喫茶鉄血   作:いろいろ

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排出率アップの時にどれだけ注ぎ込んでもきてくれなかったANー94ちゃんキタァァアアアアアア!!!!

もう話としては出ちゃってるけど改めて。


第百五十四話:エリート人形の暴走

ANー94、という人形がいる。元正規軍の人形部隊に所属し、とある理由によりグリフィンへとやってきた彼女は今、姉妹機であるAKー12とともにこの喫茶 鉄血に住まわせてもらっている。

彼女への評価は、一言で言えば『優秀』。戦闘特化型というだけあって高い戦闘力を持ち、さらにある程度の電子戦もこなせる。真面目で決して強さをひけらかさない態度に、皆からの信頼も厚い。

 

そんな彼女ではあるが、唯一にして最大の欠点が存在する・・・・・AK-12のことが好きすぎるあまり時々、いや結構な頻度で暴走するのだ。

 

 

「〜〜〜♪」

 

「・・・・・・・・」

 

「うぅ・・・・」

 

 

喫茶 鉄血の三階、従業員用の共用スペースに設置された炬燵に居座り、この上なく満足そうにくつろぐAKー12、そんな彼女の癒しアイテムとして今日も抱きつかれるフォートレス、そしてそんなフォートレスをまるで親の仇のように睨むANー94。

ANー94が来た当初からフォートレスはこんな感じなのだが、当初はANー94もそれほど気にしてはいなかった。AK-12が求めた癒しがそれであるという認識だったからだ。ところが、これをほぼ毎日見ているうちにANー94の心の内に黒いものが浮かび上がるようになる。

 

 

(・・・・・・・・ずるい)

 

 

AK-12と二人っきりではないというのはまだいい。むしろ相部屋にしてくれた代理人の好意には感謝しても仕切れないくらいだ。だが理想を言えば、四六時中べったりしていたい。二十四時間三百六十五日ずっとAK-12のそばにいたいのだ。

それを我慢しているというのに、この人形(フォートレス)は何もせずとも求められる・・・・・納得がいかない。

 

 

「んん〜、フワフワモチモチ〜♪」

 

「も、もういいんじゃないですかぁ?」

 

「え〜〜〜もうちょっと〜〜〜」

 

「ふぇ〜〜〜〜・・・・」

 

 

何が「ふぇ〜」だ、あざといアピールか!?

などと言いたくなるのをグッと堪えてANー94はじっと見守る。もっとも、その目は口ほどにものを言っているのだが。

 

 

「皆さん、そろそろご飯ですよ」

 

「了解です」

 

「は、はい・・・・AK-12さん、そろそろ・・・」

 

「むぅ、仕方ないわね」

 

 

渋々といった感じで解放するAK-12・・・かと思いきや、まるでぬいぐるみのように抱き上げるとそのまま歩き始めた。これには流石のANー94も黙っていられない。

 

 

「え、AK-12!?」

 

「お、降ろしてくださいぃ〜!」

 

「大丈夫大丈夫、下に降りたらちゃんと降ろしてあげるわよ」

 

 

それまで絶対に離さない、という意思表示のようだ。このままではまずい、非常にまずい。何がまずいかというと・・・・・

 

 

(こ、このままAK-12がフォートレスとくっつきすぎると・・・)

 

ーーーーー以下、ANー94の妄想ーーーーー

 

『あぁ〜フォートレスちゃん可愛い〜!』

 

『AK-12、そろそろ任務ですよ』

 

『・・・・・・・・』

 

『・・・・・AK-12?』

 

チッ・・・今いくわ』

 

ーーーーー妄想終了ーーーーー

 

(い、嫌だぁああああああああ!!!!)

 

 

思わず頭を抱えるANー94。まだ邪険に扱われるとかならともかく、『フォートレスがいるからANー94(あなた)はいらない』とか言われたら立ち直れる気がしない。

これはもはやAK-12の癒し云々ではない、ANー94の死活問題である。

 

 

(なんとか・・・・なんとかしないと・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・ANー94さんが・・・・」

 

「大丈夫よ。 多分、私に捨てられるとか誤解してるんでしょ」

 

「は、はぁ・・・・」

 

 

そんな感じで楽観するAK-12だった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

翌日、特に任務もなく非番のAK-12が昼過ぎに目を覚ますと、枕もとに身に覚えのない大きな包みが置いてあった。寝ぼけた目を擦りながらゴソゴソと包みを剥がすと、出てきたのは一抱えもある大きな熊のぬいぐるみ。

