喫茶鉄血   作:いろいろ

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ディビジョンコラボが始まりましたね。
以前に少しだけプレイしたことがあって、ちょっと懐かしく思いました(笑)

・・・・・・もっかい始めようかなぁ


第百九十六話:復活! 鉄血工造

 二月初頭、よく晴れて季節の割にぽかぽかと暖かい日のこと。

 S09地区から少し離れた場所に広大な敷地を持つ鉄血構造本社は、現在は規模を縮小させているが最盛期には大手にふさわしい社員数を誇っていた。社用バスも出ていたがほとんどの者は車での出勤か本社隣の社宅(今なお在籍中の社員のほとんどはここ)であり、それ用の広い駐車場もある。

 ハイエンドがほぼ全員鉄血工造を離脱するという事件以降はほとんど空きだったその駐車場が、この日は満車の状態になっていた。

 

 

「あら社長、あなたも来たのね」

 

「む、ペルシカか・・・・敵情視察かな?」

 

「16labの所長としてはね。 まぁ実際はただの好奇心からよ」

 

「だろうな」

 

 

 ではお先に、そう言うとペルシカは護衛の人形を連れて玄関に向かう。それに続くようにして他の者たちも次々と中に入っていく。ペルシカと同じ研究者、グリフィンの関係者、軍人、人形を扱う業界の者、記者、その他さまざまな業界の人間が入っていき、鉄血の人形たちが出迎える。

 彼らの目当て、それは数日前にまでさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「・・・・・・ふむ、これなら問題ないだろう」

 

「ほとんどあってないようなものだったがな」

 

「公にできるかどうかは大きいと思うよ?」

 

 

 グリフィン&クルーガー社の最上階、社長室に併設された会議室に座るクルーガー、ペルシカ、カーター将軍が、プリントをめくりながら議論を交わす。そこに書かれているのは鉄血工造の研究資料やかつての騒動、そして今に至るまでに進められた是正策だ。特に世間的に大きな影響を与えたハイエンドたちの騒動に関しては、再発防止を徹底することが盛り込まれている。

 そんな彼らの前で、スーツ姿という珍しい恰好をしたサクヤとアーキテクトが緊張した面持ちで待つ。鉄血工造の未来をかけたといっても過言ではないこの会議に、彼女たちは全力を投じてきた。度々ブレーキが吹き飛ぶことで有名なアーキテクトですら、今回は一切の悪ふざけもサボりもなしに仕事したほどだった。

 もっとも、そんな緊張感Maxな二人とは対照に、クルーガーたちはほぼ承認する意向で固まっていた。別にあの騒動も何らかのトラブルというわけでもなく、人形がやらかすという意味では軍もグリフィンも変わらない・・・・というかグリフィンなんて日常茶飯事だ。もはや形式だけの印鑑を押し、同じく形式だけのサインを書く。この三人のサインだけで相当の効力があるが、当人たちにそんな自覚はない。

 

 

「では決まりだ。 これにて、鉄血工造にかけられていた制限の全てを解除、ならびに人形製造・半場合業界への復帰を認める」

 

「まぁ前者はともかく、製造は割と頻繁にあったみたいだけどね」

 

「だから言っただろう、あってないようなものだと」

 

 

 最後の承認印が押され、サクヤたちの手元に返ってくる。それを受け取った瞬間、サクヤとアーキテクトは飛びあがった。

 

 

「やった! やったよアーキテクトちゃん!!」

 

「夢じゃないよね!? これほんとだよね!?」

 

「・・・・・うん、これでよかったんじゃない?」

 

「終わったような顔でいるがなペルシカ、我々の仕事はこれからだぞ」

 

「当分はマスコミとパパラッチに追われるだろうな」

 

 

 こうして鉄血工造の業界復帰が認められ、その日の午後にはプレスリリースが行われた。この情報は瞬く間に世界に広がったが、それよりも早く鉄血工造から新たな情報が発信された。

 新型のハイエンドモデル製造のお披露目を行う、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「・・・・・で、実際のところはどうなのですかユウトさん?」

 

「お気持ちは察しますが事実です、アーキテクト姉さんはあの発表をしてから着手してましたよ」

 

「となると、製造期間が一週間ほどということになりますね」

 

「設計と概要だけお披露目するつもりだったんですが、まさか一週間で完成させてしまうとは思ってなくて・・・・」

 

 

 鉄血工造の新型、それだけでも注目の的なのに、復活と同時にお披露目を宣言すればどうなるか。多くの者が「実は黙って作っていたのではないか?」と思うわけだ。フライデーもびっくりな勢いでマスコミが殺到し、その対応にユウトは忙殺されてしまった。結果的にその疑いは晴れたのだが、世間ではまだまだ疑いの目が強いのだ。

 もっとも、アーキテクトを知る者からすれば納得できてしまうことでもある。あくまで製造が禁じられていただけで設計は範疇外、そしてアーキテクトなら設計図さえあれば最短三日程度で完成までこぎつけるだろう。

 

 

「ふふ、幸先がいいのか悪いのかわかりませんね、()()()()様?」

 

「そ、その呼び方はやめてください・・・まだ慣れないんです」

 

 

 もう一つ、会社としての体裁面で変化があった。これまでなんとなく『主任』『責任者』『リーダー』『隊長』などなどの肩書がついていたが、改めて出発となると、これではまずい。というか会社なのに『社長』が空席のままで、人形はもちろん数少ない人間社員もその席に座りたがらなかった。

 ゲーガーとユウトを筆頭にこの問題に取り組み、その結果がユウトの『開発主任』という肩書だった。

 

 

「まぁまだ僕はいい方ですけど・・・・ゲーガーが・・・・・」

 

「あぁ・・・・見事に押し付けられましたね」

 

