それはそれとして、皆さんは真核の仮面で誰を交換しますか?
戦力補強を図るか嫁一択か・・・・・悩みますねぇ
「白い砂浜、大小合わせて三十以上のプール、ウォータースライダーなどのアトラクション完備、温水で年中遊べる完全屋内型レジャー施設・・・・・
ついに来たぞ、ビッグウェーブ!!!」
『いぇぇえええええええええい!!!!』
見目麗しい少女たちが、土煙を上げて走っていく。飛び込み厳禁と書いていても思わず飛び込んでしまう者や、流れに任せてプカプカと浮くだけの者、あるいは想い人の心を射止めるべく奔走する者。
夏季休暇に突入したグリフィンS09地区司令部の面々は、隣の地区にある大型レジャー施設へとやってきた。
「ふひひひ・・・・美少女の水着はやっぱり最高の資料よね!」
「あぁ、新たな出会いの予感だ」
「ちょっと二人とも! Oちゃんが怒ってるよ!」
「「すぐ戻ります!!」」
そんな施設のメインの一つ、人工海岸と波が出るプールの砂浜に簡素な平家が出来上がる。調理場と休憩室に、テーブルと椅子が並んだ広めのスペース、外にもいくつか並び、その横にのぼりが立てられる。
臨時出張に『喫茶 鉄血 海の家』である。
ことの経緯は昨年の夏と同じ、指揮官から誘われたからである。自身も部下も共に世話になっているということで全員分の料金を持ってくれる、という話だったのだがいつのまにか店を出すことになっていた。
「代理人さぁ、休暇の意味って知ってる?」
「えぇもちろん、ですからちゃんとお休みをとっているはずですよ。
「いやいやそうじゃなくて」
完全に遊ぶつもりでいたマヌスクリプトが不満の声を上げる。この日のために用意した防水タブレットに防水デジカメ、水中カメラなどなど、その本気具合が伺える。
が、蓋を開けてみればまさかの勤務である。ゲッコーはすでに受け入れて働き始めているが、マヌスクリプトは納得いかない。
「そ、それにほら! 私の格好じゃ厨房に立つのはちょっと危ないんじゃないかなって・・・・・」
遊ぶつもりなのだから、当然服装は水着である。派手でもないし際どくもないがごく普通の水着だ、厨房で火を使うとなるとさすがに肌の露出が多すぎる。代理人たちはもちろん夏用の服で、半袖半ズボンという如何にもなスタイル。その都合上、サブアームは置いてきている。
ちなみにゲッコーも水着だったが、パーカーを持っていたのでそれを着ている。
「でしたら、ホールをお任せしますね」
「鬼!悪魔!堅物人形!」
マヌスクリプトの叫びも虚しく、代理人は店へと戻る。
喫茶 鉄血 海の家が開店した。
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「青い空、白い雲、照りつける日差しに冷たい海・・・・バカンスといえばこれよね!」
「そういうセリフは普段から働いてる人が言うものよ」
「んもぅ、相変わらずお堅いわねAR-15は」
日頃の反省のかけらもないのか、遊ぶ気満々のAK-12にAR-15が苦言を漏らす。厳密にはS09地区の所属ではない彼女たちだが、現在の所在地がS09であるため休暇もそれに合わせている。要するに、今回ばかりは遊び倒しても怒られない日なのだ。
そしてそんな二人の後ろを隊長であるM4A1が、その少し後ろをANー94がついてくる。
「ほらANー94さん、こういう時くらい楽しんだ方がいいですよ」
「・・・・・・」
「だ、大丈夫です! それだって広く見れば水着ですから!」
「・・・・・・グスッ」
ライトグリーンのスポーティな水着を身に纏うM4のとなり、蹲るAN-94の格好はコスプレだの着ぐるみだのを群を抜いて際立っていた。
もはや機能性に全振りしたダイバースーツ、水中でも使える応急パックに防弾試用の水中ゴーグル、そして水深何メートルに潜るつもりなのかというガチな酸素ボンベ。間違ってもレジャー施設に、それも屋内プールに来る格好ではない。
「だ、だって、こんなところに来たことなんてないから・・・」
「で、でも、申請すれば水着くらい支給品の水着だってあるはずですし」
「えぇ、しましたよ・・・・・プールに行くって聞いたから、『水中装備一式』を」
「あぁ・・・・・・」
自由気ままなAK-12とは対称に、どうにもまじめすぎるというか若干世間知らずなところがあるらしい。足して二で割ればちょうどよくなるのだろうが、なぜこうも極端なのだろうか。
もっとも、出会った当初のAK-12依存症だったころに比べれば幾分かましになったし、こうして普通に受け答えしてくれるようにもなった。相変わらずAR-15とは馬が合わないようだが。
「ともかく、不要な装備は置いていきましょう。 それに、もしかしたら水着を貸してくれるかもしれませんし」
「そんな都合のいい場所なんて・・・・あ」
諦め不貞腐れモードに入っていたAN-94だったが、M4に連れられて見えてきた小屋にその意図を察する。店構えも雰囲気も看板も異なるが、そこに書かれた店名は見間違えようがない。
