喫茶鉄血   作:いろいろ

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積んでいたプラモを作り始めたら止まらなくなりました笑
そして塗装の合間に書き出すとこっちが止まらなくなるんですよねぇ・・・・

ということで今回は以下のラインナップ
・ポッキーゲーム延長戦!
・独り身は辛いよ
・ペットの温かみ
・昨日の強敵は今日の恋人?


番外編31

番外31-1:ポッキーゲーム延長戦!

 

 

11月11日、ポッキーの日。発祥の地である極東の島国から遠く離れたこの欧州の街ではさほど普及してはいないものの、一部の人間や人形が広めたことによってそのゲームが行われている場所もある。喫茶 鉄血などはその代表例だが、今回はそことは別の場所のカップルたちを見てみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

case1・416と9

 

彼女たちの隊長が連れ回され、同僚が貞操の危機に陥っている頃、珍しく自室で慎ましく過ごしている二人の目の前には、案の定例の細長いお菓子が広げられている。

 

 

「・・・・・・9、これは?」

 

「えへへ〜・・・・今日はなんとポッk「ポッキーの日、それとこれからやるのがポッキーゲームでしょ?」・・・・・うん」

 

 

セリフをとられてへこむ9に、416ははぁっとため息をつく。

 

 

「別にこんなゲームに託けなくたってキスくらいいくらでもできるじゃない」

 

「わかってない、わかってないよ416! ポッキーゲームは普通にキスとは違うんだから!」

 

 

そう熱く語る9。ちなみに本来でいえばキスができるかどうかというゲームでもあるのだが、キスを前提に考えるあたりバカップル感が溢れ出ているといえよう。

 

 

「ふぅ〜ん・・・・じゃあ、ふぁいどうふぉ(はいどうぞ)

 

「えっ!? う、うん・・・・いただきます」

 

 

416がポッキーを咥えてズイッと差し出すとなぜか赤面して日和る9。それでも慎重に端を咥え、ポリポリと齧っていく対する416はただ咥えたままその様子をジッと見ているだけだ。

しかしポッキーがちょうど半分を超え、9のペースが遅くなり始めたところで416は仕掛けた。ちょっとだけ悪い笑とともにポッキーが折れない程度の速度で後ろに下がったのだ。となると9は身を乗り出してでもついていかねばならず、戸惑いと広義の眼差しを送る。

それが届いた・・・・・というわけでもなく、9が椅子から腰を浮かせたところで、416が残りの距離を一気に詰めて口を塞ぐ。

 

 

「んむっ!? 〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

 

あまりのことに為されるがままの9。口の中に残ったポッキーごと相手の舌をからめ取り、ポッキーがただのプリッツになってしまうほど熱いキスを交わす。

そしてたっぷり数十秒後、熱のこもった吐息と糸を引く唾液とともに唇を離し、一瞬呆けた9が真っ赤になって抗議する。

 

 

「も、もう! いきなりなんてひどいよ416!」

 

「あらごめんなさい、あなたが可愛いからつい、ね」

 

「うぅ・・・・・思ってたのと違うぅ・・・」

 

「ふふっ、大丈夫よ9・・・・・・まだたくさんあるから」

 

 

そう言ってまだまだあるポッキーの中から一本取り出し、再び口に咥えると艶かしい笑みを浮かべる416。ここに来てポッキーの数を間違えたと悟る9だったがもう遅い。

解放されたのは陽が傾く頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

case2・ハンターとAR-15とD-15

 

AR-15とD-15はメインフレームとダミーの関係である。諸事情により自我を持ってしまい、諸事情により戦闘能力が失われてしまってはいるがダミーはダミーである。

それはつまり、本体と感覚を共有することが可能であるということだった。

 

 

「んっ・・・んぅ・・・・・・・」

 

 

そんなわけでさも当然のようにキスに至ったポッキーゲーム。これの難点である一対一という点を、感覚共有によって美味しい体験へと変えているのだ。

 

 

「まったく、妙なことを言い出したかと思えばこれが狙いだったのか」

 

「ふふっ、まぁね。 でもハンターって私とオリジナルとでキスの仕方も違うのね?」

 

