喫茶鉄血   作:いろいろ

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ドルフロのラインスタンプが出ましたが、鉄血組のスタンプとかないですか運営さん?


第二百一話:驚異的な正面装甲

 その日、UMP45は大層不機嫌であった。

 

 理由はいくつかある。まず一つは彼女の妹であるUMP9と長らく会えていないこと。HK416とお揃いで実装されたMOD化への改装のため、そして性能試験とメンテナンスのため当分の間16labに出向いているからだ。このため残ったのは不真面目筆頭のG11と彼女をお姉さまと慕うゲパード、隙あらば45といちゃつこうとする40だけであり、日々の癒し(9の笑顔)を失った45のストレスはたまる一方だった。

 そしてもう一つ、それはここ最近行われている臨時編成でのパトロールである。通常、404小隊は彼女たちだけで任務を行うが、二名の欠員が出ているためどうしても手が足りなくなる。そこで臨時ではあるが別の人形部隊と組み、パトロール等の任務を行っているのだ。

 別にそれ自体に不満はない。しかし問題は組んだ相手だった。具体的には直近五日間のバディは

 

初日 :スプリングフィールド

二日目:グリズリー

三日目:モシン・ナガン

四日目:FAL

五日目:WA2000

 

・・・・・まるで狙ったかのように『デカい』人形ばかりだった。この編成を決めたのは指揮官だが特に理由はなく、強いてあげれば『45の場合は誰と組ませても問題ない』という強い信頼感からである。

 結果、五日間も自身のコンプレックスを突き付けられ続けた45は、五日目の任務終了間際にWAの胸を鷲掴みするくらいまで追い込まれていた。

 

 

「あ~くそっ・・・まだ顔がヒリヒリする」

 

 

 昨日よりも薄くなったがまだ痕の残る紅葉が、WAの強烈な一撃を物語る。そんな鈍い痛みとともにトボトボと路地を歩く45の姿に、エリート部隊の隊長という面影は微塵も感じられない。

 特に目的もなく、とりあえずで向かう程度には喫茶 鉄血の常連となった彼女だが、この日もただ何となしに店へと向かい、目前の曲がり角で飛び出てきた誰かとぶつかった。

 

 

「わぶっ!?」

 

 

 『ドンッ』とか『ゴツンッ』とかではなく、表現するなら『ボヨンッ』となるだろうか。弾力のあるクッションに顔をうずめたような、そんな感触が45を襲う。

 

 

「あ、ごめんなさい」

 

 

 声をかけたのは、金髪ショートで背の高い見慣れぬ()()()()。背中に背負ったライフルからRFタイプだと察しが付く。

 だがそんなことは今の45にとってどうでもよい。そう、どうでもよいのだ。

 

 

「私、こういうものなんだけど・・・・って、聞いてます?」

 

 

 女性が何かを取り出すが、相手の言葉など端から耳に入っていない。45が目を向ける先には、主張の強い実りが二つ。しかもそれを強調するかのような白い服にハーネス、その上から羽織る黒いジャケットが色合いでも際立たせる。さらに下も短いタイトスカートとタイツと、世の男の視線を釘付けにするために作られたといっても信じられるような見た目だ。

 そんな彼女の対義語・・・・UMP45の我慢の限界はあっさり訪れた。

 

 

「・・・・さない」

 

「え?」

 

「許さない・・・・どいつもこいつも・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで私より胸がデカいのよ!!!」ガッッ

 

「ひぁああああああ!!!!????」

 

 

 まるで親の仇でも見るような目つきで襲いかかり、溜まりに溜まったストレスを発散させるのかの如く揉みしだく。それなりの体格差がある相手を押し倒し、馬乗りになり、揉みしだく。

 そしてここは、人通りが少ないとはいえゼロではない路地。そのど真ん中でこんなことをしていれば、人が集まってくるのも当然のことだった。

 

 

「こんな・・・こんな脂肪の塊・・・・っ!」

 

「や・・・あっ・・・やめ・・・・・やめなさいっ!!」

 

 

 鋭い声と『ガチャンッ!』という音、そして手首に感じる冷たい圧迫感に、UMP45はふと我に返る。女性は顔を紅潮させて息を荒げ、目尻に涙を浮かべながらこちらを睨み、その少し下には白い山と鷲掴みにした手、そして手首にかかる銀色の手錠。

