見た目がドンピシャでもはや運命的なものまで感じましたね・・・・君を引き当てるのに一体どれだけの資源と時間が消えたことやら泣
戦術人形の服装は個性的である。もちろん戦術人形に限ったことではないが、従事する仕事の内容と服装が一致しないという点では民生人形よりも勝る。機能一点張りと言わんばかりの鉄血製(ハイエンド除く)も大概だが、IoP製の場合はもはや制作者の趣味の範疇である。メイド服やミニスカなど当たり前、ひどい時にはほとんど見えてしまっているほど際どい者もいる。
そんなIoP製の人形たちに慣れている街の人間は、やはりどこかずれているのだろう。
「・・・・・ねぇ『KSG』」
「なんだ『ストーム』?」
「薄暗い路地を、フードをかぶった二人組が歩く・・・・・これってどう見られると思う?」
「不審者、だろうな」
そんなくだらない会話をする二人組は、会話の通りフードを被り両手をポケットに突っ込んだまま歩いていた。二人とも暗色、片方に至っては真っ黒であるため、夜に出くわせば逃げ出したくなる格好だ。もっとも、銃を担いで歩くだけで戦術人形と認識でき、それはつまりこの町で彼女らを不審に思うものはいないということである。
そのパッと見不審者・・・・・Am KSGとPx4ストームは、そんな他愛のない会話を続けながら、二人は薄暗い路地を抜ける。
「・・・・うん? この匂いは・・・・・」
「コーヒー、ね・・・・あのお店じゃないかしら?」
路地を進んだ先にある、その立地のわりには広い喫茶店。その香りは目の前の公園を包むようにふわりと広がり、路地裏へと入り込んできた者を誘う。
それが、喫茶 鉄血である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カランカラン
「いらっしゃいませ・・・・二名様ですか?」
「えぇ・・・席はここでいいかしら?」
「構いませんよ。 ではご注文を」
「とりあえずココアと・・・・何か軽食が欲しいな」
「私はコーヒーとこのサンドイッチにするわ。 KSGは?」
「・・・・では、フレンチトーストを」
「かしこまりました」
注文を受け取り、奥へと向かう喫茶 鉄血のマスター、代理人。その姿を目で追い、次いで店内を見渡す。
いかにも喫茶店・・・いや、どちらかというと気軽に入りやすいカフェの方が近いかもしれない。それでいて決して華美なものでもなく、かといって常連ばかりで入りづらい、というわけでもない。静かに過ごす客もいれば、会話に花を咲かせる者たちもいる。ついでに彼女らのような人形もいれば、当然人間だっているのだ。
「まぁもっとも、この街でいまだに差別するような命知らずはいないだろうな」
「そうね、そんなことををした日には客が来なくなって潰れちゃうわね」
一応ちょっと前まではいたのだが、その手の連中は他でもない人間様から追放されてしまったのだ。おかげでグリフィンが出動する頃には大体片付いている、といった事例も少なくない。
まぁともかく、ここはあらゆる者たちが集える店だということだ。
「お待たせしました、サンドイッチとフレンチトーストです」
香ばしい香りと甘い匂いを漂わせ、二人が注文したものが出てくる。量も小腹を満たすにはちょうど良く、ストームはさっそくサンドイッチにかじりついた。
サクッと音を立てるパンにシャキシャキのレタス、フワフワの卵はほのかに甘く、トマトの甘味と酸味がいい感じだ。
「ん〜〜・・・・シンプルイズベスト、ってやつよね」
思わず頬を緩ませ、二口目をかぶりつこうと口を開け・・・・ふと隣に目を向けて手が止まった。
ストームは思う。隣にいるこいつは誰なんだ、と。
「〜〜〜〜♪」
パクッ…モッキュモッキュ……ゴクン
そんな擬音が見えそうなほど美味しそうに、それはもうわかりやすい笑顔でフレンチトーストを口へと運ぶ少女・・・・言うまでもなくKSGである。飯食うときくらいはフード脱げよとかサングラスとれよとか思わなくもないが今はそれどころではない。
ストームの知る彼女は、こんな小動物的な仕草をするような人形ではない。
「け、KSG・・・・?」
「ングング……ンクッ・・・・・・んふふ♪」
凛々しさのかけらもなく、というかストームが隣にいることすら忘れているように自分の世界に入ってしまっている。頬に手を当てて首を少し傾げ、頬も目尻も下がりきるほど堪能しているようだ。
「ふふっ、お気に召しましたか?」
「うん♪」
「KSG!?」ガタッ
「え?・・・・・・あ゛っ!?」
キャラ崩壊目前のKSGにいよいよストームは冷静でいられなくなる。そしてここでようやくKSGもストームの存在を思い出し、ものの一瞬でタコのように真っ赤になった。
「ち、違うんだストーム! これはその・・・・そう! 地域住民との交流を図るための演技で」
「嘘おっしゃい! ていうか何さっきの!? あんたそんなキャラだったの!?」
「KSGさん、もう一口どうぞ」
「あ! あーん♪・・・・・・・ハッ!?」
「ほらぁ!!!」
