喫茶鉄血   作:いろいろ

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職場でやらかして残業続きになったり、ワクチン打ってぐったりしてたりしましたが生きてます。
最後に更新してから一月以上経ってしまいましたが、鉄血を仲間にできると聞いて復活しました!

それはそれとして、今回は新イベントにちなんだお話。
相変わらず原作無視の独自設定もりもりですが、生暖かい目でご覧ください。


第二百三話:NYTOの日

「・・・・・妹さん、ですか?」

 

「えぇ、いかにも」

 

「正確に言えば、末っ子ね」

 

 

 今日も今日とて客の賑わいを見せる喫茶 鉄血。開店当初に比べて良い意味でより有名になり、気が付けば店が増えたり店員が増えたり、時々グリフィン社の人形が働いていたりと何かと話題の尽きない。

 そんな喫茶 鉄血だが、行く当てがなかったり分け合って飛び出してきた人形を、労働を条件に住まわせていたりする・・・・・ニモゲンとマーキュラスもその手合いだ。情報公開も製造登録も一切ない、九割九分九厘違法な謎多き人形だが、ここに来てさらに謎が増えた。

 

 

「末っ子・・・・というと、他にも姉妹機が?」

 

「姉妹機、ではなく『姉妹』よ代理人」

 

「我らは人間と時を同じくする、新たな可能性の欠片」

 

「・・・・・つまりは?」

 

「「我々は成長する」」

 

 

 とまぁ、こんな感じで自ら秘密を暴露していくため随分と解明されているのだが、ニモゲンとマーキュラス・・・・本人ら曰く「NYTO」と呼ばれる個体群は、既存の人形とは大きく異なる特性を持つことがわかっている。その中でも特に際立つのが、()()()()()()()()()()()という点である。

 IoP製・鉄血工造製の人形も作戦やその他さまざまな行動をとることでマインドマップが更新され、同じ製造ロットであっても異なる『個性』と呼べるものが生まれる。だがNYTOたちの成長とはそんな内面的な話ではなく、文字通り『身体が成長する』のである。製造時は幼い姿で、短期間ではあるがニモゲンやマーキュラスのような姿まで成長し、その後も緩やかながら一定期間成長するのだという。

 

 

「・・・・・本当に人形ですか?」

 

「軍が運用している『機械の人形』とは違うけど、人工筋肉やらを使った人形よ」

 

「グリフィンや貴女方も、そういう意味では同じ穴の狢ですわね」

 

「それはちょっと違う気がしますが」

 

「あれ? てことは、その妹ちゃんって」

 

「えぇ、製造されて間もないチビね」

 

「わぁ、会ってみたいなぁ」

 

 

 Dが目をキラキラさせながら、その妹とやらに思いをはせる。が、今のところNYTOという存在をニモゲンとマーキュラスでしか知らない代理人は、この二人をシンプルにダウンサイジングした存在を思い浮かべる。やや高圧的というか、捻くれているというか、そんな感じだ。

 

 

「話は戻しますが、その妹さんはいつ来られるのですか?」

 

「さぁ?」

 

「我々の行く末は、我々が決めるもの」

 

 

 そんな二人の言葉に、代理人は厄介ごとの予感を感じて項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ねっ、次あそこ! あそこに行ってみたい!」

 

「こら、勝手にうろちょろしないでって何度も・・・・ぁぁぁあああもうっ!!!」

 

 

 場所は変わり、ここはS09地区のメインストリート。この地区で最も活気のある場所であり、イベントがなくとも多数の露店が並ぶ、観光客にも人気の場所だ。それゆえ常に人の往来が活発なのだが、その人の波を小さな黒い影がすいすい進む。

 その後ろを六人分の頭が追いかけるが、なかなか追いつけないでいる。

 

 

「この・・・・待ちなさい『アンナ』!!」

 

「こ、これひとつ、ください・・・・・」

 

「はいよ、ちょいと待ってね」

 

「勝手に買ってんじゃないわよ!!」

 

 

 息を切らせて何とか追いついた少女・・・UMP45の奮闘むなしく、目の前で大きなリンゴ飴を受け取るアンナ。その容姿や服装は少し違うが、間違いなくNYTOの一人であるとわかるものだ。

 パトロール中、近所の子供たちから「見慣れない子供がいる」と言われて保護したこのチビNYTO。なぜここにいるのか、何が目的なのかも一切不明のまま、一旦司令部まで連れていくことにしたのだが・・・・・。

 

 

「アンナちゃん、美味しい?」

 

「ん~、おいしい!」

 

「くっ・・・・・なんでコイツの分を私が払わないといけないのよ」

 

「耐えてちょうだい45、子供の笑顔はプライスレスよ」

 

「じゃあアンタが払いなさいよ!」

 

「416っ! 私たちも食べよ!」

 

「私は9の分を出してるから・・・・ね?」

 

「キーーーーー!!!」

 

 

