喫茶鉄血   作:いろいろ

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リクエストをいただいたので。
ところでちょいちょい服のサイズがあってない人形がいるんですが、IoPはもしかしなくても変態でしょうか?


第百七話:IoP研究員「夢とロマンを詰め込んだ」

「こんにちは、マシンガンタイプの人形、Ameliです」

 

「MG部隊隊長のMG5だ、よろしく」

 

 

よく晴れた日のこと。グリフィン本部からの人事通達とともにやってきたのは新たな戦術人形、Ameliだった。緑色の髪を揺らし、どことなくG11にも似た丸っこい顔と眠そうな目が特徴的だが、そんな特徴はどこよりも目を引く()()()()のせいで完全に霞んでしまっていた。

 

 

(デケェ・・・・)

 

(この体でこれって、IoPは何考えてるのかしら?)

 

(うわ、上も下もはみ出てんじゃん)

 

(これ、うつ伏せになれるの?)

 

 

挨拶を交わすMG5の後ろで、MG部隊の面々はそんなAmeliの胸部装甲に釘付けだった。小柄な、それこそG11くらいの体にまるでメロンのような双丘、そしてそれを着ているというよりも巻きつけてるというようなデザインの服装。開発陣の欲望が丸見えな気がする。だが当の本人はそんなことは気にしていないらしく、眠そうな外見とは裏腹に割と真面目な性格のようだ。

 

 

「部屋に関しては、彼女らと同じ部屋だ。 すでに先に届いていたものは運び終えているから、後で整理してくれ」

 

「了解しました・・・・・それまでは何をすれば?」

 

「ん? 今日は特に何もないが。 長旅で疲れているだろうしな」

 

「今すぐにでも出撃可能ですが・・・・わかりました、では出撃の際はお声がけください」

 

 

最後にピシッと敬礼し(同時に大きく揺れた)、あてがわれた部屋へと向かう。他部隊に比べればマシだがなにかと癖の強いMG部隊の中ではかなりまともな方なようで、MG5もホッと一安心だった。

そこへ副長であるPKが近寄り、抱いていた疑問をぶつけてみる。

 

 

「でも、珍しいですね隊長。 最新鋭というわけでもないのに本部からヘリを飛ばして送られてくるなんて」

 

「訳あり、ということか? だが彼女の性能も素行も、それに今の態度もどこにも問題は見られなかったが」

 

「ですよね・・・・ならなぜわざわざヘリで?」

 

「確かに普通であれば鉄道や車だろう。 すこし様子を見ておくか」

 

 

一抹の不安が残ってしまったが、何はともあれ人員が増えたのはいいことだ。隊長として一応の疑念は抱きつつ、彼女の運用方法について考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、基地裏手の広い演習場にてそれは起こった。あの新米MGであるAmeliの欠点が、意外と早く露見したのだ。

 

 

「・・・・・・/////」

 

「マジでか・・・・」

 

「もうこれで五度目、偶然とか服の不備とかではなさそうですね」

 

「後で問い合わせてやるが・・・・・一体誰だこの採寸で設計したアホは!?」

 

 

射撃訓練場での成績は、やはりというか優秀なものだったAmeli。昨日の心配は杞憂に終わりそうだなと思い部隊を再編して訓練を始めたその数分後、塹壕から塹壕へと走ったAmeliが突然塹壕から出てこなくなったのだ。不審に思ったMG5が訓練を中止して駆け寄ると、そこのは飛び散ったボタン、そして留め具を失い落ちそうになっている服と、それをなんとか抑えながら真っ赤になって蹲るAmeliの姿・・・・・俗に言う『ポロリ』というやつである。

その時はきっとボタンがほつれていたんだろうと結論を出し、急いで補修して再度訓練を開始。ところが再び数分後にAmeliが動かなくなり、それを計5回繰り返してようやく理解したのだ。

 

この服、採寸が全然あっていない、と。

 

 

「ヘリで運んだのは、このせいか」

 

「走るだけで取れるのなら、陸路で移動なんて危険すぎるわね」

 

「待て、じゃああいつらはわかっていて送り出したのか!?」

 

「うぅ・・・・・・」

 

「あぁ大丈夫だ! 別にお前を責めているわけじゃない」

 

 

へたり込んだまま泣き出すAmeliをMG5が慰める。どうやら本人もこの欠点を知らなかったらしく、いよいよIoPに抗議文を送りつけてやろうと言う話になる。だがそれはいいとして、問題はこのAmeliの服をどうするかだ。流石にこのままでは作戦への参加など絶望的で、むしろ変な男に狙われでもしたら大変である。

しかし彼女自身はこの服を含めて自分だと思っており、どうにか採寸だけを変えられないものか・・・・・・と言うところまで考えてMG5、PK、PKPの三人の脳裏に同時に同じ顔が思い浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「で、私のところに来たと・・・・・・何? IoPって変態しかいないの?」

 

