とか言ってる間に新たなスキン!?しかもUMP三姉妹セット!?
グヌヌ・・・給料入るまで待ってろよな!(捨て台詞)
『指揮官、ビーチ周辺の敵は掃討しました』
「ご苦労、引き続き警戒を緩めるな」
『了解』
売店を使って設置された即席司令部に上がる報告の数々。そのほとんどは状況が好転していることを伝えるもので、指揮官は張り詰めていた気をふっと緩めた。とはいえ、事態が解決したというわけではないので油断はしない。
幸いカリーナとヘリアンが指揮官をサポートしていたので、人形たちの立て直しも早かったのだが・・・・・その後ろで顔色の優れない人物がいることに、まだ誰も気付いていない。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)
努めて平常を装いながら壁にもたれかかる女性・・・ペルシカは思わず頭を抱えそうになる。
モニターに映る戦術人形たちの視界、そこに映る蟹やヤドカリに似た機械たち。見覚えがあるなんてものではなかった。
(
もしや極秘裏に回収したどこぞの企業なりテロリストどもが新たに生産したものか、とも思ったが武装を見てその期待は潰える。
あのふざけきった外見も、ヒトデ型自走地雷という謎兵器も、そして衣服(というか装備)だけを剥ぎ取るというアホすぎる行動も・・・・深夜テンション四徹目の狂気の産物だった。ただただ敵を
(ま、まぁいいわ・・・このまま全部壊してくれれば、私が関わっているという証拠はなくな・・・・・!?)
完全に他力本願な証拠隠滅を図ろうとするペルシカは、しかしモニター端の一コマを見つけた途端血相を変える。
そこに映るのは一体のヤドカリと対物ライフルを構える女性。なぜ一対一なのかとかライフルの間合いじゃないだとかツッコミどころはあるが、ペルシカが注視したのはそこではない。
(まずいっ! あいつリミッター外れてる!)
対峙するヤドカリ、その甲殻にはいくつも傷が付き、文字通り目の色を変えて全力モードに入っている。大量生産向けのカニとは違い、ヤドカリ型は条件付きでのリミッター解除機能を搭載していたのだ。
武装は相変わらず非殺傷だが全体的にパワーが増し、単純に鋏で殴るだけでも驚異的な威力を発揮するようになる。加えて、この状態でのみ使用するようになっている武装が存在し・・・・・・
「ダネルっ! 避けてっ!!!」
指揮用のマイクを奪い取り、反射的に叫ぶ。間一髪計画は間に合ったようで、ダネルはヤドカリの新武装の餌食とならずに済んだ。
ホッとするペルシカだが、その後ろに重苦しい気配を感じてビクリと体を強張らせた。
「・・・・ペルシカ、今のはどういうことか説明してもらおうか?」
「何か知っているんですね!?」
「応えてもらいますよ、ペルシカさん」
「あ、あははは・・・・・・」
逃げ場などないことを悟り、乾ききった笑い声を上げるしかなかったのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「くそっ、なんて悪趣味な・・・・・・」
舌打ちしながらダネルは毒突く。ペルシカからの突然の警告でなんとか躱すことができたが、アレに当たっていればどうなっていたか考えたくもない。
一瞬嫌な想像がよぎり、かぶりを振って切り替える。
(鋏に格納武装・・・片方が水着で塞がっているのが幸いだな)
ダネルはヤドカリの鋏を、もっといえばその中から伸びるガトリング砲を睨む。これまでインファイト中心だったヤドカリが突然距離を取り、両鋏で掴んでいた水着を片側に移すと同時に盛大にぶちかましてきたのだ。警告がなければ直撃だっただろう。
そしてその銃弾こそが問題だった。一見白い塊のそれはなんとトリモチ弾、それがえげつない連射能力で吐き出されるのだ。一発だけでも人の頭くらいのサイズはあるのに、それが数発固まると粘着力を飛躍的に高めるらしく、巻き込まれたダネルのパレオは既に白濁の中に沈んでいる。
そして今もなお、その銃口はダネルを狙い続けていた。
「チッ・・・・!」
横あいに飛び、遮蔽物に身を隠し、なんとか被弾しないように動き回る。ただでさえ機動力に難のあるライフル人形が弾幕を相手取るなど、無謀にも程がある。
だがダネルは引かない。代理人との約束と己のプライド、そしてご褒美への期待が彼女を突き動かす。
「喰らえっ!!」
「ーーーーーーーー!!!」キンッ‼︎
「くっ・・・・まだだ!」
厚い装甲に阻まれながらも、ダネルは隙を見て反撃していく。対物ライフルというだけあってその装甲を確実に削ってはいるが、ジリ貧であることは否めない。
このままでは遠からず負ける・・・・そう判断したダネルは、博打に打って出ることにした。
(一気に潜り込んで、腹の下から一発・・・・流石にそこなら装甲は薄いはずだ!)
