.L.I.Dの細胞に関しては自力で採集する必要がありますが、感染者の症状や実体験はほとんど入手できませんから」

 

「そうですか・・・・・・」

 

「まぁ私が大丈夫だから大丈夫だよ! だからこの話はこれで終わり、次は私の研究を手伝ってもらう番だね!」

 

 

やや重くなってしまた空気を無理やり吹き飛ばすように笑うサクヤ。そういえば肝心のその研究内容を、代理人はまだ知らない。まぁきっとアーキテクトらのような突拍子もないようなものではないはずだが。

そうして研究棟を歩くこと数分、たどり着いた研究室に入るとそこには目が痛くなるほどのコンピューターと大量の配線、そして・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁサクヤ主任、今日は客人が多いな?」(CV.中田譲◯)

 

 

くっそいい声のダイナゲートが鎮座していた。

その小柄な体躯に似合わない存在感と、なぜか座っているだけでやたらと偉そうに見えるそれに、代理人も救護者も一瞬固まってしまう。

 

 

「・・・サクヤさん、これは?」

 

「今私が研究してる『人間社会でより高度なコミュニケーションを取れるAI』の研究室。 あのダイナゲートはその協力者だよ」

 

「よろしく頼む」

 

 

そう、これが彼女が今一番熱を入れているものである。IoPと鉄血、その人形のあり方はかなり異なり、IoPがもともと民生用としても開発したのに対し、鉄血は戦闘用としての面が強い。ハイエンドこそ高度なコミュニケーションAIを持っているが、下級モデルは未だに『ロボット感』が否めないのだ。

そこで彼女は前の世界で培った育成能力とこちらの世界のハイエンドたちが蓄積してきた幾万もの会話や思考を分析、IoPに負けないくらいの民生人形を作ろうと考えたのだ。その過程でたまたま近くを通りがかったダイナゲートに色々と突っ込んだ結果がこれである。

 

 

「見ての通りかなり流暢に話してはくれるんだけど、なんか足りないなぁって」

 

「足りないものか、それは私に見合うパワフルなボディだろう。 そういえばガルムという機体があったはずだ、あれを要求する」

 

「こんな感じ」

 

「コミュニケーション・・・というよりも要求だけのようですが?」

 

「交渉する、ということ自体が高度なものですので一応は成功かと。 ただこの尊大さだけは受けが悪そうですね」

 

 

太々しいダイナゲートは放っておき、とりあえずこの思考に至るまでのロジックを追っていく。サクヤ曰く、ロボット感が出てしまう理由は相手の言葉や仕草に対して反応するからであり、自我や自意識と呼べるものが薄いからなのではと考えたとのこと。それはある意味正しく、やたらと自我を強くしたこのダイナゲートは良くも悪くも自然な会話が可能になった。

ではここからどうするか、というところで救護者がスッと手をあげる。

 

 

「それならば、AIを一から『教育』するのはどうでしょうか?」

 

「・・・・教育?」

 

「ええ。 人間は幼少期より、親や様々な大人から教育を受けることで社会に適応していきます。 このAIの場合、その過程を全て飛ばして大人になってしまったようなもの、だから会話というよりも要求になるのではないでしょうか」

 

「な、なるほど」

 

 

やっぱり救護者に聞いてよかった、と喜ぶサクヤ。ただ問題は、どう考えてもこのダイナゲートのそのつもりがないこと。おまけにこんな自我まで芽生えてしまえば通常のダイナゲートと同じ部隊には入れられない。かと言ってある程度自立できるのならば遊ばせておくのももったいない・・・・・・・・あ。

 

 

「でしたら、私に預けてはもらえませんか? ふさわしい活躍の場がありいますので」

 

「ほぉ、ならばそうさせてもらおう」

 

 

元とはいえ鉄血最高権力者相手にも全く態度を崩さないスタンスはさすがと言えよう。

ともかく救護者の協力のもとAIの調整と教育案をまとめていき、近々別の人形に搭載することに決まる。そんなこんなで気がつけばもう日が暮れかけるところであった。

 

 

「ふむ、時間的にはそろそろでしょうか。 では私はこれで」

 

「うん、今日はありがとうね!」

 

「これで本当に帰れる・・・・のでしょうね、ではお気をつけて」

 

「ええ、お二人も。 ではまたどこかで」

 

 

そう言って鉄血工造の正門を抜け、しばらくしたところで強い風と砂塵が舞い、治ると忽然と消えていた。帰れたようなのでよかったが、なんとも図太いというか、アグレッシブな人形だと改めて思う。

 

 

「・・・・・行ってしまいましたね」

 

「でもまた会えるよ、きっと」

 

「そうだな・・・・・・ところで代理人よ、さっそくだが」

 

「そうですね、ではこの箱に入ってもらいましょう」つ宅急便の箱

 

「・・・・・・・・・んんん????」

 

 

end




もう喫茶 鉄血要素ない気がするんだけどもういいよね?
というわけで今回はいつぞやぶりに救護者さんが登場、別の世界のもの同士らしい会話にしたけれどどうだっただろうか。

ではではキャラ紹介

救護者
『村雨 晶』様のところのオリキャラ。
治療(物理)をやったり前線に救急車両で突っ込んだりするアグレッシブヒーラー。
あっちでも鉄血とグリフィンは仲良しなので、必然的に敵は人権団体かE.L.I.D。

サクヤ
完全に馴染んでるけどもとは『犬もどき』様のとこのオリキャラ。
感染者、という悲惨な過去を未来のためにつなぐ、そんな話を書いてみたかった。
公私を分けるタイプ、と自称してはいるが全くそんなことはない。

代理人
この人が出ないと喫茶 鉄血じゃなくなるので。
何気に話し方というか雰囲気が文面だと救護者とそこまで違わないので、書き分けには苦労した。

ダイナゲート(CV.中田◯治)
夜中にぱっと浮かんだ。
こんなちっこさで「ハリー!ハリー!!ハリー!!!」とか「言葉は不要か?」とか言うんだから完全にギャグキャラ。
戦闘能力自体はただのダイナゲートだが、人を煽ったり焚きつけたり鼓舞したりすることに関してはやたらとうまいので見た目以上に危険。
フリー素材(重要)



こんなところか。
というわけで今回もリクエスト、感想お待ちしております。
「この人形が好きだから出してほしい!」でも構いませんので笑
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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