 女性はプルプルと肩を震わせながら、手に持ったもの・・・・『G&K 警察隊』の手帳を突き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・まさか、知人から犯罪者が出るとは思いませんでした」

 

「待って代理人、まずは話を聞いてほしいの」

 

 

 場所は変わって喫茶 鉄血。手錠をかけられた45と女性が向かい合い、さながら取調室のような形となっている。面白がったマヌスクリプトが持ってきたスタンドライトが、よりそれっぽさを醸し出し、周りの客たちも事の成り行きを見守っていた。

 本来なら真っ先に連行されるべきなのだが、たまたま通りがかったゲッコーに45が助けを求めたため、店に連れられてきたというわけだ。ちなみにしれっと口説こうとしたゲッコーだが、相手が手錠をちらつかせたことで諦めた。

 

 

「ですが、被害者の方がいるわけですし・・・・・そうですね、『VSK』さん?」

 

「えぇ、間違いありません」

 

 

 VSK-94、それがこの女性の名前である。

 新型の人形配備や司令部増設など、日に日に規模を拡大させているグリフィンだが、会社が大きくなればなるほど様々な問題も増えてくる。中でも悩みの種となっているのが、一部の指揮官による人形へのセクハラと、これまた一部のフリーダムな人形によるバカ騒ぎである。特に後者はここS09地区が最も発生率が高く、地元民からのクレーム(微笑ましい報告)が後を絶たない。

 これに対し、グリフィンは独自の警察組織を発足させ、社の風紀を保とうと考えた。その一環でIoPに製造を依頼していたのが、このVSK-94である。

 

 

「身内を取り締まれなどと大げさなとは思いましたが、まさか着任初日に出くわすとは思いませんでした」

 

「45さん・・・・・・」

 

「違うのよ代理人、これには深いわけがあるの」

 

 

 などと供述してはいるが、簡潔にまとめれば『カッとなってやった』というだけのもの。実にありきたりな、衝動的なものだ。雨上がりの水たまりよりも浅い理由だろう。

 これが司令部の人形であれば、まだ何とかなったのかもしれない。実際WAにはビンタをもらっただけで済んでいるし、こう言っては何だがこんなことはこの地区では日常茶飯事である。しかし今回の相手は社内組織とはいえ警察で、具体的な罰と最悪の場合はブタ箱行きすらあり得る。

 自身の経歴事態にはさほど興味のない45だが、これがもし9たちに知られでもしたら・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『45姉・・・もしかして私のこともそんな目で見てたの・・・?』

 

『45、もう9には近づかないでちょうだい』

 

 

 

 

 

 

 そんなことを言われるかもしれないし、言われた日にはもう立ち直れないかもしれない。というかそのまま首を吊りかねないだろう。

 

 

「ともかく、彼女の行動は社の人形として・・・まして隊長格として大いに問題です。 しかるべき処分が必要でしょう」

 

「まぁまぁVSKさん、彼女も反省していることですしそのくらいで」

 

「いえ、そういうわけにもいきません。 社の風紀を守るためにも、徹底的にやらなければダメなんです」

 

 代理人の説得もむなしく、VSKの意思と決意は揺るがない。もともと正義感の強い人形なのかもしれないが、被害者故の感情も多分に含まれているのだろう。

 しかし、45とてあの404小隊の隊長だ。これまでいくつもの死線を潜り抜け、時には銃よりも言葉が威力を発揮することだって知っている。そして何より、かつて『存在しない部隊』と呼ばれ援軍も補給も見込めなかった頃から誰一人欠けることなく生き延びてきたのは、ほかならぬ45の力である。

 電脳回路をフル回転させ、起死回生の一手を打った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・社の風紀のため? フッ、笑わせるわね」

 

 

 俯きながら45がポツリと放った一言に、場の空気が凍り付く。この状況でなんてことを言うんだという客たちの視線と、こればかりは唖然とする代理人の視線、そして怒りを通り越して能面のような無表情になるVSKの視線が45に集中する。というかVSKに関しては背負っていたはずの得物を構え、引き金に指をかけてすらいる。

 一触即発の中、それでも45の余裕は崩れない。いや、むしろ注目を集めることが目的であるように、勝利を確信した笑みを浮かべていた。

 

 

「風紀を守りたいのなら、まずはあなた自身の風紀から直してから言ってもらえるかしら?」

 

