鉄血キャラが賑やかになる一方、それぞれを活かしきれるか不安になったりもしますがとりあえず何も考えずに書いてます笑
ということで今回はそんな新キャラが二人も登場!
人形に必要なものは何か、と言われると一概にこれという答えはない。それは用途や装備、もしくは活動範囲にもより、そのためこれが最も優れた人形であるという基準もない。
例えば、代理人は指揮タイプとしての性能を持つ一方で武装はやや貧弱、逆にデストロイヤーなんかはこの火力を突き詰めた形である。IoP製にしてもM4のように高レベルでまとまった者もいれば、スプリングフィールドのようにカフェをも経営できるほどの腕を持つ者もいる。
そしてそれは、似たようなコンセプトであっても創る者によって全く違う形となることを意味している。
「むむむ・・・・・」
「なんだアーキテクト、また何か企んでるのか?」
「いきなり酷くないかなゲーガーちゃん??」
ここは鉄血工造のアーキテクトのラボ。そこで悩む様子のアーキテクトを怪しむように見るゲーガーだが、それも無理のないことだった。なにせここは現在の鉄血工造の前、人間の上層部がいた頃からある研究室であり、代理人をはじめとしたハイエンドたちが創られた場所だ。そして昨今ではマヌスクリプトやゲッコーなどの、
そんなところで頭を捻っているのだから、もう不信感しか湧いてこない。
「で、今度は何を作ろうとしてるんだ?」
「いや、実はもう作っちゃっt痛っ!? ちょっといきなり殴らないでよって待って待ってゲーガーちゃんちょっと落ち着こう」
「私の聞き間違いか? 貴様の口から『もう作った』と聞こえた気がしたんだが?」
やはり、というべきか既にやらかしていたアーキテクト。ゲーガーは知らなかったどころかそれっぽい報告書すら見かけたことがない。というよりアーキテクトから何か渡された記憶もない。
つまり・・・・・・
「また無断で作ったな貴様っ!!!」
「だ、だって言っても許可してくれないでしょ!?」
「だから無断で敢行したとでもいうつもりか!? また勝手に出ていったらどうするつもりだ!!!」
「今度は、今度こそは大丈夫! このGPSで施設のどこにいてもわかるから!」
そう言ってGPSを起動し、モニターに映し出す。ところがそれらしき反応は周辺からは感知されず、追ってみれば
「・・・・・アーキテクト」
「な、なにかなゲーガーちゃん?」
「造ったのは何体だ?」
「・・・・・二体」
「そいつらがなぜ街の方に向かっているんだ?」
「・・・・・・・・・・テヘッ♪」
「そこに直れアーキテクトォオオオオオオオ!!!!!」
「ごめんなさいいいいいい!!!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・・・・はい、わかりました。 では彼女にはしっっかりと言いつけておいてください。 では失礼します」
受話器を置き、深くため息をつく代理人。先ほどかかってきたのは鉄血工造からの電話で、相手はサクヤだった。なんでもまたアーキテクトがやらかしたらしく、無断で製造された新型ハイエンドがこの街に来ているといい、見かけたら保護してほしいそうだ。
だがその必要はもうない。なぜなら・・・・・
「マヌスクリプトさん! この本とっても絵が綺麗ですね!」(薄い本)
「えっ!? あ、ありがとう・・・・」
「だが少し線が細すぎる気がするな、せめてこれくらいは・・・・」
「いや、あんたの求めるのって筋肉でしょ!?」
件のハイエンドたちが既にここにいるからだ。
鉄血工造を出てきた(本人たちは脱走しているという認識はない)二人は一度別れ、それぞれの進みたいようにして街までやってきた。夜になれば戻る予定だったそうで、ふらふらと歩いているうちに何故かここにやってきたという。
「『ネイキッド』さん、その本は資格がなければ読むことができないものですので返してあげてください。 『アマゾネス』さん、ご注文のコーヒーですよ」
そう言って若干困った様子のマヌスクリプトから二人を引き剥がす。
ネイキッドとアマゾネス、この二人が新たに造られたハイエンドたちだった。ハイエンドということである程度の指揮能力と戦闘力を持っているが、この二人に必要とされたものはほぼ同じ、『馬力』だ。
ネイキッドは、その名とは正反対に全身を服やら帽子やら手袋やらで覆い隠した長身の人形。なんとAPFSDSとそれを発射する身の丈を超える大型ライフルを使うことを想定されており、遠距離タイプでありながらパワータイプという変わった人形だ。