店に入ると、開店早々繁盛しているのか慌ただしく動き回る店員の姿が見える。というか、ホールを走り回っているのは見たところマヌスクリプトだけのようだ。
「ゼェ・・・ゼェ・・・・あ、M4とANー94じゃん」
「お疲れ様です。 代理人は?」
「代理人ならほら、あっちに・・・・・」
マヌスクリプトが指差す方、カウンターでカキ氷を盛り付ける代理人の周りには妙に人だかりができていた。というかその全員、どこかで見たことのあるような色合いで・・・・・
「ん? おぉM4じゃねーか」
「息災のようだな」
「しょ、処刑人さん? それにウロボロスさんも」
「というか、元鉄血勢揃いですか」
そこにいたのは処刑人やウロボロスなど、元鉄血工造エリート人形たちだった。S09地区の歯医者でアシスタントをしているデストロイヤーはともかく、年末でもないのに集まることなど滅多にないはずなのだが。
「そりゃぁ年がら年中仕事ってわけじゃねえしな」
「それもそうだが、ここの指揮官殿から誘いがあったというのもある」
「あ、ちなみにスケアクロウは彼氏とどっかいったぞ」
どうやら指揮官が気を利かせたらしい。というかあの人の人脈すごいなと改めて思うM4であった。
そんなハイエンド組であるが、仕事も何もないようで自由気ままに過ごすつもりらしい。少々予想外ではあったが、別に困ることもない。
「あらM4、どうしましたか?」
「えっと、彼女の荷物を置かせてもらえたらなと」
「あと、水着も貸していただけるt「そういうことなら!」あなたはお呼びでないですよ」
マヌスクリプトに任せた日にはどんな水着を着させられるかわかったものじゃない。
その様子に苦笑しつつ、代理人はANー94の荷物を受け取りながら答える。
「すみません、生憎と替えの水着もありませんので・・・・」
「いえ、こちらこそ無理を言ってしまって」
「そうですか・・・・では、せっかくですから何か食べていかれますか?」
「はいはーい! 私カキ氷ね!」
「AK-12!?」
横からヌッと現れたAK-12がそう注文し、どかっと椅子に座る。AR-15が目をつけていたはずなのだが、振り切ったのだろうか?
「AR-15? あっちでハンターと桃色空間に浸ってるわよ」
「AR-15・・・・・」
見れば確かに、店の外でいい感じにいちゃついている副官の姿が見える。まぁ今回は休暇中なので問題ないが。
「あむっ・・・・ん〜っ美味しい!」
「ああああ!!?? それ私のカキ氷!!!!!」
「一口くらいで文句言ってちゃ大きくなれないわよデストロイヤーちゃん」
「うわぁああああんドリーマーぁぁぁあああああ!!!!」
「おいこらなにウチの子泣かしてくれてんのよ」
ちょっと目を離したすきにトラブル発生、どうやらAK-12がデストロイヤーのカキ氷を食べてしまったらしい。しかもシロップが一番多くかかっている箇所・・・・・デストロイヤーを揶揄いつつも妹のように見守っているドリーマー的には、これは許されざる行為のようだ。
ドリーマーとAK-12のガン飛ばし合いから始まった無言の抗争(?)、そこにアルケミストが加勢し、面白半分で処刑人とウロボロスも参加。こうなると当然のようにANー94もAK-12側につき、店内にいたグリフィン人形も加わり始める。
「落ち着きなさいドリーマー。 AK-12もまずは謝りなさい」
「止めないでよ代理人、こいつの閉じた目ん玉抉り出すまではね!」
「それに、先に仕掛けたのはそいつだ」
「確かにAK-12の勝手に食べた挙句謝罪の意思も表さないほどの傲慢さが招いた結果ですが、四対一はフェアではありません」
「ぶっちゃけ自業自得だけど楽しそうだし!」
「こういうのって勝った方に何か景品とかあるんだろ?」
「あんたたち本当にコッチ側なの!?」
初めから味方などいるはずもないのだが、お祭り騒ぎ大好きな人形たちが集まってしまえばもう歯止めは効かない。いきりたってたドリーマーもこれにはやや困惑気味で、しかしそのまま引き下がるというのはないようだ。
見かねた代理人はため息をつきつつ、至極平和的解決策を提案することにしたのだった。
「では、こういうのはいかがでしょうか?」
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「くたばれ糸目女ぁぁああああ!!!!」
「ちょ、これそういう競技じゃnヘブッ⁉︎」
「え、AK-12!?」
白い砂浜に二本のポール、程よく張られたネット・・・・その上を、砲弾と見紛うほどの勢いでボールが駆け抜け、完全に油断していた糸目女ことAK-12の顔面に直撃した。
レジャー施設のビーチバレーコート、規格も至って普通なその場所で、初手から人形パワー全開を見せるドリーマーは腰に手を当ててドヤ顔をかます。
「はんっ、正規軍って聞いてたけどその程度なの? 軍も人材確保には苦労するのね」
