せっかく彼の銃を迎えたんだから、やるっきゃないでしょ!
元ネタがわからない人は『儀式の人』『戦場のメリークリスマス』で検索
カランカラン
「あら、こんにちはスネークマッチさん」
「こんにちは代理人、マヌスクリプトはいるか?」
「マヌスクリプトですか? えぇ、呼んできましょう」
今日は12月25日、いわゆるクリスマスである。街は赤や緑といったクリスマスカラーに溢れ、あらゆるカップルたちが大手を振っていちゃついている。
そんなクリスマスに、このスネークマッチ1911が黙っているはずがなかった。
これは、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やぁやぁ、待たせたねスネークマッチちゃん」
「すまない。 それで、例のものは?」
奥から現れたのは喫茶 鉄血が誇るトラブルメーカー、アーキテクトと並ぶ要注意人物、マヌスクリプトだ。そんな彼女が何やら大きな包みを持ち出し、テーブルに乗せる。
隣で代理人が警戒しながら見ているが、二人とも全く気にしていない。
「ふふん、そう焦らなくても大丈夫だよ。 さぁとくとご覧あれ!」
そう言ってバッと包みをとる。と、そこにあったのはなんともミスマッチ感の拭えないアイテムたち。
まずサンタ服。これはまぁ季節的に問題ないが昨今よく見るミニスカなやつではない、ガチなサンタ服だ。ある意味正解なのだがこのご時世ではちょっとずれていると言われてもおかしくはない。
次にワニを模した被り物。ちょうど喉のところから顔が出るようになっていて、何故か口が動く。宴会芸でもない限りかぶることはないような一品だ。
その次は一本の松明。といっても実際に火をつけるタイプではなく、電飾とホログラムで擬似的に炎を映し出すタイプだ。無駄に凝ってはいるが、これも使う機会はまずない。
主だったものはこれで全部で、後はジャンルもまばらな雑誌にグレネードっぽいもの、折り畳まれた段ボールともう訳の分からない組み合わせだった。
「ほぉ、なかなかやるじゃないか」
「要望通り、チャフグレネードはアルミ箔増し増しの特別仕様、ダンボールも丈夫なものを用意したよ」
「いいセンスだ」
ここで代理人は致命的なミスを犯した。たとえ面倒な予感がしてもここで首を突っ込んでおくべきだったのだ。
もっとも、それに気づくのは翌日になるのだが、代理人は知る由もない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「全く、わざわざクリスマスに特別訓練だなんて、指揮官は何を考えてるのかしら?」
「まぁまぁWAちゃん、こういう日こそ気を緩めずに頑張るものですよ」
「そうは言うけど、あんたは不満じゃないのスプリング? あとWAちゃんはやめて」
クリスマス特別警戒訓練。これは何もいきなり言い始めたことではなく、ついこの前の人形潜入事件(CO-5参照)を受けて意外とちょろいことが判明した警備を厳重とするのが目的である。人形たちは侵入者に警戒しながら、被害を出さずに18時まで警備を続けるように言われている。
また、彼女たちは知らないが今回の訓練には例の騒動の張本人であるスネークマッチが参加する。が、詳細は指揮官も知らない。
「それに人形フル動員でしょ? 訓練にもなりゃしないわ」
「愚痴を言っても終わりませんよ、私たちは与えられた任務を・・・・・あら?」
「? どうしたの?」
「今、人影が・・・・・ちょっと見てきます」
「あ、、ちょっと・・・・・」
一人でスタスタと通路の角へ向かうスプリング。そして角を曲がった瞬間、彼女の目にあるものが飛び込んできた。
一冊の薄い雑誌、一見なんの変哲もないそれだが、スプリングは全速力で駆け寄った。
「こ、これは! 指揮官の(盗撮)写真集!」
愛銃を放り投げ、目を見開いて食いつく春田。この光景を見れば誰もが失望しそうだが残念な事にそれに気づく者はいなかった。
そしてその横を、足音も立てずにワニ頭のサンタ服が通り過ぎたのを、春田が気付くことはなかった。
「ちょっとスプリング、誰かいたの?」
