喫茶鉄血   作:いろいろ

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皆さん、イベントの進捗どうですか?
自分は減りゆく資材と代理人の容赦のなさに泣きそうです。
あ、でもIDカードの背景が素晴らしいので十分ですね!代理人に踏まれるとかご褒美以外のなんでもないのです!

今回はそんなイベントの報酬に因んだお話です。
そしてまさかの二話連続ロシア登場!


*ドルフロ狂乱編5の代理人とM4可愛いやったぁあああああ!!!!
https://youtu.be/lPijGWynir0


第百四十一話:第二次冬戦争()

「・・・・・・」

 

「む〜〜〜〜・・・・ここ!」

 

「あら、いいところに・・・・はい、チェック」

 

「うぐっ・・・・ま、まだここからだよ!」

 

「・・・・・何してるの二人とも?」

 

 

とある日の夜、営業時間を終えて片付けも済んだ喫茶 鉄血で、マヌスクリプトは珍しい光景を見た。それは代理人とD、側から見れば区別のつかないその二人が一つのテーブルを挟んで真剣な表情を浮かべていたのだ。よほど集中しているのか、マヌスクリプトがかけた声にも気付いていないようだ。

そんな二人がそれほどまでに真剣になっている理由、それはテーブルの上に置かれたあるものだった。

 

 

(・・・・おや、あれは『チェス』かな?)

 

 

テーブルの上に載っているのは、いかにもな白黒の盤面と同じく白黒の駒が並ぶボードゲーム、チェス。形も動きも様々なそれを駆使し、相手のキングを取るかキング以外を全滅させれば勝ちというルールだ。

戦略や先読みが勝敗を分けるそれを、ほぼ同程度の高性能AIを持つ二人がやっているのだ。きっと盤面の状況だけでは伝わらない駆け引きがあったのだろう。

そしてついに、決着の時が来た。

 

 

「ここ・・・・・かな・・・・」

 

「残念ですが、それは悪手ですよ・・・・・・チェックメイト」

 

「あぁ〜〜負けたぁ〜〜〜〜」

 

 

そういう割にはさほど悔しくもなさそうな顔で手をあげるD。まぁ二人もそこまで本気でやっているわけでもないので軽い遊び感覚だろう。

感心しながら見ていたマヌスクリプトだが、そこでふと思いつく。客の入れ替わりが少なくまったりした雰囲気のこの店に合った、新しいサービスだ。

 

 

「ねえ代理人、一つ提案があるんだけどいいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

あの日の翌日から早速導入したそれは一部の客に大いに受け、それ目当てで訪れる客が現れるようになっていた。

そのサービスというのが・・・・・

 

 

「あ、コーヒー二人分とチェスお願い」

 

「畏まりました。 用意しますので少々お待ちくださいね」

 

 

そう、チェスの貸し出しだった。もとよりこの店に来る客の半分くらいは人形、もっといえば戦術人形である。そんな彼女らがここ最近滅多に使わない戦術AIを駆使できるということで人気になり、今ではS09の指揮官から推奨までされているくらいだ。

ちなみにレンタルは一回500円、時間制限はないが良識の範囲内でとなっている。

 

 

「はい、どうぞ。 それではごゆるりとお楽しみください」

 

 

出されたチェス盤を持ち早速席へと向かう人形たち。これの面白いところは、たとえ見た目や言動の幼い人形であってもそれなりに手強く、M4などの一部指揮能力に長けた人形だとほとんど人間では太刀打ちできなくなるところだ。が、それを承知で彼女たちに挑む強者も一定数おり、人間人形問わず盛り上がっている。

まぁ中には、合法的に人形たちとお近づきになれると考えたり、勝ったら付き合ってほしいと言って挑む者もいるが、結果はお察しの通りだ。

 

 

「いやぁ〜、言っておいてなんだけどすごい人気だね」

 

「えぇ、このアイデアは悪くないとは思いますよ」

 

 

とはいえ代理人たちも注意しておかなければならない。一応幅広い世代が訪れる喫茶店なので当然賭け事は禁止、皆が使う物なので汚したり壊したりにも注意する(飲食店なのである程度の汚れは黙認している)。さらにあくまでも勝負事なので、喧嘩になってもうまいこと抑えなければならない。

その点、ハイエンド揃いの喫茶 鉄血のセキュリティは万全と言えた。

 

 

カランカラン

「いらっs・・・・・・あら、今日もですか?」

 

「はい、今日こそ白黒つけてあげようと思いまして!」

 

「というわけで、チェス盤を貸してください!」

 

 

そんな中やってきたのは、チェスのサービスを始めた当初からほぼ毎日通っている二人の戦術人形、9A91とスオミだ。

この二人、普段は仲がいいのだが事あるごとにぶつかり合う、いわばライバルのような関係である。理由は単純、スオミが常識を逸したアンチ赤色だからである。加えて9A91(に限らず多くのロシア銃)が祖国復興というのを口癖のように唱えており、スオミとはなにかと衝突することが多い。

そんな二人は最近、チェスという表面上平和な戦争で日々戦っているのである。

 

 

「はいどうぞ。 それといつも言っていることですが、熱くなりすぎないように気を付けてくださいね」

 

「「はーい」」

 

 

そう返事をして、二人は()()()()()()を持っていく。見慣れた者からすればいつものことだが、そうではない者は首を傾げる。

が、席につきそれぞれのポーチから取り出したものを見てギョッとする。

 

 

「さぁ! 今日こそこの盤面(戦場)を赤く染めてあげましょう! そして我が祖国復興の礎となりなさい!」

 

「ふん! ただ物量で押すことしかできないウォッカ漬けどもの酔いを覚ましてあげますよ!」

 

