てなわけで今回のラインナップ
・《挟まっちまった》
・軍人
・性能試験(裏)
・Happy Valentine
・その悪夢に安らぎを
※この話の続きです
https://syosetu.org/novel/196745/13.html
番外49-1:《挟まっちまった》
所属不明、製造元不明の人形であるニモゲンとマーキュラス。ひょんなことから喫茶 鉄血で働くことになった二人だが、当初の想定よりもまじめに働いてくれていた。口では文句を言いつつもなんだかんだ気配りのできる姉のニモゲン、特に不平不満も言わず黙々と働く妹のマーキュラス、そんな二人が働き始めて以降、彼女たち目当ての客もわずかながら増えた。
初めのころこそ警戒されていたが、今ではこの店のマスコットである。
「って誰がマスコットよ!?」
「異議申し立て」
「まぁ、愛されているということでしょう」
そもそもこの店に通う客は、そのほとんどが所謂ツワモノである。どれだけ蔑まれようと、冷たい目を向けられようと、彼らの場合はご褒美でしかない。そんな彼らの需要と、ツンデレ・冷たい目がデフォの二人の供給は見事に一致しているのだった。
それに加えて・・・・・・
「痛っ!」
「ふぎゅっ!」
「い゛っ!?」
「ちょっ、姉さま、助けて姉さま!?」
この二人に限った話なのだろうが、なぜかよく『挟まる』。小窓や戸棚はもちろん、入り口のドアや自室のドアにもなぜかよく挟まる。挟まる箇所も服の端や髪だけでなく、指や手、顔や体など様々。
もはや不幸体質と言っても過言ではないほどの不幸っぷりだが、本人たちのリアクションも相まって『ポンコツ枠』に名を連ねることになったのだ。
「・・・・・いっそ自動ドアにしてみましょうか」
「ダメ! それは本当にダメ!!」
「もうあんな醜態は曝したくありませんわ!!!」
以前買い出しに行かせた際にも、行きつけの店の自動ドアに挟まれたことがあった。その日その時、奇跡的にセンサーと緊急時開閉システムが同時に故障し、まるで狙ったかのように挟まれた二人。救助されるまでの一時間、何とも間抜けな姿をさらし続けたのだった。
帰りが遅いと不思議に思った代理人が探しに来て、事務所で泣き続ける二人を回収して一件落着となったのだが、二人にはトラウマとして刻み込まれたらしい。
「そうよ代理人、日本という国には『暖簾』っていうドアじゃないドアがあるそうじゃない!」
「それならもう挟まることはありませんわ! 早速導入しましょう!」
「景観に合わないので却下です」
そんな二人は、今日もドアに振り回されながら働くのだった。
end
番外49-2:軍人
M4A1と代理人がヘリアン救出(強制ログアウト)作戦を実行していたそのころ、同じく電子の都合の良い夢に囚われたアンジェを救うべく、AK-12は単身で突入していた。表向きは人命救助、及び元上司に対する敬意からであるが、実際のところは貸しを作りたいという打算にまみれたものだった。
それに、AK-12はもともと高度な電子戦を想定して設計されたハイエンド機であり、今回の任務においてはまさに適任とも呼べる存在・・・・・失敗するなど考えもしなかった。
「フンッ!!」
「ふぎゅっ!?」
きれいに投げ飛ばされたAK-12が、地に落ちると同時に間抜けな声を上げる。投げ飛ばした相手・・・・・アンジェは腕を組み仁王立ちで不敵な笑みを浮かべる。
「無駄よAK-12、あなたでは私を止められないわ」
「くっ・・・・」
いくら強化されているとはいえ、相手はただの人間。その人間相手に手も足も出ないというのはいくらなんでもおかしい。AK-12の疑問は深まるばかりだが、解決の糸口すら見えない。