そしてちょうど、痺れを切らしたWAが曲がり角にやってくる。訓練にもかかわらず一切警戒していない彼女だが、そのツケが今まさに襲い掛かろうとしていた。
全くの無警戒のまま曲がり角を曲がり・・・・・気がついた頃には宙を舞っていた。
「・・・・・・え?」
自分の身に何が起きたかもわからないまま、鈍い衝撃とともWAは意識を失った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「特別訓練、なぁ・・・・・」
「あの日何があったかは知りませんが、不甲斐ない仲間のために私たちまで巻き添えとは」
ところ変わって訓練室。そこでは先程の二人同様モチベーション0なガリルとウェルロッド。彼女たちはあの日の惨劇を知らず、それ故に完全に舐め切っていた。
そんな悪い娘には当然、サンタからの制裁があるのだ。
プスプスッ
「ん? なんや?」
「どうしました?」
「いや、なんか膝の辺りにチクッと・・・・・」
ガリルが感じたむず痒い痛み、その大元は、角からちょっとだけ体を出したスネークマッチの持つ麻酔銃だ。といっても二発打ち込んでもすぐに眠ることはなく、本人も気づいていない。
そしてタイミングを見計って、スネークマッチは角から隠れるそぶりも見せずに現れた。
❗️<ファンッ
突然の、いかにも侵入者なそれを発見したガリルは驚きながら声を上げるために口を開き
そのまま倒れ込んで眠ってしまった。
「え? ガリル!? どうしたんですか!?」
突然のことに慌てるウェルロッド。そして異常を知らせるために通信機へと手を伸ばし・・・・・真後ろから聞こえた足音にバッと振り返る。
「足音! ・・・・・あれ?」
振り向いた先にあるのは何もない空間。人どころか動物一匹もいない通路である。
首を傾げるウェルロッドは、銃をしまいながらぼやいた。
「なにもない・・・・・(コトッ)誰っ!?」
またしても足音が聞こえ、振り向きざまに銃を構える。が、さっきと同じでそこには誰もおらず、足元でガリルが眠っているだけだった。
いよいよ恐怖を感じてきたウェルロッドは縋るように通信機へと手を伸ばし・・・・・・今度は何かに背中からぶつかられた。
「うわっ!? だ、だれ!? どこにいるの!?」
確実に誰かぶつかった、にもかかわらず誰もいない。振り返っても誰もおらず、応援を呼ぼうとするとまたぶつかられる。
ウェルロッドは恐怖のあまり泣き出した。
「だ、誰ですかぁ! で、出てきなさい!」
涙声のそれに答える声はいない。代わりにふくらはぎへとチクッとした痛みが2度続き、ウェルロッドは恐る恐る振り返る。
❗️ <ファンッ
そして凍りついた・・・・・ワニ頭のサンタが松明を構えていれば当然と言えるが。
そして恐怖の余り叫び出そうとし、ガリルと同じくそのまま眠りについた。きっと壮絶な悪夢を見ていることだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さらに場所は変わってデータルーム。世間はクリスマスであろうと仕事がやってくるというこの職場に軽いブラック感を感じながらPCを打つ彼女は、そういえば今日は特別訓練としてスネークマッチという人形がやってくるということを思い出す。
指揮官同様に今回の話を知っている彼女は、以前倉庫での物音がこの人形の仕業であり、まんまと出し抜かれてしまったことを思い出した。非戦闘要員とはいえ軍事会社に勤める広報幕僚、それがああもあっさりとしてやられたと思うとちょっと悔しい。
(そうですね・・・・ここで一度逆に驚かせて見せましょう)
そう思った彼女はこっそりとデータルームを抜け出し、ルートである救護室で待ち構える。休憩しているそぶりを見せつつそろそろかなと構えてみると、隣の部屋から足音らしき音が聞こえてきた。
(ふふっ、来ましたね)
「ん? 誰かいるんですか?」
特に警戒していない風で自動ドアを開き・・・・・・そして驚愕した。
ドアを開ければ目の前に大きめのダンボール、それも人一人が入れそうなサイズのがあればもう確実にこれだろう。
(くっくっくっ・・・・・潜入のプロだと聞いていましたが、この程度ですね!)