そのために必要なのは、白い弾幕を抜けて鋏の迎撃を躱し腹下に滑り込むこと。それをこの大きなライフルを持ちながら行う必要がある。
成功率はお世辞にも高いとはいえないが、勝つためにはこれしかない。
(三つ数えたら一気に走る・・・・・一・・・二・・・)
三・・・と呟きかけたその時、突然ヤドカリの足元が爆発し態勢を大きく崩す。
何事かと覗き込んだダネルの前に、二人の男女が躍り出る。
「小型とはいえ爆発物所持か・・・・ボディガードの範疇を超えてないか?」
「なら捕まえてみるか、お巡りさん?」
「そうだ、と言いたいが・・・・今回は見逃してやる」
言い合いながらも二丁の銃で牽制するハンターと、隙を見て手榴弾を投擲するレイ。突然の襲撃者にヤドカリの対応も遅れ、致命的なまでの隙を晒してしまった。
「今だっ!!」
一歩目から全力で走る。ハンターとレイの横をすり抜け、一気に距離を詰めてく。
ヤドカリが気づき、鋏をむけた頃にはすでに腹の下に滑り込んで銃口を押し付けていた。
「これで終わりだぁ!!!」
発砲、排莢、発砲、排莢、発砲、排莢・・・・・・ここぞとばかりに全てを叩き込み、そのまま腹の下をくぐって飛び出す。内部機関を貫かれたヤドカリは、やがて自重を支えられなくなり崩れ落ちて・・・・・盛大に爆発した。
「フゥ・・・・協力に感謝する」
「いや、お互い様だ」
「こっちも人を探してたからな・・・っとそうだ、この辺りでスケアクロウを見なかったか?」
「あと、AR-15とD-15もだ」
「ん? あぁそれなら・・・・・」
「ダネルさん? 何かすごい爆発が見えましたが・・・・・」
爆発の規模から心配になった代理人たちが様子を見にきたらしく、恐る恐るといった様子で覗き込む。
ちなみにヤドカリが奪い取ったブツの回収はまだ行われておらず、当然ながら彼女たちの服装に変更はない。
「あ、スケアクロ・・・ウッ!?」
「二人とも、ここにいたのか・・・っ!?」
「「「・・・・・ぃ」」」
「「「いやぁぁああああ!!!!」」」
爆発音にも勝る悲鳴に続き、乾いた破裂音が3つ続いたのだった。
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「指揮官、見つけました」
「ペルシカの話は本当だったってわけね」
「それにしても、これほどの規模の秘密工場・・・・なぜ今まで気づかれなかったのでしょうか?」
地上での騒動がひと段落した頃、M4・AK-12・ANー94の三人は所属不明機たちの出現地であるあの扉の奥へとやってきた。
やはりというかレジャー施設には到底不似合いな分厚い扉の向こうには、これまたいかにも生産施設ですといった様相が広がっている。ペルシカを詰問した結果、これはどうやらかつて『世界最高レベルの頭脳が結集した』と言われたほどの組織・・・・・『90wish』の施設の一つらしい。
在りし日のペルシカが90wishに身を置いていたのは周知の事実だが、こんなところにその名残があるなど聞いていない。ペルシカ曰く、「解散騒動の最中に忘れ去られた施設がいくつかある」らしい。
「全ての工場施設は機能を停止しているはず、とのことですが?」
『そうだ。 が、今回の件からその前提で進めるのは危険だと判断した方がいい』
「確かに、ただの在庫バーゲンって量じゃなかったものね」
そう言いつつ、前方に数発撃ち込む。奥から湧いて出てきた数体の蟹が風穴を開けて倒れ伏す。
それを皮切りに、ワラワラと湧いて出てくる蟹、蟹、蟹。それはもはや蟹というよりもGに近い印象だった。
「AK-12、ANー94は弾幕を。 私がまとめて吹き飛ばします」
「今夜は焼きガニパーティーね」
「当分、見たくもありませんが」
普段の様子はアレだが、そこはグリフィンの最高戦力部隊。一本道であることも相まって一体たりとも三人に触れることはおろか、近づくことすらできない。
その間も三人は前進し、道というよりも蟹の残骸の上を歩きながら奥へと進んでいく。ヤドカリ型も数体現れるが、機動性と火力を両立させたM4の敵ではない。
「敵機殲滅を確認・・・二人とも、弾薬は?」
「十分あるわよ」
「こちらもです。 それにしても、随分奥まで来ましたね」
『元々は地下シェルターを改装したものだったからね。 でも、そろそろ目的地のはずだよ』
ペルシカの言った通り、ひたすら下り坂をまっすぐ進むと最深部に辿り着く。十数年前の施設のはずなのだが未だに稼働しているようであり、製造ロッドからあの蟹たちが湧いてきている。
