喫茶鉄血   作:いろいろ

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祝、コラボ(?)回!
※コラボ(?)・・・世界観がいろいろ違うので、『並行世界の住人』という厳密には異なる人物という意味です。

OKを下さった作者様、ありがとうございます!


第十二話:家族と仲間と笑顔と

2月某日の喫茶 鉄血

突然鳴り響く店の電話に出れば、相手はここ最近何をやってるかさっぱりわからない鉄血人形のイントゥルーダーからだった。

 

 

「もしもし代理人? 今いいかしら?」

 

「イントゥルーダーですか? えぇ構いませんよ。」

 

「よかったわ、実は少し困ったことになってね。 二人ほど匿ってほしい子がいるのよ。」

 

 

電子戦モデルである彼女は、聞けばどうやらハッカーとして活動しているらしく、彼女を含めて三人組で危ない企業やらブラックな司令部のデータを盗み出してはばら撒いているらしい。いわゆる『義賊』というやつだ。

・・・身内から犯罪者が出る日が来ようとは夢にも思わなかった代理人である。

 

 

「・・・はぁ、とやかくは言いませんが今一度よく考え直してくださいね。 で、その二人はいつ来るのですか?」

 

「・・・まさかOKが貰えるとは思ってなかったわ。 実はもうそっちに向かってるの。 今日の夕方には着くわよ。」

 

 

断っていたらどうするつもりだったのか。

再び頭を抱えながら二人の情報をもらい、ひとまずアルバイトという形で迎え入れることに決まる。

・・・以前の実績(第八話)があって良かったと心から思う。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「お、お邪魔します。」

 

「いらっしゃいませ。 そろそろ来る頃だと思っていましたよ、『アリババ』さん、『メジェド』さん。」

 

 

閉店後の店に入ってきたのは茶髪の人形と銀髪の女性、アリババこと『FMG-9』とメジェドこと『ヴァニラ』の二人である。

 

 

「お話は伺っております。 あくまで私たちはあなた方を()()()()()として雇うだけですので。」

 

「それで構いません。 お世話になります。」

 

 

ペコリと頭を下げるFMGとヴァニラ。

なんとも奇妙な同居生活が始まった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ここは・・・楽園だわ・・・もうここに住み着いていいかしら?」

 

「何言ってんですかメジェd・・・ヴァニラさん。」

 

 

それから数日後の喫茶 鉄血。

店内のいたるところに咲く百合百合しい光景に歓喜の涙を流すヴァニラとそれをドン引きで見るFMG。一応、客に手を出したら即刻警察と伝えているため今のところは問題になっていない。

ついでに仕事自体はちゃんとしている。

 

 

「お待たせいたしました。 ご注文のバニラアイスです。」

 

「ありがとう。・・・ヴァニラのバニラ・・・フフッ

 

「・・・・・。」

 

 

なんとも言えない空気を作り出してくれたのは、このS09地区の所属ではない人形のVector。

なんとも言えないダジャレにこいつは新顔だなと思いつつも、とりあえず気にしないことにすると、カランカランと入口のベルが鳴り、新しい客の入店を告げる。

 

 

「!・・・いらっしゃいませ。」

 

「三人で。 ・・・窓際の席でもいいかしら。」

 

「はい、ご自由にどうぞ。」

 

 

入ってきたのは親子と思しき二人の女性(片方は少女と言える)と人形が一人の三人、しかも母親(仮)の方はグリフィンの赤い制服を着ているため、自然と新人二人に緊張が走る。

 

 

「お母さん、私これがいい!」

 

「ん〜どれどれ? ・・・うっ! ・・・・・ユノ、こっちとかどう?(リーズナブルメニュー)」

 

「え〜これがいい。」

 

「・・・指揮官よ、わざわざ娘の前でケチらなくとも・・・。」

 

「・・・この前新しいコーヒーメーカー買っちゃって財布が・・・。」

 

「おばあちゃんも一緒に食べよ!」

 

「おぉそうじゃな。 では指揮官、二人分頼むぞ?」

 

「グフッ!」

 

 

・・・一応プライベートで来てるようなのでひとまず警戒を解き、ついでに二人を休憩に入らせる代理人。

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「だ〜〜〜緊張した〜〜〜!」

 

「人形ならそうでもないのに、指揮官クラスが来るだけでここまでとは・・・。」

 

「フフッ、お疲れ様でした。 夕食までは自由にしていただいて構いませんよ。」

 

 