「訂正しろドリーマー・・・・“元”正規軍だ」
鉄血製ハイエンド屈指の性能を誇り、しかも他者をいたぶり挑発することに関しては随一のドリーマー・アルケミストのコンビの嘲笑が飛び交う。ドリーマーは小柄ながらもそれを感じさせない機動性を持ち、アルケミストは逆のその長身を生かした正攻法と隙のないコンビだ。
が、さすがにここまでされて黙っていられるAK-12ではない。
「・・・・・深度演算モード、起動」
「ほぉ、ようやく本気か?」
「私たちを失望させないでよ?」
閉じていた目を開き、一切の曇りもない双眼が冷静にコートを分析する。広さ、距離、そして相手の性能・・・・・それらを一瞬で測定したAK-12はボールと共に飛び上がり、僅かに空いたスペースにねじ込むように撃ち放つ。
「甘いっ!!」シュンッ
「テレポートっ!?」
「使えるものはなんだって使う・・・・戦場の基本よ!」
アルケミストに止められたボールはドリーマーによってさらに打ち上げられ、助走をつけたアルケミストの強烈なアタックがコート端を狙う。
ところで、深度演算中のAK-12の性能は語るまでもないほど高いが、対するANー94にはその機能がない。
正確には『ない』のではなく、『必要ない』のだ。
「はっ!」
「っ! やるな」
「これでも、純粋な戦闘用ですから」
「さすがよANー94・・・・これで決めて!」
「了解っ!」
「ふふっ・・・・・来い!!」
AK-12・ANー94とドリーマー・アルケミストの試合が白熱する中、気づけばあちこちでビーチバレーが始まっていた。コートを借りた者から手書きで済ませる者まで十人十色、とにかく元気が有り余る人形たちによるビーチバレー大会に発展してしまっていた。
それだけならまぁいいのだが、問題はその目的。
「あなたに勝って、私は指揮官と添い遂げる!」
「ご冗談はその無駄な脂肪の塊だけにしておきなさい!」
「休日を増やしなさいよこの堅物チビ教官!」
「・・・・いい度胸だ、売られた喧嘩は買ってやるぞUMP45」
「貴様も私と共に行き遅れろスマァアアアアッシュ!!」
「残念でした! 私にはもうSOPがいるのよ!」
「・・・・指揮官様、あの二人は」
「他人のふりだカリーナ」
勝負事には勝者への褒美があるものである。誰が言い出したか、この大会を制したものは願いが叶う、と。
ごく一部はそんな趣旨すら無視する有様だが、おおむねの人形は己の利益のためにコートを駆け巡るのだった。
そしてここにも、そんな私利私欲煩悩に塗れた人形が一人。
「代理人! 私が優勝したら付き合ってもらう!」
「いえ、断りします」
「いやいやOちゃん、話くらい聞いてあげたら?」
「な、なんで私がこっち側なんですかぁ!?」
仁王立ちで諦めの悪いことを言ってのけるダネル、その隣で巻き込まれたフォートレス、せっかくだからと用意された黒いビキニに着替えて無理やり連れてこられた代理人とD。
一人しか得のない一戦が幕を開けた。
「私の想い、受けとれぇえええええええ!!!!!」
「くっ・・・・D!」
「了・・・・解っ!」
「フッ・・・・・!」
Dが上げたボールに向かって跳躍する代理人。その姿を、ダネルはのちにこう語る。
ーーーーーコートに天使が舞い降りたーーーーーー
「ダネルさん、前っ!!」
「へ? フゴァ⁉︎」
「「「だ、ダネルさんっ!!???」」」
たった一球で夢潰えたダネルだったが、介抱されるその顔はどことなく幸せそうだったという。
続くっ!
はい、というわけで今回は夏回!そして久しぶりの前後編!
・・・・・実はね、これを4連休初日に投稿して、後編を最終日に投稿するつもりだったんだ。
でもふとカレンダー見るじゃん?そしたら何故か日曜日なんだよね。
はい、現実逃避は置いといて今回のキャラ紹介!
代理人
今回は海の家に臨時出店。実は午後から休みにするつもりだったが、サプライズのためにあえて言わなかった。
ビキニは昨年のものを持ってきていた。
D
生まれて初めてのプールにテンション上がりつつも冷静に接客。
ビーチバレーはルールブックを読めばできるようになるらしい。
マヌスクリプト
水着で接客という需要の塊のような格好だが、本人はその姿を写真に収めたいだけで自分がしたいわけではない。
フォートレス
巻き込まれた。
M4・AR-15・AK-12・ANー94
せっかくなので一緒に休暇。M4も久しぶりに羽を伸ばしたい。
ちなみにAR-15はハンターが来ることを知らず、軽くパニックになった。
鉄血組
指揮官から誘われたので。
ちなみにハンターはAR-15が来ることを知らず、顔には出ないがテンションバク上がりだった模様。
レイとスケアクロウ?言うまでもない。
グリフィン組
はっちゃけるときははっちゃける、それが良い職場の条件。
積年の恨みなどをぶつけるにはいい機会だが、今後に及ぼす影響を考慮することをお忘れなく。
次回、イベント登場の奴らが襲来!