喫茶鉄血   作:いろいろ

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もう今月でで2019年も終わり・・・早いものですね。
クリスマスやって大掃除やって年越しして正月を迎えて・・・・あ、お年玉も重要イベントですね(渡す側)

何故か途中から全く筆が進まなくなってしまいまして・・・・・イベントとイベントの間の日常回って難しいなぁ。


第百二十九話:お節介な蛇

「代理人、お主年越しはどうするつもりじゃ?」

 

「なんですか藪から棒に」

 

 

日中の気温も大きく下がり始めたとある日の喫茶 鉄血、久しぶりに訪れたウロボロスは唐突にそんなことを言い出した。なんでも彼女の所属する建築会社はもう今年の仕事を終えてしまったらしく、なんだかんだ働きづめだったウロボロスは丸一ヶ月以上もの休暇をもらっているのだ。

が、別にやりたいこともなければ遊ぶ相手もいない彼女が向かったのは、いつも通りの喫茶 鉄血だったのである。そこ、ボッチとか言わない!

 

 

「いや、お主の事だから年末年始も店を開けようとするんじゃないかと思ってな」

 

「・・・・まぁ、開ける予定でしたが」

 

 

それが何か?というふうに首を傾げる代理人に、ウロボロスは頭を抱えて嘆く。憎まれ口は叩くが信頼している上司は、どうやら重度のワーカーホリックらしい。

 

 

「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・」

 

「・・・・・・なんですか?」

 

 

あのウロボロスに呆れられて若干ムッとする代理人。

 

 

「・・・・・代理人よ、せめて年末年始くらいは仲間で集まらんか? というか集まるべきだろう」

 

「そうは言いますが、別にここ数年会っていないというわけでもありませんから。 というよりも結構会ってますよね?」

 

「あぁ・・・・代理人は私らと会うのが嫌なのか・・・・シクシク」

 

「似合わないことはしない方がいいですよ」

 

「チッ」

 

 

代理人曰く、普段から会えるのであればわざわざ集まらなくてもいい。むしろ普段付き合いがある人たちで集まったほうが有意義なんじゃないか、というものらしい。

仲間のことを思ってのことだというのは知っているので無碍にするというのもあれだが、鉄血を抜けて以降全員が揃う機会があまりなかったため意地でも揃わせたいウロボロスは、深くため息を吐く。

 

 

「それもそうだが・・・・それはそれ、これはこれだろうに・・・」

 

「皆さんの予定が合うのであれば問題ありませんが・・・・スケアクロウなどは年末年始こそお仕事では?」

 

 

代理人の言う通り、スケアクロウは年末年始も仕事が入る予定である。が、まだそれは予定に過ぎず本人ももし集まると決まればキャンセルしてでもこっちに来るつもりだ。後のメンツは普通に休みか、そもそもの予定自体が不定期な連中なので、つまるところ代理人次第ということになる。

その代理人がここまで頑固だとは思わなかったウロボロスだが、それも一応想定済みである。もとよりドリーマーと並んで企み事が得意な彼女は、どこをどう揺さぶればいいかも大体わかっている・・・・・というわけで。

 

 

「まったく・・・・・そんなのだからM4あたりから心配されるのだ」

 

「うっ・・・・」

 

「それにお主、誰かから誘われんと休暇も取らんだろ? そりゃみんなしてお節介も焼きたくなる」

 

「そ、それはそうですが・・・・・」

 

「しかも年末年始も働く? 休んでいるやつらに気を遣わせるだけだろう」

 

「うぅ・・・・・・・」

 

 

最終手段、『休まないと迷惑かかるぞ』作戦である。

もともと人の迷惑になることを嫌い、人の役に立つことを好む代理人にはなかなか効果的な手段だ。

珍しく、特に今まで説教する側だったウロボロスに説き伏せられる代理人だが、どうしようもないほど正論なので何も言い返すことができなくなる。それでもまだ傾ききっていないようで、やや勢いを衰えさせながらもまだ反抗する。

 

 

「ですが、他に一緒にいたい人もいるのではないですか? 例えば、ハンターとAR-15のように」

 

「正月くらい実家に帰ってくれば良いではないか。 というかAR小隊らは16labに行くつもりらしいぞ(嘘)」

 

「処刑人には預かっている子どもが・・・・」

 

「一緒に連れてくれば良い。 処刑人の家族なら我らの家族だ」

 

「ジャッジは正規軍の所属ですよ?」

 

「何か適当な脅しでもつけて呼び戻せばいいではないか。 もしくは『胸部装甲のアップデート』とかでもいいぞ、きっと食いつく」

 

「それはやめてあげてください」

 

 

真面目な顔で止める代理人にケラケラ笑うと、ウロボロスはコーヒーを啜ってフゥッと息を吐く。ひとしきり笑い終えると、店内をチラッと見ながら再び話し出した。

 

 

「まぁ年にそう何度も無いことだ、たまには良いでは無いか。 それにアーキテクトのやつが何体か作ったのだろ? 私も会ってみたいのだよ」

 

「えぇ、皆さん個性的な方ばかりです」

 

「うむ、それは見てわかる。 特にあの犯罪誘発ボディなんか特に・・・・・」

 

「・・・・・・いじめないでくださいよ」

 

 

一所懸命に働くフォートレスを、カエルを喰らう蛇の目つきで見つめるウロボロス。そうとも知らずに目が合うとニコッと笑い返すフォートレスの身を案じる代理人は、やれやれと軽く頭を振ってこう言った。

 

 

「わかりました、そこまで言うのなら参加しましょう。 31日に鉄血工造でよろしいですね?」

 

「うむ、問題無い。 他の連中には私から声をかけておこう」

 

「あとは連絡のつきにくい方をどうするか・・・・・アルケミストとドリーマーですね」

 

「あの二人は・・・・・まぁ勝手に現れるだろう」

 

「呼んだか?」

 

「ほらな」

 

 

実にタイミングよく入り口から現れるアルケミストとドリーマーに、ウロボロスと代理人は顔を見合わせて苦笑する。

こうして二人にもこのことを話し、年越しを皆で祝う準備に入るのだった。

 

 

end




イベント限定キャラのくせにスタート画面に出てくるあたりウロボロスの愛され具合がよくわかりますね。
それと、整理がてらこの作品の世界と鉄血工造の説明を軽くですが纏めました。フリーですので自由にお使いください↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=228029&uid=92543

それでは今回のキャラ紹介!

代理人
ワーカーホリックでやや頑固な面もある。
苦手なものとかは無いが悲しむ顔は見たくない。

ウロボロス
ボッチでは無いぞ!断じて違うからな!!
そろそろ自身の服装(黒セーラー)に疑問を持ち始めるが、まぁ不便はないので気にしない。

アルケミスト&ドリーマー
神出鬼没さが増した二人。なんの脈略もなく登場させられるこの二人は大変便利なのだ。


以下、リクエスト&質問箱です。
(キャラクターの整理のため、しばらくオリキャラのリクエストを休止します。ご了承ください)
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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