喫茶鉄血   作:いろいろ

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溢れ出るS感はMの裏返しなんだと思います!(魂の叫び)
*本文とは一切関係がございません。

消化しきれていないリクエストは時間をかけてでも書くつもりですのでもうちょっと待ってね!


第百二十五話:武闘派MG

その知らせはあっという間に喫茶 鉄血にも流れてきた。あのAR小隊と404小隊が負けたという知らせだ。

それぞれが裏と表で他の追随を許さないほどの作戦遂行能力を誇るAR小隊と404小隊。ここの能力で言えばそれを超える人形たちは割といるものの、一部隊として見た場合やはり彼女たちの方が上になる。そんな歴戦の猛者とも呼べるあの二部隊が負けたという知らせを、代理人は素直に信じることができなかった。

 

 

「ほ、本当なのよ代理人!?」

 

「いえ、ですがそれならなぜ無傷でここにいるのですか45?」

 

 

信じられない理由、というのが目の前にいる404の隊長であるUMP45のせいである。なにせそんな強敵相手に全滅し、しかしけろっとした様子でコーヒーを飲みにきたのだから信じろという方が難しい。

 

 

「嘘じゃないんだよ代理人。 私たちは本当に手も足も出なかったんだ」

 

「えぇ、まさかあんな人形がいたなんて・・・・・」

 

「ギブアップすらさせてくれなかったよね、あの人」

 

「・・・・・・・・・うん?」

 

 

さらっと聞き流すところだったが聞き捨てならない内容が聞こえてきた。彼女たちが負けたというのだからてっきり数で負けたとか不利な状況だったとかだと思ったが、そもそもの前提が違っていたらしい。

 

 

「あの・・・・・確認ですがお相手は何人だったのでしょうか?」

 

「え? 一人よ、言ってなかったけ?」

 

「ついでに言えば近接戦闘訓練、ようするに格闘戦よ」

 

「四対一だけどね」

 

「あんな戦闘狂、見たことないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

話をまとめると、それが行われたのは一昨日のこと。その日着任した彼女の言った言葉に火をつけられた一部の人形たちが発端だったらしい。

 

 

「私、格闘戦では負けたことないんですよ」

 

 

その余裕一色の表情にカチンときたKarが真っ先に挑み、呆気なく返り討ちに遭う。泣く泣く敗北を認めると今度は敵討ちとしてカラビーナを召集、訳もわからぬまま戦わせたらしい。カラビーナは知っての通り別世界の人形であり、格闘戦も含めてそれなりの場数を踏んだ戦士だ。ところがそのカラビーナも惜しいところで負けてしまい、彼女の強さを知る人形から戦慄された。

 

 

「で、その時にKarが言い出したのよ。 『格闘戦No.1を決める!』ってね」

 

「まぁ、子どもっぽいところがありますからね彼女」

 

「で、何がどうなったか指揮官の耳のも入って、指揮官権限でなんでも一つ願いを叶えるって言われたもんだから・・・・・」

 

「想像できます、その光景」

 

 

当時、任務に出ていた404とAR小隊が帰ってきた頃には死屍累々だったという。いの一番にフェアプレー無視で集団戦に持ち込んだ指揮官ラブ勢が片っ端から沈み、半年の有給という願望をかけて挑んだゲパード(非番)も絞め落とされ、何故か参加させられたカリーナなどまるで拷問のような仕打ちを受けていた。

 

 

「いやぁ、戦う前からやばいとは思ってたんだよねアレ」

 

「M4たちも災難だったわね」

 

「あら、そう言えば彼女たちは?」

 

「修復と臨時メンテナンスでペルシカのとこよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

しかしそこはAR小隊、個々の能力では敵わないと分かると連携をとって攻めに転じる。このまま押し切るかと思った矢先、「久しぶりに本気出すわね♪」と言ったその人形に次々と捕まり、再起不能になるまでコテンパンにされてしまった。

そこでようやく404の出番なのだが・・・・・

 

 

「考えても見てよ、AR小隊は六人(D-15含む)で私らは四人よ?」

 

「それにあっちは最初っから本気」

 

