調子に乗ってカップル増やしすぎたことは反省しているが後悔はしていない!だって書きたかったんだもん!
MG部隊の良識、小柄ながらもそれをものともしない戦闘力、そして銃はAKシリーズと設計者を同じくする信頼設計、それが戦術人形『PKP』である。同部隊の隊長であるMG5や指揮官からの信頼も厚く、任務のみならず訓練や日頃の振る舞いにおいても模範的で、あのジェリコですら称賛するほどだ。
しかしながら、仕事場でまじめな人間がプライベートでもまじめ一辺倒かというと、決してそういうわけではないことが多い。むしろ仕事とプライベートを完全に切り離すことで、己を律しているといえる。PKPもその一人だ。
「くあぁぁ・・・・・」
「随分と眠そうですね、PKPさん」
カウンターの隅で一人コーヒーを飲むPKPの大きなあくびに、代理人は苦笑しながらカップにお替りを注ぐ。カフェインは眠気覚ましに良いといわれているが、どうやらその程度では効かない眠気らしい。
PKPは目をクシクシと擦り、淹れたての熱いコーヒーを一口飲む。これで少しだけ目を覚ますことができるが、そのうち再び睡魔が訪れるのだろう。さっきからその繰り返しだ。
「くそっ、せっかくの散歩日和だってのに・・・・ふぁぁぁ・・・・」
ちなみにPKPの趣味は散歩とウィンドウショッピングだ。特に目当てもなくフラフラと街に出ては出店やショップを眺める、あるいは公園をゆっくり回るなど、任務中の彼女のイメージとはずいぶんとかけ離れた趣味と言える。
加えて割とおしゃれ好きで、支給されているスキンを普段着としても使っている。とくにこんな散歩日和の日には、ジャケットにショートパンツという男装寄りの服(スキン名:淑女の密命)を着ることが多い。
「ふふっ、すこし仮眠をとられた方がすっきりしますよ」
「それもそうか・・・・すまないが代理人、二十分ほどたったら起こしてくれ」
「はい、かしこまりました」
それを聞くと、PKPはそのまま机に突っ伏し顔を沈める。ものの数秒と経たずに聞こえる寝息から、よっぽど疲れていたのだろうと推測できる。
一先ず残ってしまったコーヒーを下げ、二十分のタイマーと寝起きの一杯用に新しいカップを用意するのだった。
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「・・・・・・PKPさん」
「んぁ? 呼んだか代理人?」
「えぇ、最近ちゃんと眠っていますか? 一日二日ならともかく毎回となると」
代理人の心配にPKPはまたあくびをしながら苦笑する。先日からここを訪れるたび、彼女は眠気と戦っては負け続けている。休暇でなくともパトロールの合間に来店することもあるが、その時も結局休憩時間目一杯寝てしまうのだ。
流石に仕事中に眠るようなことはないが、その反動か気を抜くと睡魔に襲われるらしい。今日も、ついさっきまでスヤスヤと眠っていたところだ。
「まぁ、その・・・・ちゃんと寝てるよ」
「嘘ですね」
「というよりどこをどう信じればいいのかな」
代理人だけでなくDにまでツッこまれ、心配されてしまってはしょうがない。それにこの問題は、流石のPKPでも荷が重いと判断して大人しく話すことにした。
それは、今から一月以上前のことである。
▽▽▽▽▽回想▽▽▽▽▽
ある日の夜、PKPは机の明かりを付けて溜まっていた本を読んでいた。明日は休日ということもあり、明日に響かない程度に夜更かしするつもりだった。しかしあまり集中できておらず、時折ため息をついては後ろを向く。
その視線の先、おしゃれと化粧をばっちり決めたPKが、ベッドに腰かけたまま枕を抱きしめ、落ち着かない様子で揺れていた。
「・・・・・・なぁ姉さん、落ち着かないのはわかるが何とかならないか?」
「だ、だって久しぶりのデートなのよ? 緊張するにきまってるじゃない」
「そうかそうか・・・・・先週も先々週もその前も同じことを聞いたんだが?」
「う゛っ!?」
MG5とPK、MG部隊の隊長と副長という立場であり恋仲でもある二人は、正式に付き合い始めてからそれなりに経つ。しかしその進展はあまりのスローペースで、いまだに二人の限界は『手をつなぐ』というところだ。何度デートを繰り返してもぎこちなさは消えず、しかし終わってみると二人とも大変満足したような表情で帰ってくるのだから、ろくに進展しないのもうなずける。