「姉さんもアーキテクト姉さんも・・・・いや、二人に任せるのは不安かもしれませんが」

 

 

 ユウトの言う通り、鉄血工造の代表取締役・・・・要するに社長の座にいるのは、これまで輸送部隊の指揮と暴走組のストッパーがメインだったはずのゲーガーである。本人もなぜかわからないまま、気が付いたらそこにいたらしい。

 ちなみにサクヤは人形関係部署の総責任者、アーキテクトはなぜかマーケティングと販売の責任者である。本人曰く「世のニーズは理解している」らしい。とはいえ今のところは輸送、人形製造、販売しかないため、サクヤもアーキテクトもこれまで通り設計開発に携わる予定だ。

 

 

「あとで差し入れを持っていきましょう」

 

「ありがとうございます。 最近夜遅くまで勉強しているみたいで・・・・・」

 

「相手にしてもらえなくて寂しいですか?」

 

「それはもちろん・・・・ってそれは関係ないです!」

 

「冗談ですよ。 さて、そろそろですね」

 

 

 代理人とユウトがモニターを見上げると、ピシッとスーツを着こなしたゲーガーが拍手で出迎えられている。二人がいるのは社員用の休憩室で、代理人はお忍びで訪れていることになっている。

 

 

「こうしてみると、ゲーガーが社長というのはあながち間違いでもないかもしれませんね」

 

「公私はしっかり分けるタイプですし、社長の立場ならアーキテクト姉さんも止めやすいはずです」

 

「なるほど、そっちがメインですね」

 

「・・・・・いつかアーキテクト姉さんを止められるハイエンドを造ろうと思っています」

 

 

 二人が話している間にもゲーガーのスピーチが続き、各方面からの質疑応答にこたえていく。こうしてみると確かに、彼女が適任なのだろうと思う。アーキテクトが終始まじめでいられるとは思えないし、元々別世界の住人であったユウトとサクヤではなにかと不都合な部分があるかもしれない。その点ゲーガーなら常識も統率力も技術的なスキルも十分だ。

 実際、踏み込んだ質問にも臆せず答え、言葉尻を取ろうとする相手にも毅然と向き合う姿は、鉄血工造を背負うに相応しく思えると同時に、結果的に色々と背負い込ませていることを申し訳なく思う代理人だった。

 

 

「おや、終わったようですね」

 

「はい・・・・次はいよいよ」

 

「アーキテクトの出番、というわけですか」

 

 

 そしてここからが最も不安な時間、アーキテクトによる新型のお披露目である。何がどう不安かというと全体的に不安なのだが、あのアーキテクトが何もやらかさず事を終えられるかが最も不安なのだ。流石のアーキテクトもこれだけの人の前では自重するだろうという思いと、彼女ならもしやという思いが五分五分・・・・・いや、四対六くらいかもしれない。

 そんな代理人とユウトの不安に反し、ゲーガー同様にスーツ姿のアーキテクトは落ち着いた様子でステージに立つ。同時にスクリーンが切り替わり、いよいよお披露目の時がやってくる。

 

 

『皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます』

 

 

 開口一番、もはや本人の面影もないほど丁寧な口調で話し始めたアーキテクトに一部の者は唖然とする。その後も彼女に似つかわしくないほど丁寧でわかりやすい説明を続け、あの煽るような態度は完全に鳴りを潜めている。おかげで何のトラブルもなく仕様説明が終わり、質疑応答もスムーズに進んだ。

 この調子だと、何とか無事に終わりそうだ。そう思った代理人が彼女たちを労いに行こうとしたその時、休憩室の扉が開き、焦った様子のゲーガーとサクヤが入ってきた。

 

 

「いた、代理人!」

 

「ごめん代理人ちゃん、力を貸して!」

 

「・・・・・・はい?」

 

 

 どうやら、世の中そう上手くはいかないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




よし、これで新キャラを出しやすくなったな!
まったく、誰が「鉄血工造は新規製造禁止」なんていう設定にしたんでしょうかね(すっとぼけ)


そして今回、タイトルでは明記していませんが前後編扱いです。
もともと一話で終わらせる予定が、なんか気が付いたら長くなってしまいましたね笑
拙作は本文三千字台を目安にしているので(今更)


では、今回のキャラ紹介。

代理人
騒動は落ち着いたとはいえ、流石に堂々とは来れないのでお忍びで。
妹たちの出世を喜ばしく思う反面、何もかもを押し付けたようで申し訳なく思っている。

サクヤ
人形関係部署の総責任者・・・・という実質最高責任者。
別の世界ではハイエンドを一から作り上げただけあって、その方面での信頼は厚い。
忘れられがちだが、実はアーキテクトに次いで暴走しやすい。

ユウト
開発主任、要するにサクヤ直属の部下。
堅実かつ安定した設計開発ができるため、いざというときの軌道修正係。
自己評価がやや低いが、この歳で人形のメンテを完璧に行えるというチート。

ゲーガー
押しつけ、というより消去法で社長の座に就いた。
相変わらず暴走を止める役に変わりはないが、立場上『承認印』を押さなければいいため少し楽になった。
なお、離脱したとしてもハイエンドたちは鉄血工造のシステムの傘下にある。つまるところ、現時点でゲーガーは代理人をも超える指揮権を手に入れている。


クルーガー/ペルシカ/カーター
鉄血工造とはそれなりに付き合いやら因縁のある組織の代表として来ている。
とくに反対する理由はなかったが、唯一の懸念はアーキテクトの暴走である。






新型ハイエンドモデル
「鉄血工造」「ハイエンド」「新キャラ」というと大体思い浮かぶアイツ。
性格や口調はともかくあのデザインにしたエルザさんは何を考えているのか・・・・某総統閣下が叫びそうである。
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