しかし11月ってこれくらいしかイベントないよね・・・・・まぁ毎月イベントがあるのも日本らしいけど。
さぁ、糖分補給の時間だ!
『ポッキーの日』というものをご存知だろうか?極東のとある国の国民的お菓子にちなんだ記念日であり、なんとちゃんと記念日として登録されているのである。その国・・・・・日本の当時の年号である平成11年(1999年)11月11日にある製菓メーカーが言い出したものなのだが、それから数十年たった今もそれは続いている。
さてそんなイベント満載国家の行事など関係なさそうなS09地区だが、意外な事にこの手のイベントが数多く存在する。理由は単純、
「というわけで! 今日は絶好のネタ日和なのだよ!」
「素晴らしい! では早速ネタを集めようか!」
「・・・・・・何をしているんですかマヌスクリプト? それとヘリアンさんも」
11月11日当日、喫茶 鉄血のテーブル一つを占領したマヌスクリプトとヘリアンに呆れた声を上げる代理人。ちなみにマヌスクリプトはこの日に有給を使っており、堂々と休みを取っているのだ。
そんな二人の目の前には大量のメモ用紙とスケッチブック、そしてわざわざ取り寄せた極東のお菓子『ポッキー』と、『チャレンジャー求む!』の張り紙。
「おや代理人、約束通りテーブル一つで収めたよ!」
「いえ、それはいいのですがこれは一体・・・? あとチャレンジとはなんですか?」
「お、よくぞ聞いてくれたね! 今日この日のイベントといえばズバリ!」
そう言ってポッキーを一本取り上げ、高く掲げて二人仲良く宣言する。
「「ポッキーゲームだ(よ)!!!」」
「ぽ、ポッキーゲーム?」
ポッキーゲーム、それは親しい友人同士や恋人同士が行う周知と度胸のチキンレースである。ちなみに男同士でやると悲惨な結末を迎えるのでオススメはしない。
「そう、ポッキーゲーム! お客さんはタダでお菓子を食べられて私たちはネタを得る、WIN-WINなゲームだよ!」
「おっと止めてくれるなよ代理人、けしてやましいことを強制しているわけではないのだからな」
そうは言うがこの二人のことだ、確実に下心があるのがわかり切っている。とはいえ一応許可は出したし、客から苦情が来たらすぐ止めるとも言ってあるのでしばらく見守る事にする。
と、言うところで早速気になったのか客がやってくる。AR小隊の五人組にペルシカという、ある意味いつものメンツだった。
「やっほーSOP!」
「やっほーマヌスクリプト! ねぇねぇこれ何やってるの?」
「お、早速食いついたね! では説明しよう!」
そう言ってフリップまで持ち出して説明し始める。ルールは簡単で、ポッキーの両サイドから二人でかじり始め、折ってしまったら失敗というもの。向かい合うように座り、椅子から立ち上がっても失格となる。無事二人で食べ切ったペアには、喫茶 鉄血の超割引券(50%オフ)がもらえるのだ。
「って言ってもわかりづらいから・・・・・代理人とM4、見本でやってみてよ」
「え? 私ですか?」
「・・・・まぁ、構いませんが」
机の下でアホ二人がガッツポーズしたのは言うまでもない。
そんなわけで乗せられたとも知らずに向かい合ってポッキーを咥える二人。代理人は相変わらずの無表情だが・・・・・・
(ち、近い〜〜〜〜〜!)
