そしてこの「喫茶 鉄血」も2周年を迎えました!
読んでくださった皆様に感謝するとともに、来年もどうぞよろしくお願い致します。
では、今回のラインナップ!
・かちこみ!
・闇取引
・手のひらの上
・Side OPS
番外48-1:かちこみ!
HK416は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のマッドサイエンティストに鉄槌を下さなければならぬと決意した。
激高状態の416は並外れた行動力と、あらゆるものをねじ伏せる力を持つ。そこそこ距離のある16labへ乗り込むための足として、軍の最新鋭戦闘機を
小さくなった9たちを見てからわずか三十分、16labの正面ゲートをぶち抜いて現れた416は、装弾と安全装置の解除を済ませた愛銃を手に全ての元凶・・・・ペルシカの元へと向かう。
「やぁ416、まずは落ち着いて話そうじゃないか」
「今すぐ9をもとに戻しなさい。 さもないとあんたを解体処分にするわよ」
引き金に指をかけながら詰め寄る416。ちなみにグレネードランチャーの方にも指をかけており、その殺意の高さがうかがえる。
しかしそんな状況を前にしても、ペルシカは不敵に笑う。
「・・・・何がおかしいのよ」
「いやいや416、殴り込みをかけるのはいいけど冷静さを欠いちゃダメだよ」
「どういうこt「こういうことさ!」っ!?」
ペルシカがこっそりと白衣の下に忍ばせていた装置を起動すると、部屋のいたるところから白いガスが噴き出し始める。いつの間にか入り口は固く閉ざされ、逃げ場を失ったガスが部屋に充満する。どうやらまた研究室を改造したらしい。
とっさに口を覆う416だが、直後にその腕が何者かに強く引っ張られる。見ればいかにもといったアームががっしりと掴んでおり、しかもガスの中から二本、三本と新たに現れたアームが腕や足に掴みかかる。銃も取り上げられ為す術のなくなった416の前に、ペルシカが得意げな表情で現れた。
「このっ・・・・離しなさいっ!」
「無駄だよ416。 それはアーキテクトやマヌスクリプトと合同で作った人形捕縛専用のアーム、フルパワーのハイエンドや深度演算モードのAK-12ですら脱出不可能な代物さ」
「そのメンツを聞くだけでロクでもないものってのは分かるわ」
抵抗は無駄だと悟った416はただただペルシカをにらみつける。部屋の排煙装置が起動してガスがなくなると、アームがするすると動き416を運ぶ。
その先にある怪しげな装置を見て、416は再び暴れ始めた。
「ちょっ、ペルシカ! あの装置何なの!?」
「せっかくだから君も9たちと同じ姿にしてあげようと思ってね・・・・感謝したまえよ」
「あんた覚えてなさいよ!!!」
恨み言を吐きながら装置に放り込まれ、ペルシカお手製「ロリ変換君」が起動する。ふざけているようでそこは天才のペルシカ製、ものの一分ほどで装置が止まり、中から半分以下にダウンサイジングした416が吐き出される。
「ふむふむ、416でも問題ないね・・・・次はだれで試そうかなぁ」
「うぅ・・・・ふぇぇぇん・・・・」
「あぁ416ちゃん、泣かなくて大丈夫だよ~」
地面に蹲る416(ロリ)に駆け寄るペルシカ。それだけ見れば純粋な母性を感じられなくもないが、もちろんそんなものはない。
そんなペルシカに、早くも天罰が下った。
「416~、大丈夫でちゅか~?」
「うぅ・・ペルシカぁ・・・・・」
「ん~? どうしたの~?」
「あのね・・・・・くたばれッ!!」カチッ
「へ? アバババババババッ!!!???」
腹部に何かを突き付けられる感触、そして流れる強力な電撃・・・・自前のスタンガンでペルシカを無力化した416は、満面の笑みでペルシカを見下ろす。
「ば、馬鹿な・・・・メンタルも外見に引っ張られるはず・・・・」
「理由は知らないけど、私はそうならなかったようね」
「ふふっ、416・・・・さっきの演技は中々のものだったよ」
「ありがとう・・・・で、言いたいことは分かるわね?」
笑顔のままスタンガンをバチバチと鳴らす416(ロリ)に、ペルシカは黙ってうなずいた。
後日、例のアームで固定されたペルシカを404小隊総出でくすぐりまくるという制裁が下ったが、それは別のお話し。
end
番外48-2:闇取引
「最近、AN-94の様子がおかしいのよ」
「あなた以上におかしなことはありませんので大丈夫ですよ」
「うぅ、M4が冷たいわ・・・・」
「自業自得よ」
