本当に申し訳ございません( ^ U ^ )
はい、という言い訳は置いといて今回はイベントにちなんだ特異点バージョンでお送りします。
*本編とは一切関係ないのでご了承ください。
これは、とある世界のとある地区、とある街の小さな喫茶店のお話。
「・・・・様、・・・人様」
「ん・・・・うんん・・・・・」
「ご主人様、朝ですよ・・・・・・エ・リ・ザ・様?」
「ひゃいっ!?」
「おはようございますご主人様。 朝食の準備ができました」
眠そうな目を擦りながらベッドから起き上がる小柄な人形。それはかつて鉄血工造の全てを掌握していた統括AI搭載機、エルダーブレインである。
とある事情により鉄血工造を抜け、同じく鉄血工造を抜けた代理人とともにひっそりと喫茶店を営んで生活しているのだ。
「では、私は
「わ、わかってる・・・」
「では、失礼いたします」
代理人はペコリと一礼し、エリザの部屋から出ていく。直後に隣の部屋から代理人の怒鳴り声と、眠そうな居候の声が聞こえてきたところでエリザは服を着替えて部屋を出る。
代理人の機嫌が悪そうな時は、大人しくしておくほうがいいのだ。
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「まったく、あなたは自身が居候という身分であることを理解しているのですか?」
「あぁもう悪かったって。 ちょっとばかし飲みすぎただけだよ」
「・・・・改善の余地が見られなければ、容赦なく追い出しますからね」
「代理人、もうその辺で」
エリザが止めに入ったことで、長くなりそうな説教タイムが終わる。チラッとその説教をくらっていた相手・・・・・M16A1を見ると、ウインクしながら『ありがとよ』と小声で呟いていた。
彼女がこの店に転がり込んできたのは、この店ができてちょうど一週間が経った頃。どうやら所属していた小隊内で何かあったらしく『帰るに帰れないから匿ってほしい』などと言ってきたのが始まりだ。
以来、ここに住み着いてはたまに店の手伝いをしている。
「さて、慌ただしくはなりましたが予定通りお店を開けますよ」
「開けるったって・・・どうせ誰もこねぇだろ」
「え? でもいつもの人たちが来るはず」
「あれは客じゃない、ただの冷やかしだ」
ぐちぐち言いながら朝食の食器を片付け、店の扉を開ける。
と、そのすぐ横にはすでに客らしき人影があった。
「やぁM16、開くのを待っていたよ」
「・・・・・毎日毎日飽きないなAK-12、というか暇なのかお前ら」
「あらひどい。 代理人、従業員の指導がなってないわよ」
「それは認めますが、彼女の疑問も当然のものですよ・・・・・とりあえず、いらっしゃいませ」
開店前から待っていたのはAK-12とAN-94。以前は軍に所属していたというが、訳あって辞めてしまったフリーの人形たちである。
何故かこの喫茶店の常連であり、開店から閉店までひたすらだべっているのが彼女らの日常である。
「相変わらず閑古鳥が鳴いてるわね。 お店も狭いし立地も最悪、コーヒーは美味しいけど、ただそれだけ」
「別にいいのですよ。 あくまでお店を装うことが目的ですから」
「そう。 でもいつまで逃げられるかしらね、軍はしつこいわよ?」
「その時は、ぜひあなた方に頼りたいものですね」
「ふふふ、まぁ考えておいてあげる」
「・・・・・それで、ご注文は? といっても、いつものコーヒーでしょうけど」
そう言って代理人はカップを二つ取り、コーヒーを注ごうとする。が、今日はどうやら違うようだ。
「そうね、とりあえずは二人分・・・・・でもあと三杯淹れてもらえるかしら?」
「あら、待ち合わせですか?」
「そんなところよ・・・・・ふふっ」
AKー12の意味深な笑みに何故か背筋が冷たくなるM16。が、そんなことなど放っておいてAKー12はカウンターからコーヒーを運んでくるエリザを抱き上げると、膝に乗せて抱きしめる。
「こんにちはエリザちゃん。 相変わらず可愛いわね」
「まだ仕事中、離してほしい」
「うふふ、だ〜め・・・エリザちゃんが可愛いのがいけないのよ」
そのまままるで抱き枕のように離さないAKー12。と言ってもこれはいつものことで、エリザももう慣れきった。ついでに、隣のANー94が物凄い形相でエリザを睨んでいるのもいつものことだ。
敬愛してやまないAKー12が盗られたと思い込む彼女の心中は穏やかではないのだ。
「で、誰が来るんだよ。 まさか軍の連中じゃないだろうな?」
