喫茶鉄血   作:いろいろ

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忘れた頃にやってくるクロスオーバー回第二弾!

今更ですがバイオハザードRe:2発売記念。
お金と度胸が足りずに未だにプレイできていませんが!

・・・やりすぎた気はしなくもないですが、無限ロケットランチャーと並ぶバイオシリーズを代表する武器だと思います。


CO-2:地獄の町の少女()

それはとある日の夜。

その日たまたま夜風に当たるために近くの公園まで出ていた代理人は、住民が寝静まった街を一人歩いていた。

もともと人形である彼女は本来睡眠を必要とせず、寝付けないなどということもない。しかしその日に限って()()()()()寝る気にならなかったのである。

それが結果的に一人の人形を救うことになる。

 

家(喫茶 鉄血)まで伸びる路地の陰に、一人の少女がうずくまっていた。小柄で長い金髪の少女の手には黒光りするナニか。

不審に思った代理人はスッと忍び寄る。少女はまだ気付かない。

 

 

「・・・みんな・・逃げ切れたかな・・・『 』・・・・・ありがとう・・・ごめんね。」

 

 

そういうと同時に少女はこめかみに銃をあてる。その引き金にはすでに指がかけられていた。

すかさず代理人は手を掴み、銃を奪い取る。少女と目があった。

 

ライトブルーの瞳とブルーの服、カチューシャが黒でそれについている星のアクセサリーが赤とライトブルーと所々違っているが、代理人には見覚えのある人形だった。

 

ベレッタM9

それが彼女の名だ。もっとも外見の際の他にも不審な点は色々あるが。

まず第一に、彼女ら戦術人形は基本的に自害できないようになっている。

よほどの損傷を受け、かつ周囲の状況から生還が絶望的であると判断した場合のみ可能とされているが、今まで発動した人形はいないという。

次に銃そのもの。

人形の外観はスキンだとか着せ替えたとかであれば変更可能だが、銃は基本的に変えられない。にもかかわらず彼女の銃はグリップ部分のメダリオンを含め細部が違う。しかも後から改造したものではなく、もともとそう作られたかのようなしあがりである。

そして最後に彼女自身。

代理人はもともと指揮用人形であり、その都合上簡易ではあるがアナライズ機能が搭載されている。ここ最近は使うことがなかったそれを起動させれば、表示されるデータは『エラー』『未開放』『閲覧禁止』といったものばかり。しかも一体の人形に収まる情報量ではなく、少なくとも四体分に相当する。

 

IoPの実験機か、それとも違法に製造された人形か、、、、あるいは・・・。

警戒度を上げつつそこまで考え、代理人はふと気付く。このM9もどきとは毛色は違うが、彼女のような規格外を二人ほど知っている。それに思い当たった代理人は、

 

 

「私とともに来てもらいます。 拒否権はありません。」

 

 

銃を突きつけ、脅すように言った。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「脅しておいてなんですが、本当についてくるとは思っていませんでした。」

 

 

そう言って温かいミルクを差し出す代理人の対面に座る人形の頭には、終始?が浮かびっぱなしだった。

彼女からしてみれば、死のうと思った矢先に銃を奪われ脅され連れてこられて飲み物を出される。意味不明を通り越して理解不能だった。

そうして只々呆然としていると、向かい合うようにメイドのような姿の変な人(代理人)が座る。

 

 

「混乱しているようですが、私はあなたをどうこうしようとは思っていません。 ただ、少し話を聞かせてもらいたいだけです。」

 

「・・・はぁ。」

 

「あなたは、ここではないどこからか来て、気がつけばこの街にいた。・・・そうですね?」

 

「!・・・はい。」

 

 

何故それを?と聞くと、以前に似たような境遇の方達と出会いましたからと帰ってくる。そう言って彼女はメモ帳とペンを取り出し(見間違いでなければスカートの中から)、質問を始める。

 

 

「まずあなたのお名前を教えてください。」

 

「・・・『サムライエッジ』、()()()()9()2()F()()9()6()F()の改造銃です。」

 

「? 二種類の?」

 

「見てもらったほうが早そうですね。」

 

 

そう言って自分の銃を握り、目を閉じて集中する。

代理人は自分の目を疑った。なんせ目の前で銃が姿を変えたのだ。

初期の状態はスライドストップがやや小型だったものが、次の瞬間には元となった92Fに近くなり、また次の瞬間にはサイレンサーとレーザーサイト、さらに次には銃そのものが大型化し、マガジンもロングサイズとなっている。この変化に合わせて彼女の目もライトブルーから青、黒、赤と色を変えていた。

 

 

「・・・なるほど、それがあなたの正体ですか。」

 

「今見てもらったものが、私の全てよ。」

 

「ん? 口調も変わるんですね。」

 

「あ・・・そう見たいね。」

 

「・・・まあいいでしょう。 では次に・・・」

 

 

そうして話をすり合わせることおよそ二時間。

まず彼女がいたのは1996年のアメリカ、所属はラクーン市警の特殊部隊『S.T.A.R.S.』。警察組織なので相手は当然人間を想定していたのだが、ある事件以降は怪物を相手にするようになる。

 

洋館事件とラクーンシティにおける大規模な生物災害(バイオハザード)

 

彼女の持ち主であった四人はその地獄を戦い(うち一人は事件の首謀者クラスであった)、無事生還したらしい。

らしい、というのは彼女の記憶がその直前で途切れていることと、彼女が自身の持ち主に強い信頼を寄せているからである。

気がつけばこの世界に流れ着き、途方にくれると同時に自身の役目は終わったと感じ、死のうと思ったらしい。

 

 

「・・・そんな過去が・・・。」

 

「彼らならきっと大丈夫。 私の自慢のマスターだからね。」

 