誰が置いていったものかわからないが、とりあえず抱いてみる。ふわふわな触り心地にちょうどいい感じの反発力、ついでに何かいい匂いがする。

チラッと時計を見たAK-12は、今日が非番なのをいいことにそのままベッドに転がり、やがて静かに寝息をたて始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

 

「そういえばマヌスクリプト、私の部屋に置いてあったぬいぐるみってあなた?」

 

「え? 知らないよ?」

 

「そう・・・・まぁいいわ」

 

 

日が暮れる頃になってようやく起きてきたAK-12は代理人から見事に説教をくらい、休みの日でも不健康な生活は避けるようにと言われてしまった。そんな彼女は今日も炬燵に足を突っ込み、フォートレスを抱えてくつろいでいる。

そんなAK-12を、ぬいぐるみを置いた張本人であるANー94は悔しそうに眺めている。

 

 

「ぐぬぬぬ・・・・・」

 

「どうしたんですかANー94、そんな怖い顔をして」

 

 

代理人が心配するも、ANー94の耳には届かない。

作戦の失敗を悟ったANー94は、新たな手を打つことに決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・え? フォートレスのボディを?」

 

「はい、標準的な体型のものにできないでしょうか?」

 

 

さらに翌日、ANー94は休暇をとって鉄血工造へとやってきた。アポも取っていなかったが、アーキテクトに依頼があるというと通してくれた。そして話したのが、フォートレスのボディの変更である。

 

 

「できるできないで言うならできるけど・・・・なんで?」

 

「彼女も店員として表に出る機会が増えましたが、やはりあのボディは動きづらそうに見えますので」

 

 

フォートレスの身を案じ手の提案、に聞こえるがその本音は全く別。AK-12が虜になっているのはあのモチフワボディのせいだと感じたANー94は、ではモチフワボディでなければいいのだと考えたのだ。

AK-12を引き離せる上に代理人らにも納得してもらえる言い訳である。

 

 

「う〜ん、それはそうだけどねぇ・・・・」

 

 

とはいえ、彼女の開発者であるアーキテクトは納得していないようだ。といってもこれは想定内のこと。ここでANー94は断られない一手を打った。

 

 

「これ、私のカタログスペック表です。 ()()()()()()()()()()()()スキンを作っていただいて構いません」

 

「OK、乗った」

 

 

研究職の者に、「何を作ってもいい」と言う。これに乗らないアーキテクトではなく、ノリノリでフォートレスのボディを作ることを約束する。ちなみに『マヌスクリプトと』と言ったのは、こうすればより確実に受けてもらえると考えたからだ。

これで少なくともAK-12はマヌスクリプトから離れてくれる、そう信じて疑わないANー94だった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

さらに数日後。

 

 

「ど、どうでしょうか・・・?」

 

「わぁ・・・」

 

「前よりはバランスが良くなりましたね」

 

『・・・・・・・・』

 

 

突然鉄血工造に呼ばれたフォートレスが帰ってくると、店員一同も客も皆目を疑った。

まず目を引くのはその身長。もとのフォートレスよりも大きく伸び、以前が小◯校高学年くらいなら、今はJKだ。元々デカかった胸は変化なしだが、身長に対しての違和感が減った分、シンプルにデカイ。

 

 

「しかし意外ですね、あのアーキテクトがボディを新造するなんて」

 

「それがその・・・ANー94さんがそうして欲しいと頼んでくれたみたいで」

 

「へぇ、ANー94ちゃんが?」

 

 

すると今度は客の視線が一気にANー94に集まる。その目が語っていることは様々だが、大きく分ければ『よくやった』と『なんてことを』の二つである。

 

 

「いえ、その・・・・・」

 

「あ、ありがとうございます! こ、これで少しまともになれたかもしれません!」

 

「そ、そう・・・・・」

 

 

フォートレスからお礼を言われると、完全に個人的な理由と打算でこうしてもらったANー94はなんとも言えない罪悪感に苛まれる。

とはいえ、これでAK-12が彼女に抱きつくことはないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていたのだが・・・。

 

 

「あぁ〜〜〜〜これダメになる〜〜〜」

 

「いや、元からダメだろ」

 

「いいなぁ〜、後で変わってよねAK-12」

 

