ただ不満な点は、もう一度戦わなければならないところかな・・・・ウロボロスとかどうすんだろ?
キューブ作戦の常設化フラグ?
「・・・・りんご」
「ゴリラ」
「ら、ラッパ・・・・」
「ぱ・・・ぱ・・・・パスタ」
「タバスコ」
「コーn・・・ンフレーク」
「ちょっとフォートレス、今のはアウトじゃない?」
「何をしているんですかあなた方は」
厨房から戻った代理人が、呆れながら尋ねる。まぁ尋ねるまでもなくなにをしていたのかはわかっている。それに、三人も仕事をサボっていても問題ないというのが今の現状だった。
「だって代理人、お客さん0だよ」
「気が抜けていたという点では謝るが、こうも暇だとな・・・・」
「そ、それにこの天気ですし・・・・」
「・・・・・・はぁ」
再びため息をつき、窓の外を見やる。
店内のBGMに負けず劣らずな雨音、数メートル先までしか見通せなず、時折吹く突風によって叩きつけられるように降っている。バケツをひっくり返したような、とはこのことを言うのかというほどの豪雨だった。
雨量もさることながら横殴りになる雨のせいで客足は遠のき、一時間前に最後の客が帰ってから誰も来る気配がない。それどころか店の前を通る客すらまばらだった。
「メインの通りならいざ知らず、路地裏じゃ今日はもう誰も来ないかもね」
「D・・・・」
奥で掃除をしていたDだったが、どうやらそれ終わって手持ち無沙汰になったようだ。同じくリッパーとイェーガーもフラッと現れ、店の中はまるで開店前にような雰囲気になってしまった。
チラッと時計を見ればちょうど昼過ぎ。いつもならそこそこまとめて人が入るはずの時間帯にコレなのだから、そうなるのも無理はないのだろう。
代理人は額に手を当てて暫し考えると、持っていたトレーを置いて言った。
「仕方ありません・・・・今日はもう閉めましょう」
「ほぉ、思い切ったことをするな」
「来るかもわからないお客様をただ待つだけででは、有意義な時間とは言えないでしょう」
「じゃあOちゃん! 私ちょっと試したいレシピがあるんだけど手伝ってくれない?」
「わ、私もコーヒーの入れ方を・・・・」
「んー・・・じゃあ私は夏用の制服でも作ろうかな」
「変なものは作らないでくださいよ」
掛札をひっくり返し、カーテンを閉めていく。
喫茶 鉄血、本日は臨時終業です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カチャカチャカチャカチャ
トントントントン
「・・・・こんな感じかな?」
「そうですね、これくらいでいいでしょう」
「じゃ、あとは冷やして待つだけだね」
店内の清掃を終え、片付けも済ませた従業員一同。照明を落として暗くなった一階で唯一明るい厨房では、そんな彼女たちが一斉に何かを作っていた。
ある者はレシピと睨めっこしながらパスタを茹で、ある者はジッとオーブンを覗き込み、またある者はボウルを片手にせっせとかき混ぜている。
そしてその中心にいるのは代理人・・・・・せっかく時間があるということで、皆の料理の腕をあげようという狙いだった。
「といっても、Dはもう教えることはないと思いますが」
「そんなことないよOちゃん、私もまだまだ・・・・それにあの二人の方が上だよ」
Dが振り向いた先、代理人にとって随分と見慣れた背中が二つ並んでいる。最初期・・・・・喫茶 鉄血ではなく鉄血工造の頃からの部下で、ある意味ダミーであるDよりも信頼のおける二人組、イェーガーとリッパーだ。
二人は代理人に何かを聞くまでもなく、あれこれと試しながらノートにペンを走らせる。先ほど代理人もチラリと様子を見に行ったが、どうやら完全新作のメニューを考えているらしく、代理人がそばに行っても気づかないほど没頭していた。
「確かに、彼女を超えるのはまだまだ先ですね」
「むぅ、確かに先だろうけど
「そうですか? ではノルマも増やしてみましょうか」
「ゔっ・・・・い、いいよ! どんと来い!」
一瞬怯みもすぐに立ち直ったDに、代理人もふっと微笑む。
そして戸棚からレシピの束を持ち出すと、顔をひくつかせたDに手渡したのだった。
「・・・・・ぅぇ・・・苦い・・・」
「ふっ、この苦さがいいんじゃないか」
「もっとも、人によって好みはありますが・・・・さてフォートレス、これで一通りの淹れ方は教えましたが、他に何かありますか?」
膨大な量の資料を渡されたDが頭を抱えているころ、今度はフォートレスの元にやってきた代理人は約束通りコーヒーの淹れ方を教えていた。
フォートレス本人の希望だが、なにせその本人はコーヒーが苦手なのだ。砂糖とミルクを大量投入してようやく、といったレベルなので、これには代理人も苦笑しながら教えていった。
で、もちろん淹れたからには味の確認も行う必要がある。挽き具合から温度の加減など、淹れ方だって一通りではないため、何杯も試飲を重ねていく。当然その都度フォートレスが渋面を浮かべるのだが、妙に微笑ましいので黙って見守ることにした。
「い、淹れ方は、大丈夫です・・・・でも」
「どれが『彼』の好みか、ですか?」
「そんなもの、お前が淹れたのなら喜んで飲んでくれるだろう」
「ふぇ!?」
代理人とゲッコーに指摘され、まるで茹タコのように顔を真っ赤にする。ちなみにゲッコーは休憩がてら試飲に付き合ってくれている。ブラックよりも微糖派である。
「ゲッコーの言う通りですよ・・・あなたが頑張って淹れたんですから、ね?」
「う、うん・・・・・」
「・・・・まぁ、次に会うことがあればだが」
「会えますよ、きっと・・・・」
「ふっ、経験者は語るというやつか?」
「さぁ? どうでしょうか」
そう呟き、代理人もコーヒーに口をつける。
いくつかあるうちの失敗作だったが、不思議と悪い気はしなかったのだった。
end
どーも、最近頭の働かない作者です。
いやぁ通勤中なんかはいい感じに話が思い浮かぶんですが、いざ書こうとするとモヤがかかったように・・・・書き続けるって難しいですね。
そして今回も、そうして無駄にぐるぐると回り続けた結果のお話です・・・・結構短めなのはそんな理由(笑)
相変わらずマイペースですが、コンゴトモヨロシク
では今回のキャラ紹介!
代理人
喫茶 鉄血において彼女にできないことはない。
ただし彼女がいなくなれば成り立たなくなるというわけではなく、ちゃんと継承するものはされている。
コーヒーはブラック派
D
もはやダミーの域を完全に逸脱しているダミー。
オリジナル同様の高いポテンシャルを誇るが、経験の差がそこにある。
コーヒーはミルクを少々加える派
イェーガー
鉄血工造『イェーガー』タイプの一号機。
度重なるアップグレードと喫茶 鉄血での勤務歴から、通常のイェーガーとは全く異なるメンタルモデルを持つ。
コーヒーはなんでも派
リッパー
イェーガーと同じく一号機。
ちなみに勤務中は髪を後ろで括っている。
コーヒーはカフェオレ(砂糖なし)派
フォートレス
最近積極性が現れ始めたハイエンド。
見た目相応の子供舌だが、好き嫌い自体はほとんどない。
かなり甘めのカフェオレ派(一番好きなのはココア)
ゲッコー
特に描写はないが、店のメニューを一通り作ることができ接客も完璧なハイエンド。
完璧なのはいいが客・・・特に女性客に対してほぼ必ず「お嬢様」と言ってしまう。
コーヒーはブラック派
作者:紅茶派