アンジェもヘリアン同様、この空間のヌシであるため都合の良い世界に作り替えることが可能だ。だが相手は電子戦特化のAK-12、その程度のことではすぐに看破されてしまう。そこで取った方法が、自身の身体能力を向上させつつ相手の能力をやや下げるというもの。一見して分かりづらく、また相手のフィールドだから仕方がないと思わせることで、不自然さをカバーしている。
加えてアンジェは一切の銃器を使わず、近接格闘戦のみを仕掛けている。どれだけ性能が良くても、姿形は人間と同じ・・・・関節技も投げ技も有効な相手なのだ。
「あなたは確かに優秀な人形よ、けれど経験という意味では私の足元にも及ばない」
「えぇそうね、ならぜひともその技術を伝承してもらいたいものだわ・・・・現実でね!」
すかさず銃を構えるAK-12だが、それよりも早くアンジェが詰め寄る。電子空間特有の常識を逸した加速にも素早く反応したが、その後の行動はやはりアンジェの方が一枚上手であった。銃ごと引き寄せられ、とっさに突き出されたナイフを義手ではじき、胸ぐらをつかんで背負い投げる。そのまま腕をひねりあげられ、今度こそ為すすべなく抑え込まれてしまった。
「チェックメイトよ、AK-12。 もうギブアップしたら?」
「勝者の余裕ってやつ? そんなことしてると足元掬われるわよ」
「心配してくれるの? でも大丈夫よ、少なくともあなたには負けないから」
勝ち誇ったように宣言するアンジェを睨み続けるAK-12だったが、ふと表情を緩めると抵抗せずに身を投げ出した。降参、という意味らしい。
「はぁ・・・・私の負けよ。 もう好きにしなさい」
「あらそう? けどもういいわ、そろそろ帰るから」
あれだけ抵抗していたにもかかわらず、さっさと帰る準備を始めるアンジェに、AK-12は首をかしげる。
「もういいの?」
「えぇ、暴れたらちょっとすっきりしたし、やることもできたしね」
「・・・・・やること?」
何か嫌な予感を感じつつ、AK-12が問う。その問いに振り返ったアンジェの顔は、とてもいい笑顔だった。
「ハンデがあったとはいえ、人間相手に完敗なんて腕が落ちたなんて騒ぎじゃないわ・・・・・再教育が必要ねAK-12?」
「・・・・・・今はあなたの部下じゃないのよアンジェ?」
「M4に頼んでおくわ」
「ユルシテクダサイオネガイシマス」
こうして、一部の者をちょこっとだけ騒がせた事件は幕を閉じ、同時にM4によるAK-12矯正プログラムが開始されることになったとさ。
end
番外49-3:性能試験(裏)
ゲートが開き、外の光とともに風が格納庫に吹き込む。それに長い髪を揺らしながらその時をじっと待ち、格納庫のランプが青に変わると同時にアクセルを全開にした。巨体にふさわしい重く力強いエンジン音と、見た目に反して軽快に走り出すそれを操り、新型ハイエンドモデル『ビーク』は性能試験の舞台へと踊り出すのだった。
『敵機出現を確認』
「機銃、ミサイル一斉発射!」
ビークの合図と同時に大型バイク前方の機銃が火を噴き、格納されていたミサイルが放たれる。それらは模擬戦用の敵機を一瞬で蹴散らし、観客席から感嘆の声が上がる。
ビーク自身に専用の銃火器はないが、専用機として開発された大型バイクが固有の装備にあたる。自動車にも匹敵する重量と巨大さを誇り、前方に四門の機銃、機体各所に仕込まれた小型誘導ミサイル、極めつけはスケアクロウのビットを大幅に改良した球体型のビットが三機という重武装である。これに加えて巨体を制御できるほどの馬力や、並みの銃では太刀打ちできない装甲、そしてバイクそのものは驚くほど堅実な設計だ。
だがもちろん、あのアーキテクトがこの程度で終わらせるはずがないのも事実だった。
『敵機さらに出現、包囲された』
「数は!?」
『37機―――警告、ロックオンされた』
「ビット展開と同時に回避運動、コンテナAを展開!」