了解で〜すといって部屋に戻るFMGとヴァニラ。

それを見送った代理人は、手元の紙に視線を落とす。

 

 

「それ、あの家族からですか?」

 

「ええ、『また来ます』と。」

 

 

こういったことは開店以来初めてだったので、自然と頬が緩む代理人たち。ふと、その紙に重なってもう一枚あることに気付く。

 

 

「?・・・っ!?」

 

「・・・代理人?」

 

「・・・いえ、なんでもありません。」

 

 

そう言ってポケットにしまう代理人。リーパーは怪しく思いながらも、代理人が言うならと引き下がる。

誰もいなくなった店内で、代理人は再び紙を開く。

 

ー 三人目は見逃してあげる ー

 

そう書かれていた。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

その翌日

大降りの雨ということもあって珍しく客足の少ない喫茶 鉄血。

店内にいる客もわずか数人で、その入れ替わりもあまりない。それから一人、また一人と店を出て、気がつけば誰もいなくなっていた。

 

誰もいなくなってから十数分、店の扉を開けて入ってくる三人の人影。あの母親指揮官とM1895、そしてVectorだった。

店内に緊張が走る。すると指揮官一行はどの席も空いているにもかかわらず、()()()()()()()()()()()()()()に座った。

 

 

「・・・ご注文は?」

 

「そうね・・・『メジェド』と『アリババ』を。」

 

「申し訳ございませんが、お取り扱いしておりません。」

 

「えぇ、わかってるわよ。」

 

 

代理人はアイコンタクトで部下に指示を出し、店を臨時休業にする。と同時に自身もスカートの中でサブアームを起動、いつでも展開できるようにする。

対する指揮官側も、M1895とVectorはすでに自身の愛銃に手をかけている。

 

 

「・・・・・グリフィンの手も、思っていたより長いようですね。」

 

「? あぁ違う違う。私個人で調べてここにきたのよ。」

 

 

取引のために、と言って意味ありげな笑みを浮かべる指揮官。

すでに件の二人は顔面蒼白で震えており、リッパーとイェーガーも臨戦態勢に入っている。

指揮官の横にいるM1895は銃を置いて手を上にあげ、

 

 

スパーッン

「痛っ!?」

 

「いたずらに不安を煽ってどうするんじゃお主は!」

 

 

思いっきりどついた。指揮官を。

あまりの光景に言葉を失う店員一同。

頭を擦りながら顔を上げた指揮官が告げる。

 

 

「で、あんたたちがメジェドとアリババでいいの?」

 

「・・・・・はい。」

 

「・・・・・えぇ。」

 

「そっかそっか。 ・・・ねぇ、うちで働かない?」

 

「「・・・は?」」

 

 

うちって戦力も心もとないし人形整備士もいてくれたらすごく助かるんだけど、と話す指揮官の言葉が一切入ってこない二人。

それに気がついたVectorが事の経緯と理由を簡単に話す。

 

二人が暴いてきた数々の不正のうち、ブラックな司令部への強制捜査や突撃を敢行していたのがなんとこの指揮官だったのだ。そうして制圧した司令部を調べ続け、たどり着いたのがこの二人というわけである。

ここで指揮官は、グリフィンがこの事実を知らないことを利用して二人を秘密裏に確保、司令部の人員に組み込んでしまおうと画策し、今に至る。

 

 

「抵抗されたら、とは考えなかったのですか?」

 

「その時はその時よ。 やり方はいくらでもあるし。」

 

「・・・まさか三人目にも気がついていたとは思いませんでしたが。」

 

「三人いるのはわかってたけど誰かまでは知らないわよ? ま、あなたに関わりのある人物ってのはわかってたんだけどね。」

 

 

そういうとケラケラと笑い、ハッカーコンビの方に向き直る。

 

 

「立場も保証するし、今までのことも不問にする。 ハッキングからは足を洗ってもらうことになるけど、悪い話じゃないはずよ。 どう?」

 

「・・・わかったわ。 どのみち、正体がバレた以上は続けられないからね。」

 

「・・・私も、それで構いません。」

 

 

ようやく緊張から解き放たれる店内。

指揮官も代理人もふぅ、と息を吐き、顔を見合わせて笑う。

巻き込んじゃってごめんね、と指揮官が言えば代理人も、私たちも彼女たちに協力していましたから、と返す。

 

 

「じゃ、私たちは帰るわ。 明日の朝、迎えにくるから。」

 

「「えっ?」」

 

 

