喫茶鉄血   作:いろいろ

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鉄血大集合のログイン絵とか最高かよこれだけでコロナにだって勝てるぜヒャッハーーーーーーーーー!!!!!!
(後書きに続く)


第百六十一話:ハイエンドたちの休日

「これとこれと・・・これは前に着せたやつで・・・」

 

 

ゴソゴソとクローゼットに頭を突っ込み、ブツブツとぼやきながら服をかき分けるマヌスクリプト。喫茶 鉄血が三階建てに改装されてからしばらく経つが、今でも彼女の部屋だけは頻繁にレイアウトが変わるのだ。その理由は色々あるが、最も多いこととすれば・・・・・

 

 

「う〜ん・・・まだ着てもらってないのがこんなにあるとはね」

 

 

彼女の趣味、そして喫茶 鉄血の収益にも貢献する実益を兼ねたコスプレ製作だ。

 

 

 

さて、マヌスクリプトが自室のクローゼットを自発的に整理し始めることなど万に一つもあらず、もちろん代理人からのお達しからだ。

 

 

「マヌスクリプト、あなた最近自分の部屋に収まり切らなくなった服をフォートレスの部屋に置いているそうですね、今すぐ片付けなさい」

 

 

そんな家主・・・いやお母さん的な人から言われてしまえば渋々でもやるしかない。とはいえせっかく作ったものを捨てるなどという選択肢はなく、既に着てもらったことのある服を一点ものとして販売することにしている。

が、世の中滅多に掃除しない人が掃除を始めればどうなるか、それはあえて言わずとも分かりきったことである。

 

 

「・・・・・ん? おぉ、こんなとこにあったんだ! 見つかんないからもう捨てちゃったと思ってたよ」

 

 

完全密封、虫食い対策の施された特別仕様クローゼットの中は、一言で言えば魔境。服に埋もれる形でずいぶん前に作った作品たちが続々と出てくる。それはまだマヌスクリプトの服飾技術が手探りだった頃の試作品で、未完成ながらも努力の結果が見て取れる。

 

 

「そうそう、この頃は手縫いだったんだよね〜・・・・いやぁ私も成長したな」

 

 

そんな思い出に浸りはじめ、また次の服を見つけては思い出に浸る。そうなると当初の目的などすっかり忘れ、気がつけば床には服と新たな図面が散らばることとなった。

 

 

「そういえば明日の出勤は・・・・あ、休みじゃんってフォートレスちゃんもじゃない! ちょうどいいわ!」

 

 

その日、結局片付けはほとんど進まずに終わった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜・・・・・ふみゅ〜」

 

 

麗かな日差しが差し込む窓辺で、今日一日非番のフォートレスはのんびり窓の外を眺めていた。気温は決して高くはないが、ポカポカとした日差しと涼しい風が眠気を誘う。

ANー94の好意(だと思っている)で得られたボディにもようやく馴染み、自分の働きぶりに自信を持てるようになった彼女は充実した日々を送っており、順風満帆といえよう。要するにいつになくご機嫌だったのだ。

 

今日一日くらいはのんびりグータラに過ごしてもいいかな、などとぼんやり考える彼女の後ろで、壊れるほどの勢いで開いたドアがその平穏の終わりを告げた。

 

 

「フォートレスちゃん!」

 

「ひぃ!?」

 

 

災厄の権化、トラブルメーカー筆頭、そしてフォートレスに対するセクハラ常習犯のマヌスクリプトがそこにいた。今日はAK-12も一日仕事でおらず平和な一日であったはずなのだが・・・・・マヌスクリプトと非番が重なったのが運の尽きだろう。

さらに、そんな彼女の後ろにはこれでもかと衣装を満載したハンガーラックがスタンばっている。その数と若干血走った目、そしてうっすらとできた隈を見れば、徹夜で作り上げたものであることがわかる。

 

 

「な、なんのようですか?」

 

 

一応、ほんとに一応だが聞いてみる。もしかしたら普通の用事かもしれないし、もしかしたら後ろの衣装は関係ないのかもしれない・・・・そんな淡い希望を抱いて。

 

 

「フォートレスちゃん、そのボディになってから今までの服って合わないじゃない? だから特別に、私が作ってきたわよ!」

 

「ふぇぇえええ〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

呆気なく砕け散る希望的観測。実際マヌスクリプトの言う通り服のサイズは合っておらず、代理人らから譲ってもらった服を置いているだけでしかない。一応前のサイズを着ることもできるのだが、サイズの変わらない胸部はともかく、ほぼ確実にヘソ出しスタイルとなる。

これが他の人形なら、百歩譲ってゲッコーであってもまだ信用できるが、マヌスクリプトであれば話は別だ。

 

 

「じゃ、早速着てみようか!」

 

「ま、待ってください! 絶対ダメなやつもあるじゃないですかぁ!」

 

「まぁまぁ細かい事は言わずに」

 

「細かくないです!」

 

 