対面のM4の顔はみるみる赤くなっていく。ポッキー一本の長さは約14センチ、まさに目と鼻の先に相手の顔がある事になる。しかもこれから近づくのだから・・・・・・
「はい、スタート!」
マヌスクリプトの合図で代理人が黙々と食べ始める。咥え続けなければならない都合上口もとだけもぐもぐと動かしているのだが、その唇が段々近づいてくるにつれてM4の心拍数も跳ね上がっていく。
そしてついに、
ポキッ
「あっ」
「終了〜! いやぁ惜しかったね代理人」
「・・・・・・・あなた方の魂胆はしっかり伝わりましたけどね」
ジト目で睨む代理人の視線を鼻歌で受け流しつつ、その横でヘリアンが血走った目でスケッチを描いている。ペルシカの冷ややかな視線が突き刺さろうが意にも介さない。
するとM16はポッキーを一本手に取り・・・・・そのままペルシカに差し出した。
「・・・・・え?」
「いや、やるだろ?」
「なんでよ!?」
「お二人のためにあるようなゲームじゃないですか。 ほら、SOPはこっち」
「えぇ〜・・・」
M16とROがノリノリで二人を座らせると、ニマニマと笑みを浮かべながら見守る。それが無性に腹立たしいので、もう一度抗議の声を上げる事にした。
「まだやるなんて言ってないんだけど?」
「え? やらないんですか?」
「もしかして失敗すると思ってるのか? SOP可愛そう〜」
「やってやるわよ!」
呆気なく乗せられた。しかしペルシカとSOPは付き合い始めてそこそこ経つ。キスも一度や二度ではないのでこの程度なんら問題にならないはず、と思い込んでポッキーを咥えた。
「それじゃあ早速・・・・スタート!」
合図と同時に二人とも勢いよく食べ進め・・・・・・止まった。
テーブル一つ分空いており、椅子に座っている都合上互いに顔を近づけなければならない、しかも咥え続けるためには口を前に出す必要があり、必然的にキスに近い形になる。そして二人は、あとちょっとのところでチキンになったのだ。
「「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」」
顔を合わせたまま、真っ赤な表情で動けなくなる二人。ここまできたら引くに引けず、とはいえ進む度胸もない。自分から折るのは拒否したようで嫌だし、かと言って折られるのもちょっと・・・・・・というジレンマに突入してしまった。
横で興奮しながらスケッチをとる二人のことなど一切目に入っていない。
(ど、どうする? 一気に行く? それともあっちから来てくれるのを待つ???)
(ぺ、ペルシカ動くのかな? 動かないなら、こっちから行った方が・・・・)
(い、いや、ここは恋人として、そして育ての親として度胸を見せる場面よ!)
(ま、待ってる間に折れちゃうくらいなら、こっちから!)
と互いの間で『相手が動かない前提』の話を組み立てた結果、ほぼ同時に前進する事になった。
そしてそれは相手のもとに向かう途中で止まることとなる・・・・・・迫ってきた相手の唇で。
「「んむぅっ!?!?!?!」」
「「いぇええええええええええええすっ!!!!!」」
企画者二人、大歓喜である。そして忘れてはならないのが、ここが喫茶 鉄血のテーブル席だという事。
周りからの拍手と歓声に、ペルシカとSOPは真っ赤になりながら俯いた。
「・・・・・その・・・お二人ともお疲れ様でした。 こちらが賞品の割引券、お二人分です」
「あ、ありがと・・・・・・///」
「〜〜〜〜〜///」
そんなこんなで、騒がしくも熱い1日が始まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「マヌスクリプトさんっ!」
「あたいたちもやるよっ!」
「ふ、二人ともどうしたのよ!?」
「あ、いらっしゃい40、F45・・・・と45」
AR小隊が去ってから数分後、両腕を姉妹に挟まれた45が連行されてきた。当の45には何も知らされていないのか、困惑したまま辺りを見渡している。
「でも意外だね、二人同時に来るなんて」
「「45(お姉ちゃん)を連れてこようとしたらついてきたの!」」
「お、落ち着いて二人とも、喧嘩はダメよ・・・・」
45も軽く怯えている。このままでは精神衛生上よろしくないので早速ルールを説明し、呆れる45にポッキーを二本渡す。
「じゃ、最初はあたいから! 頑張ろうね45!」
「え、あ、うん」
「準備はいいかな〜? じゃあスタート!」
いうや否や、もの凄い勢いで食べ進める40。その鬼気迫る迫力に45が圧倒されている間にもみるみる減っていき、あと数口で終わるというところで・・・・・・
「おっとぉ!!!」
「んぐっ!?」
ポキッ
「んっ! ・・・・折れちゃったわね」
「ど、どういうつもりなのF45!?」
わざとらしく背中を押したF45のせいでバランスが崩れ、勢い余って折れてしまった。はぐらかしてはいるが、それが嫉妬によるものだということは誰の目にも明らかだった。
(姉妹間の三角関係・・・・・いいっ!)
(これは滾るな!)
二人は溢れ出る妄想を脳内にだけとどめ、F45を座らせる。後ろで40が不服そうな顔をしているが、始まると同時に何か思いついたのかニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、両手をワキワキさせながらF45に忍び寄る。
そして・・・・・・
「・・・・えいっ!」
「んむぅ!?」
両脇腹に指を立てた。その衝撃でビクンとはねるF45だがなんとかそこは持ち堪え、必死に我慢しながら咥え続ける。が、40の攻勢はなおも続く。
「ほぉ〜ら、まだまだ残ってるよ〜?」
「〜〜っ!!」
咥えたままプルプルと触れつつ、なんとか我慢しようとするF45。が、その我慢も長くは続かず、
ポキッ
「んふっ、あははははは!!!」
「はい残念〜〜!」
「よ、40! もうやめ・・・いひひひひひ!!!!」
(・・・・・もう帰っていいかな?)
