鉄血メインキタァァアアアアア!!!!!!
代理人可愛いヤッタアアアアアアア!!!!
HK416とUMP9は恋仲である。隙あらばイチャつく二人はこの街のいわば名物カップルのようなもので、見かけると思わずほっこりしてしまうことで有名である。彼女たちが特に訪れている喫茶 鉄血では、その光景が頻繁に見られるのだ。
そして今日も、二人は一つのパフェを互いに食べさせ合うという甘ったるいことをしていた。
「はい、あーん」
「あむっ・・・・ん〜〜、美味しい!」
付き合い始めた当初は公衆の面前でこんなことをする度胸すらなかったというのに、いつの間にか周りの視線など一切気にしなくなった二人は、客のブラックコーヒーですら激甘ドリンクに変えてしまうほどの糖分テロになってしまったのだった。
ちなみにこの二人がパフェを頼むときは、特に何も言わずともスプーンが二つついてくる。代理人含め喫茶 鉄血の従業員にとってはもう慣れたことなのだ。というか、慣れなければやってられない。
「えへへ〜、416もう一口〜」
「はいはい・・・って9、ほっぺにクリームついてるわよ、ちょっとこっちに寄って」
「え? うん、わかっt(ペロッ)っ!?!?!?」
「ふふふ、ご馳走さま♪」
「もうっ、416!」
甘い、甘すぎる。慣れている代理人たちでも見ていて恥ずかしくなるようなことを平然と行う416に、客たちからは尊敬の眼差しが送られる。
ご存知の通り普段は9が元気よく突っ走り416がそれを冷静に止めるのだが、これがプライベートでいちゃつき始めると一転し事あるごとに416が攻めるのだ。それに翻弄される9とセットで、この甘々空間は加速される。
「お二人とも、とやかくは言いませんが程々にですよ」
「あら、ごめんなさいね代理人」
「そ、そうだよ416! 私だって恥ずかしいんだから・・・・」
「ふふっ、そうね。 じゃあ続きは宿舎に戻ってから、ね?」
「〜〜〜〜〜///」
まるっきり反省している気配のない416に、代理人は呆れたようにため息をつく。流石に店の中でおっ始めようとするなら出禁にしてでも止めるつもりだが、生憎とそれ以外の場所では干渉しようがない。というかここ最近、416の方の我慢のハードルが著しく下がっているように見えるのだ。
・・・・・まぁ、いつぞやには路地裏で9を襲ったらしいし今更だが。
そんな416の背後、店の扉が静かに開き一人の少女が入ってくる。白を基調としたコートに凛とした瞳、背筋はピンと伸ばされ小柄ながら厳かな雰囲気の彼女は、まるで騎士を思わせる。
右腰のホルスターから覗く拳銃と右腕の杖という独特な出で立ちから、どうやら戦術人形のようだ。
「ほぉ・・・・・・・」
店内をぐるりと見渡し、最後に416の後ろ姿を捉えると小さく呟く。すると彼女は未だ気付いていない416の元へと静かに歩き始めた。
店の床から靴音と杖の音を鳴らし、相変わらずニンマリと笑ったままの416の背後に立つ。ここでようやく9がただならぬ雰囲気に表情が固まり、それに気付いた416が振り向く。
「? あら、なにかようかし・・・・ら・・・・・」
「久しいな、HK416・・・・随分と楽しそうではないか」
瞬間、416の表情が凍りついた。そのままサーっと音が聞こえそうなほど血の気がひいていき・・・・・慌てて立ち上がるとビシッと敬礼した。
「お、お久しぶりです教官!」
「うむ、楽にしていいぞ」
表情を一切変える事なく、教官と呼ばれた少女・・・・戦術人形『ジェリコ』はそう言った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さて、初めましてだな。 私はジェリコ、よろしく頼む」
「よ、よろしくお願いします!」
ガッチガチに固まった416の隣で、9も同じく固まる。非番とはいえ416の上司に会うのだから、当然といえば当然である。代理人が少しでも場を和ませるために持ってきたケーキにも、全く手をつけていない。
416が『教官』と言うように、彼女は416の元上司であり416は彼女の教え子の一人だ。404に配属(当時表向きは別部隊への配属、のちに消息不明とされていた)する前の部隊を率いていたのがこのジェリコであり、416にとっては恩師であり尊敬すべき先輩である。
「そう緊張しなくてもいいぞ、UMP9」
「え? なんで私の名前を?」
「教え子が所属する部隊のメンバーくらい、把握していて当然だ」
さらっと言うが、彼女は416が配属された当初から・・・つまり、まだ表向き『存在していない部隊』だった頃から知っているのだ。どうやって調べたのかは本人のみぞ知る。