S09地区司令部の人形宿舎、その一室で毎週行われるミーティングが終わると、AK-12がそんなことを言い出した。なんでも、あれだけべったりだったAN-94がどこかよそよそしくなり、いつの間にかふらっとどこかに行くことがあるのだという。まぁそれ以上の奇行やらサボり癖を発揮するAK-12の方が信用がないが。
AK-12の不真面目っぷりはさておき、M4も隊長として気になるところではあった。職務にまじめでこれといった趣味がなく、平時は呼べばすぐに来るし休日はAK-12を探せば大体見つかるのがAN-94である。そんな彼女が自発的に動くことなど、正直想像しづらいわけだ。
「・・・・そう考えると、彼女はもう少し楽しむことを覚えるべきだと思いますね」
「確かに・・・・・」
「そもそもAN-94が笑ったところって見たことある?」
「「ないわ」」
もしかして彼女はかなり無理をしているのではないか、その結果よからぬことに手を出してしまっているのではないか。そんなことは無いと思いつつ、しかしもしかしたらという疑念も膨らむ。もしそうなれば期待のエリート部隊はおろか、グリフィンとしても大きな汚点となりうる。
よって、M4は決意した。
「次の休みの日、AN-94を尾行しましょう」
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翌週の朝、M4が隊員へ緊急連絡網の確認を通知し解散となった後、やはりというかAN-94は早々と宿舎を出ていった。それを確認したM4らは再び集合し、各々が変装を施して街へと出る。
司令部の前にはバス停があるが、AN-94はそれを使わないところを見ると街の外に出るわけではないらしい。常に一定の間隔を保ちつつ、周りから見れば三人で買い物という風に尾行を続ける。しばらくすると、AN-94は小さな路地へと入っていった。追いかけると、そこは表の通りとは少し雰囲気の違う、アンティークな店が立ち並ぶエリアだった。
「わぁ・・・」
「こんなところがあったのね」
「なんていうか・・・・意外ね」
単純に古い店もあれば、閉店していないのが不思議なほど寂れた店もあり、そして本当に合法なのか怪しい店もある。少なくとも明確な目的がなければ近づこうともしない通りだろう。
その通りの一角、古い写真屋のような店の前で立ち止まると、AN-94は一度辺りを見渡してから店に入っていった。「ような店」というのは、カメラを模した看板こそあるものの文字は掠れ、入り口の掛札は「CLOSED」になっているからだ。しかもまだ開いていないというより、店そのものが閉店している感じだった・・・・・怪しさ満点である。
「これは・・・もしかして本当に?」
「と、とにかく追うわよ」
三人は店の前まで移動し、窓から中をのぞき込む。窓もくすんでいてよく見えなかったが、中にはAN-94と『誰か』の二人がいるらしい。声も聞こえないためその相手がだれなのかはわからないが、背格好から女性であることだけは推測できる。
いくつか言葉を交わした後、相手は封筒を一つ取り出す。決して分厚くはないが、何かが入っているくらいには厚みがある。AN-94がそれを確認すると、彼女もまた封筒を取り出して手渡した。
場所も内容も限りなくアウトに近い取引に、M4らは持ってきていたサイドアームを構えて突撃する。
「そこまでです! 二人とも手を上げておとなし・・・く・・・・・」
「M4!? それにAK-12も!?」
「な、何であんたがここに?」
「あ~いや、これはそのぉ・・・・・アハハ」
「・・・・とりあえず話を聞かせてもらいますよ、
AN-94と一緒にいたマヌスクリプトは、苦笑しながら手を上げる。親しいどころかAK-12絡みであまりいい印象を持っていないはずの二人が会うだけでも意外なのに、マヌスクリプトという怪しい相手と取引しているという事実が三人をさらに驚かせる。
そして見つかったAN-94はさらに動揺していたのだろう。封筒を持ったまま両手を上げ、封の閉じていなかった封筒から何かがばら撒かれる。
「あっ!?」
「ん? なにこれ?」
「見ないで・・・見ないでください・・・・」
「動かないでAN-94・・・AR-15、確認を」
「了解」
あからさまに顔色の悪くなるAN-94(マヌスクリプトも『やっちゃった』という顔をしているが、それだけだ)を抑え、AR-15がその何か・・・・写真を拾い上げて、固まった。
映っていたのは全てAK-12ばかり、しかも普段の姿ではなく、いつぞやにマヌスクリプトによって着せ替え人形にされていた時の写真だった。アングルや目線から完全に盗撮である。
「・・・・・・・・AN-94」
「ひゃいっ!?」
「あなたはAK-12と違って真面目な方だと思っていましたが・・・訂正の必要がありますね」
