喫茶鉄血   作:いろいろ

208 / 279
新イベントきたー!
そしてキャリコ×Thunderだと!?許せる!

そんなことは置いといて、今回のラインナップ
・代理人と折り紙
・WAちゃんの災難
・恋する乙女たち
・アーキテクト、見学中!
の四本です!


番外編38

番外38-1:代理人と折り紙

 

 

(ここをこうして・・・・・こっちはこう・・・・)

 

「Oちゃ〜ん、まだ起きてるの・・・って起きてた」

 

「ん? Dですか」

 

「へぇ、折り紙かぁ」

 

 

そろそろ日も変わるかという頃、代理人の自室から溢れる明かりに気づいたDが入ってきた。そこには机に向かって何やら真剣な表情で作業する代理人の姿があり、その机の上には色とりどりの折り紙が散らばっている。

その傍らには、昼間にもらった少し変わった折り紙が並んでいる。

 

 

「それ、あの娘たちにもらったやつだよね?」

 

「えぇ、随分と手際よく折っていましたが、やってみると案外難しくて」

 

「それで没頭してたってわけかぁ。 でも上手く折れてるんじゃない?」

 

「ようやく、といったところですよ」

 

 

苦笑する代理人は追っていたそれを置くと、机の上に置いてある箱を手に取って開ける。中には彼女たちの部隊章を真似たであろう折り紙たちが入っていたが、どれもクシャクシャだったり崩れてたりと、一眼で失敗だとわかる出来だった。

 

 

「何度もやり直しているうちに、時間を忘れてしまったようです」

 

「ふふふ、何だかわかる気がする。 でも今日はも遅いから、続きは明日だよ」

 

「そうですね。 では、これで最後にしましょうか」

 

 

それからしばらくして、あかりの消えた部屋の机の上には、もらったものと瓜二つの折り紙が並んでいたのだった。

 

 

end

 

 

 

番外38-2:WAちゃんの災難

 

 

WA2000、彼女は非常に優秀なライフル人形で知られている。冷静に物事を分析でき、狙撃だけでなく中距離での戦闘も可能と場面を選ばない万能さがある。

そんな彼女は今、怒りで顔を真っ赤にしながらS09地区の街を疾走していた。

 

 

「待ちなさいこのバカ猫っ!!!」

 

「にゃはは! 待てと言われて待つバカはいないにゃ!」

 

 

そんな彼女の目の前で、まるで猫のように壁をよじ登り狭い路地を爆走する人形。重要参考人として絶賛追われ身のIDWである。もともと身軽なSMG、さらにいえば見た目通り猫のような敏捷性を見せる彼女に一人また一人と脱落していき、気がつけばWAただ一人で追いかけている状況だった。

 

 

「くっ!」

 

「おぉっと、まるで般若みたいな顔になってるにゃ。 あらよっと!」

 

「このぉ・・・・大人しく捕まrうわっ!?・・・・ヘブッ‼︎」

 

 

木箱を軽々と飛び越えるIDWを追ってWAも続き、しかしわずかに足先を引っ掛けてしまい顔面から落下する。鼻を押さえながら顔を上げると、なぜか逃げずにその場で笑っているIDWの姿。

・・・・・こいつ、舐めている。

 

 

「今のは痛そうにゃ〜」

 

 

ブチッ

何かが切れる音を自分で聞きながら、WAは立ち上がり走り始める。もう捕まえるだけでは気が済まない、とりあえずアイアンクローと梅干しのコンボくらいは食らわせてやる。

そんな私怨一色になったWAに、IDWはニヤリと笑うと再び路地を走る。いくつもの角を曲がり、より狭い路地を走り抜け・・・・・袋小路に入り込んだ。

 

 

「こ、ここまでよ・・・・さぁ覚悟なさい!」

 

「うぅん、ここまでか・・・・・なんてにゃ!」

 

「んな!? 諦めの悪い猫ね!」

 

 

一瞬だけ諦めたような表情になったIDWは、あろうことかその傍にあるさらに狭い路地・・・・・というかただの家と家の隙間に入り込んだ。細身のIDWでさえ体を横にして入らなければならないが、その先ももちろん行き止まり。

勝利を確信したWAは、待てばいいの自身もそれに続いた。

 

 

「にゃにゃ!? 追ってきたのにゃ!?」

 

「当然、よ! あんたをこの手で捕まえて・・・そして一発殴る!」

 