「そうです。 そしてもし軍関係者であるというのなら、今すぐお引き取りねがいます」
「あら怖い。 でも安心して、軍の関係者ではないから」
そう言うと、相変わらず目を閉じたままで再び微笑む。
すると外に一台のバンが止まり、片腕が義手の女性が降りて店へと入ってきた。
「あらアンジェ、早かったのね」
「ええ、少し早すぎたかと思ってたけど、いいタイミングだったようね」
入ってきた女性・・・アンジェリカは代理人に軽く会釈してAKー12の隣に座ると、いまだに抱きつかれたままのエリザの頭を撫で始める。
一瞬びくりとしたエリザだったが、特に害もなさそうなのでそのまま撫でられ続けることにした。
そんな感じで一通りエリザを撫で終えると、アンジェはM16に視線を向けてにこりと微笑む。
「な、なんだよ・・・・・」
「ふふふ・・・・・いや、今日ここにきた目的の一つがあなた絡みだから、どんな人形なのか気になってね」
「は? 私?」
「そう、あなたに会いたくて仕方がないって娘がいるのよ・・・・・二人とも、入ってらっしゃい」
アンジェが少し大きめの声でそう言うと、バンの後部座席側のドアが開き、二人の少女が降りてくる。一人は緑のメッシュの入った黒髪を揺らし、もう一人は薄ピンクの髪を靡かせる。
その二人を見た瞬間にM16は逃げ出し・・・・・・代理人に捕まった。
「見つけましたよ、M16姉さん!!!」
「もう逃げ場はないわよ、覚悟しなさい!」
「た、頼む代理人! 離してくれ!」
「そうは言いますが、どうやらあなたにも原因がありそうなので拒否します・・・・・あ、お三方ともコーヒーでよろしいでしょうか?」
「あ、いただきます」
「じゃあ私も」
注文を受けると代理人はM16を椅子に縛りつけ、追加のコーヒーを淹れていく。その間に現れた二人・・・・M4A1とST AR-15から話を聞いた。というか二人とも、以前に会った時よりも随分と様変わりしているようだが。
「これですか? これは逃げ出した姉さんを捕まえるために強化してもらったんです」
「ついでに、ボコボコにするためにね」
「ま、待て待て! あれは事故だったんだ!」
「「うるさい酔っ払い!」」
そして語られる、『AR小隊解散事件』の真相。
それは数ヶ月前、長期任務でM4とAR-15が出かけていた時のこと。あまりにも暇な空気がピークに達したM16が、ありったけの酒を用意して飲み会を開いたらしい。しかし突然の召集に集まるはずもなく、結果的に集ったのは身内であるSOPとROのみ。
そして事件は起きる。飲みすぎてベロンベロンに酔っ払ったM16は大暴走し、あろうことか妹分二人を『
このショックで二人はメンタルに多大な負担がかかり緊急長期メンテナンス行き。とんでもないことをしでかしてしまったと気がついたM16は逃亡した。
その途中で偽装のために鉄血工造製のスキンまで使用し、ここに転がり込んで現在に至る、という訳だ。
「・・・・・M16?」
「し、知らなかったんだ! まさかあの酒の中にスピリタスが入ってるなんて!」
「百歩、いえ一万歩譲ったとして! どうして逃げ出したのか説明してください!」
「今でもあの子たちのトラウマとして残ってるわ。 見た目が似てるって理由だけで416にもビビリ倒しよ」
ちなみにそのあまりの怖がられようにショックを受けた416が寝込むという二次被害まで発生しており、二人としては到底見過ごせる問題ではない。
というか彼女らの保護者でもあるペルシカが怒り心頭で、なだめに行ったクルーガーやハーヴェルもビビって帰ってしまったほどだ。
「とにかく、姉さんの身柄を拘束させてもらいます。 異論は認めません」
「うっ・・・・そ、そういえばM4、その装備かっこいいな! よく似合ってるぞ!」
「え、そ、そうですか? ・・・・・えへへ」
「流されてるわよM4。 ・・・・・・ん? ちょっと待って」
「どうしたのAKー12?」
「軍の車両が近づいてくる・・・・・すぐそこよ」
言うと同時に、重厚感のあるエンジン音が店の前まで来て、止まる。それは軍が所有する主力戦車で、ただでさえそんなに広くもない道を完全に塞いでしまっていた。
そのハッチから一人の男性が降り立ち、大股で店に入ってくる。
「っ!? 貴様・・・・!」
普段温厚な代理人が敵意剥き出しになるだけでも、要注意人物であることが窺える。
その男の名はエゴール、正規軍に所属する優秀な軍人である・・・・・というのが表向きの評価であった。