本体下部のビットが解き放たれ、それぞれが独立して目標を攻撃し始める。一拍遅れて敵の攻撃も始まるが、まるで弾が避けているかのように絶妙なコントロールで回避行動をとる。ビークもいくつかある収納スペースから取り出したショットガンで応戦し、わずか一分もかからずに無傷で制圧してしまった。これには観戦していたお偉い方や記者もどよめく。
これを可能にしているのは、ビークの性能だけではなかった。
「
『ミサイル残弾僅か、ビット残エネルギー50%』
「ビットを一時格納、ミサイルはこのまま撃ち尽くして!」
『承諾』
招待された者たちの誰も、代理人でさえも知らない秘密。それがこのバイクに搭載された人工知能である。表向きはビークの性能披露であり、バイクにはサポートAIが搭載されていると発表されているが、鉄血工造の真の目的はこの超高性能AI『エルダーブレイン』・・・・通称『エリザ』のデータ蓄積である。
ビークとともに実戦と実生活を経験させ、より人間らしいAIを作り出すというのが目的だった。アーキテクトによるごく短期間での新型開発も、ついでに弄った性格面も、全てはこれを隠すためのものなのである。
「くっ・・・・!」
『個体名ビークへの被弾を確認、行動に支障なし――――やっぱりその胸が邪魔』
「それは関係なうわっ!?」
『至近弾―――――胸部を削減すれば被弾率が下がる』
「わ、私が欲しいって言ったんじゃないもん!」
『持つ者の詭弁』
「違うよ!?」
かくして、ビークの性能試験は成功に終わり、鉄血工造の復活と大々的に報道されることとなる。
その一方、なぜかビークは再び引きこもるようになってしまったのだとか。
end
番外49-4:Happy Valentine
2月14日、それは乙女たちにとって命を懸けた一日である。思いを伝えるべく綿密な計画を立て、周到に用意し、覚悟を決めてこの日に臨んでいる。もっとも、この司令部では比較的平和に進むカップルが多いため、いわゆる修羅場による『血のバレンタイン』にはならないケースが多い・・・・ヘタレが多いのも事実だが。
そんな夢見る乙女()の一人、撃ちだすものは銃弾ではなく煩悩だともいわれてしまうスプリングフィールド氏は、その愛の大きさをそのまま形にしたような抱えるほどのサイズのチョコを持って指揮官室へと足を運んだ。
「うふふ・・・・この『ちょっぴりHになれる薬入りチョコ』で、今日こそ指揮官と・・・・・うへへへ~」
訂正、愛ではなく欲望が詰まっていた。
そんなスプリングフィールドだが、指揮官室の前で足を止める。そこにいたのは彼女にとっての憎き敵、同じく指揮官を愛する女たちである。しかしその誰もが扉へあと一歩というところで倒れており、スプリングフィールドは首をかしげる。
「何があったのでしょう・・・・まぁ私には関係ありませんね♪」
倒れ伏す同僚などお構いなしに進み、ドアノブに手をかける。ところがなぜか鍵がかかっているようで、押しても引いてもびくともしない。
「・・・・・・・・」
だがそんなことでは引き下がらないのが指揮官love勢筆頭。ポケットから針金を取り出し、慣れた手つきでカギ穴に差し込む。指揮官室は電子ロックと物理的なカギの二重ロックになっているが、見たところ電子ロックの方は開いている(だからこそ指揮官がいるのだと確信している)。
そしてものの数秒でカギを開けると、呼吸を整えて勢いよく扉を開けた。
「指揮官~! ハッピーバレンタイn・・・・・あら?」
一瞬、入る部屋を間違えたのかとも思ったが、正面にいるのは愛しの指揮官で間違いない。珍しく大量の書類が机に乗っているが、それはまぁ手伝えばいい話だ。
しかしその隣にM9によく似た人形が座っているのが解せない。加えてソファーや椅子、壁際にも見覚えのない人形たちがずらりと居座り、そのうちの一人・・・・・とある一件でこちらの世界に来た『チェーン』がスプリングフィールドの前までやってくる。