「おまけに完全に出来上がってたわね」

 

「例えるならアレだね、最初っから激昂ラーj「9、それ以上はダメよ」

 

 

簡単に言えば、やりすぎなくらいやられてしまったのだろう。表情から察するのは、地獄だったという感想だけである。

そんな時、店の扉がゆ〜〜〜〜っくりと開いていくのを代理人が見つける。そして緑の髪を揺らした人形が静かに入ってきて、口元に人差し指を当てながら45たちの後ろに近づく。

 

 

「まったく、グリフィンもいよいよ末期ね、あんなぶっ壊れ人形を買うなんて「ぶっ壊れ人形って、誰のことかしら〜?」・・・・そんなのあんたに決まってぎゃあああああああああ!!!!????」

 

 

縮地かと思うほどの勢いで椅子を飛び上がり、カウンターの内側に避難する45。その様子をニンマリと見つめその目は、どう見ても捕食者のそれだった。

最大限にまで警戒しつつ、416が尋ねる。

 

 

「・・・・何しにきたのよ、『Mk48』」

 

「あら、この地区に着任したらここに挨拶に来るのではないのかしら?」

 

「そんなルールはございませんが、お客様なら歓迎いたします」

 

 

Mk48、それが彼女の名前だ。マシンガンタイプの人形であり、その性能はまぁまぁ優秀・・・・なのだが何をとち狂ったのか、近接戦闘というMGには最も不要な要素に全力を注いだ結果できたのが、あらゆる格闘技を網羅したトンデモ人形である。ボクシングから空手、CQCにシステマとなんでもありだ。

 

 

「ふふっ、あんたがマスターの代理人ね? はじめまして、Mk48よ」

 

「喫茶 鉄血のマスターをしております、代理人です。 ご注文は何になさいますか?」

 

「じゃああんたを・・・・・と言いたいところだけど、ホットコーヒーを頂くわ」

 

 

クスクスと面白そうに笑うMk48、その姿や仕草はちょっと毛色は違うもののDSRと似た感じ・・・・・ようするにトラブル増長役であることがわかる。

そして案の定、早速トラブルを持ち込んできた。

 

 

「いたっ! こいつだよF45!」

 

「よ、45お姉ちゃんをいじめたのはあなたね!?」

 

「40、F45・・・・・」

 

 

現れたのは45を溺愛してやまない二人の人形、UMP40とF45である。どうやら敵討ちのつもりらしく、不慣れ感漂うファイティングポーズを構えている。スッと目を細めたMk48は、唇をペロリとひと舐めした。

 

 

「あなたに勝って、あたいは45と添い遂げる!」

 

「ちょっと何言ってんの40!?」

 

「私が勝ったら、45お姉ちゃんをF小隊に入れてもらうから!」

 

「「「ドーゾドーゾ」」」

 

「止めなさいよあんたたち!?」

 

「いいわぁ、かかってらっしゃい」

 

 

こうして40とF45による、私欲に塗れた敵討ちの幕が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ひぎゃぁああああああああ!!!!!」」

 

「ほぉら、早くしないと腕がもげちゃうわよぉ♪」

 

「ぎ、ギブアp「あら何聞こえないわ」痛だだだだだだだだだ!!!!!!!」

 

 

一分ももたずに二人揃って捕まり、腕を捻りあげられて地に伏せる。二人が特別強くもなかったのもそうだが、Mk48の一切無駄のない動きは代理人ですら一瞬見失うほどだった。

代理人は思う・・・・・・マシンガンいらないんじゃないかな、と。

 

 

「うぅ・・・・ごめんよ45ぉ・・・・」

 

「仇を討てなかったよ・・・・・」

 

「え、えぇ、そうね・・・・お疲れ様」(あんたらが勝ってもヤバかったんだけどね)

 

 

とはいえ彼女の強さと45たちが負けたのは分かったので、ひとまず代理人の心配事は無くなったといえよう。さっきから妙に熱っぽい視線を向けられていること以外は無害なので、これからも客として迎え入れても良さそうだ。

 

 

「何か凄い悲鳴が聞こえたが、何かあったのか?」

 