 見た目相応というか、アンナは目につくものすべてに飛びついた。特に食べ物となると迷わず買いたがるくらいで、ちょっと目を離せばもう注文していることもある。そのくせ有り金など一切ないため、頼んだものをキャンセルするわけにもいかず、隊長ということで最も手当の多い45が払っているのだった。

 ちなみに416は見ての通り9にしか財布を開かず、9に払わせるのは45としては選択肢外、G11は驚くほど財布の口が堅く、ゲパードM1は後から加入したこともあって払えと言いづらい。残るはUMP40だが、彼女に借りを作ると後が怖いのでやめておく。

 渋々財布を取り出し、ブルジョアの代名詞たる真っ黒なカードを取り出す。別に45にとって菓子の一つやふたつなど端金に過ぎないのだが、それがよくわからない小生意気なガキンチョに出す金となると、渋い顔にもなる。

 

 

「はぁ・・・・あんたねぇ、ちょっとは自分の立場ってのを弁えなさいよ?」

 

「へんっ! そんなのあちしの勝手でしょ。 それにあちしは連れてってなんて頼んでないもん! バーカアーホオタンコナースビ!」

 

「この・・・言わせておけば・・・・」

 

「お? 殴る気か? なら泣いてやるぞ、人攫いって大声で泣いてやるぞ?」

 

「ぐぅ・・・・・!」

 

 

 この状況でそんなことをすればどうなるか、考えなくとも一目瞭然だ。もちろんちゃんと説明すれば理解ってもらえるだろうが、それでも面倒なことに変わりはない。というか社会的な死というものがどれほど恐ろしいかは、グリフィンの暗部を担っていた45たちが一番よくわかっている。

 勝ち誇ったような笑みを浮かべるアンナに、45は歯軋りするしかなかった。

 

 

「45・・・あんたこんな子供に言い負かされるの?」

 

「う、うるさいわね! ならアンタがなんとかしてみなさいよ!」

 

「相変わらず部下遣いが荒いわね・・・・・」

 

 

 416は軽くため息をつきつつ、何か策があるのかスタスタとアンナの前まで行く。割と大きかったはずのリンゴ飴はもうなくなっており、それでも食べ足りないのか次の店を探している様子だったが、416に気がついて振り返った。

 

 

「アンナちゃん、後でまたたくさん買ってあげるから行きましょう」

 

「やだやだ! まだ遊びたいもん! ね、9()()()()()()?」

 

お姉ちゃん・・・・・そうだよ416、べつに急ぎじゃないんだからいいでしょ?」

 

「しょうがないわね」

 

「何もしょうがなくないわよ!?」

 

 

 瞬殺・撃沈・陥落、あっけないほど簡単に流される416に、45は頭を抱える。いくら可愛い9の頼みだからって、こんなにチョロいものだろうか。というか9に甘すぎやしないだろうか。

 自分のことを盛大に棚に上げつつ、今度はアンナとじゃれつく9に目を向ける。どうにも波長が合うのか9にはなついており、アンナの要求に9も乗っかるため止めづらいというわけだ。おのれ、9を使うとは卑怯なり。

 

 

「いや、45も9に甘いからでしょ」

 

「自分の妹に甘くない姉なんていないのよ」

 

「そうそう、だから45もあたいに甘えてもいいよ!」

 

「それはやめとくわ」

 

「ええ!?」

 

 

 40の提案を無視し、しかし何も解決していない現状に頭を悩ませる。司令部に連れていきさえすれば後はどうにでもなるのだが、この様子だとよっぽど興味を惹かれるものがないと大人しくついてきてくれない気がする。だが、こういうのも失礼だが司令部に子供が喜ぶようなものはあまりない気がする・・・・・スプリングフィールドのカフェがあるといえばあるが、わざわざ司令部に行きたがるのは彼女に会うことが目的の連中だ。

 

 

(ん? カフェ・・・・・・?)

 

 

 瞬間、45に天啓が舞い降りる。そうだ、カフェに連れて行けばいい。そしてこういう事態にめっぽう強く、子供の相手も慣れていて、最悪実力行使すら可能な適任者がいるではないか。

 

 

「アンナ、私のおすすめのお店があるんだけど、どう?」

 

「えー、あんたのおすすめぇ?」

 

イラッ・・・・・す、好きなだけ頼んでいいから、ね?」

 

「ほんと!? じゃあ行こ!」

 

 

 先ほどまでの態度から一転し、ノリノリで付いてくるアンナ。その様子を見ながらG11は、『これ、お店とか言って司令部まで連れてった方が早いんじゃない?』と思ったが、面白そうなので黙っておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「・・・・・で、なんで残姉たちがいるの?」

 

「いい加減その呼び方やめないと頭カチ割るわよ」

 

「仏の顔も三度まで、と言いますわよ?」

 

「仏じゃなくておとぼけなんじゃないの?」

 

「「・・・・・・〇す」」

 

「はいそこまで、いったん落ち着いてください」

 