「あれ? 私の評価ってそんなに低いの?」
「今更すぎるわよ」
その後、AN-94のバッグから過去数回にわたる取引で得た写真が発見され、M4による長い長いお説教が始まるのだった。
「お、私には何もないんだね」
「えぇ・・・・・『私からは』ね」
「マヌスクリプト、少し
「ア、ハイ」
end
番外48-3:手のひらの上
もちろん二人の所業を許しているわけではない。その日一日は口を利かなかったし、次の日だって目を合わせようとさえしなかった。だが忘れてはならない・・・・・彼女たちは周りが砂糖を吐くほどのベタ惚れなのだ。
< ハンター×AR-15・D-15の場合 >
「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・」
「ちょ、ちょっとやりすぎじゃないAR-15?」
「これでも足りないくらいよ・・・・ちゃんと反省した?」
「した・・・したから、もう許してくれ・・・・」
喧嘩自体は少なくないものの、相手が目の前にいながら一切会話のない状況というものがこれまでなかった三人。加えて年末の貴重な休みを喧嘩したまま過ごすというのはさすがにもったいないと感じ、二人がかりでハンターを『オシオキ』することで手打ちとなった。
休暇もかねてコテージを貸し切り、到着と同時にオシオキを敢行してから三時間で仲直り完了である。
「これに懲りたらもうやらないでよ」
「私も本当に恥ずかしかったんだからね」
「あぁ、反省してるよ・・・・・」
ようやく落ち着いた身体を起こし、ハンターは苦笑する。さすがの彼女でも二人がかりは相当堪えたようだ。
AR-15とD-15もベッドに座り、冷蔵庫から持ってきた飲み物を開ける。やり切ってすっきりしたのか妙に艶やかな表情と火照った肌、うっすらと流れる汗に、つい先ほど反省したばかりのハンターの悪戯心に再び火がともる。
「・・・? ハンターもいる?」
「そうだな、いただくとしよう」
「そ、じゃあ今持ってくるかr「いや、その必要はないさ」んむっ!?」
唇を重ね、舌を絡め、勢いのままに押し倒す。ハンターが離れたころには、AR-15は息も絶え絶えで焦点も定まっていなかった。
「は、反省したって・・・・・」
「反省はした。 だがそれとこれとは別だ、無防備なお前が悪い」
「お、覚えてなさいよ・・・・・!」
とりあえず初日と二日目の朝の予定は埋まった。
< HK416×UMP9の場合 >
「・・・・・9」
「んっ!」
「ナーイーンー」
「ん~~~~っ!!」
「はぁ・・・・・ケーキ買ってきたけど一人で食べるわね」
「え、ケーキ!? ・・・・・あ」
(可愛い)
すでに何度か繰り広げられたやり取りに、HK416は大変ご満悦である。もともと構って欲しがりな9に対し、そのすべてを知り尽くしているといっても過言ではない416は巧みな言葉で9の機嫌をころころ変える。9としてはもう許しているのだが、416の落ち込む姿をちょっと見てみたいがための拗ねである。当然、416にはお見通しだ。
またしても416の思うつぼだと気づいた9は、再び顔を背けて頬を膨らませる。だがそれでも416のことは気になるようで、部屋の隅にある鏡を通してチラチラと様子をうかがっている・・・・もちろん416にも気づかれている。
ガチャッ
「どれにしようかしら・・・・イチゴのショート、ザッハトルテ、バゥムクーヘン」
「うっ・・・・」
「フルーツタルト、モンブラン、チーズケーキ」
「うぅ・・・・」
「・・・・・ザッハトルテにしましょうか」(9のお気に入り)
「だ、だめぇえええええ!!!!」
文字通り飛びつく勢いで416のもとに駆け寄る9。それを笑顔で受け止めると、416は撫でながら言った。
「ごめんなさい9、ちょっとからかいすぎたわ」
「ううん、私こそごめんなさい」
「じゃあ二人で食べましょ・・・メリークリスマス」
「メリークリスマス!」
「・・・・・・ねぇ、私たちはいつになったら入れるのかな?」
「それは野暮ってものじゃないでしょうか?」
「私の可愛い9をいじめるなんていい度胸ね416・・・・!」
「大丈夫だよ45、あたいが慰めてあげる!」
「ちょっ、40待ちなさぎゃぁぁあああああ!!!!」
end
番外48-4:Side OPS
十二月某日、とある地区にある高級マンションの一室に一本の電話が入る。その部屋の主は妹と娘を連れて帰省する準備を進めており、仕事の依頼も数日前から断りを入れていた。普段から付き合いのある仲間や情報屋、そして彼女が所属する会社の人間もそれを十分理解しており、だからこそこの仕事用の端末に連絡が入ることは無いと思っていたのだ。