PKの妹にして二人の関係を当人ら以上に推し進めたいPKPは、その都度姉にダメ出しやアドバイスをぶつけることになる。真面目に聞いてくれるのはうれしいが、実践できないのでは何の意味もない。
「何度も言うがな姉さん、もうお互い意識し合ってるんだからもっと踏み込んでもいいんだ。 今の二人の空気はなんというか、両片思いみたいなんだよ」
「でも、いきなりがっついちゃったら引かれちゃうかもしれないし・・・・・」
「姉さんはがっつかなさすぎなんだ!」
待てと命じられる犬ですら、欲望に抗えず命令を無視するほどだというのに、この姉は延々と踏み込めない超チキンなのである。相手がもし一般的な恋愛観と行動力のある人物だったら、今頃愛想つかされていたかもしれないほどだ。
しかし幸か不幸か、MG5も似たような感じなので、奇跡的にこの二人の関係は崩れていない。むしろこの距離感で満足できてしまうのは相当のレアケースだろう。見守っている方は気が気でないが。
「と・に・か・く! 明日のデートでもっと距離を縮めるんだ、いいな!?」
「わ、わかったわ」
また別の日。
「明日こそは頑張ってくれ・・・・というか進歩を見せてくれ!」
「うぅ・・・・でも」
「でもじゃない! いいから思いきり抱き着くくらいのことはしてくれ!」
さらに別の日。
「・・・・・・姉さん、三度目の正直だ」
「二度あることは三度ある「何か言ったか?」・・・な、なんでもないわ」
「本当に、本当に頼むから、初々しいのもいいけどその先を見せてくれ・・・・・」
「・・・・・思うんだけど、どうしてPKPがそこまで気にするの?」
「見ててヤキモキするんだよ!!!」
△△△△△回想△△△△△
そんな調子でデート前夜の都度、PKPは姉に対し青筋を浮かべながら自信を与えようとするのだが、結果は見ての通り芳しくない。原因はPKとMG5、双方の『自信のなさ』なので毎回PKPは姉の良いところや魅力的なところを語ることになる。それでも「でも」「だって」とセルフデバフをかけまくるため、大抵話が終わる時間が遅くなる。おかげで毎日が寝不足だ。
ちなみに睡眠時間はPKも変わらないが、MG5を見るだけでコンディションが全快するためとくに問題にはなっていない。
「それならもう放っておけばいいんじゃないかな?」
「それができれば苦労しない! だが考えてもみろ、大した成果もあげられないのにニヨニヨしながら帰ってきていつまでもデレデレしているんだぞ・・・・・流石に心配になるんだよ!」
ないとは思うが、万が一MG5が他の人形や人間・・・ましてや男なんかと付き合うことにでもなればどうなるか、想像に難くない。そしてそのしわ寄せはほぼ全てPKPに降りかかり、全力で宥め続けねばならなくなるだろう。彼女の姉はメンタルが訓練用ドローン(初級)程度に柔いのだ。
「話は聞かせてもらった!」
「引っ込んでいてくださいマヌスクリプト」
「引っ込んでてマヌちゃん」
「二人ともひどい!?」
そんな面白sゲフンゲフン・・・重大な事態に、この野次馬人形が立ち上がらないわけがなかった。代理人とDが止めに入るが、それより先にPKPが反応する。
「・・・・・何か案があるのか?」
「PKPちゃんダメだよ!」
「疲労と睡眠不足で判断能力が落ちています、今日はもう休んでください」
「ええいうるさい! 私だって藁にすがりたいときもあるんだ!」
二人の制止を振り切り、PKPは
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『・・・・こちらゲッコー、準備いいぞ』
「OK、ターゲットが席を外したら仕掛けて」
一週間後、とあるカフェで仲良く談笑するPKとMG5を、離れた位置から見守る人物がいた。無駄にクオリティの高い変装のマヌスクリプトとPKPである。二人はテーブルの上に置いてある端末から延びるイヤホンを片方ずつ付け、協力者であるゲッコーに指示を送る。傍から見れば仲良く動画を見ているようにしか見えない。
そしてゲッコーの方も、店の入り口付近で待機中だ。こちらももちろん変装済みで、さらに万が一にもばれないように声帯モジュールも弄ってある。
「・・・・・なぁ、本当に大丈夫なのかこれ?」
「ん~大丈夫とは言い切れないかな・・・・いろんな意味で」
マヌスクリプトの提示した作戦はこうだ。
