喫茶鉄血   作:いろいろ

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最近ドルフロのログイン画面で

G11「このモフモフ、さすがトナカイだよね〜」
RFB「だよね〜」
嬉野D「トナカイなら僕の地元にもいますよ」
G11・RFB「それシカじゃん」
嬉野D「シカでした」

という掛け合いの夢を見ました


第百三十一話:メンテと家族と恋愛脳

「処刑人のメンテナンス、ですか?」

 

「はい。 それと、執行人の方もお願いしたいんですが」

 

 

鉄血工造ラボ、メンテナンスが終わり帰ろうとした代理人にユウトがそう声をかけた。

鉄血工造を抜けたと言ってもボディは鉄血製であるため、定期的なメンテナンスは必要だ。特にハイエンドは高性能機器の集合体と言えるほどなので、疎かにすればどこでボロが出るかわからない。そんなわけでハイエンドたちはそれぞれの予定とすり合わせながら、空いている時間にメンテナンスを受けにきているのだった。

だが、ハイエンドたちの中でも一際予定を立てづらい処刑人はここ最近メンテナンスに来れていなかった。戦争や紛争がなくとも傭兵の需要は無くならず、民族部族間での緊張が高まっているため駆り出されているらしい。

 

 

「なんとか代理人姉さんの方から言ってくれませんか?」

 

「それは構いませんが、おそらくそれでも難しいかと」

 

「でも、これじゃあいつになるかわからないんです」

 

 

処刑人が離れられないのはユウトも解っている。が、それでもいつ不調が現れるかわからない不安が大きかった。それに処刑人の仕事が仕事であるため、銃弾飛び交う戦場でそんなことになれば最悪の事態になりかねない。

なんとかしないと。そう思ったユウトは、思い切った行動に出る。

 

 

「じゃあ場所を教えてください、僕が行きます!」

 

「・・・・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、とある国の小さな町にて。

 

 

「あの、もうここまで来れば大丈夫ですよ?」

 

「何を言っているんですかユウトさん、私たちはあなたの護衛を任されているんですよ?」

 

「途中で放っていくわけないだろ」

 

 

機材を背負ったユウトの隣でそう言ったのは、代理人から護衛を任されたM16とROだった。

ユウトが自ら出向いてメンテナンスを行うと言い出した時、代理人は必死で止めた。話を聞きつけたサクヤも一緒になって止めたが曲げることはなく、結局二人が折れてしまったのだ。それでも心配な代理人たちは頼れる護衛をつけようと考え、エリート人形たちの親であるペルシカに連絡を取った。

その結果、ちょうど手の空いていたAR小隊・・・・ではなくそのうちの二人のM16とROを寄越してきたのだ。理由を聞けば一人に対し護衛が多いとかえって危険だということ、M4たちも別件があり、404も出払っているとのこと。

 

 

『まぁ二人だけでも十分だと思うよ。 それより二人のうちのどっちが結ばれるか賭けn』

 

 

電話を切る直前にこんなことを言っていたと思う。ともかくそんな理由で連れてこられた二人だが、こんなのでもエリート部隊の一員であるため任務はしっかりこなす。

 

 

「じゃ、早速探すか」

 

「聞いた限りでは、あの病院にいるんだとか」

 

「・・・・・あれ、病院ですか?」

 

 

処刑人と執行人がいると聞いていたのは町唯一の病院。元はちゃんとした病院だったのだが街の不穏な空気に飲まれるように寂れ、修繕も行われていないらしく所々コンクリが削れている。

病院・・・・というよりも廃病院といった方が相応しいくらいの様相だった。

 

 

「ん? 止まれ!」

 

「怪しいもんじゃない、グリフィンのM16A1だ。 処刑人に話を通してあるんだが、いるか?」

 

「あいつにか? わかった、確認しよう」

 

「あぁ、『メンテの時間だ』と伝えてくれ」

 

 