「あー、誰だか知らねぇが今は依頼を受けられねえんだ。 またの機会にしてくれ」
『えぇ、それを承知でお願い・・・いえ、依頼があります』
部屋の主・・・処刑人は面倒くさそうな表情から一転、メモ帳まで取り出して真剣に話を聞く姿勢をとる。電話の主である代理人は、彼女の都合を考えないほど無神経ではない。それはつまり、それほど急を要する事態であることを意味する。
『無理を言っているのは理解していますが、どうか力を貸していただけないでしょうか?』
「水臭いな代理人、私が見ないうちに身内にまで余所余所しくなっちまったか?」
『ふふっ、あなたも変わらないですね・・・・・では、内容を説明いたします。
場所は○○共和国東部の町、あなたならこのあたりの情勢にも詳しいでしょう。 私が調べた範囲ではまだ戦火は及んでいませんが、それも時間の問題・・・あなたには反政府軍と協力して市民の避難をお願いしたいのです』
代理人の依頼を聞きつつ、目的地の情報を整理していく。処刑人が所属する民間軍事会社でもこの国の内乱は注目されており、どちらに付くにせよ近いうちに仕事が来るだろうと睨んでいた。代理人の言う通りこの町はまだ比較的落ち着いているが、クリスマスを無事迎えることはできないだろうと踏んでいる。
なぜ代理人がわざわざ依頼するのかまではわからないが、お節介な彼女のことだから誰かの手助けの一つだろう。そうでなくても鉄血工造が誇るハイエンドの一人で一番槍、依頼を受けないという選択肢はない。
『私にできるのは、これだけです』
「いや、十分だ・・・・んで、報酬の件だが」
『えぇ、こちらで用意できるものであれば何でも構いません』
「そんな無茶なことは言わねぇよ。 まぁそうだな・・・・・うちの娘がでっかいケーキを食いたがってたかな」
『承知しました、腕に縒りをかけましょう・・・・・ちゃんと帰ってきてくださいね』
「任せとけって」
通話を切り、まとめていた荷物から仕事道具一式を取り出す。基本的に武器類のほとんどは会社に置いているが、製造時からの装備であるブレードとハンドガンは自身で保管している。
今年はもう仕事はないといいつつ装備を確認している処刑人を不思議に思ったのか、彼女が引き取っている少女がそっと近寄ってくる。相変わらず無口・・・というか全く喋らないが、心配してくれているらしい。
「わりぃな、ちょっと頼まれたから行ってくる」
「・・・・・・」ギュッ
「大丈夫だって、ちゃんと帰ってくる・・・・約束だ、な?」
「・・・・・」コクン
「よし、じゃあいい子で待っててくれよ・・・・行ってくる」
戦場へと旅立つその背中を信じ、少女は見送るのだった。
「・・・・・・あ、飯は冷凍したのがいくつかあるからチンして食えよ。 あとお菓子はちょっと高いとこにあるから執行人のやつに取ってもらえ。 洗濯もんは帰ってきてからまとめてやるからかごに入れといてくれ。 あと・・・・」
「・・・・っ!!」
「いてっ!? わ、わかったわかった、行ってきま~す!」
end
何とか年内に間に合ったぜ・・・・というか読んでる間に年が変わってるかもしれませんね、あけましておめでとうございます!
とりあえず2021年の一発目は3日までの投稿を目指そうかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
・・・・・あ、完全に私事ですが、久しぶりにポケモンがやりたくなったのでアルファサファイア買いました。リメイク前がちょうど世代だったので、懐かしさで涙が出そうです笑
では、各話の解説!
番外48-1
HK416のなぐりこみ。
忘れてはならないがペルシカさんも十分変態技術者の一人なんですよね。
ラストのくすぐりは文字に起こすとR-17.5くらいになりそうだったのでやめました笑
番外48-2
第百九十話の後日談。一見クールで仕事一筋みたいな人形がじつは・・・みたいなシチュって、いいですよね。
番外48-3
お年越しそばとおせちが甘くなるほどの砂糖をぶち込んでみた。
AR-15はなんだかんだハンターに主導権を握られて悔しそうにするのが似合う気がするし、D-15はそもそも受け身な感じが似合いそう。
9はどう頑張っても416に勝てない(確定事項)
番外48-4
PJ並みの死亡フラグ乱立!
春田さんたちの宅配便が来る前の補完ストーリーですが、もともとは本編の方で書く予定でした(長くなりそうなのでカット)
時系列は本編前半→コレ→本編後半って感じです。
・・・・どうでもいいけどマンションの隣の住人がカタナ担いで出てきたら普通にビビると思う笑