マヌスクリプトの持ってきた衣装は、一言で言えばカオスだった。ぱっと見まともな服が一着しかなく、他は全て際どいか露出が多いかそもそも面積が少ないかのどれかである。もっとも、唯一まともだと思っている服も所謂『童◯を殺す服』というやつではあるが。

 

 

「ぜ、絶対! 絶対無理ですぅ〜〜〜〜〜!!!!」

 

「へ? あ、ちょっと!?」

 

 

自分でも着た姿を想像してしまったのか、顔を真っ赤にしたフォートレスはついに逃げ出した。と言っても正面突破ではなく、なんと開いた窓から隣の家の屋根に飛び降りた。ボディが大きくなったことで結果的に体のバランスが取れ、機動力が増したらしい。

呆然とするマヌスクリプトを置いて、フォートレスは一目散に街に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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(あ〜くそ、なんでお前もいるんだよ)

 

(あらあら、そんなにアルケミストと二人っきりが良かったのドリーマー?)

 

(あ? 喧嘩売ってんのかテメー)

 

「こら二人とも、いつまで睨み合ってるつもりだ」

 

 

ところ変わってS09地区のメインストリート。賑わいを見せる人通りの中を、まるでそこだけ浮かび上がるように映える銀髪と黒髪の女性たちが通っていく。久方ぶりにこの街へとやってきたアルケミストとドリーマー、そして道中でばったり出くわして勝手についてきたイントゥルーダーだ。

見ての通り、ドリーマーはイントゥルーダーが苦手である。搦手や煽りが専売特許のドリーマーからすれば似たような手合いの彼女とは相性が悪く、しかも短気な分舌戦では苦戦を強いられる。イントゥルーダーもそれをわかっていて弄るあたり、同族のことをよくわかっているようだ。

 

 

「まったく・・・・・ん? あれは・・・」

 

「へ?」

 

「あら」

 

 

三人がピタリと足を止める。その視線の先には少しこじんまりとした服屋と、そのガラスの前で中を覗き込む女性の姿。三人とも見覚えはないのだが、その顔つきと主張の強すぎる凹凸のボディは見間違うはずもない。

 

 

「もしかして・・・・・フォートレスか?」

 

「え? ひゃあ!?」

 

「あ、この反応は間違いないわね」

 

「うふふ、相変わらず小動物みたいね」

 

 

突然声をかけられたことで文字通り飛び跳ねるフォートレス。同時に思いっきり揺れるそれに黒髪二人の目が釘付けになるが、アルケミストは気にせず続けた。

 

 

「見ない間に随分大きくなったな。 ボディを変えたのか?」

 

「は、はい・・・・あの、皆さんはなぜここに?」

 

「ん? いや、少し暇ができたから顔を出しにな。 そういうお前は?」

 

「えっと・・・・・あっ」

 

 

モジモジと言い澱んでいたフォートレスだが、何かを見つけるとササっとアルケミストたちの影に隠れる。何事かと見てみると、その先にはこれまた見覚えのある顔がうろついていた。

 

 

「ん〜、どこ行っちゃったんだろうフォートレス・・・・」

 

 

 

 

 

「あれは・・・・マヌスクリプトね?」

 

「あー、なんとなく察したわ」

 

「懲りないなあいつも・・・・まぁいい、ならこっちに来い」

 

「え? わぁ!」

 

 

見つけた途端に事情を察した三人は、フォートレスの手を引いて店の中に入る。様々な服が並ぶここなら姿を隠すのにはうってつけで、そうそう見つかることもないはずだ。

 

 

「・・・・・撒けたか?」

 

「そうね・・・・・ほら、もう大丈夫よ」

 

「うぅ、ありがとうございます・・・」

 

 

なんとか窮地(?)を脱したフォートレス。しかしまだ外にマヌスクリプトがいる以上は容易に出歩けない。逃げ出したのは彼女の方であるが、おとなしく捕まっていればきっとまた恥ずかしい写真を取られていたのだから仕方がないのだ。

そしておおよその事情を察しているアルケミストたちも、フォートレスをどうにか助けたいとも思っている。マヌスクリプトに制裁を加えればそれで済む話でもあるが、久々に来て早々面倒な事はしたくない。

 

 

「・・・・そうだフォートレス、お前さっき何を見ていたんだ?」

 

「え? えっと、その・・・・・」

 

 

急にそう言われたフォートレスは、やがて店のショーケースの方に目を向ける。それを見た三人はあぁっと納得すると同時に、三人とも同じアイデアを思い浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜・・・目立つからすぐ見つかると思ったんだけどなぁ。 仕方ない、おとなしく帰りを待と」

 

 

昼を過ぎ、行き交う人々も増えてきた頃、マヌスクリプトはフォートレス捜索を打ち切り店へと戻っていった。その途中、なんとも綺麗な女性四人組とすれ違うが、特に気にすることもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・な? 気付かれなかったろ?」

 

「は、はい」

 

「ふふっ、カモフラージュは完璧ね」

 

 

その四人組・・・・服屋で着替えたアルケミストたちは上手くいったと喜ぶ。特にフォートレスは本当にホッとしたようで、その大きすぎる胸に手を当てて息を吐く・・・・・その後ろでドリーマーが自身の胸に手を当てて項垂れていたが。