「やばいにゃやばいにゃ、捕まったら一巻の終わりにゃ・・・・・捕まったらだけど」

 

 

そう言ってニヤリと表情を歪める。

ところでWA2000という人形は、細身な体にしては立派なものを持っている。どんな服を着ようとも隠しきれないその起伏は大変魅力的ではあるが、時にはむしろ邪魔になることもあるのだ。

 

 

(くっ・・・・む、胸が・・・・)

 

 

IDWでさえ横這いで入るような路地、そんなところに強引に入り込んだせいで、WAは途中でつっかえてしまった。後一歩で届くというのに、進めないのだ。

 

 

「おやおや、どうしたのかにゃ〜?」

 

「くぅ・・・ぬぅ〜〜〜っ!!!」

 

「おぉ、執念って怖いにゃ・・・・・というわけで撤退!」

 

「は?」

 

 

突然IDWは飛び上がると、なんと狭い路地に両手両足をついて登り始めた。そのままあれよあれよと屋根まで行くと、呆然とするWAを置いて走り去る。

してやられた、と悔しがるWAはとりあえずここから出るべく元来た道に戻ろうとして・・・・・動けなかった。

 

 

「え? ちょっ・・・嘘でしょ!?」

 

 

ぐいぐいと体を捻ってみるが、抜ける気配は一向にない。救援を呼べば済む話だが、中途半端にプライドの高いWAにそんな選択肢などない。

一か八か、勢いで抜け出そうと力をいれ、グイッと出口へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビリッ

「・・・・・へ?」

 

 

嫌な音がした。具体的には自分の胸元から。

恐る恐るWAは視線を下げると・・・・・・

 

 

 

 

 

この後、泣く泣く救援を呼んで替えの服を持ってきてもらうと、怒りのあまり銃のセーフティまで外してIDWを探すのだった。

 

 

end

 

 

 

番外38-3:恋する乙女たち

 

 

「〜〜〜〜♪」

 

「ご機嫌ですね、PAー15さん」

 

「んふふ〜、まぁね」

 

 

ゲッコーとの熱いデートの翌日、S09地区司令部のカフェでPAー15は終始にやけっぱなしだった。

彼女は自分でもわかっているほどの、いわゆる小悪魔系である。そんな彼女は主導権を握ろうとするも失敗し、最後は見事に手玉にとられてしまったのが悔しかったり嬉しかったり・・・・・そんなごちゃ混ぜの感情によって頭の中はゲッコーでいっぱいなのだ。

 

 

(次に会ったときはこっちから誘ってみようかな? そもそも、あれもハッタリだったのかもしれないし・・・・・うん、きっとそうね!)

 

 

基本的に自分に都合の良い方向へ考えがちなPAー15は、まだ決まってもいない次のこともその先のことも勝手に決めつけて優越感に浸る。途中で計画が狂うことなど微塵も考えておらず、そうなった時が見ものである。

と、そんな感じで自世界にトリップしているところに、緑髪を揺らした女性が近づいてきた。

 

 

「あ、あら・・・Mk48さん」

 

「うふふ・・・コーヒーを一杯もらえるかしら?」

 

 

現れたMk48に警戒しつつもコーヒーを淹れにいくスプリングフィールド。とある事件で彼女に苦手意識がついてしまったのだが、未だに怖いらしい。

そんなMk48が来た理由、それはそこで相変わらずのほほんと表情を緩ませるPAー15だった。

 

 

「ちょっといいかしら、泥棒猫」

 

「ん? おや、売れ残りが何か用?」

 

 

開幕からぶっ放す二人。それもそのはず、昨日の経緯を周囲に知られているPAー15は、当然その日のうちにMk48に絡まれた。

その日はもう遅いということでうやむやになったが、日が変わって時間に余裕ができると早速ぶつかったのだ。

 

 

「小娘が・・・・後から出てきて偉そうに」

 

「ふふん、会うだけで満足しちゃうような純情BBAがいつまでもいつまでも足踏みしてるだけじゃないの?」

 

「うふ、うふふふふふ・・・・・・・」

 

 

互いに表情は笑顔だが目が笑っておらず、Mk48に至っては額に青筋を浮かべながら両手をボキボキと鳴らしている。その姿にトラウマを思い出したスプリングフィールドは早々と奥へと避難した。

 

 

「じゃあこういうのはどう? 今度非番の時に、二人でデートに誘うの」

 

「・・・・・・は?」

 

「最後にどっちかを選んでもらう。 わかりやすくていいんじゃない?」

 

「ふん・・・・・いいわ、乗ってあげる」

 

 

両者とも火花を散らしながら睨み合う。

こうしてゲッコーのあずかり知らぬところで、戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

 

end

 

 

 

番外38-4:アーキテクト、見学中!

