・・・初登場がこんなんでいいんだろうか?
「紅茶なんてこの世から無くなってしまえばいいんですっ!」
「それをいうならコーヒーこそ! あんな苦いだけの飲み物の何がいいんですか!」
「お、おい二人ともそのくらいに・・・」
「「指揮官は黙っててくださいっ!」」
「・・・なぜその喧嘩をうちでやるんですか?」
開店早々の喫茶 鉄血。
モーニングメニューの香りが漂う店内で、そんな優雅な朝をぶち壊しているのは珍しく激怒するスプリングフィールドと同じく怒りをあらわにするウェルロッドMkⅡ、そんな二人に挟まれてなだめようとするもあえなく沈む指揮官である。
「コーヒーは苦いだけではありません! 渋みやほのかな甘み、そしてあの芳醇な香りがあります! たとえ苦くとも砂糖やミルクを加えれば子供でも飲めるんです!」
「はっ! ただ豆を焦がしただけでしょう! なにより紅茶には我が祖国と同じく長い歴史があり、古くから愛されている飲み物なんです!」
「ただの豆というなら、そっちこそただの葉っぱじゃないですか!」
「うるさいですね! それに昔の偉い人が言ったんです! 『コーヒーは下品な泥水』と!」
「泥水!? 泥水と言いましたね!? ただの葉っぱの出汁のくせに!」
「ちょっとそれ私の国のお茶にも言えるんですか!?」
「どっから出てきた一〇〇式!?」
ご存知の通りスプリングフィールドは司令部内でカフェを経営している。司令部内とは言っているが一般用の入り口もあり、基本的に誰でも利用できる。彼女はこんなことを言っているが別に彼女のカフェに紅茶や日本茶がないわけではない。
じつは今回の発端にはこの指揮官が関わっている。
ーーーーーーーーーー
「おはようスプリングフィールド、コーヒーを頼む。」
「おはようございます指揮官。 ちょうど淹れ終わったところですよ。」
「ありがとう・・・あぁ、やっぱり君の淹れるコーヒーは美味いな!」
「ふふっ、ありがとうございます。・・・やった!」
「・・・指揮官、私も紅茶を淹れてみたんだ。 飲んでくれ。」
「ん? ウェルロッドか、ありがとう・・・うん、美味い。」
「そうだろう? やはり
「ん?」
「あらあら何を言っているんですか?
「え?」
「・・・どうせ安物の豆でしょう。」
「・・・そちらこそ、そこのスーパーの茶葉なのでは?」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「お、おい二人とも・・・」
「表に出なさいウェルロッド。」
「売られた喧嘩は買いますよ。 指揮官も来てください。」
ーーーーーーーーーー
「・・・痴情のもつれですか?」
「代理人、そんな冗談を言うなら助けてくれ。」
「「指揮官、聴いてますか!?」」
「あ、あぁ勿論だ。」
「自業自得です。」
結局この二人にとってコーヒーや紅茶などただのきっかけに過ぎず、要は指揮官への熱烈なアピールのつもりだと言うわけである。
・・・わかりづらすぎる。
「大変ですね、あの二人も。」
「で、あなたはもういいんですか?」
「はい。 だって本気でお茶のことを悪く言ってるわけではなさそうですし。」
まぁ実際スプリングフィールドの母国はコーヒーも紅茶もよく飲むし、ウェルロッドの方も決してコーヒー撲滅主義というわけでもない。
ついでに一〇〇式は彼女らがなぜムキになっているのか知っていながら混ざった愉快犯である。
「・・・この際だから色々聴いておきましょうか指揮官?」
「な、なんだ?」
「去年の末の頃ですか、モシン・ナガンと二人で部屋にいたそうですが・・・あれはどういうことですか?」
「最近ではKarともよく居ますよね。・・・説明、してもらえまうか?」
「待て待て! まずモシン・ナガンだが、あれは彼女が何か悩んでそうだったから話を・・・」
「お酒を持ち込んでいましたよね?」
「そ、それはちょうど手元にウォッカがあったかr」
「部屋から出てきたのもずいぶん遅くでしたよね?」
「は、話が盛り上がってな。」
「Karがいろいろ大きくなった時はずいぶんと挙動不審になっていたようですが?」
「自分とこの人形が突然でかくなったら驚くだろう!?」
「鼻の下、伸びてましたよ?」
「抱きつかれたからびっくりしただけだ! 部下に邪な気持ちを持つなど、言語道断だ。 君たちも嫌だろう?」