「あーごめんね、今日はちょっと指揮官さんが忙しいらしくて」
「え、あ、はい。 ではそのお手伝いを・・・・」
「それなら間に合ってるぞ」
そう言い出したのはソファーに座り、手伝いの手の字もないほどくつろいでいるコートの女性『ジャッカル』。そして彼女が言う「手伝い」をやっているのが『サムライエッジ』である。
敬意としてはこうだ。前日に突然仕事が大量発生した指揮官は、一日で終わらせるべく自ら缶詰状態になった。しかし何かしらの妨害(決して悪い意味ではない)があっては困るので、手伝い兼用心棒を呼んだのだった。それが彼女たちである。
ちなみに呼んだのは一人だけ・・・・『サムライエッジ』だけのはずだったのだが、なぜか『カスール』と『ジャッカル』が現れ、暇だということで『チェーン』と『ヤーナム』を呼び、何処からか聞きつけた『シカゴタイプライター』と『スネーク・マッチ1911』が大量の酒と葉巻を抱えて乗り込んできた。
結果、まるでヤクザの事務所のような様相の出来上がりである。
「ともかく、今日は諦めてもらいたい」
「ま、私らを倒すというなら止めはしないがな」
「ちょっとタイプライター! 余計な挑発は「・・・・いいでしょう」え?」
「あなた方を倒して、私は指揮官と添い遂げます!!」
背負っていたスプリングフィールド・ライフルを構え、堂々と宣戦布告するスプリングフィールドと、その言葉にゆらりと立ち上がる「常識外れ」たち。その光景にため息をついたサムライエッジとチェーンは、粛々と指揮官の仕事を手伝い始める。
この5分後、指揮官室の前に倒れる人形が一人増えたという。
end
番外49-5:その悪夢に安らぎを
その日、なんとなくパトロールのルートを変えて、なんとなく気になった裏道に入っていったUMP9。どこからどう見ても規則違反なのだが、その結果が一人の少女を救うこととなる。全身黒っぽい装束に身を包み、見るからにごつくて危険な武器をぶら下げている血まみれの少女に、9は見覚えがあった。
慌てて駆け寄り、まだ息があるとわかるや否や、その少女を担いで9は喫茶 鉄血へと向かう。
そこならば、彼女を『救う』ことができるはずだという直感からだった。
「いずれお見舞いに来られるはずですので、その時にお礼を言いましょうか」
「・・・・・・そうね」
代理人の腕の中で泣き続けた少女『ルーナ』は、落ち着きを取り戻してからここに来るまでの経緯を改めて聞いた。
全身血まみれ、虫の息であったルーナを9が担ぎこんできたときは店内が騒然としたが、代理人がうまく鎮めたことで大騒ぎにはならなかった。その後はいつも通り店をDに任せ、代理人の自室で応急手当てをしたという流れだが、その見た目と9の証言から、以前この店を訪れた狩人『ローウェン』と同様に狩人であると確信していた。
というわけで早速アデーラに頼み込んで血を分けてもらい(本人はローウェンでないと知ると不満そうだった)、輸血して回復を待っていたという。
「・・・・・・・・」
「回復能力の高い狩人といえど、まだ傷が癒えたわけではありません。 今はゆっくりと休んでください」
「えぇ・・・・ありがとう代理人」
ルーナをベッドに寝かせ、代理人は救急箱を片付け始める。
何度見ても、異世界の医療の発展には驚かされる。これがあれば、もしかしたら兄を救うことができたのかもしれない、家族仲良く過ごすことができていたのかもしれない・・・・そんな都合のいい妄想に、ルーナは自嘲気味に笑った。
認めたくなかったが兄は、ローウェンは獣になってしまった。人から獣になることはあっても、その逆はない。それはつまり、彼女にとって最後の家族を失うことを意味している。ついさっき流しきったと思った涙が、また溢れそうになった。