「ん? だってあいつ(AR-15)はあいつで、お前(D-15)はお前だろ?」

 

「・・・・・そういうのをさらっと言うのはずるいわよ」

 

 

ポッと赤くなるD-15の頭を撫で、それでまた顔を赤くする姿に可愛いいと思うハンター。が、流石にそんな甘々な空気を見せつけられてAR-15(オリジナル)が黙っているはずがなかった。

 

 

「はいはい、もう交代よ!」

 

「もうっ! 今いいところだったのに・・・・・」

 

「ははっ! 嫉妬は随分と可愛いことをするじゃないかAR-15」

 

「う、うるさい・・・・ほら、次は私の番よ」

 

 

そう言って紙の上に広げたポッキーを一本手に取り・・・・・小指くらいの長さで折れていたそれを見てため息をつきながらちゃんとしたのを選ぼうとする。

だがその手をハンターに止められ、折れたポッキーを無理やり咥えさせられると文句を言う前に唇を塞がれた。・・・・・ポッキーゲームとはなんだったのか。

 

 

「ふぁ・・・・ちょ、ちょっと・・・・・」

 

「なんだ? ちゃんとポッキーを使っただろ?」

 

「ば、ばかぁ・・・・・!」

 

「ず、ずるい! 私もする!」

 

 

途中からポッキーなんていらなくなった。

 

end

 

 

 

番外31-2:独り身は辛いよ

 

 

「らから〜、わらひらってであいがほしいんらぞ〜・・・・」

 

「ユウトさ〜ん、お仕事ばっかりじゃダメですよ〜?」ナデナデ

 

(ど、どうしてこうなった・・・・・・)

 

 

M16(酔っ払い)に抱きつかれ、RO(酔っ払い)に膝枕されながら、ユウトはこの混乱極まる状況になった過程を思い返してみた。

 

ことの発端は姉から言い渡された『休め』という命令。いまいち納得いかないがそうしなければかえって迷惑をかけてしまうということで仕方なく喫茶 鉄血を訪れ、代理人にアドバイスを求めたところまではいい。

しかしその後現れたM16とROのコンビに連れ出され、隣町でショッピングやらカラオケやらに付き合わされた挙句入った飲み屋で二人が酔っ払ってしまい、そして現状に至る。

 

 

(ROさんはともかく、M16さんはお酒に強いはずじゃ・・・・・)

 

 

そう認識していたのだが、蓋を開けてみれば完全に泥酔だ。とはいえこれはまぁ仕方ないことだった。

M16はAR小隊の長女ともいえる存在である。常に妹たちの身を案じ、妹たちの幸せを祝福してきた。少々行き過ぎたこともあったがそれも愛のなせることであり、それだけ妹たちを溺愛していたのだ。それが最近はそれぞれに付き合いが増え、姉妹で過ごす時間が以前よりも減ってしまった。

加えて周りの朗報が入る中で行き遅れている間が出てきてしまい、その反動からユウトを連れての行動が楽しかったのだ。

 

まぁ要するに、「ちょっといいかな〜」くらいには意識しているということだ。

 

 

「ろ、ROさん、重いでしょうからもう退きますよ・・・・」

 

「ふふっ、別に気にしませんよ。 それよりも、もっと甘えてもいいんですよ?」

 

(あ〜こういうタイプか〜・・・・・)

 

 

M16が甘えたいタイプなら、ROは『甘やかせたい』タイプだ。自身がしっかりしなければという責任感からそういうのが来ていると考えられるが、いかんせんAR小隊は甘やかせるには真面目すぎた。

隊長のM4は言わずもがな、AR-15もしっかりしているし、自由奔放なイメージのSOPも公私はしっかり分けている。結果として対象がM16、それもプライベートで飲んでグダグダになった時に甘やかせるくらいしかなく、言うなれば飢えていたのだ、甘やかせることに。

 

 

「あーもう、M16さんもROさんも飲み過ぎです! もうお会計して今日は帰りましょう」

 

「やらやら〜! もっろゆーととのむぅ〜!」

 

「そんなに慌てなくても大丈夫ですよユウトさん〜」

 