 

二人が取り出したのは、自作かどこかで買ってきたのかは知らないがそれぞれが用意した自前の駒。

いつからこうなのかは誰も覚えていないが、時々こうして自前の駒を持ってくる客もいたりする。特に駒とセットで貸し出さなければならない理由もないので、その場合はチェス盤だけ貸している。

 

そんな二人が持ち込んだ駒は、明らかに普通の駒とはかけ離れたものだった。

通常、馬や砦を模したもののマイナーチェンジが当たり前だが、二人のは歩兵やら戦車やらという軍隊感丸出しの見た目で、ご丁寧にもキングの駒にはそれぞれの国旗が飾られている。そしてなんと言ってもそのカラーリングが、片や雪のように真っ白で片や血のように真っ赤なのだ。

 

 

「おや、いい感じに熱が入ってますね!」

 

「あらカリーナさん」

 

「ひょっとして、あの駒ってカリーナさんが?」

 

「ええ! 腕のいい職人さんに作っていただきました。 あの二人なら買うだろうと思ってましたからね!」

 

 

そう言って目を『$』にするカリーナ。その商売根性は見上げたものだが、側から見れば武器を売りつけて煽る武器商人以外の何者でもない。

そんな感じで見守っていると、両者ともなかなかの接戦を繰り広げていた。共にポーンをいくつか失い、後列のコマも前線に出てきている。

 

 

「・・・・あれ? お二人ともあまりキングを狙っていませんね?」

 

「あぁ、カリーナさんは見るの初めてでしたね」

 

「あの二人はね、キングを取る気がないんだよ」

 

「え? ですがそれでは・・・・・・あっ」

 

「そう、あの二人がやってるのは・・・・・『殲滅戦』だよ」

 

 

チェスのルールにおいて、キングを取ることが勝敗を決する要因となる。たとえ相手がキング一人であろうとも、そのキングを取る手段がなければ引き分けになる。

が、この二人にそんなことなど関係ない。敵の戦力を根絶やしにし、降伏を迫るのがこの二人のルールである。そのあまりにも特殊すぎるルールのせいで、今まで一度も勝負かつくことがなかった。

 

 

「チッ、ちょこまかと・・・・・大人しく我らの同志になりなさい!」

 

「冗談はウォッカの度数だけにしてなさい、このファッ◯◯レッド!」

 

「この野郎! 粛清してやる!」

 

 

何度も言うが、スオミはロシアとかソ連とかが大嫌いである。湖の畔でお花を愛でている姿が似合いそうな彼女だが、その口から飛び出す暴言罵倒には一切の容赦がない。

そしてそれに感化される形で9A91も口調が荒くなる。それまで温存気味だった戦車部隊(ルークとかビショップとか)を全面に出し、時には一個のルークを囲んでボコボコにする。

 

 

「この人でなし!」

 

「我らの正義を受け取りなさい! Ураааааааа!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、こんな感じのことがここ毎日のように行われているが、ちょっとでもチェスをしたことがある人ならば殲滅戦がいかに難しいか分かってもらえると思う。それを毎回懲りずに狙うので、当然引き分けに終わるのだ。

今回も、互いに()()()()()()()()()()()()()ところで引き分けとなる。

 

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・・」

 

 

見目麗しい女性がしてはいけない顔で盤面を見つめる二人。そうして何となしに互いに視線を合わせると

 

 

(次こそ・・・必ず・・・・・)

 

(勝って・・・みせます・・・・)

 

 

熱いアイコンタクトを取り、そのままテーブルに突っ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「いやぁ〜いつもごめんね代理人」

 

「いえ、お二人とも楽しんでいらっしゃったので」

 

 

それから数分後、二人を迎えにきたモシン・ナガンは満身創痍の二人を見てため息をつき、二人を両脇に抱えて引きずって帰る。その際に代理人にこうして軽く謝罪して入るのだが、これももう何回目かになるので互いに慣れてしまった。

 

 

「そろそろ自重するようにって言っとくわ」

 

「まぁ流石に毎日は・・・・ですが、いつでもお待ちしておりますので」

 

「ふふっ、ありがと。 じゃ、お世話になりました〜」

 

 

ズルズルと引きずる音を立てながら店を離れ、近くに止めてあった車に乱暴に投げ込むモシン・ナガン。

そんな光景を、代理人は呆れながら見守るのだった。

 

 

 

end




はい、というわけで今回はイベント報酬のチェス!
小さいころ、レゴでオリジナルの駒を作って弟と遊んだのはいい思い出。

それでは今回のキャラ紹介


9A91
祖国復興を掲げるソ連ロシア銃、その中でも人一倍熱意のある人形。
真っ赤に染めたTー34やらKVー2を模った駒を使い、ルール無視の殲滅戦を仕掛ける。
祖国が絡むか絡まないかで性格がかなり違う。

スオミ
ヘビメタ好きのアンチ赤色。
自身はSMGだが、かつての英雄である某白い悪魔を崇拝し、その関係でモシン・ナガンを引き入れようと画策する。
真っ白の駒だが当時の戦力のほとんどはソ連と似たり寄ったりなので駒もそんな感じ。

モシン・ナガン
自身はソ連銃だが、某白い悪魔の関係でスオミに懐かれている。そのためこのチェス戦争のたびに回収に向かわされる。
そこまで祖国復興に熱を入れていないが、周りのノリやテンションに合わせるタイプ。

代理人
Dと嗜む程度に始めたチェスがここまで大きくなるとは思っていなかった。

D
♪オリジナルが倒せない

マヌスクリプト
今回はいい仕事したと思う。ちなみにチェスはからっきし。
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