 

 45に連れられ、代理人が経営する喫茶 鉄血へとやってきた一同だが、そこでニモゲンとマーキュラスに出くわしてからずっとこんな感じだ。二人もアンナも互いを相当毛嫌いしているようで、罵詈雑言の応酬を繰り広げている。ちなみに残姉とは、『残念な姉』という意味だ。

 しかし姉を残念と呼び捨てることと末っ子・・・・つまり最新型という点から、諸々のスペックでは二人を上回っているようで、頭の回転も微妙に早い。おかげでニモゲンとマーキュラスは終始言い負かされっぱなしだ。

 

 

「はい、スペシャルケーキのセットを5名様分です!」

 

「あら、ありがとうD」

 

「・・・・って何あんたたちも頼んでるのよ!?」

 

「え? だって45のおごりだって」

 

「それはアンナだけでしょ!?」

 

 

 スペシャルケーキお一つ2000円、そしてセットもつけて計2600円+税、決して安くない出費が45を襲う。その伝票を苦い表情で受け取ると、45は一つ咳払いをして話を切り出した。

 

 

「で、いい加減あんたらの目的を教えてもらえるかしら? ただでさえ出自不明の人形なのに、今度はこんなちっこいのまで連れてこられちゃ流石に無視できないわよ」

 

「ちっこいのって言うな、あんたもちっこいでしょ! やーいまな板~!」

 

「・・・・・・・・とにかく、話してもらえるわよね?」

 

「私からもお願いします」

 

 

 額に青筋を浮かべ、文字通り張り付けた笑顔で何とか耐えている45に、代理人も助け船を出す。実際のところ、ニモゲンとマーキュラスを預かっている身として二人の目的は知っておきたいのだ。もしこの街の住人に危害を加えるつもりなら見過ごせないし、逆に何か手伝えることがあれば手伝ってやりたいとも思っている。

 しばらく沈黙が続いたのち、最初に言葉を発したのはアンナだった。

 

 

「あちしはね、二人の様子を報告するために様子を見に来たの」

 

「「えっ!?」」

 

「だって二人とも、『お父様』への報告をすっぽかしたままなんだもん」

 

 

 要するにただの監視である。それでも最後の情けというかそんなつもりで、そちらに向かうということだけ伝えていたようだ。そして大事な『お父様』への定期報告をすっかり忘れていた二人は、元々白い顔が白を通り越して真っ青になっている。

 

 

「あとはそうね、あんたに興味があったのよ代理人」

 

「私、ですか?」

 

「そ、二人の最後の報告であんたのことを話してて、興味がわいたの!」

 

 

 それで無理言ってこの仕事を引き受けた、と述べるアンナ。それはつまり、45たちを振り回したこの一連の騒動の原因が自分にあるということだった。まぁ偶然見つけてしまった45たちの運もあるが。

 

 

「小難しそうだけど、親切で優しい人だって言ってたけど、どうやら本当みたいね」

 

「あらあらそれは・・・・今までそんな風に思われているとは思いませんでした」

 

「二人とも素直じゃないからね」

 

「「ちょっとアンナ!?」」

 

 

 やいのやいのと再び騒がしくなる三人に、代理人は一件落着だと胸をなでおろした。

 その後は三人まとめてグリフィンで保護することことになり、ニモゲンとマーキュラスも短い間世話になったといって司令部へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ねぇ代理人」

 

「はい?」

 

「私って、隊長よね・・・・・・皆の財布じゃないわよね?」

 

「・・・・・・・・」

 

「何か言ってよ代理人!!」

 

 

 

end




※作中の表記は日本円ですが、支払いは現地通貨です(誰に向かってかわからない言い訳)


はい皆さんお久しぶりです。
失踪したかと思ったか?残念だな、トリックだよ。

今回はこれを書いてるうちに終わってしまったイベント『偏極光』にちなんだアンナちゃんのお話。ぶっちゃけNYTOの設定がすでにいろんな意味でアウトだから原作ガン無視のオリジナル設定ばかりというね汗



というわけで、今回のキャラ紹介!


アンナ
ちっこいNYTO。原作では所謂施術前の()()だが、本作ではNYTOも人形として扱っている。他社製と比べて大きく違うのは、幼い姿で製造されて一定期間成長するという点。
非常に生意気で、そのくせ妙に頭が回る。口げんかになると割と強く、周りを巻き込んで追い詰めることも。
(いろんな意味で)ちっこいくせに偉そうな45を毛嫌いし、逆に見た目相応な雰囲気の9にはなつく。

ニモゲン・マーキュラス
喫茶 鉄血にて居候中のNYTO。エレベーターを含む自動ドアに何故か挟まりやすい欠点を持つため、買い物先は手動ドアの店に限っているらしい。
マーキュラスの口調が安定しない。








運営「鉄血を鹵獲できるようになったぞ」

ダネル「!?」ガタッ

アルケミスト「座ってろ」
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