「特に気にしなくても大丈夫ですよゲッコー」

 

「そうか・・・・・ところでそちらは見ない顔だが・・・・・」

 

「あら、変わった姿の店員・・・・・さん・・・・・」

 

 

階段から降りてきたゲッコーと、カウンターに座るMk48の視線がぶつかり、動かなくなる。なにやらロマンチックな音楽でも流れてきそうな雰囲気に、代理人は大きくため息をついた・・・・・・またトラブルか、と。

そして未だに負けを認めきれない40が、特大の爆弾をぶっ込んできた。

 

 

「ゲッコー! この人に勝ったらなんでもいうこと聞いてくれるよ!」

 

「・・・・・・ほぉ」

 

「ちょっと40! これ以上ややこしくしてどうすんのよ!?」

 

 

言っておくが願いが叶うのは司令部の人形だけで、しかも指揮官ができる範囲でのことである。当然ながらゲッコーは対象外だが、止める間も無くその気になってしまった。

 

 

「ふむ、美しい女性だ。 こんな形ではあるが、勝ったら私がもらってもいいのかな?」

 

「うふふ・・・・強気な人は好きよ。 でも、言葉だけならどうとでも言えるわね?」

 

「お眼鏡に叶うかはわからんが・・・・・お相手しましょうか、レディ?」

 

(・・・・・・・・あ、そろそろ新作のケーキでも考えておきましょうか)

 

 

久しぶりにゲッコーの女たらしが発揮され、もはや開戦は避けられなくなったところで代理人は考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「場所はここで構わないか?」

 

「えぇ、十分よ・・・・・早速はじめましょ」

 

 

代理人が匙を投げて数分後、喫茶 鉄血前の公園に出た二人は、ギャラリーが見守る中でばちばちと火花を散らせていた。

Mk48からすれば一目でティンときた感じであり、純粋に楽しめると思ったから。そしてゲッコーは、代理人が止めないということは公認であるという曲解にたどり着いたからだ。

すなわち、勝てば相手が手に入るのだ。

 

 

「では、こちらから行きます・・・・・よっ!」

 

「速っ!?」

 

 

鈍足なMGのイメージをぶち壊すほどの勢いを持って、一気に間合いを詰めてきたMk48。そのまま畳み掛けるように放たれる連撃を受け止めようと腕を出し・・・・・一瞬の判断で引いたその後を、掴みかかった腕が空振る。最初の突進も攻撃もこのためにあったのかと考えると、ただ格闘戦に秀でているわけではなく頭も回るのだと気づく。

 

 

「うふっ、今のを避けられるなんて・・・・・いい目をお持ちね?」

 

「今でこそただの喫茶店員だが、これでも近接戦闘用に作られているもんでね」

 

 

言うと今度はゲッコーの方から仕掛ける。地を蹴って飛びかかるゲッコーを迎え撃とうと掴みかかり・・・・・突然目の前からゲッコーが消えた。

 

 

「えっ?」

 

「横がお留守だぞ?」

 

「なっ!? ぐっ!!」

 

 

横あいから蹴り飛ばされ、地面に転がるMk48。なにが起きたのかもわからず、またゲッコーもそれを理解させる時間を与えずに畳み掛ける。Mk48から見れば両足が地面から離れていたゲッコーが消えて見えたが、実際は単純で尻尾型のユニットによって強引に体を横に飛ばしたのである。そしてちょうど真横にあった木の幹を蹴り、不意打ちの如く蹴りを入れたのだ。自重を支えられるパワーを持つゲッコーの尻尾だからできることだった。

 

 

「おっと私とした事が、レディに蹴りを入れてしまうとは・・・・大丈夫かなお嬢さん?」

 

「ええ、ご心配なく・・・・・ちょ〜っと頭に来ただけよっ!」

 

 

攻撃的な笑みを浮かべるMk48は今度こそなりふり構わずに攻撃を繰り出す。殴る蹴るはもちろん隙あらば掴みにいき、ゲッコーを追い詰めていく。対するゲッコーも両手両足、さらに尻尾まで全て使って攻撃を躱し続ける。何度か掴まれかけたが既の所で尻尾を掴ませ、振り払う。格闘戦を極めようとも流石に尻尾はどうしようもないらしく、掴んでも攻めに転じれないためすぐに手を離す。