「私? 私のどこに問題があるのですか、いい加減なことを言わないでください」

 

「異議ありッ!!」

 

 

 高らかと声を上げ、VSKに向かってビシッと指をさす。手錠でつながれているため両手を突き出す形になってしまいいまいち格好がつかないが、それでも構うことなく「ずっと私のターン」とでもいうように追撃する。

 

 

「まず一つ! そのしゃがんだだけで見えそうなミニスカート!」

 

「こ、これは機動戦を意識した結果のもので・・・」

 

「ごちゃごちゃ言わない! 次にその黒タイツとハイヒール!」

 

「それこそ関係なくないですか!?」

 

「関係あるにきまってるわよ! ねぇ!?」

 

 

 近くにいた男性客に鬼気迫る表情で同意を求めるが、男性は思わず顔を背ける。それが45の表情によるものなのか、はたまた思い当たる節があるからなのか、ともかく男性は否定も肯定もしなかった。

 実際、この服装自体はまぁよく見かける組み合わせではあるのだが、それが『風紀』の観点から見るとと言われると、かなりグレー寄りと言われても仕方ない。

 

 

「そして最後にっ!! その無駄にでかい塊をさらに強調するようなハーネス!!! 絶対いらないでしょそれ!?」

 

「いるにきまってるでしょ!」

 

 

 もはや隠す気もないほど私怨100%の言いがかりだが、こういう時は勢いに乗ってしまった方が勝ちなのだ。ちなみにVSKのハーネスは予備弾倉やら手錠やらを吊り下げているので必要なものである・・・・・胸ではなく腰でもいい気がするのは否めないが。

 

 

「ていうか、風紀を守るようなのがそんな風紀を乱すモノをぶら下げてんじゃないわよ!」

 

「そ、そういうあなただって・・・・!?」

 

「そう、そうよ・・・そういう意味では私の身体は理想的だわっ!!」

 

 

 無駄に自信満々に宣言し、自身の起伏に乏しい正面装甲を主張する45。相手へのダメージよりも自身へのダメージの方がはるかに大きいようで、言っていて悲しくなったのか目尻に涙すら浮かべている。

 が、意外にも効果があったらしい。もっとも、その相手はVSKではなく

 

 

「そうだ、嬢ちゃんの言う通りだぜ!」

 

「我々の視線を釘付けにするなんてけしからん人形だ!」

 

「ちっぱいこそ正義!」

 

『ちっぱいこそ正義っ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ・・・・・これどうする、Oちゃん」

 

 

 店内に謎の一体感が生まれ、もはや収集が付けられなくなりつつある様相に、Dは珍しく顔を引きつらせて代理人(オリジナル)に助けを求め、そして固まる。

 こちらも珍しく、貼り付けたような満面の笑みで手に持ったステンレス製のトレーをミシミシとへし折る代理人、間違いなくキレている。Dがまだこの騒動に乗っかっていない客と従業員に素早く避難指示を出すと同時に、代理人がサブアームを完全武装で持ち上げた。

 

 

 結局その日、VSKの着任最初の仕事は謝罪と反省分の提出だったという。

 

 

end




45姉に恨みはないけど、弄りやすさはドルフロ界随一だと思うのよ。
でも胸の話になると高確率で45姉の出番がやってくるんですよね45さんどうしたんですかそんないい笑顔でバットなんて振りかざしt


てなわけで今回のキャラ紹介。
いつも通り独自設定盛り盛りなので気を付けてね!


VSK-94
社の風紀を正すべく新規製造された人形・・・なのだが、そのボディで風紀担当は無理でしょ。
特技は手錠掛けで、ボーラのように投げて捕まえることも可能。
設計担当曰く「風紀委員が風紀を乱す・・・・イイと思います」キリッ

UMP45
いつまでたっても全面装甲が増設されない人形。かれこれ申請書を提出した数はこれまでの出撃回数よりも多いが、一枚たりとも返事が返ってこない。
9に対するシスコン度は以前よりもましになったがそれでも0ではなく、中長期間離れると精神的に不安定になりやすい。
今回の件について「そのままもいでやろうかと思った」と供述している。

代理人
店で突然始まった公開セクハラ論争にブチ切れた。
ちなみに本人はその手のことに興味関心が薄く、どちら側でもない。

男性客たち
欲望に忠実・・・・これだから男は(特大ブーメラン)
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