喫茶鉄血   作:いろいろ

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絵師さんの設定が非常に重いことで知られるThunderちゃん・・・・なのですが、この世界では特にそう言った事情もないので純粋な戦術人形です。
原作との違いは主に
・身体中の傷がない
・言葉数や表情の変化が少ないのは元から
・元民生用ではなく純粋な戦術人形
という点をご理解いただき、ダメならブラウザバックを推奨します。


・・・・・・まぁ原作無視なんて今更ですけどねぇ


第百五十二話:その銃声、雷鳴の如し

IoP社は、戦術人形という分野で現在最もシェアのある企業である。以前であれば『安価で整備性も良い信頼性の高い鉄血製』か『やや高価だが性能が高く優秀なIoP製』と言われていたのだが、とある事情によって鉄血工造のシェアが低下、今では戦術人形に限ればほぼ独占といえる状態である。

もちろん民生人形であれば他の企業もいるし、最近は鉄血工造も信頼を取り戻しつつあってシェアも回復傾向にあるのだが、それはまた別のお話。

 

そんなIoPだが、当然製品の完成に至るまでには多大な試行錯誤と失敗がある。銃自体はかつての製造データを元にすればいいが、それを扱う人形となるとほぼ一からとなる。

そしてこの人形を作る上で重要なことが三つ。1、『銃の性能をフルで発揮できること』。2、『人間社会に適応できるAIを積むこと』。そして3、『可愛いこと』である。

 

この条件を満たすためにIoP職員は寝食を忘れて作業に没頭するのだが、それゆえ暴走することも、よくあることなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、喫茶 鉄血は妙に静かで、妙にざわついていた。いつもなら客同士の会話が弾んでいるはずなのだが、今日は弾んでいるというよりもヒソヒソと小声で話しているという感じだ。

そしてそんな客の視線の先には、見慣れない一人の少女がチビチビとホットミルクを飲みながら座っていた。

水色の髪を揺らし、白のシャツと黒いスカート、ジャケットとコントラストが映え、物静かな雰囲気と時折見せるあどけない微笑が美しい。

・・・・・が、それ以上に目を引くのが彼女の腰にぶら下がっている()()だった。

 

 

「お待たせしました、ご注文のオムライスです」

 

「ん・・・ありがとうございます」

 

 

コップを置き、心なしか目を輝かせながらオムライスを頬張る。見た目相応の少女らしい姿だが、やはり腰の()()の存在感がありすぎるのだ。

そして代理人もまた、その銃に気を引かれている一人だった。

 

 

「一つ伺ってもよろしいですか?」

 

「ングング・・・はい、いいですよ」

 

「見たところ、あなたは戦術人形のようですが・・・・・そちらの銃は? 私も初めて見るものでして」

 

 

付け加えると、代理人とて世界中の銃を実際に見たことなどない。知っているというのは、資料としてインプットされているということである。これは鉄血工造が、ライバル企業であるIoPの人形のデータを得ようとした過程で集めたもので、特に高位のハイエンドであればその全てを識っているといえる。

そんな代理人が初めて見る銃、それをこの少女は持っているのだ。

 

 

「これですか? これは『Thunder.50』、私の愛銃です」

 

 

そう言って少女・・・・・Thunderがそれをテーブルの上に乗せる。ゴトッという音とともにその重厚感と異形に、客も代理人も圧倒された。

単純に言えば、トリガーのついた筒。それがThunder.50である。大口径の単発式で、使用するのは対物ライフルクラスの銃弾、その重量は5キロを超え、とてもではないが人が撃つことを想定されていない。

 

2004年に米国の銃器類見本市でお披露目されただけのデモ銃なので代理人も知らなくて当然だが、IoPは何を考えてこれを採用したのだろうか?

 

 

「さぁ、それは私にもわかりません。 ですが、そのせいでどうやら私はワンオフ機のようです」

 

「まぁ、そうでしょうね」

 

 

彼女には申し訳ないが、こんな化け物銃を量産されては堪ったものではない。対物ライフルと違い、このサイズなら屋内や閉所でも使用可能だからだ・・・・・人や人形に撃つにはあまりにも過剰火力だが。

 

 

「でも、できれば使われない方がいいと思います」

 

「あら、珍しいことを言いますね」

 

「戦術人形として作られて言うのもなんですが、戦いは好きではありませんから」

 

 

それだけ言うと、もう話は終わりだとばかりにオムライスに意識を戻すThunder。なるほど、そういうことならこの地区にやってきたのもわかる気がすると代理人は思う。この地区は良くも悪くも変わった人形が多くやってくることで有名で、それを束ねる指揮官もまた有能なのだ。