 

 

「あらドリーマー、無いのもねだり?」

 

「ぶち殺すわよ痴女」

 

「あら怖い、あんまりかっかしてると脂肪が燃えて余計に減っちゃうわよ・・・・どことは言わないけど」

 

「ムキーッ!!!」

 

「あ、あの、お二人が・・・・」

 

「よくある事だ、放っておいていい・・・・それより、似合ってるぞそれ」

 

 

ハイエンド二人が取っ組み合いを始めるも、我関せずにその場を去るアルケミストは隣を歩くフォートレスにそう言った。

フォートレスが着ているものはショーケースにあったものと同じワンピース、その上にカーディガンを羽織り、髪を括ってイメチェンしている。見慣れた髪型と服では無いのでマヌスクリプトも見落としたのだ。

 

 

「で、でもいいんですか・・・・高かったのに」

 

「構わないさ、お前は私たちにとって妹みたいなものだ。 まぁちょっとしたプレゼントだよ」

 

 

ちなみにショーケースで宣伝するだけあって中々いいお値段だったが、ホテルの一室を年間で借りられるくらい稼ぐアルケミストからすれば端金だ。フォートレスも性格上申し訳ないと感じてはいるが、その表情は割とご満悦のようだ。

 

 

「・・・・それに、マヌスクリプトだって別に悪意ばっかりじゃ無いさ。 アイツだって『お姉ちゃん』なんだからな」

 

「で、でも・・・・・」

 

「私はこのまま店に顔を出すから、ついでに送ってやろう・・・・と、その前に迎えがきたかな」

 

 

え?と聞き返すフォートレスが顔を正面に向けると、どこか安心したような表情のマヌスクリプトが走ってくる。隣にいるアルケミストを見て一瞬で表情を変えてしまったけど。

 

 

「げぇ!? アルケミスト!」

 

「相変わらず元気そうじゃないかマヌスクリプト・・・・・()()()()()()()?」

 

「ナ、ナンノコトカナー?」

 

「天珠!」

 

「ぎゃぁああああああ!!!!」

 

 

強烈な一撃をくらい地に伏せるマヌスクリプト。だがすぐに起き上がると、今度はフォートレスの方にやってきて抱きしめた。

 

 

「もー心配したんだよフォートレス、どこ行ってたのよ」

 

「え、えぇ?」

 

「接客もままならないし財布も携帯も持たずに飛び出しちゃて・・・・何かあったらって心配したんだよ」

 

 

思ってもみなかった言葉に固まるフォートレス。その後ろでアルケミストがクスクスと笑うのが聞こえる。

 

 

「あ・・・ご、ごめんなさい」

 

「ん、無事でいてくれたからいいよ。 じゃ、戻ろっか」

 

「・・・・はい!」

 

 

マヌスクリプトが手を差し出し、フォートレスがその手を取る。その姿は仲睦まじい姉妹のようで、微笑ましいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・で、今度は何をしでかしたんだマヌスクリプト?」

 

「え゛っ!?」

 

「・・・・・・///」

 

「・・・・・懲りないなぁお前も」チャキッ

 

「お、お助け〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 

 

end




ハイエンドたちが通う学校だと!?こうしちゃいられないすぐにでも入学手続きをしなければそして席は代理人の隣になって昼休みにお弁当一緒に食べて放課後は校門で待ち合わせて一緒に帰ってヒャッホォオオウウウウウウウウウ!!!!!!






・・・・・はい、お見苦しいところをお見せしました。ちょっとばかしちょっとばかし理性を失いかけましたねこれもきっとアークナイツのせい(オイ)

では今回のキャラ紹介


フォートレス
いつもの被害担当。他のハイエンドに比べて彼女自身の性能は劣るが、あくまで『他のハイエンドに比べて』である。
守ってあげたくなる気持ちと襲いたくなる気持ちを誘発する。

マヌスクリプト
基本的にやらかすことしかしない。
その無駄に器用な手先と人形由来の正確で高速な作業、そして高度なAIによる寸法計算によって一晩あれば数着は作れる。

アルケミスト
ふらっと現れるハイエンドその1。
鉄血のプライバシー保護担当のようなもので、とりわけいかがわしいネタにはかなり厳しい。面倒見の良い姉的ポジションであり、母性すら感じる。

ドリーマー
ふらっとハイエンドその2。
サディストで愉悦、人の神経を逆撫ですることを得意とするが自信がやられるとすぐキレる。そのためイントゥルーダーとの舌戦は基本的に負ける。
非常にスレンダーな体型(オブラート)

イントゥルーダー
ふらっとハイエンドその3。
鉄血の正装もそうだが普段着も結構扇情的なものが多く、いわば鉄血のDSR。ドリーマーをいじるのが楽しくて仕方がない。
こんな格好をしているが『痴女』と呼ばれるのをかなり嫌う。







・・・・・代理人ラブな私ですがハンターの道着姿に心奪われました・・・あぁもう全員可愛いよっ!!!

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