「やはりここにおられましたか、エリザ様」
「っ! ま、またお前か!」
「はい、私です。 お迎えにあがりました」
「い、嫌だ! あんな変態どもの巣窟になど誰が行くか!」
「それはごく一部の者だけです。 私が目を光らせていれば安全でしょう」
「変態筆頭が何を言う!」
そう、このエゴール大尉はいわゆる『ロリコン』。しかも容姿やら性格やらがドンピシャなエリザに愛を抱くガチなやつである。
彼女こそが自分の上に立つ者だと(勝手に)決めた彼の行動力は凄まじかった。まず鉄血工造から追い出すために執拗で面倒な嫌がらせをかけ続け、無事成功すると自身の権限をフル動員して追いかけ回した。
行方をくらませると今度はグリフィンに依頼を(自費で)出して捜索させ、その間に軍上層部の弱みを探し始める。見つけた暁にはいつでも上層部に据えられるように、とのことである。
「何故ですかエリザ様、これほどまでにあなたのことを思っているのに!」
「それが気持ち悪いと言っている!」
「ありがとうございます! ・・・・ではなく! あなたに不自由はさせませんし、望むものがあれば必ずや叶えて差し上げます!」
言っておくがロリコンなだけでかなり優秀な部類の人間である。それにエリザのためならなんだってすると言うその忠義も本物だ。
だが、ロリコン。その欠点が強烈すぎた。
「エゴールさん、とおっしゃいましたか。 嫌がっている子を無理やり連れて行こうとするなんて、ただの誘拐ですよ!」
「ん? それはお前が関知することではないのだよメンタルクソ雑魚エリート(笑)隊長」
「本人の意見を尊重する、それが本人を思うなら当たり前のことでしょう」
「黙っていろ自意識過剰まな板娘」
エゴール大尉、その表での評価は大きく二分される。部下や仲間思いで忠義に厚い人物であり、敵や無関心な相手にはどこまでも冷たい男である。
そしてこうまで言われて、彼女たちが黙っているはずなどなかった。
「「「死ねぇえええええ!!!!!」」」
「ぬおっ!? な、何をする!」
「うるせえ! この正規軍のクズめ!!!」
「私の胸を笑ったわね? 笑ったわね!?」
「妹たちを愚弄したな!? 死んで償え!!!」
「代理人、おかわりを貰えるか?」
「あら、じゃあ私も」
「私も貰おう」
「止めていただけると嬉しいのですが」
「「「面倒だからパスで」」」
こうして、今日も一日が過ぎていく。
小さな店の、小さな話。
end
なんだこれ?
・・・・・と、思ってるんだろ?わかるぜ。
はい、ということで遅くなりましたが更新です。
今回は新イベントにちなんだ特別版!キャラ崩壊著しい話となりました。原作のダークな感じが少しでも吹き飛べばいいなと思っております笑
では、今回のキャラ紹介
代理人
エリザの直属の部下。エゴールの嫌がらせで鉄血を追い出されたエリザとともに鉄血を抜ける。
この世界でも店を開くが、カウンター六席の小さなカフェで看板もない。
エリザ
エルダーブレイン。エゴールの目に留まったのが運の尽き。
全体的に子供っぽいが、鉄血の最高AIだけあって馬鹿ではない。
M16A1
鉄血仕様。その理由は本文の通り。
原作と違いただのスキンなので、性能は一切変わっていない。
スピリタスには勝てなかったよ。
AKー12
元正規軍の人形その1。
目を閉じているがちゃんと見えている、お陰で水の中でも目を刺激せずに泳げる。目を見ると呪われるという噂があったりなかったり。
ANー94
元正規軍その2。
基本はなんでもこなすいい子だが、AKー12に対し異様に執着している。ヤンデレ一歩手前。
アンジェ
AKー12、ANー94、そしてM4とAR-15の現在の上司。
元正規軍で、その頃からエゴールの(いろんな意味での)危険性は知っている。楽しければなんだっていい。
M4A1(MOD)
ガチギレした結果強くなった。そして時々言葉も汚くなる。
おしとやかでおっとりした彼女は、もういないのだ。
AR-15(MOD)
ブチギレた結果やたらと強くなった。
ちなみにそれまではちゃんとAR小隊にいたので、ROとも普通に面識がある。
エゴール
今回一番のぶっ壊れ。
原作でAR小隊を襲ったやらエリザを狙う正規軍やらを融合させた結果生まれた、救いようのないロリコン。
実力はガチな部類で、兵器全般も扱える普通に優秀な軍人。だが、上官が可愛い少女ではなくカーター将軍(おっさん)なのが気に入らない様子。