コーヒーを一口飲み、ふぅっと息を吐く。それに合わせて416と9もぎこちない手つきでカップを取り、コーヒーを飲む。
「・・・・で、二人は付き合っているんだったな」
「「ブッフゥーーーー!!!!」」
思わずむせる二人。幸いカップの中で吹き出したため周りに飛び散ることはなかったが、鼻と気管に入ったコーヒーにゲホゲホと咳き込む。
「きょ、教官、なぜそのような・・・・」
「ん? いや、外から見てもわかるくらい仲睦まじかったからてっきり・・・・違うのか?」
「いえ、その通りですが・・・・」
416が言いたいのはそこではなく、堅物なイメージのジェリコがそんなことを言ってくるとは思っていなかったからだ。かつて同じ部隊だった頃ならば「色恋沙汰にうつつを抜かすなど」云々を言われたはずだ。
「十二分に人生を謳歌しているようで結構だ。 私も少し安心したよ」
「・・・・・・え?」
今度こそ、416は目を見開いてぽかんとする。あの鬼教官が、規律と厳格な行動を重んじるあのジェリコがそんなことを言うとは思ってもみなかったのだ。隣の9は未だに落ち着かない様子で416とジェリコを見ている。
「私がお前の指導を任されていた当時、人形に対する風当たりがまだ厳しかった。 不信感を抱かせれば最悪待つのは解体だった。 故に優秀な兵士であるように、模範的な人形であるようにと教えてきた」
「きょ、教官?」
「しかし、今はむしろ逆だ。 いかに人間社会になじむことができるか、いかに人間たちとコミュニケーションを取れるかだ。 そういう意味では、私の指導は全て裏目に出てしまった」
ジェリコはカップを置き、まっすぐ416を見つめる。その表情は教官だった頃には見られなかった、優しいものだった。
「だから、お前があんな風に笑っているのを見て、嬉しかったのさ」
「教官・・・・・」
人形たちは人間と違い、所謂『親』という存在はいない。無論、設計開発や製造担当がそれにあたるといえばそうだが、特にそういう目で見るということはない。AR小隊は例外的にペルシカが面倒を見ている関係で親という認識もあるが。
そんな彼女たちにとっての『親』・・・・・言うなれば『尊敬し敬愛すべき相手』というのは、配属されるまでの教導を務めてくれる先輩人形たちである。
HK416にとってそういう存在であるジェリコからの言葉は、416は思わず涙を流す。
「それと、UMP9」
「は、はい!」
「・・・・・これからも、彼女のことを頼む。 私の大切な教え子の一人だからな」
「・・・・・・・はい!」
元気よく返事を返す9に、ジェリコは満足げに微笑む。それからコーヒーに口をつけると、再び口を開いた。
「よければ、君たちのことを話してくれないか? この地区のことや、404小隊のこと。 そして、君から見た416のことも」
「もちろん! じゃあまずは・・・・」
すっかり打ち解けたように明るく話し始める9。時々416の補足が入り、二人がよく利用する店ということで代理人も話に入る。
騒がしくも平和な彼女たちの話に、ジェリコも嬉しそうに耳を傾けるのだった。
「・・・・で、でも、せめて仕事中はやめてほしいかな・・・恥ずかしいし」
「なっ!? も、もとはといえばそっちから来たんでしょ!」
「ふふっ、巡回中にこっそり・・・・というのは結構目撃されていますからね」
「・・・・・・・ほぉ、つまり職務を全うせずに公私混同、と?」
「「ギクゥ⁉︎」」
「二人とも、詳しく話してもらおう・・・・・・いいな?」
「「は、はい・・・・・」」
end
公式で416やネゲヴの教官だという話を聞いて思わず書いてしまった、後悔はしていない。
それはそうとログイン絵の奥でクルーガー社長がエプロン来てますよね?何気にログイン絵によく出るあたり運営もお気に入りだな
では、今回のキャラ紹介!
ジェリコ
自分に厳しく、他人にも厳しく・・・という仕事人間、もとい人形。とはいえ何でもかんでもお堅いというわけではなく、公私を分ければ割と融通が効く。
杖をついてはいるが戦闘その他には一切支障はない。
説教がかなり長い。
416
ジェリコの元部下というのは公式設定らしい。この状況を例えるなら、かつてガリ勉だったけど大学のサークルで弾けて、その姿を当時を知る親の知人に見られた感じ(謎)
このあと滅茶苦茶説教された
9
気分は彼女の父親に挨拶する感じ。
もちろんこのあと滅茶苦茶ry
代理人
爆薬庫に火のついたライターを投げ入れてしまった。
これが偶々なのかわざとなのかは、彼女のみぞ知る。