もはや言い逃れなどできない醜態(?)を晒してしまったKSGは結局その後の弁明も無駄に終わり、大人しく吐かされることとなるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅん、なるほどねぇ・・・・・・・」
「くっ、殺せ・・・・!」グスッ
十分少々、根掘り葉掘り話を聞き出されてしまったKSGはシュンと小さくなり、反対にストームは大変ご満悦だった。まぁ無理もない、今までクールで仕事に生きるというイメージの同僚の、意外な一面を知ることができたのだから。
「にしても意外よねぇ・・・・・まさかKSGが『甘いもの好き』で『可愛いもの好き』な乙女だったなんてね」
「くそぅ」
「そう言いながらソレは食べるのね」
だって美味いんだもん・・・そう言って不貞腐れるようにして食べるKSGだが、結局一口食べたところでまた表情を緩ませる・・・・もはや開き直りである。
しかし何度見ても、そのやや厳つい見た目とのギャップが大きいと感じるストームだった。
(て言っても、真っ黒のフードにオレンジのグラサンじゃぁね・・・・・あ、そうだ)
何か思いついたストームは、既に意識をフレンチトーストに向けているKSGの後ろに忍び寄る。よほど気に入ったのか、それすらも気づかないKSG・・・・・戦術人形としては致命的な危機管理能力である。
そしてKSGの様子を伺いつつその手を伸ばし・・・・・一気にフードとグラサンを脱がしにかかった。
「ぬ゛ん゛っっっ!!!!」
「へっ!? ひゃぁあああああ!!!!!????」
「KSGさん!?」
フードの縁とグラサンに手をかけえられた時点で抵抗を試みようとしたKSGだが、両手がナイフとフォークで塞がっていたためなす術なく剥ぎ取られる・・・・・フードとグラサンだけだが。
しかしストームですら予想していなかったほど大きな悲鳴を上げ、両手で顔を覆い隠してしまう。唖然とするストームと代理人に、KSGは目尻に涙を浮かべながら言った。
「み、見るなぁ!」
「・・・・・・・・」
「・・・・す、ストーム?」
「見るなと言われれば・・・・・・見たくなるに決まってるでしょ!!!」
「ぴゃああああああああ!!!!」
どうやらストームは少々Sの気があるらしい。覆っていた両腕をガシッと掴むと、なんとしてでも顔を見ようと引き剥がしにかかる。パワーでいえばSGとHGの差は歴然なんだが、どうやら世の中そう単純な話ではないらしく、割とあっさりその素顔を晒すこととなった。
短く切った銀髪に、白い肌、くりっとして潤んだ瞳がなんとも愛らしい・・・・シンプルに可愛い系の美少女だ。
「み、見ないでくれぇ・・・・!」
「嫌よ。 ていうか何がそんなに嫌なのよ、こんなに綺麗な顔なのに」
「か、可愛いとか言うなっ! わ、私のイメージはそんなのじゃない!」
どうやら周囲のイメージや印象のために黙っていたらしい。感情の起伏を減らし、可愛いもの好きを隠し、クールでかっこいい人形というイメージに。
・・・・・もっとも、もはや修復不可能なレベルで崩壊してしまったが。
「いいじゃない、好みなんて人それぞれなんだから」
「私だってクールでいたいんだ!」
「それなら最初からコーヒーを注文しなさいよ」
「・・・・・・苦いからやだ」
「子供か」
もはや初見の印象からガラリと変わってしまったせいか、頬を膨らませて不貞腐れる・・・というか拗ねるKSG。それでもその手は残ったフレンチトーストへと伸び、一口食べればたちまち笑顔に戻る・・・・子供か。
「まぁいいわ、このことは黙っといてあげる」
「あら、お優しいんですねストームさんは」
「優しい? ふふっ、違うわね」
ストームはそう言ってニヤリと笑うと、スッと端末を取り出してカメラを起動しシャッターを切った。
「その方が面白いからよ・・・・・色々と、ね」
「なっ!? け、消せ!消してくれ!!!」
「うふふふ、今度一緒に可愛い服でも買いにいきましょ〜KSGちゃん♪」
「うわぁああああああ!!!!!!」
end
通常絵と大破絵の印象が180度違うと感じたのは私だけではないはず。
最初はそのかっこいい系のビジュアルに惹かれて製造したんだけどね・・・・まさか可愛い系もいけるとは思ってもみなかったよ!
では今回のキャラ紹介
KSG
前回の番外編でちょろっと登場済み。
キャラ崩壊著しい当作品ですが彼女もその一人・・・・大破絵でビビッときた。甘いもの、可愛いもの、ちっちゃいものなどが好きで、その逆はやや苦手。そのくせクールになりたいとかいう矛盾っぷり。
でも可愛いからなんだってOK!
ストーム
フード仲間。
そのくせ大胆に素足を見せたりと隠してるのか見せてるのかよくわからないキャラ・・・・・しかもインナーがピッチリなのがエロい。
なんでこうもハンドガンの娘らは際どいのが多いんだ!(歓喜)
代理人
普段のイメージを知らないが、今回の件でおおよそどんな人形なのかはわかった。
ナチュラルに餌付けするタイプ。