「お前に言われるとは相当だな、きっと泣くぞ・・・・・ペルシカさんあたりが」

 

「あれも十分変態だよ」

 

「本人を横に置いて変態とは随分だねマヌスクリプト君?」ピキピキ

 

 

MG5たちが訪れたのは、この街でも指折りの服飾技術を誇る人形、マヌスクリプト。もちろん他にも服屋はあるが、コスプレを含めちょっと変わった服を作ることに関しては彼女の右に出る者はいない。そんな彼女ならば、きっとAmeliの服をなんとかしてくれるだろう。

 

 

「と言うわけだマヌスクリプト、協力してくれないか?」

 

「う〜〜〜ん、協力すること自体はいいんだけど・・・・・・ペルシカ、パス」

 

「はいはい。 で、人形の服に関してなんだけど、それ自体が装備になっているのは知ってるよね? だからこそ採寸し直すなんて結構お金かかっちゃうんだけど・・・・・つまり、普通の服ではないわけ」

 

 

ようするに、服そのものが防弾やら機動性を高める機能を持っているため、採寸しなおした『服』を作ったところで性能が落ちるだけだという。MG5は残念そうに納得するあたり知っていたようだが、もともと最前線で戦うことがあまりないMG部隊の面々からすれば初耳らしい。そのせいでAmeliは深く項垂れてしまう。

だが、マヌスクリプトがそんな程度で諦めるはずがなかった。

 

 

「まぁまぁ安心して。 『服』としてはさっき言った通りだけど、ようは『装備』として作ってしまえばいいだけだよ」

 

「・・・・・装備として、とは?」

 

「そのままの意味、と言ってもわかりづらいかな。 今考えてるのは、その服はそのままにして採寸が際どい部分だけ防弾チョッキと外骨格で補強する方法だね」

 

「え? そんなのできるの?」

 

「さぁ? やったことないし」

 

 

不安すぎる。とはいえまぁ防弾チョッキも外骨格も身に纏うタイプの装備だし、防弾チョッキは多少切っても防弾チョッキであるはずだ。それにAmeliの直すべき部分は胸部の布だけ、そこまで手間はかからないだろう。

というわけで・・・・・・

 

 

「じゃあAmeliちゃ〜ん、採寸するから奥行こうねグヘヘへ〜」

 

「ひぃっ!?」

 

「マヌスクリプトっ!!!」

 

 

代理人に拳骨を喰らったのはいうまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後、三階から降りてきた妙にホクホク顔のマヌスクリプトと、それをジト目で睨むペルシカ、その後ろから妙に顔を赤らめているAmeli。

 

 

「うちの部下に何をしたんだマヌスクリプト?」

 

「採寸して服を直しただけだよ!? 採寸の時にちょっと当たっちゃったけど事故だよ!?」

 

「・・・・・・ペルシカさん?」

 

「ええ、一応は彼女の言う通りよ・・・・・一応は」

 

「ちょっと二人ともひどくないかな!?」

 

 

自業自得である。しかしどうやら成功したようで、パッツンパッツンだった胸元は多少ゆとりができたようにも見える。あと上下のはみ出し具合もちょっとマシになったようだ。試しにその場で飛び跳ねてみても、ボタンが飛び兆候は見られなかった・・・・・・めちゃくちゃ揺れてたけど。

 

 

「・・・・・まぁ言いたいことは山ほどあるが、とりあえず感謝する」

 

「あ、ありがとうございます・・・・・」

 

「いまいちお礼が伝わってる気がしないんだけど・・・・・」

 

「だ、だって・・・・・・/////」

 

「お前本当に何をした!?」

 

「ご、誤解だぁああああああああ!!!!!!」

 

 

end




Ameli好きの指揮官らに殺されないだろうか・・・・
でもあの服で激しい戦闘なんてしたら絶対ポロリするよね、むしろそれをねらっt(文字が掠れて読めない)

Ameli「じゃあ、キャラ紹介です」


Ameli
服、とはいえなさそうな服を着るマシンガン娘。これでどうやってうつ伏せるんだよと思っていたがどうやらBARちゃんと同じく立って撃つタイプ。
いくら貧乳好きであろうとも二度見してしまう魅惑ボディである。

MG部隊
隊長にMG5、副長にPK、部下の全てがMGタイプの部隊。この部隊だけで作戦を行うのではなく、SGやHGと部隊を再編することで任務にあたる。

マヌスクリプト
ここ最近大人しいから、と言う理由で任せたがやはり根っこはそのままらしい。具体的には、バストを測る時にテープを巻く際、やたらと怪しい笑みを浮かべていた模様。

ペルシカ
自分はまともだ、と思っているIoPきっての天才。IoPの研究員という時点で変態であることは疑いようのない事実である。


ここ最近のリクエスト話の多さから、実はこの小説は多数の読者によって成り立っているのだと改めて実感。これからも末長くお願いいたしますね。
ということでいつもの置いときます笑
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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