目の前でじゃれ合う妹二人を眺めながら、残ったポッキーを食べ終えた45はぼんやりとそう考えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お姉さま、これです!」
「おぉ、本当に50%オフ券だ・・・・」
続いて現れたのは、見た目とか雰囲気がよく似ている二人組、G11とゲパードだった。着任の際の一件からG11のことを『お姉さま』と呼び慕い、初期の頃なんかは襲い掛かろうとしたくらい溺愛していたゲパードがG11を連れてきた、それだけでマヌスクリプトとヘリアンは色々と察した。
「いらっしゃいませ二人とも」
「やぁ代理人、悪いけど賞品は頂くよ」
「お姉さまへの愛があれば余裕です」
勝ち誇った表情のG11の後ろで、ゲパードが怪しい笑みを浮かべながら舌舐めずりをする。それを見て代理人も察するが、あえて見て見ぬ振りをする事にした。
なんだかんだ、代理人も楽しんでいるのだ。
「じゃあルールの説明は大丈夫そうだね。 はい、チャンスは一回だよ」
「健闘を祈るぞ、G11」
「? まぁ任せなよ」
そう言ってポッキーを咥え、椅子に座る。そして対面にゲパードが座り、片方を咥えたところでようやくG11も違和感を覚える。
ゲパードの様子がちょっとおかしい。具体的には目がいつもより開いていて鼻息が荒いくらいだが。
「では、スタート!」
「っ!!!」グヮシッ!
「んんんっ!?!?!?!?」
開始早々、なんとゲパードが両手でG11の頭を押さえ込んだ。そしてそのままバクバクと食べ進め、それに連れてG11も今更ながら状況と、ゲパードが誘った魂胆に気がついた。
(そ、それが狙いかぁああああああ!!!!)
(お姉さまとチューお姉さまとチューお姉さまとチューオネエサマトチュー・・・・・・)
距離に比例して鼻息が荒くなり、もはや恐怖しか感じないゲパードの表情。普段なら速攻逃げ出すところだが今回は賞品がかかっているためにG11を思いとどまらせる。が、このままではたとえ食べきっても解放されるかは怪しいところ。最悪の場合そのまま公衆の面前で
半額券か、それとも貞操(?)か・・・・・・天秤にかけた結果、G11は思いっきり顔を逸らした。
パキッ
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・あ、危ないところだった」
((・・・・・・・ちっ))
まるでこの世の終わりのような顔で固まるゲパードと、命がけの作戦から帰還した兵士のような安堵の表情を浮かべるG11。ついでに審判兼モニターの二人は密かに舌打ちした。
「・・・・・ま、残念だったねG11、よかったの?」
「大事なものを失うよりは、ね」
「そうか・・・・・残念だったなゲパー・・・・・・ド?」
「・・・・うふ・・・・うふふふふ・・・」
意気消沈していたかと思われていたゲパードから発せられた低い笑い声。そしてその直後、ガバッと顔を上げると同時に再び両手がG11を捕らえた。
「ぬわっ!?」
「もうゲームなんて関係ありません、チューしましょうお姉さま!」
「はぁ!? む、無理に決まってんでしょ!」
「嫌よ嫌よも好きのうちですねわかります!」
「全然違・・・・ちょ、近、近い近い!」
「・・・・まぁ、これはこれで」
「積極的な後輩に迫られる先輩、そこから始まる恋愛ストーリーか」
「書くなら健全なものにしてくださいね二人とも?」
「冗談言ってないで止めてよぉおおおお!?」
end
やりました(某空母並感)
ちなみにポッキーの日の正式名称は『ポッキー&プリッツの日』だそうです。
では早速キャラ紹介
マヌスクリプト
今回の主犯1。
ちなみに割引券はマヌスクリプトの実費である。
ヘリアン
主犯2。
自分とこで管理している人形たちで絵を描くという暴挙に出ている女。
代理人&M4
非公式親子。
まぁいきなりやれと言われたら恥ずかしいよね。
ペルシカ&SOP
親子で恋人。
ちなみに先に理性が切れるのは大体ペルシカ。
45&40&F45
賑やか姉妹。
45の被害担当っぷりが板についてきた。
いかに相手を出し抜くかが40とF45の争点。
G11&ゲパード
「話を聞いたときにティンときた」とはゲパードの談。
愉悦部で人を陥れるのが得意なG11が唯一苦手とする相手、それがゲパードである。