それに、これは代理人の考えではあるのだが・・・・・

 

 

(この店を気に入ってくれる人に、悪い人はいないでしょうから)

 

「? どうかしましたか?」

 

「いえ、何も。 よろしければおかわりはいかがですか?」

 

「あ、ではいただきます」

 

 

それでは、と代理人はコップを受け取り、温かいミルクを注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あーいいっ! いいよこの銃!!!」

 

「あの、マスターさん・・・・・」

 

「代理人でいいですよThunderさん。 それと・・・・・今日もサボりですかアーキテクト?」

 

「失礼な、今日はちゃんとした休日だよ!」

 

 

その数十分後、ゆったりと寛いでいたThunderのもとに一人の人形が訪れたことで場の空気は一変する。正確にはたまたま店を訪れ、Thunderの持つ銃に惹かれたアーキテクトのせいである。

本人に許可をとってはいるが、愛銃を舐めるように見続けられるとThunderも正直困る。そして代理人に助けを求めるが、サボりでもなんでもない以上は代理人でも止めづらい。

 

 

「大口径の小銃っていう矛盾したコンセプト! 単発装填! そして超火力のロマンッ!!! ・・・・・君、よかったらうち(鉄血)に来ない!?」

 

「ひぇっ!? い、いえ、それはちょっと・・・・・」

 

「待遇は約束するよ! なんだったら私の権限全部使っても・・・」

 

「そこまでにしなさいアーキテクト、お客様に迷惑をかけるようならこちらにも考えがありますよ」

 

 

言外に「出禁」という文字をチラつかせて黙らせる。それでもなお気になるようで、今もチラチラとThunderを・・・・・というよりもその愛銃を見ている。

 

 

「ちぇ〜・・・じゃあせめて撃ってるとこくらいは見たいなぁ」

 

「その機会があればですよ。 そこまで気になるのなら、グリフィンの指揮官に頼んで射撃訓練を見せて貰えばよろしいのでは?」

 

「おぉ! その手があったね!」

 

 

ガッツポーズを決めるアーキテクトに、代理人もThunderも呆れた視線を向ける。正直、IoPとズブズブなグリフィンの施設に鉄血工造の関係者が入れるとは思えないのだがそれはあえて言わないでやった。

機嫌が良くなったアーキテクトは、代金だけ置いていってそのまま帰ってしまった・・・・・何しに来たのだろうか?

 

 

「はぁ・・・・・すみませんね、彼女はああいうタイプなので」

 

「いえ、少しびっくりしましたけど」

 

「もし彼女が何か迷惑をかけたら、迷わずこちらに連絡をください。 これがこの店と私の番号です」

 

 

そう言って店と個人宛の電話番号をメモした紙を渡す。それと、と付け加えると

 

 

「個人的な相談事でも構いません。 その時は気軽に声をかけてくださいね」

 

「・・・・・はい、ありがとうございます」

 

 

ニコッと笑ってThunderはそう返すと、代金を置いて店を出る・・・・・が、肝心の愛銃を置いていったことに気付いて戻ってきた。

案外、ドジっ娘なのかもしれない。

 

 

「た、たまたまです。 別にドジなんかじゃありません」

 

「ふふ、わかってますよ」

 

 

顔を真っ赤にしてそういう彼女に、代理人は優しくそう言って送り出すのだった。

ちなみにその後、アーキテクトの見学の申し入れにまさかのOKが出てしまい、そのことでThunderが相談に来るのだが、それはまた別のお話。

 

 

end




ハンドガン+狙撃スキル+必中ではない=ロマン!
どこぞの社長砲に近いものを感じますね。

では今回のキャラ紹介!


Thunder
ぱっと見SFっぽい銃を持ち少女。架空の銃でもなんでもなく実銃である。
正直使いどころがない気がするが、可愛いので問題ない(ここ重要)

代理人
この店に来てくれる人に悪い人はいない・・・という一見お花畑みたいな考えを持つが、それはこんな人形の店に足を運んでくれる人はいい人だという感謝の意を込めたもの。
アーキテクトの出禁まで、あまり猶予はない。

アーキテクト
今回はサボりじゃない!
彼女をフロム脳溢れるAC世界に飛ばすと愉快なことになるに違いない・・・・やらんけど。
こんなんでもやる時は真面目にやる。





そういえば他作者様のところで大コラボ会やってますね。自分も参加できたらいいけど、いかんせんただの飲食店だからなぁ笑
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