 

その晩、本日も炬燵に足を伸ばしたAK-12がフォートレスに抱きつくことはなかった。なかったのだが、その代わり別の手段で癒しを得てしまった・・・・・膝枕である。

ペタンと女の子座りの膝・・・というより太ももに頭を乗せたAK-12は、それはそれはだらしのない表情でくつろいでいる。

 

 

「ふへへ・・・・」

 

「あの、枕持ってきましょうか?」

 

「このままでいいよぉ〜〜〜」

 

(こ、こんなはずでは・・・・・)

 

 

一向に離れようとしないAK-12に、ANー94は内心頭を抱える。これはもうフォートレスのボディとかそういうものではなく、フォートレス自身からなんらかの癒し物質が出ているとしか考えられなかった。

もはや打つ手なし、そう落ち込むANー94に、AK-12はちょいちょいと手招きする。

 

 

「ANー94もきてみなさいよ〜、すごいわよこれ〜」

 

「AK-12、口調まで変わっていますが・・・」

 

「きたらわかるってぇ〜」

 

 

語尾ものんびりとしたものになり、心なしか顔全体がモチっとした感じに見えなくもないくらいダラけたAK-12。

いくらなんでも言い過ぎだ、そう呆れながらもANー94は誘われるがままに座り、フォートレスに倒れ込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ん・・・ふぁ〜・・・」

 

「あら、おはようANー94」

 

「おはようございます、AK-12・・・・・え?」

 

「代理人がそろそろご飯だって言ってたわよ」

 

 

覗きこんでそう言うAK-12に、ANー94は慌てて飛び起き時計を見る。気がつけば短針が一時間ちょっと進んでおり、周りにいたマヌスクリプトやゲッコーもいなくなっている。なにより、フォートレスの膝に頭を乗せて以降の記憶がない。

 

 

「ふふふ、お堅いANー94でもフォートレスちゃんの癒しには勝てなかったようね」

 

「そ、そんなはずは・・・・」

 

「あの・・・そろそろいいですか・・・・?」

 

「え? あ、ごめんなさい!」

 

 

おそらくずっとその位置から動いていないのだろう、フォートレスが困ったようにそう言ってきたので飛び退く。ようやく解放されたフォートレスは、また誰かに捕まらないうちにササっと下へ降りていった。

 

 

「・・・・・で、どうだった?」

 

「ふぇ!? えっと、その・・・・」

 

 

気持ちよかったです。

そう言って項垂れたANー94は、フォートレスの癒しパワーに負けを認めたのだった。

 

 

end




アーキテクト「やぁやぁANー94、スキンができたからそろそろ来てね!」
ANー94「あっ・・・・・・」

彼女が着ることになるスキンを応募しよう!
詳細は一番最後に!


では今回のキャラ紹介!

ANー94
AK-12がらみに限り超絶ポンコツと化すエリート(笑)
AK-12からフォートレスを離す事しか考えなかった結果、悪魔(A氏とM氏)に魂を売ってしまった。
癒しには勝てなかったよ・・・・・

AK-12
堕ちるところまで堕ちたエリート(笑)
外ではバリバリのOLさんみたく、オフは魂が抜けるまでダラけきる。抱きつけるものというよりもフォートレスという可愛い生き物に魅了されている。

フォートレス
はっきりNOとは言えない娘(ココ重要)
もともとは外骨格型の装備を使用する前提のボディなので、普段生活する分にはこのボディである必要がない・・・というか背がちっこくてレジも一苦労。
今回用意したボディは戦闘能力など一切ない。ロリ巨乳からオドオド巨乳JKへと進化した・・・・ハイエース不可避。

代理人
どうにかしてAK-12の生活習慣を改善させたい。
「直さなければ追い出す」と言えば済むのはわかっているが、流石に可哀想なのでギリギリまで待っている。

アーキテクト
「巨乳は外せない、絶対にだ」


さて、後書きの最初に述べたようにANー94に着せたいスキンを募集します。ただ、募集する活動報告は喫茶 鉄血全体のやつですので、見分けがつきやすいよう以下の条件を確認していただいてからコメントしてください。
・「ANー94の件」や「第百五十四話の件」など一言
・背丈の変更はなし
・番外編で発表

皆様のご応募、お待ちしております!
byいろいろ・アーキテクト・マヌスクリプト

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=204672&uid=92543

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