まずPKPがそれとなくデートのコースを指定しておき、当日は先回りしておく。次に片方が席を外したタイミングで、変装したゲッコーがMG5に言い寄る。あくまで焚き付けることが目的なので、PKが戻ってきたタイミングでちょっとうざい絡み方に変える。絡まれて困るMG5をPKが助け、その勢いで二人の関係を一段階上げようというものである。
・・・・・・穴だらけな計画であることは否めないが、こうでもしないと一向に進まなさそうなのだ。
「あとはどっちか片方になれば・・・・・・ん?」
「どうした・・・・って、なんだあいつら?」
監視対象であるPKとMG5、その二人を四人の男が囲んでいる。見るからにチャラそうな男たちの距離感は妙に近く、時折無遠慮に触ろうと手を伸ばす。PKもMG5も初めは愛想笑いを浮かべていたようだが、今は鬱陶しさ前回の顔つきだ。
「あー・・・ゲッコー、ちょっとトラブルよ」
『む? すまない、急用ができてしまった。 また今度一緒に茶でも飲もう・・・・・なんだ?』
「あんた今普通に口説いてたでしょ・・・・まぁいいわ、ターゲットがチャラ男に絡まれてるの、何とかして」
『それは構わんが・・・・私が行くとバレるのでは?』
「姉さんのデートを邪魔されるわけにはいかないんだ、頼む」
自分たちが邪魔する側であったことは棚に上げつつ、ゲッコーが救出のために店に入ったその時、バキンッと何かが砕ける音がした。どうやら、チャラ男の一人がPKの尻を触ったらしく、MG5が持っていたカップを握りつぶしてしまったのだ。
店中の視線を集める中、MG5は聞いたこともないほど低い声で話す。
「・・・・・おい貴様ら」
「ヒィ!?」
「今すぐここから失せろ、そして二度と彼女に近づくな・・・・・」
「わ、悪かったって・・・ほら、そんなに怒っちゃせっかくの美人が台なs」
ここまでしぶといとむしろ感心するレベルだが、MG5は握りつぶしたカップをさらに握る。開いた手から零れたのは少量の人工血液と、ほぼ砂のような細かさになった
殺意のこもった目を向けられ、チャラ男たちは尻尾を巻いて逃げ出した。
「ふぅ・・・・・・あ、す、すまないPK・・・みっともないところを見せてしまって」
「い、いえ、そんな・・・・・あっ、先に怪我の手当てを!」
「えっ!? い、いや、これくらいなら大丈夫だ」
「だ、だめです! あなたは私の大切な人なんですから・・・・」
「PK・・・・・・・」
「「・・・・・・////」」
「いやなんでそこで黙るんだよ!?」
「PKP!?」
結局こらえきれずに飛び出してしまったPKPにより、マヌスクリプトの計画は二人に知られてしまうことになる。
ともあれこの日以降、二人のデートが手をつなぐだけから腕に抱きつくくらいの進歩を遂げたのだった。
end
M1917「隊長たちのデートを邪魔したのはあなたたちね~?」
FF M249SAW「どうする?処す?」
AEK999「俺たちの発射レート、その身で味わうかい?」
その後、チャラ男たちを見た者はいない・・・・・
と書くとホラーっぽくなりますかね(唐突)
それはそれとして皆さん、ビンゴイベントお疲れ様でした。イベント期間中にメッセージをいくつかいただき、嬉しさでモチベーション爆上がりでしたよ!(その割に投稿ペースが遅いのは禁句)
では今回のキャラ紹介
PKP
奥手な姉と奥手な隊長を何とかしたいと思う苦労人。なんだったらハプニングでもいいからチューしちゃえばいいと思っている。
二人を倉庫かどこかに閉じ込める案を計画中。
MG5
奥手でビビりな豆腐メンタル隊長。キリッとして見えるのは緊張で表情が動かないだけ。
ズボンなどの男っぽい服装を好み、スカートはあまり履かない・・・・履かせたい。
PK
一見クールビューティーな奥手上がり症。
デートの目的がMG5と出かけることなので、始まった時点で達成してしまっている。
一向に進展していないことにはとくに悩んでいないらしい。
マヌスクリプト
呼ぶと出てくるし呼ばなくても出てくる。
今回はマヌスクリプトの割にはましな案だったが、結局未遂に終わった。
ゲッコー
口説かせれば大体なんとかなるやつ。
忘れられがちだが完全近接戦闘用なので、店などの屋内閉所では敵なし・・・・ただのチャラ男四人程度指先一つで勝てる。
チャラ男
今回のカマセ役。
声をかける相手全てが彼氏(彼女)持ちでその相手が大体やべーやつという呪いにかかっている・・・・という設定。