 

だめだこりゃ、と匙を投げたくなるユウト。ここまで冷めきっているのは男としてどうかと言われそうだがそうでもしなければならない理由が彼にはある。なにせM16に後ろから抱きつかれ、ROに膝枕されているのである。

 

・・・・・・背中と側頭部に柔らかなものが押し当てられている状況で、冷静にならざるを得ないのだ。

 

 

(ていうか二人ともガードが緩すぎる! もし僕が我慢の聞かない男だったらどうするんだ・・・・・・いや襲わないけど)

 

 

気がつけばいつのまにか二人は静かに寝息を立てており、やれやれといった調子でユウトは二人を担ぎ上げる。もう結構ガッツリ当たっているがそれらを一切無視し、とりあえず理性が切れる前に戻ろうと店を出る。

 

・・・・・が、ユウトはともかく二人はもう限界だったようだ。足元がおぼつかず今にも倒れてしまいそうである。しかしながら近くには都合の良い普通の宿などなく、あるのは()()()()()()ホテルくらい。

 

 

(・・・・・・二人を寝かせるだけ、それだけだ)

 

 

誰に対してでもない言い訳を呟きながら、煩悩を全て振り払って近くの建物へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、M4が鉄血工造へと土下座しに行ったのは言うまでもない。

 

end

 

 

 

番外31-3:ペットの温かみ

 

 

喫茶 鉄血に炬燵が導入されて以降、それまであまり有効活用されていなかった供用スペースがようやく機能し始めた。大体は炬燵が目当てだが、集まれば何かしら会話がうまれてコミュニケーションの場になる。内向的なフォートレスが馴染むのにも一役買っており、今では喫茶 鉄血の仲間であれば緊張せずに話せるようになった。

 

さてそんな喫茶 鉄血の中で、ほかと直接コミュニケーションをとることができないものがいる。ダイナゲートだ。

普段は店内を歩き回りながらゴミを回収したり、必要であれば客のもとに行って癒しを与えたりしているのだが、業務時間が終わると決まって一番初めにコタツに突っ込む。

 

 

『ーーーーーーー』

 

 

炬燵の中で四本の足をだらんと伸ばし、これ以上にないくらいダラけるダイナゲート。鉄血の中でも最下級モデルである彼は本来暑さ寒さを感じることはなく、それゆえ炬燵の必要性も皆無なのだが、何故かこの時期は暖かいところに行きたがる。そしてそのまま誰かが来るまでの間、この真冬のオアシスを独占するのだ。

 

 

『ーーーーーーー!』

 

「うぅ、今日も冷えるなぁ・・・・炬燵炬燵」

 

 

しばらくすると、真っ先に上に上がってきたマヌスクリプトが炬燵へと近づいてくる。ダイナゲートは誰かの声が聞こえてくるとのっそりと立ち上がり、反対側からそろっと出ていくのがお決まりとなっている。

 

だがその日不幸だったのは、外が予想以上に冷えたこと。それによってマヌスクリプトが、いつもよりも素早く駆け込んできたこと。

 

 

 

 

 

 

炬燵の中に突っ込んだマヌスクリプトの足が、熱源から一番近い鉄の塊(ダイナゲート)にぶつかった。

 

 

「あっっっっっっっっつ!!!!????」

 

 

ジュッという音とともに飛び上がるマヌスクリプトと、その声にびっくりするダイナゲート。慌ててコタツから飛び出てマヌスクリプトの元に駆け寄り、異常を感知してすぐさま誰かを呼びにいく。そして近くにいたDを見つけると、救難信号を発しながら飛びついた。

 

 

「ん? ダイナゲート、どうしたn『ジュッ』うぉあっっっっっつ!!!」

 

「何事ですかD!?」

 

「あっ、代理人そっちにダイナゲートが!?」

 

「え? ダイナゲート、どうしましt『ジュッ』

 

 

直後、喫茶 鉄血を甲高い悲鳴が響き渡る。

それ以降、ダイナゲートが長時間コタツを使用するのは禁じられた。

 

end

 

 

 

番外31-4:昨日の強敵は今日の恋人?