「なんでしょうこのダンボール・・・・・えいっ!」
めちゃくちゃわざとらしいセリフでダンボールを掴み、ヒョイっと持ち上げる。そしてその下にいるであろう人形を笑ってやろうと思っていたのだが、ものの見事にその目論見は外れた。
「あ、あれ?」
蓋を・・・というかダンボールを開けてみればそこには何もなく、ただ本当にダンボールが置いていただけ。ネタバラシをすればダンボールを開けた瞬間に足元の死角を通り抜けて背後にまわっただけなのだが、気配もなく行われたその動きは目の前のカリーナにも気づかれなかった。
そうとも知らず、ただの段ボール相手にニヤニヤと笑っていたと勘違いして真っ赤になったカリーナはダンボールを捨てて振り返り、
足元にあるダンボールに固まった。
「・・・・・・・え?」
ダンボールである。一見なんの変哲もない。
だが確実に、さっきまでなかったダンボールである。誰がどう見ても不自然で、逆に恐怖すら湧き起こる。
「・・・・・・・・・・」
今度こそ、そう思いつつさっきのことが頭をよぎり、慎重にダンボールを持ち上げる。この時も真上ではなくちょっと横に持ち上げるせいでまた足元をすり抜けられているのだが、そうと知らないカリーナはまた驚愕する。
今度は空っぽではなかった。その下にあったのは・・・
かつてカリーナが新人時代に撮った水着グラビア写真(黒歴史)である。
「!?!?!?!?!?」
慌てて拾い上げ、辺りを警戒する。裏面を見て、それが自室の引き出しに閉じ込められた最後の一枚であると確認すると恐怖のあまり半泣きになる。
そんなパニック状態のカリーナを残し、スネークマッチは救護室を後にした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(雑誌で釘付けにする・・・姿を見られた瞬間に無力化する・・・カリーナの秘蔵写真を本人に見せる・・・・・よし、タスクはこれでいいな)
あまりにもひどいタスクの完了を確認するスネークマッチ。彼女にこんなタスクを用意したのは、なんとクルーガーであった。もちろんこのタスク自体は任意であるが、潜入のプロを自称する彼女に興味を持ったクルーガーが無理難題として渡したものである。
・・・・・そのおかげで阿鼻叫喚なことになっているのだが、知らぬ存じぬらしい。
(あとは火災警報器・・・・・あれか)
そしてスネークマッチは目的の場所にたどり着く。そこは司令部の最北端にある火災警報機・・・・ボタンをポチッと押すと音が鳴るアレである。今回はこの警報機のみ消防への発信機能を切っており、警報はなるが消防の迷惑にはならないのだ。
すでに周りの安全を確認したスネークマッチは右手に松明、左手にチャフグレネードを構え、余裕の足取りで警報機の前に立つ。
(よし、では始めよう)
ピンを抜き、グレネードを転がす。破裂したグレネードから巻き上がるチャフがまるで降り積もる雪のように舞い、その下で松明を掲げながら3、4週ほどくるくる回る。
そして満足したスネークマッチは、なんの躊躇いもなく警報機を押した。
「ショータイムだ!」
ジリリリリリリリリリリリリ!!!!!!
その後のことは言わずともわかるだろう。突如なり出した火災警報器に警戒態勢に移るも、ここまで侵入者の影すら見かけなかった人形たちは大パニックに陥る。
一斉に捜索すれば雑誌に夢中の春田が見つかり、仰向けで気絶したWAが見つかり、悪夢にうなされるガリルとウェルロッドが見つかり、さめざめと泣き続けるカリーナが見つかり・・・・・・とにかくまぁ悲惨な光景だった。
そして混乱極まる司令部を、スネークマッチは正面玄関から堂々と出て行ったのだった。
Rank S
儀式の人リスペクト!
壮絶なストーリーのMGSを笑いに変えてくれるぞ!
では早速キャラ紹介
春田さん
クレイモア付きでなくて命拾いした人。こんなんだがちゃんとした任務の時は優秀なんですよ・・・・・本当だよ!?
WAちゃん
WAちゃんは悪くない、ただ角に奴が居ただけだ。
ガリル
至ってシンプルな方法でダウン。
まだマシな方。
ウェルロッド
見えない足音とぶつかる存在、恐怖でしかない。
無能ではないが相手が悪すぎた。
カリーナ
社長のタスクのせいで精神的ダメージを被った人。
スタッフ能力は諜報と開発がSだと思う。
スネークマッチ
「待たせたな!」
潜入のプロにして非殺傷のプロ。その結果生まれたのがこの訳のわからない潜入スキル。
*怒られたら消します。