「・・・嫌じゃないに決まってますよ。」
「・・・このニブチン指揮官。」
「???」
「ふふっ」
もうここまでくると呆れるとかを通り越して微笑ましくなってくる。
とりあえず一応落ち着いたようなので、、助け舟を出すことにする。
「二人とも、あなたに感謝の気持ちを伝えたいだけですよ。 ね?」
「ん? そうなのか?」
「へ!? え、えぇ、まぁ、その・・・」
「部下をねぎらうのは上官の責任ですが、部下の好意を受け取るのも、大事な役目ですよ。」
「こ、好意って! そんなんじゃなくはないけど・・・」
「よくわからんが、要は私のためにと思ってくれていたのか?」
「「(コクコク)」」
すでにキャパシティの限界に達しつつあるような真っ赤な顔で頷く二人。どんだけピュアなんだよ。
一〇〇式の顔に愉悦が浮かんでいる。
「二人とも、指揮官のことが大好きですからね。」
「「ひぇ!?」」
「そうか・・私も二人のことが好きだぞ。(部下として)」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
「あ、スリープモードになっちゃった。」
「え!? 何かおかしなことを言ったか!?」
「・・・二人とも本当に、苦労しますね。」
指揮官にとっては何が何やらよくわからないまま事態は収束、気絶した二人をとりあえず車に運ぶことになるが、いつのまにか一〇〇式が消えていたので指揮官一人で運ぶ。
・・・一人ずつ、
「あれがナチュラルにできるんですからすごいですよね〜(パシャリ)」
「・・・手伝わなくていいんですか?」
「この方が面白いので。(パシャリ)」
「その写真はどうするつもりで?」
「司令部内の広報部に渡します! 面白いものができますよ(ククッ)」
二人を運び終えたところで一〇〇式が全員分の代金を支払い、いいものが見れましたと言って車に向かう。
手を振って見送った代理人はフッと息をつくと、店内に漂う嫉妬の空気をどうにかしようと思案する。
カウンターの中を見渡して目に入ったのは、先日ヴァニラが置いていったネコミミと尻尾付きベルト。
一瞬迷った代理人は、苦笑いを浮かべながらそれを手に取った。
その日の喫茶 鉄血の売り上げは過去最高を記録したという。
end
コーヒー好き、紅茶好きの皆さん、本当に申し訳ございませんでしたあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!(スライディング土下座)
リアル司令部にウェルロッドが来てくれたので出しました!
そしてこの指揮官にイラッ☆ときた皆さん、壁殴り代行のご案内ですよ。(◯◯◯ - □□□□ - △△△△)
ではではキャラ紹介
スプリングフィールド
指揮官ラブ勢。
指揮官の「おはよう」を正面で聞きたいがためにカフェを開いた。でも肝心なところでヘタれる。
指揮官の周りにいろんな人形がいることに危機感を覚える。でもヘタれる。
物理的に独占してしまおうかとも考えるくらいには危ない人形。それでもヘタれる。
ウェルロッド
指揮官ラブ勢。
銃の特性上、裏方(暗殺等)が主目的となるため、表立って活躍できないこと(=指揮官に褒めてもらえる機会が少ないこと)に不満を持っているが、指揮官のためにできることをやり遂げるという健気な子。
バレンタインスキンの対象に選ばれたその日、一日中ニヤケ顔だった。
彼女のいう昔の人とは、1964年のソビエトで蛇のサポートを務めたダンディな英国紳士のことである。
一〇〇式
久しぶりの登場。
司令部を含めこの地域一帯に日本文化を広めている。
とりあえず食いついただけで日本茶がどう思われていても構わないというスタンス。
他人の修羅場で飯がうまい。
指揮官
今更ながら本作のオリキャラ。
なんどもいうが朴念仁であり天然ジゴロ。
キタローや番長もびっくりの鈍感っぷりだが、それに惹かれる人形もいるため、実際にはどれだけの人形が彼のことを好きなのか不明。
遠回しな告白はSMG並みに避け、正面突破も防弾チョッキ装備のSG並みに通らない。そのくせ無自覚に吐く愛の言葉はMG級の連射・RF並みの威力・AR並みの命中率を誇る。
指揮官の「頑張れ」だけで部隊全員に強力なバフがかかる。
爆ぜろ。
以上です!
また次回もお楽しみに!