入り口を守る強面の傭兵にも物怖じせず、要件をしっかり伝えるM16。こういうところでも今回の人選は間違いではなかったのだろうと思う。

そして待つこと数十秒、扉の奥から現れたのはいつもの格好に迷彩柄の上着を羽織った処刑人と、彼女によく似た姉妹機の執行人だった。

 

 

「よぉユウト、わざわざすまねぇな」

 

「いえ、処刑人姉さんこそ元気そうでよかったです」

 

「ははっ! そりゃ元気が私の取り柄だからな。 お前たちも遠くからご苦労だったな、とりあえず入りな」

 

 

処刑人と執行人に連れられて、中に入るユウトたち。三階建ての病院だが一階部分は器具も全て撤去され、侵入者を撃退する防衛ラインとなっていた。物々しい武器と武装した傭兵の間を通り抜け、階段を上がるとそこは外観からは想像できないほど綺麗なフロアだった。医療器具も見る限りでは全て稼働していて、病院としての体裁はしっかりしている。

 

 

「ここの警護を任された時に、全員で掃除したんだよ。 もともとここに残ってるやつは動こうにも動けない連中ばっかりだからさ、汚れてりゃ心も荒むだろう」

 

「なるほど・・・・・」

 

「じゃあ動けるやつらはどこに行ったんだ?」

 

「町の北側にある役所さ。 そこに住民を集めて市兵が守りを固めてる。 病院の守りもやるとなると手が足りねぇから、私ら傭兵が呼ばれたってわけさ」

 

 

処刑人たちにとってはいつものことなのだが、傭兵のイメージが変わった三人だった。

それはそれとして、こういう状況なので早速メンテナンスを始めたいとユウトは言い、場所を探す。今回行うのは簡単なチェックが主であり、小さな部屋でもあればそれで十分だ。流石に病室の隣でそんな機械を動かすわけにはいかないので、そこから離れた部屋が望ましい。

 

 

「う〜ん、ならあいつの部屋か?」

 

「「「あいつ?」」」

 

 

ユウトたちが首を傾げると、処刑人は三階の奥の部屋へと案内する。三階にも病室はあるが主にスタッフらの使う部屋がほとんどで、そのうちの空き部屋をあてがわれているのが・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、一回だけでいいから『おじさま』って呼んでくれないか?」

 

「・・・・・・・」フルフル

 

「ダメかぁ〜」

 

「何してやがるさっさと離れろロリコン」

 

「ろ、ロリコンじゃねーし!」

 

「「「うわぁ・・・・・」」」

 

 

部屋にいたのは処刑人が引き取った少女と、休憩中だと思しき処刑人の同僚がいた。ほとんど無表情、若干鬱陶しそうな顔の少女に対しこの男の顔のなんとだらけきったことか・・・・・必死の弁解が痛々しい。

 

 

「大丈夫だったか? この変態に何かされてないか?」

 

「おい、誰が変態だ」

 

「鏡見てからもっぺん言ってみやがれペド野郎」

 

 

ちなみに処刑人が仕事に出かける際は必ずついてくるらしく、そのたびにこの同僚と揉めているのだとか。そのため処刑人は、この少女が喋れないのは実はこの男のせいなんじゃないかと疑い始めていたりする。

 

 

「まぁいい。 で、この部屋でも大丈夫か?」

 

「えぇ、問題ありません」

 

「どんくらいかかる?」

 

「大体・・・・・三十分ほどかと」

 

 

それを聞いて悩み出す処刑人。たかが三十分だがされど三十分だ、その間に襲撃でもあればたまったものではない。だがユウトの懸念通りのことになればそれこそ一大事だ。

 

 

「・・・・・それ、こいつら二人同時でもいけるのか?」

 

「え? はい、同時に始めても三十分ほどで終わりますよ」

 

「そうか・・・・・じゃあお前らはメンテ受けてな。 その間は私らが手伝ってやるさ」

 