「いやはや全くだ。 我々のマスターがこのことを知ったら是が非でも彼らに会いに行っていただろう。」

 

「「・・・・・ん?」」

 

 

店の上、代理人の私室で行われていたこの会談にまさかの乱入者。

いつの間にかそこにいたのは全身真っ白の闘争バカ、ジャッカルである。

 

 

「絶望的な状況で、それでも前に進む。 やはり人間とは素晴らしい!」

 

 

そう言いながら窓から入ってくるのはジャッカルの相棒、カスール。

というか侵入経路はそこか、今度から防犯設備を増設しようと代理人は誓う。

 

 

「・・・あの、この人たちは?」

 

「この世で最もおめでたくない紅白、で結構です。」

 

「ずいぶんなご挨拶じゃないか代理人。」

 

「久しぶりに闘争の匂いをゲフンゲフン・・・顔を見せにきてやったというのに。」

 

「常日頃からやりすぎるあなたたちのウワサはよく聞いていますよ、紹介した私への苦情とともに。」

 

「殺し殺されるための闘争だ、やりすぎなどない!」

 

見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ。」

 

「話が進まないので黙っていてください。」

 

 

頭を抱える代理人と何がおかしい?と首をひねる紅白、なんだかわからないがいつものことなのかと納得するサムライエッジ。

そんなことを思っていると白いほうが顔を思いっきり寄せてきた。近い。

 

 

「ふむ、持ち主に似たのかいい目をしているな。 だが諦めはいかん、諦めが人を殺s・・・あ、人じゃないな。」

 

「・・・そういうあなたの持ち主は、『人』ではありませんね?」

 

「ほぅ? わかるか? 面白い奴だな。」

 

 

そのまましばらく見つめ合う二人。

ジャッカルはニヤリと笑う(本人は微笑んでいるつもり)と、

 

 

「代理人、こいつはもらっていくぞ。」

 

「「・・・は?」」

 

「だ・か・ら、私が迎え入れてやると行ったんだ。 どのみち行く宛もやることもないなら、私たちと来ればいい。」

 

「いえ、私は」

 

「それに私たちではどうも()()()()()らしいからな。・・・ストッパーがいてくれた方がいいだろう?」

 

「いや、まあ、それはそうですが・・・」

 

「では決まりだな! 必要な手続きはこちらでしておこう。」

 

「世話をかけたな代理人。 また会おう。」

 

「え、ちょっ、ま、いやあああぁぁぁぁぁ・・・・」

 

 

台風一過。

幼女が幼女を連れて窓から出ていく光景を見ながらどこか悟った顔の代理人は、

 

 

「・・・そろそろお店に戻りましょうか。」

 

 

全てを諦めた。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『・・・聞いていますか代理人!』

 

「・・・えぇ聞いていますよ。」

 

『あいつら何行っても聞かないんですよ!? 人質の奪還なら戦闘は最小限に抑えるべきだというのに真正面から突っ込むなんて!』

 

『おまけに貴重な大口径弾をバカスカと・・・弾代だけでいくらかかると思っているのか!』

 

『そのせいで会社からは旅費をケチられて徒歩で帰ってこいなんて・・・私が何したってんだ!?』

 

「人格が混ざってますよ・・・あれ? 銃格でしょうか?」

 

『そこはいいんです! 代理人からも何か言ってk・・ちょ、まだ話してr』

 

『あーあー、聞こえてるか代理人? 例の苦情は減っただろう?』

 

「・・・・・えぇ、一応。」

 

『ならばよし。 ではそろそろ仕事だからな、ここで切るぞ。』

 

「・・・彼女に、頑張ってくださいと伝えてください。」

 

『了解した。 ではな。』

 

「・・・今度、何か送ってあげましょうか。」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

皆は、今どうしてるかな。

 

ジルは、また変なことに首突っ込んでないといいけど。危なっかしくて見てられなかったなぁ。

クリス、銃は持ち歩かないと銃とは言わないんだよ? 無くされた身としては質実な願いだよ。

バリー、はっきり言ってこの口径でその装弾数は無茶だよ・・・。大事なときに壊れても知らないからね。

アルバート、あの事件のことで思うことはあるけど、それでもやっぱり私の持ち主に変わりはないから。

 

 

 

 

 

みんな、ありがとう。

 

end




バイオハザードシリーズよりサムライエッジちゃんです!
ぶっちゃけ書き始めるまでそこまで気にしたことないけど、結構いろんな設定があって面白いですね。


というわけでキャラ紹介。

サムライエッジ
ベレッタ92Fも改造銃。
今作の彼女はさらにそれのオーダーメイド品。持ち主はジル、クリス、バリー(彼のみ96Fの改造)、ウェスカーで、それぞれの銃の特徴はWiki参照。
人形はM9とほぼ同じだが服装と目が異なる。服の色はそれぞれの銃のメダリオンの色に由来している。
四つの銃それぞれに『変化』することが可能で、この際に目の色も対応するメダリオンの色に変わる。ついでに話し方や性格も若干変わる。
HELLSING組に拉致られ、同じチームに所属させられ、二人のストッパーとして奮闘中。

この世で最もめでたくない紅白
CO-1で登場したカスールとジャッカル。
サムライエッジの暗い過去話だけだと軽く六、七千文字くらい行きそうだったので強引に話を変えるために登場。
バケモノの銃とバケモノと戦ってきた銃という異質な組み合わせになったけどまあいいかなと。
ボツ案ではサムライエッジは彼女らと対立する予定だった。

後半のノリ
HELLSINGの短編『CROSS FIRE』のハインケルと由美子(由美江)みたいな感じ。
真面目なキャラほど苦労する。


長々となって、申し訳ございません( ^ U ^ )
それでは!
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