喫茶鉄血   作:いろいろ

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今回は『無名の狩人』様とのコラボ!
ブラボ好きにはオススメしたい作品です!(ブラボ好きでなくてもオススメしたい作品です!) https://syosetu.org/novel/196745/1.html

なお、あちらとセリフが若干異なる部分がありますが内容的には変わりありませんのでご安心ください。


第百二十一話:月の香りを漂わせ

世界には科学的に説明できない事象や現象が多々起こる場所というものが存在する。有名なところでいえばバミューダ・トライアングルなんかがそんな感じであり、それは今でもまだ未解明であった。20世紀に人類が初めて月面に到達してから早数十年、宇宙への扉が開かれつつあるが深海は未だに未知の領域だった。

 

さてそんな未解明で摩訶不思議な場所は、何も偏狭の土地だけではない。S09地区にひっそりと店を構える喫茶 鉄血もまた、ある意味それ以上の現象が頻発する場所である。

 

 

「・・・・・ん?」

 

 

そんな喫茶 鉄血の従業員、鉄血下位モデルのリッパーは、掃除中にふと見覚えのないものを見つけた。小さな鐘のようなそれは見た目通りちょっと重く、ちゃんとしたものであることがわかる。客の誰かの忘れ物かとも思ったが、見つけた場所はカウンターの内側であるため違うと判断する。しかし一人では判断しかねるものなので、リッパーはこの店の主である代理人に届けに行った。

 

 

「代理人。店の隅でこれが見つかったのですが」

 

「?。それは、鐘・・・ですか?」

 

 

代理人は手渡されたそれをじっくり見つめる。掌サイズのものだがしっかりと彫刻が施され、少なくとも安物ではなさそうな感じがする。しかし残念な事に錆び付いてしまっており、その音色は聞こえそうにない。

 

 

「お客様の落とし物でしょうか?」

 

 

そう呟いてリッパーを見るも、首を振られる。なにせカウンターのすぐ裏だ、もし落としていればすぐに気がつくし、いかにもアンティークなものをお客様がそのままにするはずがないと思う。

それにしても、なかなかいい作りの鐘だ。鳴らせないのが惜しいなと思いながら代理人が軽く振るうと、予想に反し透きとおるような音色を奏でる。まるでこの街全体に、いやむしろ()()()()()()()()()にまで聞こえそうな、そんな音色だった。

 

 

「不思議な鐘ですね・・・こんなに錆びているのに音がちゃんと出るなんて・・・」

 

 

代理人がそう呟く。

と、同時に代理人の頭に直接響くような声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【狩人ローウェンがやって来ました】

 

 

すると突然、店の真ん中で青白い光がポォっと浮かび上がり、それがみるみる大きくなる。そして光は人の形を作り出し、一人の男が現れた。

全体的に暗めな色合いのコートに枯れた羽飾りの帽子、鼻の辺りまで覆い隠した黒いマスクのせいで目元しか見えず、不気味な印象を与える。時期が時期なので遅めのハロウィンかと言われてもおかしくはない格好だ。

 

 

「お前が私を呼んだのか?」

 

 

男が低い声でそう尋ねる。その口ぶりから、おそらくあの鐘の音が関係しているようだが、それを聞けるような雰囲気ではない。

 

 

「貴方は?」

 

「私は狩人のローウェン。ローウェン=アイン=シュヴァイツだ。その異世界渡りの鐘が鳴らされたので参上した。さて・・・何を狩るんだ?」

 

 

代理人が尋ねると、男はそう答えた。その言葉から分かったことは二つ、この鐘が『異世界渡りの鐘』と呼ばれるものだということ、そしてこの男がとてつもない力のある人物であるということだ。

狩人、そして『狩る』という言葉と同時ににやりと歪んだ表情に、代理人の背を冷たいものが流れた。だが相手がどうであれこんなことを何度も経験している代理人は、意を決して再び質問する。

 

 

「狩るとは、何を?」

 

「何を、とは獣だ。獣に苦戦を強いられているから呼んだのではないのか?」

 

「獣?」

 

「いないのか?」

 

「そもそも獣とは何の事ですか?」

 

 

質問を重ねるうちにどうも話が噛み合わないことに気がつく。というわけでここからはいつも通り、紅茶を出して話を聞く事にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか・・・此処には獣がいない、そんな平和な世界なのか」

 

「はい。 テロや過激な組織こそいますが、人の手に負えないモノはここには・・・・・」

 