アマゾネスはその名前通り、筋肉が特徴的な人形。人形に筋肉がいるのどうかという話になるが、こいつはなんと前開発陣営の置き土産。そのうちの一人の「筋肉娘っていいよね」が発端であり、見ての通りのパワータイプ。
・・・・・平和なご時世に反した存在であることは否めない。
「まったくアーキテクトは・・・・・ですがお二人とも気をつけてくださいね。 認可されていない人形は権利もなにもない状態なんですから、何かに巻き込まれてしまっては助けるのも難しくなりますから」
「大丈夫さ、その時は自分で対処するよ」
「それが危険だから言っているんですよ」
さてこんな感じで迎え入れては話している代理人だが、問題はこの二人をどうするかだ。とりあえず認可してもらうのは絶対として、正直これ以上喫茶 鉄血においておけるほど余裕はない。というかマヌスクリプトとゲッコーがいる時点でそこそこ出費が嵩んでいるのだ。
となると二人には外に出てもらうしかない、だが生まれたばかりで世間をそこまで知らない二人を世に送り出すのは流石に危険だ。
バンッ
「そんな時は私にお任せ!」
「おやいいところに来ましたねアーキテクト、少しお話があるのでこちらに来てください」
「アッハイ」
とりあえずやるべきことは決まった。一向に反省してなさそうな後輩の説教である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うぅ〜・・・・・足が痺れてる〜・・・・」
「それで済んだんですからいいじゃないアーちゃん」
「でも助けてくれないんだねDちゃん」
「だって私はOちゃんのダミーだし」
一時間後、ようやく解放されたアーキテクトがふらふらと戻ってきたことで改めて話に戻る。
「さて、じゃあ説明しよう! ずばり、知り合いがいるところに送ってしまえばいいんだよ!」
「要するに全部丸投げですか? お説教が足りないのかもしれませんね」
「ステイステイ代理人、とりあえず話を聞いてよ!」
笑顔で青筋を浮かべる代理人をなんとか抑えつつ、アーキテクトは身の危険を感じながら早口に説明する。まずこの二人を受け入れてくれそうなところは意外と多く、鉄血工造傘下の組織からグリフィン、IoPなどなど選ばなければいくらかある。その中から彼女たちのやりたいことや向いていることに絞って探せば、二人を安心して預けることができるはずというのだ。
ちなみにその交渉なんかは全て責任を持ってやるとアーキテクトは言うが、いまいち信用できなかったりする。
「・・・・・まぁ、そうする他にありませんよね」
「二人とも、それでいい?」
「えぇ、そもそも勝手に出てきた私たちにも責任がありますし」
「ま、チマチマしたことでなけりゃなんでもいいさ」
「ではそうしましょう。 ですが困ったことがあればすぐに頼ってくださいね」
最後にそれだけ伝えて、代理人は二人を見送る。
後日、ネイキッドはヤーナムらの所属する救難部隊に、アマゾネスはグリフィン傘下のボディガード組織に加わることになるのだった。
end
せっかくリクエストをいただいたのになかなか書けず、しかも急ぎ足で書いてしまった感はありますが・・・・・・今回は顔見せということで。
またいずれ二人のそれぞれの様子を書くつもりです。
ちなみに今回のキャラはそれぞれ別の読者様からいただいたものですが、パワー型というちょっとした共通点みたいなとこがあったので一緒に出しました。
では、キャラ紹介に進みましょう!
ネイキッド
素肌をほとんど見せないくらい着込んだ人形。だがその上からでもわかるスタイルの良さが特徴。
設定は本文中の通りだがきっとそんな場面はなく、単純にパワーだけ。
実は脱げば脱ぐほど人見知りがひどくなり、全裸の場合は人型のものを見るだけで卒倒する・・・・・・よいではないかよいではないか〜
アマゾネス
美筋肉の人形。きっと提案者は健康的な女性が好みだったのだろう。
イメージはポケモン剣盾のサイトウをひと回り大きくして髪を伸ばした感じ。
見た目や口調は男勝りだが、可愛い物好きという一面がある。
代理人
ハイエンドの駆け込み寺みたいになっている現状をいいと見るか悪いと見るか・・・・・まぁどちらでもいいでしょう。
マヌスクリプト
自身の作品を純粋な眼差しで見られるとキョドるのは仕方がないと思う。
アーキテクト
久しぶりにやらかした。反省は(一応)しているが後悔はしていない。
ゲーガー
今夜はサクヤに泣きつこう。