今はそっとしておこう、そう思い代理人が部屋を出ようとドアノブに手をかけたその時、突然ドアが勢いよく開け放たれた。廊下に面しているため部屋側に開くようになっており、当然目の前にいた代理人に直撃する。
そうとも知らずに開けた本人、『UMP45』は怒り心頭とった様相で殴りこんできた。
「ちょ、落ち着いてよ45姉!」
「もう済んだことでしょ!? 今更掘り返すものじゃないわよ!」
「これが落ち着いていられるもんですか! あんたね、前にうちの可愛い9を襲ったっていう外道は!?」
「あぁもう! G11も見てないで止めなさい!」
「ラムレーズンアイスで手を打とう」
「はったおすわよ!?」
視線だけで人を殺しそうなほど怒り狂った45を、9と416が必死に抑えている。それでもじりじりと寄ってくるあたり、並々ならぬ執念を感じる。実際、以前に9が襲撃された際には『
そんな45の肩に、ポンッと手が置かれる。邪魔をするなと言わんばかりに睨みつけ、しかし相手の表情を見てサァッと青ざめ始める。
「・・・・・45さん、怪我人の前ではお静かに」
めちゃくちゃいい笑顔の代理人は、そう言うと45の首根っこをひっ掴む。よく見ると鼻頭が赤くなっており、その目にちょっとだけ涙が浮かんでいる。どこからどう見てもキレていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『―――――――!!!!』
「うわぁ、結構怒ってるよ代理人」
「まぁ当然ね・・・・あんたもほどほどにするのよ」
「怒らせる相手は選んでるから大丈夫だよ」
「怒らせるなって言ってるのよ」
代理人に連れていかれた45がログアウトし、静けさが戻った部屋。時折廊下から聞こえてくる声に呆れつつ、416とG11は9たちに視線を戻す。
「その・・・・・あの時はごめんなさい」
「ううん、もう気にしてないから大丈夫だよ」
無事和解(?)したようで、9に人懐っこい笑顔につられてルーナも笑う。代理人にもそうだが、狩りの中の協力関係ではなく純粋な優しさに触れたのはいつぶりだろうか・・・・・そう思うと、兄とまともに話すことすらできなかった自分がひどくみじめに思えてくる。
だから、思い切って相談してみた。
「・・・・・ねぇ9」
「ん? なぁに?」
「もし・・・もしよ? あなたのお姉さんが突然豹変して、人を殺して回るようになったら」
「ちょっと!? 私はそんなことしないわよ!?」
「45さん、まだお話の途中ですよ」
「離して! せめて一発殴らせて! あぁ~~~~・・・・・」バタン
再び連行されていく45に二人は顔を見合わせると、思わず噴き出した。確かにあの姉なら、そんなことにはならないだろう。
そのうえで、9はルーナの問いに答える。
「う~ん・・・・とりあえず話してみる、とか?」
「・・・・・・もう話も、声すら届かない場合は?」
「結構重傷だね・・・・・・・あ、じゃあ耳元で叫んでみるとか!」
「・・・・・・うん?」
「もしくは話を聞いてもらうまで殴ってみるとかかな」
「えっと・・・・9ちゃん?」
明らかに危ないことを言い始める9に、ルーナは若干引き気味だ。見るとG11も呆れており、416は頭を抱えている・・・・どこかで教育を間違えたのかもしれない。
「ルーナだって、お兄さんを殺したいわけじゃないんでしょ? だったら話してみればいいよ」
「もう、手遅れよ。 兄さんは悪夢に飲まれてしまったわ・・・・・」
「う~~~ん・・・・・わかった、じゃあこれあげるね!」
再びネガティブモードになってしまったルーナに、9はあるものを手渡す。円柱状の本体にレバーのようなものが取り付けられたそれは、9が愛用する閃光手榴弾だった。
「光の量も音も通常の二倍! これならどんなお寝坊さんでも一発で起きるよ!」