「私にとっては・・・退屈な世界だな。 色々な世界がある事は知っているが、此処まで違う世界があるとはな」

 

 

代理人の語る世界に、ローウェンはそう呟いて出された紅茶を一口飲む。なぜかマスクを外さずに飲むことができているが、あえて気にしないでおく事にした。

 

 

「貴方は結局、何者なのですか? 他の世界がある事を知り、世界の枠を超えられる人なんて・・・迷い込んで来た人達なら知っていますが、制限はあっても自ら来れる術を持つ人はいませんでしたから」

 

 

代理人はローウェンと机の上に置かれた小さな鐘を見比べながら、そう尋ねる。彼女の言う通り、この鐘とセットという条件こそあれど自由に世界を渡ることができるなど、ありえない話だったからだ。

だがローウェンの答えは、代理人が思っていたほどたいそうなものでもなんでもなく、なんともあやふやなものだった。

 

 

「なに、たいした者ではないさ。 単なる狩人・・・それだけだ。 さて、少し長居しすぎたようだな。 獣がいないのならそろそろ戻るとしよう」

 

 

ローウェンはそう言うと何処からか取り出した懐中時計を見やりながらそう告げる。しかしその直後にピタッと動きが止まり、代理人達が首を傾げる。少し悩んだそぶりを見せたローウェンは懐から数枚の硬貨を取り出すと、そっとカウンターに置いた。

 

 

「すまない、この世界の金は持ち合わせていなくてな。 代金の足しになるかは分からんが・・・この硬貨の材質は一応、金銀の筈だ。 質屋に持っていけば紅茶一杯分にはなるだろうからこれで勘弁してくれないか?」

 

 

見ればこれまたアンティーク感のある硬貨が数枚並ぶ。しかしこの男、見た目や雰囲気はアレだが意外に律儀な性格らしい。

 

 

「いえ、私達が急に呼び出してしまったのですから構いませんが・・・」

 

「受け取ってくれ。 良い味だったからな・・・・・本当に、久し振りにな・・・また機会があれば来るとしよう」

 

 

ローウェンはそう言うと、懷からフレアガンのような銃(これも随分と古ぼけたものだ)を取り出すと、真上に向けて引き金を引いた。

パァンという銃声に代理人達が驚くが、どうやら空砲のようなものだったらしい。そして同時に、ローウェンの姿も薄れ始める。が、消え去る直前に代理人の方に向くと、少し強めの口調で言い放った。

 

 

「あぁ、良い忘れていたが代理人。 異界から来る者が必ずしも友好な存在だとは限らんぞ。 異界から来る者の中には血を求める輩が大勢いるのだからな・・・血に飢えた者達には気を付けるようにすることだ」

 

 

ローウェンはそれだけを言うと霞のように消え去り、まるで初めからいなかったかのように静寂だけが残る。

帰っていったようだ、とホッと息をつくと、同じく緊張の糸が切れたイェーガーとリッパーが寄ってくる。

 

 

「・・・まるで夢を見ていたみたいですね、代理人」

 

「私達人形は夢を見ませんよイェーガー。 ですが、確かにまるで夢を見させられていたみたいですね」

 

 

代理人はそう呟き、テーブルの上のコインを一枚拾い上げる。去り際にローウェンが残した警告を思い返しつつ、それをポケットに仕舞い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、あれに似た服を何処かで見た気がするのですが・・・・?」

 

「あ、代理人もですか? でも何処で見たかが・・・・」

 

バァンッ!

「・・・・・・っ!」

 

「ちょ、ちょっとどうしたのよヤーナム!?」

 

「「「・・・・・・あ」」」

 

 

 

end




はい、というわけでコラボしていただいたのでそのお返し。
もう誰が来ようともあんまり驚かなくなった気がする。

というわけでキャラ紹介+他


ローウェン
『無名の狩人』様の『ブラッド・ドール』の主人公。一体何週目か知らんがやたらと強い。
でも面倒見がいいキャラだと思う。

代理人
拾ったからって勝手に鳴らしたらダメだよ。

ヤーナム&チェーン
いつぞやにやってきた『銃』たち。
鐘の音と慣れ親しんだ雰囲気を感じ取り、スタミナ無視でやってきた。





輝く硬貨

狩りの中では不要なものだが、足元に置けば目印にもなる小さな硬貨。
あるいは翌朝のためにまでとっておくのもいいかもしれない。朝を迎えられるのならば、だが。
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