一体誰がラインを稼働させているのか・・・その答えは探すまでもなく見つかった。
「M4、あの蟹です!」
「あら、随分と器用なのね」
見れば、一体の蟹が忙しなく動きながら工場を稼働させている。どうやら忙しすぎてこちらにも気付いていないらしく、まるで社畜の如く走り回る。
意味があるのか不明な『安全第一』のヘルメットを見るに、あの蟹はもともとそういう用途で作られているようだ。
そんな蟹の後ろから近づき、M4は銃を突きつけて言った。
「止まりなさい、動くと撃ちますよ」
「大人しくしておいた方が身のためよ。 彼女、とっても怖いから」
突然呼び止められ、銃を突きつけられる。そんな事態に蟹は両鋏をあげて降伏の意思を示す。というか何がなんだか分かっていないという感じで、上の大惨事を引き起こした張本人とは思えない様子だ。
「通信機能は使えますね? こちらの質問に答えていただきます」
警戒を解くことなく、M4たちによる詰問が始まった。
「あははははははははははっっっ!!!!」
「ほ、本当にそんな理由なんですか?」
「えぇ・・・・・」
話を聞くこと十数分、今回の騒動が盛大な勘違いであったことが判明する。
まずこの施設が旧90wishのものであることは間違い無く、その中でもかなり高度な施設であったらしい。生産ラインを含め全て無人運転で、人間の職員を一切必要としないらしい。この蟹は、ここの責任者にあたる個体だという。
そして遡ること十数年前、とある一件でこの施設は閉鎖される・・・・・なんとこの蟹がストライキを起こし、工場を勝手に閉鎖してしまったのだ。ちなみに動機は、休暇休日がないというものだった。
そしてそこからこの工場は休眠。その間に90wishが解散したり戦術人形の時代になったりと時は流れ、ようやく蟹は目を覚ます。
そして焦った。かなりの時間を寝過ごしてしまったことで受注が大量に溜まっている、と思ったらしい。慌てて全ラインをフル稼働、生産完了した個体から順次出荷という荒技に出る。
この段階でどうやら蟹たちの設定が『納品』から『戦闘』に切り替わっていたらしく、後は語られた通りである。
「つまり・・・この施設の責任者としての責務を果たそうとした、と」
「いやいやツッコミが追いつきませんよ!?」
「ひー、ひー、もう無理笑い死んじゃうwwwwww」
蓋を開けてみればそんな理由である。AK-12は笑い転げ、ANー94は唖然とし、M4も額に手を当ててため息をつく。これが『人類に反旗を翻した』とか『AIの暴走』とかならまだ格好がついたはずなのだから。
「はぁ・・・・指揮官、どうしましょうか?」
『・・・・敵対の意思が見られない以上、こちらで保護する。 帰投してくれ』
「了解しました、これより帰投します」
「AK-12、帰りましょう」
「ひっひひっ、も、もうちょっと待っ「帰・り・ま・す・よ?(ニッコリ)」分かったからコンテナはやめて!?」
こうして、一夏の騒動は収束したのだった。
もうちっと続く!
三連休とかあったくせに全然書けてないダメ作者ですが私は元気です。
そういえばドルフロ癒し編二期が出るんだとか。願わくばデフォルメ代理人にちょっと罵倒されながら癒されたいんですよね社会人ツライ
さて、今回で夏イベ編は終わり・・・とはなりませんでした!!
ドルフロ本編のイベントは終わったけどこっちは続きます笑
では今回のキャラ紹介
ペルシカ
今の年齢(推測)からさらに遡ると、90wish時代はいわゆる『若き天才』というやつだったのでは?
原作ではとある企業製だった蟹ですが、ここでは90wish製・・・悪ふざけに全振り笑
ダネル
多分もうここまでかっこいい場面は無いと思う。
ちなみに対物ライフルは移動はもちろんスライディングしながら撃つことは想定されてないよ!良い子は真似しないでね!
ハンター&レイ
恋人探して出会した。
ラッキースケベの報酬は紅葉で。
M4・AK-12・ANー94
実は部隊名を全く考えてない(叛逆してるわけでもないしね!)
ちなみにごく当たり前に捜索しているけど全員水着・・・ホラゲのクリア報酬みたいな絵面。
蟹(責任者)
世間がまだまだ人形に対しての認知が進んでいなかった頃、休むという選択肢なく働かされてきた哀れな社畜。
強制スリープ&完全オフライン化によってストライキを起こすが、衛星通信による時刻の同期も切れてしまったため寝過ごした。
きっと休みを与えられても休み方がわからない。