M1895とVectorが揃って声をあげる。

え、帰っちゃダメなの?と指揮官が聞き返せば、ここは飲食店じゃぞ?とか、何も頼まず帰るつもり?という言葉。

 

 

「二人の件で訪れたのは確かじゃが、別に招かれたわけでもなく普通に正面から入ってきたしの。」

 

「飲()店で何も頼まないのは()()()()だわ・・・ふふっ」

 

「あ〜もうお主は黙っとれ。」

 

「ナ、ナガン・・・私今日財布持ってきてないんだけど・・・。」

 

「「・・・・・。」」

 

 

カウンターを見ればそれはそれはいい笑顔で佇む代理人。

ひたすら冷や汗を流すしかない指揮官に、代理人は諦めたようにため息をつき、今日はもういいですと告げる。

その代わり、と続け、

 

 

「今度は、皆さんで来てください。 必ずですよ。」

 

「! ありがと〜代理人!」

 

 

ちゃんとユノも連れてくるね〜と言って店を出る指揮官と、それに続く人形二人。

代理人はそれに手を振り、見送るのだった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

二月某日の喫茶 鉄血

 

 

「代理人さん、チョコレートケーキもう一つ!」

 

「ああそれと、コーヒーのお代わりを・・・二つ頼む。」

 

「じゃあ私はアイスコーヒーを」

 

「かしこまりました。」

 

「給料日の翌日だからってちょっとは自重してよっ!?」

 

「レイラさん、実は新作のケーキがあるのですが。」

 

「えっ、本当! じゃあそれを・・・」

 

「「「頼むんかい!」」」

 

「追加で()()()を頼むなんて随分()()がいいのね・・・フフッ」

 

「じゃあ私も!」

 

「かしこまりました。」

 

 

end




というわけで、焔薙 様の「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」から指揮官一家とVector、ハッカー時代のFMGとヴァニラさんをお借りしました!

他人のキャラクターを描くのってめっちゃむずい・・・その分楽しいけど。


というわけでキャラ紹介、今回はこっちの世界ではこんな感じというやつです。

レイラ
指揮官でユノ(元の作品の主人公)の母親。
一児の母でありながら優秀な指揮官でもあり、情報収集能力も高い。その結果危ない人に狙われたり娘を誘拐されそうになったけど全部撃退した。
M1895のことを「ナガン」と呼ぶ。
娘には甘い。

ユノ
元の世界での主人公、詳しくは『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』をチェック!
食に対する興味がずば抜けて高く、食欲も旺盛。司令部(兼自宅)のエンゲル係数に絶大な影響を与える。
M1895のことを「おばあちゃん」と呼ぶ。
この世界ではまだPPKとはそういう中ではない(というかまだ子供)。

M1895
司令部の副官。
副官としても戦力としてもユノの子守としても優秀ななんでも人形。
指揮官の突拍子も無いことに四苦八苦したり、身の危険を顧みない指揮官にハラハラしたりと苦労が絶えない。
がんばれおばあちゃん!!

Vector
本作を描くにあたって最も苦労した人形。
よくわからんダジャレだけでも大概なのに何考えてるかもよくわからない。実は指揮官とは別ルートで二人にたどり着いた(という設定)。
指揮官との出会いは概ね元の作品と同じだがあっさり返り討ちに遭い、指揮官のもとに取り込まれてしまった。
焔薙さん、似てなかったらごめんなさい!

FMG-9
ハッカーの一人、呼び名はアリババ。
今回登場した濃いメンツの中では(まだ)まともな方なので目立たなくなってしまった。
電子戦も直接戦闘もこなせる優秀な人形。ヴァニラの本性を知る数少ない人物。

ヴァニラ
ハッカーの一人、呼び名はメジェド。
危ない人。どう危ないかは元の作品を見ればわかる。
ハッキングも得意だが人形整備も得意なので指揮官にスカウト(という名の連行)される。
変態どもが発案した「人形=女性」という案だが、彼女にとってはまさに楽園とも呼べる結果となった。

イントゥルーダー
ハッカーの一人、呼び名はネクロ(ネクロノミコンの略)。
FMGとヴァニラの二人をこの話に組み込むために作られた設定。まぁ電子戦モデルだし大丈夫だろ。
なぜか知らないがレイラとは仲が悪いという本作独自の設定がある。なぜか知らないが。



こんな感じです。
焔薙さんとこのキャラをうまく表現できたかどうか不安ですが、幸せな指揮官一家のいる世界線もあるんだという思いで書きました!

ではでは次回もお楽しみに!
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