 

 

「・・・・・・はい、確認しました。 ではアーキテクトさん、()()()()()変な気は起こさないようにお願いしますね」

 

「はいはーい!」

 

 

はぁ、っと疲れたため息を吐く守衛の人形の横を、まるで浮いているような軽やかな足取りで通り過ぎるアーキテクト。

今日は待ちに待った、グリフィンの施設見学である。

 

 

「やぁやぁ指揮官! 今日は招いてくれてありがとね!」

 

「うむ、見ても良い場所は限られるが、存分に楽しんでくれて構わない」

 

 

一応招かれた側ではあるので指揮官に一言挨拶をし、そのまま猛ダッシュで訓練室に直行する。事前に聞いていた感じだと、そろそろ彼女の射撃訓練の時間だ。

訓練室へと入れてもらい、中を見渡す。銃種ごとに細かく距離が違う射撃訓練場では、人形たちが黙々と銃を構え引き金を引いている。その中にお目当ての彼女はいなかったが、少し待つと準備室から現れた。

 

 

「あ、Thunderちゃん!」

 

「え? あ、アーキテクトさん?」

 

 

一瞬ビクッと固まり、なぜここに?と疑問符を浮かべるThunder。だがすぐに思いだすと、あぁ本当に来たんだと嘆息した。

 

 

「来たんですね、アーキテクトさん」

 

「もちろんだよ! じゃ、早速いってみよー!」

 

 

テンション高いなぁとか、なんであなたが仕切るんですかとか、言い始めればきりがないと思ったので諦めて的の前に立つ。すると立っていた的が下げられ、新しい的が降りてくる・・・・・的というよりも鉄板だが。

 

 

「じゃあ、いきます」

 

 

銃を構え、スゥッと息を吐いたThunderが引き金を引いた。

瞬間、ハンドガンとは思えないほどの爆音が鳴り響き、直後に的が爆散した。

 

 

「おぉ・・・おぉおおお!!!!」

 

「・・・・・指揮官、また的を壊してしまいました

 

『命中箇所は?』

 

「やや左上にそれました」

 

『わかった。 あとでまたレポートを提出してくれ』

 

「了解です・・・・・アーキテクトさん、終わりましたよ」

 

 

これでThunderの射撃訓練は終了である。基本的に一発で的が壊れ、ついでにその周りも破壊してしまうため連続して訓練を行うことができないのだ。そのため近々徹甲ライフル部隊用の射撃場を使えるようにすると決まったらしい。

そんなThunderが銃をホルスターにしまいながら言うと、目をキラキラさせたアーキテクトが鼻息を荒げながら興奮気味に言った。

 

 

「ありがとうThunderちゃん! おかげで新しいアイデアが浮かんだよ!」

 

「え、あ、どうも・・・・」

 

「こうしちゃいられない、早速戻って取りかからないと・・・・よぉし今夜は徹夜だ!!!」

 

 

それだけ言うと、アーキテクトは慌ただしく司令部を出て行った。これは余計なものを見せてしまったのかもしれないと今更ながら後悔するThunderだったが、諦めて片付けに戻った。

 

後日、『低火力機の火力アップ計画』と称しプラウラーやらダイナゲートを改造していくアーキテクトであったが、もちろんゲーガーらに止められた。

 

 

end




そういえば大変今更なんですが、本作に赤色の評価がついておりました。読んでいただけて感想を書いていただけるだけでなく評価までしていただいて・・・・・ぼかぁ幸せものだぁ!


さて、元気をもらったところで各話の解説!

番外38-1
コラボ回の後日談。
折り紙って、一度始めると止まらなくなるよね。しかも解体すればまた折れるという大変エコな遊び道具!

番外38-2
IDW回でちょこっとだけ出てきたWAちゃんを掘り下げる話。
やっぱりポンコツ可愛い。

番外38-3
修羅場不可避。
Sっ気のあるお姉さんか小悪魔系少女・・・・・あなたの好みは?

番外38-4
アーキテクトの創作意欲に火をつけてしまう話。
でも気持ちはわかる。使い所のなさそうなロマン武器ほど使いたくなるし、可能ならそれでクリアしてみる。
ACfAなら社長砲+とっつき、異論は認める。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。