そんなこんなで数十分、互いに息が切れてきた所でついにMk48の腕がゲッコーを捉えた。

 

 

「っ!」

 

「ウフッ・・・・捕まえた♪」

 

「あぁ・・・・・こっちがな!!!」

 

 

腕を捻りあげていたMk48はその言葉にバッとその場を飛び退く・・・・・も一歩遅く、ゲッコーの尻尾が首に巻きつきMk48を持ち上げた。初めは爪先がついていたが段々それが離れていき、比例して息苦しさも増す。

 

 

「くっ・・・・うぅっ・・・・・・」

 

「はぁ、はぁ、、、これで終わりだMk48、負けを認めろ・・・・」

 

「ぐぅ・・・ま、まだ・・・よ・・・・・」

 

 

しぶとくもがき、なんとか抜け出そうとするMk48だが既に打つ手はない。電脳に響くアラートと徐々に暗くなり始める視界に最後までライバル(ゲッコー)の姿を捉え、やがて真っ暗に・・・・・・

 

 

「よっと」

 

「かはっ! げほっ、ごほっごほっ!」

 

 

なる手前で突然息苦しさから解放されて、体が何かに包まれるのを感じる。焦点がずれた目を動かし、やがてそのぼやけた風景が鮮明になると、目と鼻の先にゲッコーの顔があった。

 

 

「っ!?」

 

「すまない、少しやり過ぎてしまった・・・・大丈夫か?」

 

「ひぇ!? え、えぇ・・・・」

 

 

思わず変な声が出てしまうが、それがなんなのかはわからない。とりあえず体を起こそうと身動ぎし、なぜか全く動かないことに気がつく。見てみればゲッコーに支えてもらっている体には、その尻尾がぐるりと巻き付けられていた。

 

 

「起きたらまた暴れるかもしれないと思ってこうさせてもらったが・・・・・お前の負けでいいな?」

 

「・・・・・・えぇ、私の負けよ・・・」

 

「ふふっ、そうかそうか・・・・・・では約束通りお前は私ののものだな」

 

「えっ!?」

 

 

そういえばそんな約束(?)をした気がしなくもない。そもそも負けるとは思っていなかったので話を全く聞いていなかったと言うのもあるが・・・・・

 

 

「さて、では戻るとしようか」

 

 

そう言ってゲッコーは尻尾を離すと、未だ呆然とするMk48の体を()()()()()()で持ち上げて歩き出した。

 

 

「にゃっ!? ちょ、ちょっと待って!?」

 

「む、もしかして恥ずかしいのか? 可愛いお嬢さんだな」

 

「う、うぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

(((((・・・・・・なんだこれ?)))))

 

 

妙な空気を撒き散らしながら店へと戻る二人を、ギャラリーはそんな思いで見送った。

 

 

 

end




ゲッコーの女たらし設定、消えかかってたので再燃させました!
Mk48は日和ったら可愛いと思う。

ではではキャラ紹介!

Mk48
完全武闘派の淑女。ちなみに格闘技ができるのは公式らしい。
初めて見た時からこの娘は、いかにもサディストだけど優しくされたりしたら尻込みするような純情ヤンキーっぽい娘だと思ってました。

ゲッコー
接近戦に限れば作中最強格。
ちなみにこいつのセリフのどこまでが本気でどこからが冗談かは作者にも不明である。

代理人
考えるのやーめた

45
隊長=強いと言う方程式の元、Mk48に一番ボコられた人形。それでも修復ポッド送りにならないのは、普段から似たような目にあってるから。

404&AR
彼女たちの『強い』は作戦能力のことであり、決してここが無茶苦茶強いわけではない。早い話がLv70×5人とLv100×1人みたいなものである。


季節の変わり目、特に朝晩は冷えますので皆さん体調には充分気をつけましょ(但し、代理人に看病されたいという人は別)
ではいつものリクエスト置き場です!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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