「えぇ、ですので安心してメンテナンスを受けてください」

 

 

M16とROはそう言うと、自身の銃を持ち上げてニヤッと笑う。処刑人と執行人はポカンとしたが、やがて諦めたように笑うと武器を置き始めた。

ユウトもそれを見届けると、急いで機材の準備を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一時間後。

結局襲撃どころか不審者一人現れず、それどころかメンテが終わってみれば事態が収拾したと告げるラジオが聞こえてきた。なんでも正規軍が介入したらしく、しばらくは平穏が戻ってくるとのこと。

処刑人も執行人にも異常は見られず、目を覚ました処刑人に少女が抱きつく。

 

 

「ふふっ、本当に親娘みたいですね」

 

「そうだな・・・・・ちょっと羨ましいよ」

 

 

微笑ましげに見ながらそう呟き、二人同時にその隣で機材を片付けるユウトに視線を向け、二人同時にちょっと赤くなって顔を逸らす。

 

 

「あ、そうだ三人とも。 今日は泊まってけよ」

 

「え? それは悪いですよ」

 

「メンテの礼だ。 それに今から移動つったらもう日が変わるぞ?」

 

 

基本いい子ちゃんなユウトはそれでもなお渋る。が、ここまでは()()()の想定通り、なのでまず外堀から埋めることにした。

 

 

「それにほら、私らは三人で寝るから部屋も空いてるし・・・・・護衛なら寝室も護衛しないとな?」

 

「そ、そうだな! そう言うわけだからユウト、今日は好意に甘えよう!」

 

「そうですよユウトさん! それに今から戻っても宿が取れるかどうかわかりませんし!」

 

「え? え??」

 

「「じゃあ止まります!!!」」

 

「はいよ、じゃあベッドも用意しとくぜ」

 

 

なんのことかさっぱりわからないユウトを置いてけぼりに話が進む。これで今晩の酒の肴は決まりだと呟く処刑人の声は、ユウトたち三人に届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・はいもしもし、16labよ』

 

『よぉペルシカ、依頼通り空き部屋に入れといたぜ』

 

『ナイスだよ処刑人・・・・・で、カメラは?』

 

『抜かりない』

 

『でかした、報酬は指定の口座に振り込んでおくよ』

 

『はいよ・・・・・で、あんたはどっちに賭ける? 私は両方ヘタれると思うよ』

 

『部屋に酒も置いてるんでしょ? 勢いでって方に賭けるわ』

 

『ククッ、あんたも大概だな』

 

『それほどでも』

 

『『ふふふふふふ・・・・・・・・』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後きっちりM4に怒られた。

 

 

end




自分の娘の恋愛事情で賭ける親がいるらしい。
さぁ、答えはどっちでしょうk(銃声)

M4「それでは、キャラ紹介です」ニッコリ


ユウト
鉄血工造の技術者。人形を、特にハイエンドたちを家族同然に考えており、そのためなら戦地にも赴く。
唐変木でも枯れているわけでもないので、きっとドキドキの一夜を過ごしたことだろう。
ちなみに宿が取れなかった時は車中泊・・・・・あれ?そっちの方が良かったかも

処刑人
多分一番予定が合いづらいハイエンド。一児のママにして凄腕の傭兵。
こう言った悪ふざけには割と乗っかるタイプ。

執行人
アホの子。処刑人とM16とROの会話の意味を理解していないウブッ娘。きっと心は純粋なんだろう。

M16
前回は泥酔して気がついたらホテルだったが、今回は自らの意思で一夜を共にする。
結果?それは当人のみぞ知ることよ・・・

RO
ここぞではM16よりも行動力がありそう。低身長の割に出るとこは出てるので、その分は有利かも。
壁ドンされたらきっとショートする。

代理人
ペルシカに頼んだのがそもそもの間違いだと気付くのは、ユウトたちが出発してから数時間後だった。

ペルシカ
幸せを勝ち取った勝者の余裕。

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