 

 

カランカラン

「いらっしゃ・・・・・あら、()()()ですかMk48さん?」

 

「えぇ、今日もよ♪」

 

 

喫茶 鉄血前の公園での騒ぎから数日、ある意味図太いのか特にこれといった混乱もなくいつも通りの日常に戻った店と客。ただ違う点があるとすれば、その当事者であるMk48が毎日訪れるようになったという点だ。

そう、『毎日』だ。S09地区司令部に所属しパトロールを含めた任務をこなす傍ら、たとえそれが一時間の休憩であってもここを訪れるようになった。

 

その理由が・・・・・・

 

 

「ところで・・・・・今日はか、彼女はいないのかしら?」

 

「ゲッコーは今買い物に出てもらっていますので・・・もう少しすれば戻るでしょう」

 

 

いないと言われた瞬間どんよりと落ち込み、もう直ぐ帰ってくると言われた途端パァッと笑顔になるMk48。これが出会ったら片っ端から技をかけにいくというあのMk48と同一人物だと言われても信じる者は少ないだろう。それくらい今の彼女は、恋する乙女なのだ。

 

 

「〜〜♪ 〜〜〜♪」

 

「・・・・・それで、いつ告白されるんですか?」

 

「ふぇっ!? い、いきなりななななんの話よ!?」

 

 

見ての通り彼女はゲッコーに惚れている。それ自体は割と知られているし本人も隠す気はない。だがSっ気な性格に反して純情というかちゃんと段階を踏みたいのか、それをすっ飛ばしたことを聞くと途端に狼狽る。本人としてはまだお友達としてお近づきになりたい段階らしい。

 

 

「まぁ彼女は見ての通りかなりフレンドリィと言いますか、悪く言えば見境のない性格です。 早めに伝えておかないとライバルが増えないとも限りませんよ?」

 

「そ、そんなこと言ったって、恥ずかしいのよゴニョゴニョ

 

 

だんだん声が小さくなり小さく縮こまってしまうMk48に、ちょっと揶揄いすぎたかと反省する代理人。そのタイミングで店の裏口が開く音がし、買い物袋を持ったゲッコーが帰ってくる。

 

 

「戻ったぞ代理人・・・・お、今日も来てくれたのかMk48」

 

「あら、おかえr「お帰りなさいゲッコー!」・・・・・ふふっ」

 

 

ゲッコーを見つけると同時に一際元気になるMk48。それを満足げに見ると、代理人はゲッコーから袋を受け取る。

 

 

「あとは私が直しておきますので、ゲッコーはカウンターでの対応をお願いします・・・・・彼女も待っていたようですからね」

 

「わかった・・・・・待たせたかなMk48?」

 

「い、いえ! さっき来たばかりよ」

 

「そうかそうか、では注文は決まったかなレディ?」

 

 

いつもの、ここ数日では見慣れた光景になった二人を見守りつつ、代理人は奥へと戻っていった。

 

end




やりきったった・・・・
調子に乗るとR18の壁を越えたくなるのはR18作品を別で書いているからなんでしょうかね?

さてそんなことは置いといて各話の紹介!

番外31-1
ポッキーの日に書ききれなかったやつ。なんとこれだけでも1800文字あり、ボツで書いたR18展開はその数倍になってしまった(破棄済み)
まぁあと1ヶ月もすればまたイチャつくんでしょうけどね!泣

番外31-2
ユウトがエロゲの主人公みたいになってしまった・・・・・まぁ環境的にもともとそんな感じだけど笑
M16はきっと甘えん坊で、ROは艦◯れの雷っぽい感じだと思います!
どっちを嫁にしたいかは・・・・・・悩むところですね〜笑
ちなみに私は9ちゃん一択です。

番外31-3
感想から生まれた話。
本体は全く影響を及ぼさないが周りには莫大な影響を及ぼす。
色的にも熱吸収良さそうだしね笑

番外31-4
乙女なMk48。
彼女はヤンデレが似合いそうだったけど、あえてそれを避けてみようという試み。
なお、普段のSっぽさはそのままである。
こうやって際限なくカップルを増やしたがる作者ですけどどうぞよろしく。

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