「いや、悪夢っていうのはそういう意味じゃなくて・・・・・」
「でも夢は夢でしょ? なら覚ましてからお話すればいいんじゃないかな?」
何の疑いもなくそう言い放つ9に、ルーナは開いた口が塞がらなかった。知らないから当然と言えば当然なのだが、こうも簡単に言われてしまうと少々腹が立つものだ。
だが同時に、9の言葉もすとんと落ちてくるものがあった―――――『夢なら覚ませばいい』、単純だがわかりやすい方法にルーナは決意を固めると、布団をはねのけて服を着替え始めた。
「ちょ、ちょっとルーナ!?」
「ありがとう9、おかげでどうすればいいか分かった気がする」
「え、あ、どうも・・・・・じゃなくて! その傷じゃまだ動いちゃダメだよ!」
「大丈夫、狩人は頑丈なのが取り柄だから」
9が止める間もなく、身支度を整えて装備を身に付けるルーナ。そして懐から一丁の古ぼけた銃を取り出すと、それを構え・・・・・ふと思い出して今度はまた別のものを取り出す。それはアンティークなコインで、淡く輝くそれを9に手渡す。
「これは私からのお礼、受け取って」
「・・・・ルーナ?」
「あなたと会えてよかった・・・・もしまた会えたら、その時はゆっくり話しましょ」
「ルーナ、待って!」
9が止めに入るよりも先に、ルーナは『共鳴破りの空砲』の引き金を引いた。その体がおぼろげになり、やがて霧のように掻き消える。416とG11も信じられないものを見たような表情で固まる中、説教を終えて戻ってきた代理人がポツリと零した。
「あら、もう帰ってしまいましたか」
「代理人、彼女は・・・・・・」
「ご安心を、元の世界に戻っただけです」
「え、でも何もないとこで消えて・・・・え? え??」
416とG11の混乱が加速する中、9は少し寂しそうに渡されたコインを見つめ、それを握りしめるとパッといつもの笑顔に戻る。
そして、ここではない世界に生きる友人にエールを送るのだった。
「・・・・頑張ってね、ルーナ」
end
ドルフロ、アークナイツ、ブルーアーカイブ・・・中国産のゲームってなんでこんなに面白いんでしょうかね(笑)
ちなみに、私が個人的に好きなイベントがビンゴイベントだったりします。チャットミッションでいろんな方からメッセージが来ると、より頑張ろうって気になりますね。
では、話もそこそこに各話の紹介
番外49-1
ニモゲンとマーキュラスといえばドア、ドアといえばニモゲンとマーキュラス。
私は悪くない、彼女たちのステージにドアを仕込んだ運営が悪いのだ(責任逃れ)
番外49-2
いくら残念美人であろうと、あのゴリゴリの正規軍にいる時点でアンジェも相当の強者だと思う。
今回みたいな「性能を技術が上回る」っていう話は他作者様の作品に強く影響されましてね・・・・やっぱりロマンがあるじゃない?
番外49-3
喫茶 鉄血の執筆当初は存在を知らず、その後は出すタイミングを逃しまくっていたエリザことエルダーブレイン初登場。
今はまだただのAI扱いですが、そのうちボディも用意しようかな。
なお、体のある部分が豊かな者に対して辛辣になる傾向がある。
番外49-4
バレンタインという名のチョコ要素皆無なバレンタイン・・・しかも一週間以上の遅刻。
ついでに過去の
シカゴタイプライターに始まりジャッカル&カスール、ヤーナム、スネーク・マッチの連戦・・・・・無理ゲーすぎる。
番外49-5
『無名の狩人』様の作品『ブラッド・ドール』とのコラボ!
一話独立にしたいと思っていましたが、早くお返しが書きたかったのでこうしました。
あっちの世界は結構大変な状況だけど、ここでは一切関係ないのでね(笑)
あと45姉はやっぱり使いやすい。
ルーナ「狩人は頑丈なのが取り柄だから」
モンスターなハンター「せやな」